北斗の拳
【ほくとのけん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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セガ・マークIII
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1986年7月20日
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定価
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5,000円
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象) ※バーチャルコンソールで付与
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コンテンツアイコン
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暴力
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2008年2月26日/600Wiiポイント
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判定
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良作
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北斗の拳シリーズリンク
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概要
セガから発売された、同名漫画原作のラオウ昇天までがモチーフとなった横スクロールアクションゲーム。
メインプログラマは後に名作『ファンタシースター』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を生み出す中裕司氏。
特徴・評価点
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左右ボタンが移動で上ボタンでジャンプし下ボタンでしゃがみ、あとは2つのボタンでパンチとキックを繰り出すといった、非常にシンプルな操作体系。
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横スクロールアクションのシーンとボス戦の対戦アクションのハイブリッド式となっている。
横スクロール面では背景のラインスクロールによる遠近感表現、攻撃がヒットした敵は一撃でバラバラに砕け散るなど、割と演出は頑張っている。
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この横スクロール面は、わらわらと出てくる雑魚敵を次々と粉砕して突き進んでいくため、テンポが非常に良く爽快感も抜群な構成になっている。
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道中では中ボスにあたる敵が現れ、それぞれが原作に沿った攻撃方法でケンシロウに襲い掛かってくる。1面中ボスのハートには腹部以外への攻撃でダメージが通らないなど、倒し方にも工夫が凝らされている。
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体力は雑魚敵を10体倒すことで2メモリ、中ボスを倒すことで4メモリ回復する。
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また、ボス戦突入時、ステージクリア時にはフル回復する。
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ステージの最後のボス戦ではキャラクターのサイズが一回り大きくなり、近代の格闘ゲームに近い構図となる。
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ボス戦は概ね原作に沿った攻撃が有効。倒す際に必殺奥義でのとどめが演出され、ケンシロウが凄まじい勢いでシンに北斗百裂拳を叩き込む姿などは当時絶大なインパクトがあった。またラオウ戦では最期に、ラオウが両手を前に出しながらフラフラとケンシロウに近寄るシーンまで細かく再現されている。
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3面大ボスのデビルリバースは巨人ということで(原作に比べると常識の範囲となっているが)、ケンシロウだけ大きさが横スクロール面準拠のままとなっている。
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登場キャラが多い。中ボスが数多く登場し、雑魚敵も面ごとに変わる。
問題点
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コンティニューがない。
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本作は基本的に死んで覚える部類の難易度である。体力回復は運に依存しないがダメージ量の割に少ないため、残機エクステンドが有限でコンティニュー不可という制限は結構厳しい。
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残機エクステンドは得点が10万点、30万点に達したときの2回のみ増える。
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ケンシロウの攻撃方法は打撃のみでリーチが短いため、無闇矢鱈にパンチやキックを連打すると、敵に隙を突かれる。攻撃のタイミングを見計らう必要がある。
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敵が2人以上重なっているところに攻撃しても1人にしか当たらないため、残った敵から攻撃を受けてしまうのも面倒。
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単純過ぎる内容。
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ステージはどれも前後から湧いてくるザコをパンチ・キックでひたすら倒しながら進むだけで、アイテムも一切出現せず、非常に飽きやすい。
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最終面を除き、だいたい2~4回中ボスが登場するのに、3面はフォックスの1回だけ。差があり過ぎ。
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4面のカサンドラでは、獄長ウイグルがただの中ボス。サイズもケンシロウと同じサイズと、小さい。
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5面では、なぜか同じ2人組の中ボス(名も無き火炎放射隊)が3回も登場する。そのわりに、名のある南斗双斬拳のベジ&ギジは1度も出てこない。あるいは、南斗白鷺拳のシュウと手合わせという方法もあったはずなのだが。
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一部のボスがかなり強い。
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4面中ボスの拳王親衛隊は飛び道具を投げつつ挟み撃ちにしてくるため、ダメージ覚悟でごり押しするしかない。
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4面大ボスのトキは、こちらから攻めると的確にカウンターをしてくるので非常に強い。初見で勝つのはほぼ不可能であり、ここで詰まってしまったプレイヤーも多い。
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そもそも、カサンドラでトキと戦うこと自体がゲームオリジナル設定なので、違和感があることは否めない。
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1面中ボスのハート、5面大ボスのサウザーは特定の方法でなければ倒せない。原作再現と見なすこともできるが、ゲーム中でのヒントは一切なし。
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中ボスもボスも、ハメに近い連続攻撃を仕掛けてくることが多く、正面からの打ち合いで勝てることは少ないため、必然的に(前述のハートとサウザーを除いて)ほぼジャンプキックのみで戦うことになり、戦術性が低い。
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シンに止めを刺す奥義が「北斗十字斬」ではなく「北斗百裂拳」になっている。
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ただし「北斗十字斬」はTVアニメオリジナルの奥義名で、原作では名前がない「連続でパンチを叩き込んだ」描写のみ。ボスの割当を見るにケンシロウの代名詞である北斗百裂拳を披露する機会はここしかないので、この割当も妥当ではある。
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一部シナリオのカット
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おおよその流れは原作通りだが「KING編(シン)→GOLAN編(カーネル)→ジャッカル編(デビルリバース)」と来て、ここからいきなり「カサンドラ(トキ)」まで話が飛ぶ。
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この関係で牙大王・ジャギ(FC版には登場)・アミバは一切出番がなく、カサンドラ以後はサウザー編になり、その次がラスボスのラオウ戦(道中なし)。
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カサンドラ~サウザー間のユダはケンシロウでなくレイと戦うので、カットされたのは分からなくもない。ただし、レイはパッケージに描かれている上、牙大王編で人質を取られケンシロウとの対決を演じるので、トキ戦に似た仕様で出してもよかった気がするのだが…。
総評
高難易度ながらパンチやキックで敵を次々と倒していく爽快感と、この当時のハードを考慮すれば十分な原作再現性の高さで多くのファンを歓喜させた、『北斗の拳』のゲームでは数少ない名作の1つ。
発売から30年以上が経った現在でも、本作を北斗ゲーの最高傑作と評するファンは数多い。
影響
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当時ファミコン全盛期にあって、このマークIII版北斗はその評価の高さから本体の売り上げに多大なる貢献をした。
任天堂の山内溥社長(当時)は「ユーザはソフトが欲しくて仕方なくハードを買う」と常々言っていたが、このゲームはまさに「ユーザにマークIIIを買わせた」ゲームなのである。
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後にWiiのバーチャルコンソールにおいて、マスターシステム配信の第1弾ソフトに本作が選ばれたのはこれを考えると必然と言える。
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同時に、このゲームはVCで配信された初の漫画原作のキャラゲーでもある。それだけにVCでマークIII版『北斗の拳』という版権作品が配信されたことは大いなる驚きを持って迎えられた。
余談
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ラオウを倒した際に激しい光の明滅(いわゆるパカパカ)があり、ポケモンショック類似の状態が発生する危険があるので注意。
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VC版では修正されているのでこちらは安心していい。
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海外マスターシステム版は『BLACK BELT』という名前で発売された。
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システムはそのままに、登場キャラクターや背景などはオリジナルのものに差し替えられているが、海外から見た日本を地で征くデザインとなっている。主人公は「リキ」という空手家で、拳法家やアマゾネス軍団と戦ってゆくが、決め技の表示が「鉄拳制裁」や「闘魂一発」など意味不明でよりカオスな世界観。
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唯一、同作の3面のボスは力士「ゴンタ」として攻撃パターンが大幅に変更された。日本版のデビルリバースのような巨人でもなく、「リキ」も他のステージのボス同様に大きいサイズで戦う。
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ステージ中、特定の場所で画面上空に2種類のアイテムが飛来する。攻撃を8発まで無効化する「力」マークと、体力を大きく回復させる寿司があり、
日本版にはない
(一応存在するが入手数が限られている)これらのアイテムのおかげで、海外版は難易度が低くなっている。
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幾つかの隠し要素、隠しアイテムが仕込まれている。
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ステージボスをノーダメージで撃破すると、次の面のはじめにハイジャンプキックすることで一気に道中をショートカットしボスの所まで進める。
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エンディング中ケンシロウが画面から消えた直後、上ボタンを20回連打するとボスラッシュ面に進める。
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2018年に発売されたPS4用ソフト『北斗が如く』内の隠しミニゲームとしても本作が収録されている。
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上述のように海外では未発売であったが、さすがに海外版『北斗が如く』でも『BLACK BELT』ではなく日本版同様『北斗の拳』で収録されている。
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『北斗の拳』のゲーム作品としては、実はエニックス製のPC版が最も発売が早い。
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ただし、原作を知らない人向けにオリジナル要素が強いAVGとして制作されたため、大衆向けかつ原作を重視したという意味ではこのマークIII版が初のゲーム化となる。
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そんな最初期のゲーム化が最高傑作として評価され、その後乱発される北斗の拳ゲームは、同じく大衆向けのファミコン版シリーズを筆頭にことごとくクソゲーが多いのは皮肉な話である。
最終更新:2024年05月24日 20:25