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戦国サイバー 藤丸地獄変
【せんごくさいばー ふじまるじごくへん】
ジャンル
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シミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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パンドラボックス
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発売日
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1995年10月27日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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マップが見づらい 色々と不親切 説明不足から来る高い難易度 自力で見れないエンディング 頻度の高いフリーズバグ アイディアや世界観やキャラ等は良い
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概要
プレイステーション初期にパンドラボックス開発、SCE販売で出された、戦国日本における忍者の戦いをモチーフにしたSRPG。
プレイヤーは武田信玄が密かに育てていたという忍「はぐれ透波」となり、忍者同士の抗争に巻き込まれることとなる。
戦闘によるレベルアップのほかに、戦闘パートの合間にある隠れ里パートで修行を行い、能力の底上げや特技の習得を図るという、やや特殊な成長システムをとっている。また回復アイテムや装備品の作成も、この隠れ里で技能を習得する必要がある。
シナリオ担当はパンドラボックス社長であり、『ラストハルマゲドン』や『学校であった怖い話』などで知られる飯島健男(現・飯島多紀哉)。
特徴
シナリオ
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全体のストーリーとしては単純で分かりやすく、手堅くまとまっている。それでいて内容は濃く、殺伐としたダークな雰囲気を持つ特徴的なものになっている。ある種の狂気をはらんだ展開もあり、好きな人間なら惹き付けられるだろう。
戦闘面
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戦闘マップは次世代機の特徴を生かしたポリゴンで描かれ、後方上から見下ろした形になっており、ドット絵のゲームが主流だった当時としてはなかなかに迫力があった。
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戦闘シーンは味方を手前に後ろ向きに、敵を奥に斜めに展開し、後に発売される『ポケモンシリーズ』に似た視点で行われる。
拠点である隠れ里
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幕間には里で一定数の行動がとれる。行動の設定は各種アイコンをテーブルに配置した後、一気に行われる。
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修行でパラメーターの底上げ、技や術の習得や、回復アイテムの薬草を栽培したり、補助アイテムや装備品の作製、金策のアルバイトなど、戦闘で使わないキャラでも補助要員として使い道が与えられる。
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正否はムービーで行われるがカットも可能。初期は休息で埋まっているため、必要の無いキャラはめんどくさいなら何も設定しなくともよい。
問題点
インターフェイス
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戦闘関連
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最大の問題は操作性の劣悪さと戦闘マップ画面の見づらさ。
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カーソルが滑るように移動する。ボタンを1回押したつもりで2回押した扱いになる。といった操作ミスが起こりがち。
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戦闘マップは立体感を出すためか後方見下ろしになっている。
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これが曲者で同時に1マス1マスが小さいため、敵や目的物との距離感が相当に分かりづらくなっている。
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またマップの一部にユニットが密集するとユニットアイコン同士が重なり合い、ユニットの位置関係が分かりづらくなる。
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マップの拡大縮小や回転機能はない。PS初期なので当然だが。
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しかしマップはポリゴンで作られており、ユニットを移動させる際の演出で拡大と回転が普通に行われているため、実装は可能だったと思われる。
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戦闘マップの地形は通れるところと通れないところの見分けがつきづらい(カーソルを合わせれば分かるが)。
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これらのお陰で、密集していた味方に隠れて見えなくなった敵から不意打ちを食らったり、通れないところに気づかなくて敵に攻撃できなかったり、というような事故が多発する。
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画面隅に上方見下ろし型のマップも存在するが申し訳程度の小ささで、あまり役に立たない。
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ちなみにユニット拡大機能はOFF推奨。ONだとユニットが移動するときにいちいち画面がどアップになり、ユニットの移動方向にあわせて回転もする。(そのキャラの背後からの視点になる)そのためいちいち時間が掛かってしまう。
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戦闘時のアニメは、1VS1の戦闘画面に移行するタイプとマップ上で攻撃エフェクトが発生するタイプがある。
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後者はコンフィグでカットできない。
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『スパロボ』で言うMAP兵器もあるが、それ以外の攻撃がどういう基準で区別されているのかは不明。
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戦闘マップ画面での設定を変えてもセーブされず、マップ画面に入るたびに設定が初期化される。
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他にも、移動の際に味方ユニットをすり抜けられなかったり、直接攻撃してきた相手に反撃できなかったりするが、これは仕様として納得できなくもない。
属性問題
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戦闘では属性による相性が最重要。ほぼ全てのユニットに弱点と耐性が設定され、ユニット同士の相性を考えた用兵を求められる。数値からしても無双プレイはまず不可能。
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しかし、ゲームバランスに大きく関わるものであるのに属性の存在自体が説明書に記述されておらず、ゲーム中でも一切の説明が無い。どこにも説明が無いのだから、存在の把握すら出来ない。
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攻撃手段から弱点や耐性を推定できる(プロテクターを付けているから物理が効きにくい。火を吐くから水に弱い。)場合もあるが、やってみるまで全く分からない。爆弾や銃撃が雷属性が弱点なのはまず分からない。
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最序盤のシナリオでも、弱点を突かないと何人も仲間が倒されることになる。とくに問題なのは3章。ここはボスのいない雑魚だけのシナリオで、一部攻略本にも「ボスがいないから簡単」等と書かれていたりするが、ここから属性問題に加え遠距離攻撃の敵が初登場するため、内容とは裏腹にいきなり難易度が跳ね上がる。属性の相性が悪いとこちらの攻撃は雀の涙ほどに落ち、逆に敵からのダメージはとてつもなく大きくなる。体力の低い子供や女のキャラは、相性が悪ければここで簡単に即死する。
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属性は攻略本でのみ確認が出来るが、数冊出ている中でも一切記述の無い本もある。
それ以外の問題
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PSの型によってはフリーズバグが多発する。型の新しいPS2でやれば発生頻度が下がるようであるが、もちろんフリーズするときはフリーズする。
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またPS2の方でも型により、ナレーションが中途で強制終了されたりする不具合が出る。
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音バグもあり、効果音が連続で、しかも爆音で再生され続けることがある。
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他にエフェクトが速くなるバグも初期版で確認されている。後期版では比較的直されたが、有用なバグも削除された(後述)。
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真ENDの条件があまりにも厳しすぎる。仲間にできるキャラは全員仲間にし、1人たりとも死人を出してはいけない。さらに一定条件で出現する隠しマップを全てクリアしていかなければならない。
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まず全ての仲間キャラを集めることだが、特定条件を満たした場合のみ入れる隠しマップで、さらに特定条件を満たしたときのみ仲間になるという隠しキャラもおり、これも含まれる。ノーヒントなのにかなり限定的な条件を必要とするため、事前情報が無ければまず無理。
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次に死んだ仲間は生き返らない。情報不足による属性問題で只でさえ高難易度であるのに、下記の条件も複合されるため、死者を出さないプレイは至難の業。
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そして隠しマップに行くには特定条件を満たす必要があるのだが、中には特定主要人物数人のレベルを一定以上に上げること(後述)が隠しマップの発生条件に含まれる。これも完全ノーヒントな上に、マップ上の全敵の経験値をその特定人物に集中させるようなプレイスタイルが必要とされるため、知らずに気に入って使い込んでいたとしても、まず条件は満たせない。
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攻略本などで情報を知りつくしていれば、ある程度の余裕を持ってクリアできるくらいにはなるのだが、前述のように攻略本によっては属性の記述が無いため、余裕を持てるかどうかはどの攻略本を買うかで決まる。
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真ENDにならなかった場合、エピローグがカットされるため、無いも同然のエンディングになってしまう。
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戦闘中には途中セーブ出来ない。
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中断データすら残せないため、高難易度、テンポの悪さ、各種バグ、フリーズと併せてプレイヤーの苛立ちを加速させる。
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各種イベントの発生条件は完全ノーヒントで、攻略本を読まずに気づくのは至難の業。というか無理。
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イベントで一番の問題になるのは、上記にもある真ENDのための条件の1つで、初期からいる特定人物3人のレベルを一定マップまでに一定以上にすること。これだけだと簡単に見えるが、他のキャラの成長を犠牲にしてまで徹底的に使い込まなければ辿り着けないほどの高レベルが要求される。
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そしてこの条件を満たすと、この3人は中盤に差し掛かった辺りで突如永久離脱する。そこまでに入手する経験値の多くを3人に集中させなければ満たせない条件のうえに突然離脱するため、離脱直後は戦力が一気に落ち、ただでさえ高い難易度がさらに急上昇する。
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この3人には離脱しなかった場合に使える固有技もあるため、真ENDを見る場合、技が全て見れない。
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シナリオ上離脱するのは仕方ないとしても、もっと先に設定するか、発生条件を緩和させるべきだったのではないだろうか。該当のイベントはある区切りに発生するが、べつに必ずしもそこでなければいけないというわけでもなく、条件のレベルも内容には関係ない。
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ちなみにこの次の面では、初期メンバーの内の3人が抜ける。もちろんメインで使っていた場合はさらなる難易度上昇に繋がる。理由もただの修行のためであり、こちらも必ずしもここでなければいけない訳ではない。何故このタイミングに設定したのか……。
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中盤に差し掛かり、これから心機一転頑張ろうというところで、仲間の数が一定以下だと強制ゲームオーバーになる。事前警告等は無い。
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序盤を過ぎた頃、出撃メンバーが数人のみで固定されたまましばらくシナリオが進んでしまう。任意の枠もあるが少ないため、ここまでに該当のキャラをある程度育てていないと攻略はキツい。
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序盤から中盤以降まではPS屈指の高い難易度であるが、終盤に差し掛かる頃には仲間も育ち大分緩和される。それは良いのだが、全体攻撃(文字通りマップ上の全敵に攻撃)を覚えたキャラが複数人いると、マップ上の雑魚はそれだけで一掃出来てしまい、もはや簡単どころの話では無くなり一気にヌルゲーと化す。何故こうも極端なのか……。
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クリア後に電源を切らずにそのままはじめからプレイすることで、隠れ里の一部データを引き継いで2周目をプレイすることが可能……だったのだが、初期版のみの仕様で後期版では削除されている。
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3周目からさらに引き継げるデータもあり、いかにも用意された隠し要素にも見えるが、どうやらただのバグだったようだ。
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タイトル画面の微妙な違いから初期か後期かを判別することが出来る。
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のちの『パンドラMAXシリーズ』ではすぐには実装されなかったメッセージスキップやロゴスキップが実装されている。
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しかしロゴは襖でも閉じるようにゆっくりスキップされるので妙にまだるっこしく、長セリフは何故か一行ずつ送る仕様なのでこれまた微妙にうっとうしい。
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苦労して見ることができる真エンディングであるが、悲惨な結末を迎える仲間がいる。
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ネタバレ
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全ての終わりの後、主人公が里を解散し、それぞれが自由に生きようと宣言して去る。唐突な終わり方ではあるが、名作漫画のラストのような良い終わり方でもある。しかしその後の一部の仲間は……。
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差別に堪えかね自殺、暗殺、行方不明の後腐乱死体で発見、イカサマ大道芸がバレて処刑、花火の暴発で原形をとどめないレベルで木端微塵に爆散、野党に堕ちて無惨な最後、など。全てが戦闘に使える味方キャラで、主要キャラ、脇役、ヒロイン問わずである。幸せな余生を過ごす者もいる中、どうしてこうなった。
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内容そのものが非常に殺伐したものであるため、正義のために戦った者であろうと幸せな結末を迎えるわけではないという、作風に合った終わり方ではある。しかしあまりにも死に様が悲惨すぎるため、許容出来るかは人それぞれであろう。
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ちなみに「どこどこに行ったらしいがその後の行方は不明」と、短文で無いも同然のスカスカなエピローグを持つ者もいる。ある意味こちらも悲惨。
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また主要敵キャラは、おそらく全員が地獄で苦しめられているらしいことが隠しマップでわかる。こちらも自業自得とはいえ悲惨。
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評価点
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飯島節全開のイロモノめいた個性を持った味方キャラクター(もちろん美少女や美丈夫もいる)は評価が高い。
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やたら口が悪く女子供にも媚びない主人公をはじめ、肥満を通り越した巨大肉団子、骨と皮ばかりの怪力男、フランケンシュタインのような人造人間もどき……と、他のゲームでは到底味方として出ないようなキャラも多い。
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主人公をはじめとする初期メンバーのはぐれ透波の中には、幼少の頃に拐われ、隔離された里で人知れず戦闘者として育てられてきた経緯がある者もおり、仲間内の信頼は厚いが皆どこか荒んでおり
ズレている。
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野党に襲われ助けを求める女性達を野党もろとも斬ろうとしたり、育ての親である武田信玄が死んだと聞いたときには大爆笑して喜んだり、見た目も中身もかなり異様な面子で構成されている。だがそれも含めてある種の魅力である。
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敵も生まれつきの爆弾魔、ミュータントまがいの新興宗教家、脳筋女とエロティックな美女の凸凹コンビ、部下でハーレムを作る伊達男……と、アクの強いキャラクターばかりで、どちらも曲者揃いとなっている。
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ボスクラスには顔アイコンや戦闘グラフィックの使い回しがない。ただし雑魚は使いまわしあり。
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ただ、登場したシナリオですぐ死んだり退場になったりする敵が多い。と思いきやそこまで重要じゃない敵が何度か連続で出て来ることも。
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親玉を引き立たせるために子分を2マップ連続で登場させたが、その親玉が子分ともども戦死、というパターンが多い。
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一部の仲間キャラクターに、色違いなだけでイラストを使い回しているモブキャラのような者達がいる。忍者と巫女が該当。
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しかし忍者は戦闘時のグラフィックや技がそれぞれ固有で大きく違っており、巫女も性能面でかなり違うなど、差別化はされておりそれぞれに個性がある。
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全員強くはなく、これといって目に見えるような成長もしないため使うほどではないキャラクター達だが、一人だけ条件付きで強力な専用全体攻撃を覚えたりする。
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隠れ里パートでは前述したように、修行のほかに戦闘パートで使う回復アイテムや装備品の開発なども自ら行う仕組みになっており、自給自足の雰囲気を出すことには成功している。
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プレイした人からも「キャラや世界観は好きなんだけど……」という声も多く聞かれる。
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声優は戦闘ボイスのみの出演であり、当時駆け出しの声優中心に揃えられているが、現在ではベテラン揃い。また、ナレーションには名優である久米明が、テーマ曲にはアメリカのロック・バンド、ブロンディのボーカルであるデボラ・ハリーが起用されており、妙に豪華。
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テーマ曲は和風ロックになっており、本作にとても合った曲になっている。ただ何故わざわざデボラ・ハリーが起用されたのか? 本作に合わせて作られた曲なのか? といった辺りは謎である。
総評
シナリオ面は面白く、また隠れ里パートでオリジナリティを出そうとした点は良い。
が、プレイのしづらさと難易度だけは評価のしようがない。無駄に不快さを上昇させるだけの結果に終わっている。
ストーリーやキャラクターに強い魅力を持っていることは確かなのだが、不便すぎるシステムがそれを台無しにしている。
そこさえ解消できれば、そこそこ遊べる、隠れた良作といった評価になっていたであろう。非常に惜しい。
余談
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タイトルに戦国サイバーとあるが、サイバー要素は特に無い。
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キャラクターはイラストで描かれているが、仲間のミニスカの女の子は戦闘中1カットだけパンツが見える。当時エロ表現に厳しかったプレステとしては、イラストで下着が見えるのは珍しい。
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また花火師の男は法被にふんどしのみという漢らしい粋な出で立ちなため、戦闘中は常にふんどしと引き締まった尻が見られる。
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後に同社から発売された『Catch! ~気持ちセンセーション~』のBGMの1つに、本作をパロった曲名が付いている。「学園サイバー倉田あんた変」。
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また、パンドラMAXシリーズ末期頃に飯島氏が出版した同人誌『飯島MAX』では『ONI零 ~復活~』とのコラボ小説「司狼丸地獄変」が収録されていた。
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現在でも飯島氏が同人展開しているアパシーシリーズで本作のネタが取り上げられる事もある。
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当時放送されたCMは「記者会見に現れた年配の男性長官が記者から指摘された後一旦退出。忍者のコスプレをして出てきた後、仕切り直して本作のタイトルを発表して終わる」というシュール極まりないもの。
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当時のソニー製のゲームCMはシュールな内容の物が多かったが、その中でもとりわけシュール。しかし本作は他には無い雰囲気とシステムに魅力があるため、普通にそれらを押し出した内容のものを作っても良かったと思われる。
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ちなみにこの記者会見CMは他の作品に対しても行われていて、数あるバリエーションの一つに当たる。
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『Vジャンプ』の『犬マユゲでいこう』に、メインで取り上げられた。
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内容は里の特殊システムを中心に紹介された他、忍犬が仲間になることと、子犬が産まれ育てられることがとりわけ強く描かれた。
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上記の子犬は何故か産まれる頭数がランダムで、そのときどきで1匹か2匹に変わる。また、途中で仲間になる名無しの女に名前を付けるイベントでも、15の候補からランダムで5個のみ選択肢に出るなど、変なところでランダム要素がある。
最終更新:2024年08月05日 00:07