SDバトル大相撲 平成ヒーロー場所
【えすでぃーばとるおおずもう へいせいひーろーばしょ】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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バンプレスト
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発売日
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1990年4月30日
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定価
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6,300円
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判定
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なし
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ポイント
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コンパチヒーローシリーズ第1作 戦隊メカも登場 おい、相撲しろよ
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コンパチヒーローシリーズ
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概要
多くの版権作品の人気キャラクターが入り乱れるお祭りタイトル『コンパチヒーローシリーズ』の最初の作品。
本来は大きさから何からまったく合わないヒーローたちをSD化することで、違和感なく競演させようとしていた。
当初は本作だけの一発企画の予定だったらしいが、その後シリーズ化して全国の子供たちを喜ばせ、さらに『スーパーロボット大戦』などのヒットシリーズの基となった。
特徴
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基本は相撲
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各ヒーローたちがみんなマワシをしめて土俵に上がり、横綱を目指して切磋琢磨するというのが流れ。
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Aボタンと十字ボタンで「つっぱり」「押し出し」などを行い、Bボタンと十字ボタンで「吊り」「投げ」を行うシンプルだが奥が深い操作。
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それぞれ必殺技も用意されている。体力が4割以下(赤ゲージ8/20以下)で間合いが一定以上開けば「西方・東方」の表示が点滅して、Bボタンで必殺技を出せる。
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BLACK RXはバイオライダーまたはロボライダーに、ライブロボはスーパーライブロボに、シルバはバルジオンにパワーアップできる。体力が7割以下(赤ゲージ14/20以下)になるとプレイヤー名の欄が点滅して、ABボタン同時押しで体力が全快すると共にパワーアップする。
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土俵は地上、宇宙、ビルの屋上の3種類あり、部屋によって得意場所が異なる。
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スーパー戦隊からもロボが出演
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コンパチシリーズでの登場は少ない彼らだが(本作以外では『スーパーヒーロー烈伝』のみ)、今回は戦隊の合体ロボがマワシをしめて参戦している。
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他は「ウルトラマン」「仮面ライダー」「ガンダム」の各シリーズから味方側4人と敵1人ずつ、そしてオリジナルのバンプレキッドとグレート雷門が出演。
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また、彼らはそれぞれの「部屋」に所属しており、親方の檄が飛ぶこともある。
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レベルの概念も存在してだんだん強くなっていく。
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コンティニューはパスワード形式
モード
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力士1人を選ぶ「個人戦」モードと部屋単位5vs5で戦う「団体戦」モードがある。
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個人戦
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どのキャラを選んでも幕内前頭十二枚目からスタート。15日間のうち8勝以上の勝ち越しなら昇格する。7勝以下なら降格。
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14勝1敗だと優勝決定戦が発生する。
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選んだキャラ以外はそれぞれ初期設定されている番付けになる(基本設定が一番低いバルタン星人ならそのまま、基本設定が高いキャラを選ぶとそれ以下のキャラは一枚ずつ高くなる)。
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勝負前に過去3回の相手との戦績と決まり手も表示される。
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団体戦
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団体戦モードでは3勝以上なら勝ちの星取り戦形式と5勝したら勝ちの勝ち抜き戦方式を選べる。
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なお団体戦モードでは部屋単位5vs5で、KOF('95以降)のようなチームエディットはないので、2人しか所属していないバンプレストキャラは使えない。
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2P対戦は団体戦モードでのみ可能。
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個人戦のCOM同様に番付けに応じた性能を持つ。各部屋1人ずついる横綱は開始時の青ゲージが平幕の倍以上あったりして横綱の名に恥じぬ強さ。
参戦キャラクター
M78部屋 親方: 円谷皐
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前頭二
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ウルトラマン
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前頭八
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ウルトラセブン
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横綱
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ウルトラマンタロウ
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関脇
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ウルトラマンエース
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前頭十二
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バルタン星人
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ライダー部屋 親方: 石ノ森章太郎
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前頭九
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仮面ライダー1号
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前頭七
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仮面ライダー2号
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前頭三
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仮面ライダーV3
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横綱
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仮面ライダーBLACK RX(バイオライダー、ロボライダー)
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関脇
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シャドームーン
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MS部屋 親方: 富野由悠季
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前頭十一
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ガンダムNT-1 アレックス
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前頭五
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ガンダムMk-II
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横綱
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νガンダム
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小結
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百式改
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大関
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ジオング
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戦隊部屋 親方: 渡辺亮徳
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前頭六
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ターボロボ
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前頭十
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フラッシュキング
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小結
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グレートファイブ
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横綱
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ライブロボ(スーパーライブロボ)
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前頭四
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バイオハンター・シルバ(バルジオン)
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オリジナル 行司: 山科誠
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前頭筆頭
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バンプレキッド
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大関
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グレート雷門
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はちゃめちゃな番付設定以上に現在目線で驚かされるのは、親方キャラがファンならずとも知っているような各シリーズを象徴する名前ではっきり明記されている事。オブラートなどという概念は無い。
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ピンと来ない人が一番多いであろう行事枠の山科誠氏は(旧)バンダイ社長である。
評価点
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お祭りゲーならではの楽しさ
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きっと誰もが大好きであろうヒーローが作品の垣根を越えて一堂に会するというのは今では珍しくないが、当時はかなり画期的だった。
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というのも、版権の問題で他社作品とのコラボはかなり難しい時代だった。
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それで何で相撲なのか、というのは脇に置いておいてほしい。
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光って回る仮面ライダー変身ベルトを作って大ヒットさせたりと各版権に顔が利く杉浦幸昌氏がバンプレスト初代社長に就任した際の1作だけの御祝儀として企画されたという事情もある。しかしこれが先例となった道を作ることになった。
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キャラの相性による優劣はあるが、自分の腕でひっくり返せるバランス
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吊り技が有効ではあるが、自分の体力が減らされても必殺技で逆転も狙える。
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逆に相手の体力を減らした状態で投げられると必殺技を使える間合いが開いて逆転されたりもする。
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土俵際に下がって、吊り連打の体力削りの過程で張り手を連続で受けやすいものの双方とも距離を離しにくい必殺技封じのような戦法も取れる。
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バルタン星人だけは相手の必殺技を反射する必殺技という、自分がピンチになっても逆転できないが相手に必殺技で逆転されることも防げる特殊な性能。
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キャラのグラフィックが使いまわされていない
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22人全員が全員専用のドット絵で描かれており、この手のゲームによくある水増しはない。
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さすがに仮面ライダー1号と2号は色違いだが原作設定上外見の差異が色と側面の白いラインの本数だけなのでしかたがない。
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各々の必殺技にも「スペシウム投げ」「サイコミュ出し」など専用の決まり手の名称が表示される。
賛否両論点
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有用な決まり手が少ない
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必殺技との兼ね合いもあってか、上手投げや押し出しばかり。
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吊り出しや寄り切りもあるが、実戦向きではない。
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そもそも、いくらお祭りゲーだからといって土俵の上で相手を剣や銃で滅多打ちにするのはいかがなものか。
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吊り技が強すぎる
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「相手の体力が尽きるまで吊り連打→上手投げ」が、ほとんどのキャラクターに有効で、この技を使えば上位の力士も簡単に倒せてしまう。
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というか、これを使いでもしないと格上の相手はきつい。またこの技が通じにくいキャラもいて、その取り組みでは苦戦する。
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必殺技の性能格差
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間合いを空けないと必殺技を使えないため、接近せずに攻撃できる飛び道具が有利。
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ただしバルタン星人をプレイヤーが操作している場合、スペルゲン反射鏡による決まり手「スペルゲン返し」は飛び道具ならどのタイミングでも反射できるため、飛び道具が一番対処しやすい。
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逆にバルタン星人にとって一番やっかいなのは反射不可能である剣系。
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飛び道具や突進や剣は回避不可能だが、ジャンプキックは避けられる。ライダーキックを当てようとして避けられると、必殺技を使えるほど低体力なのに近距離に落下しているため再度必殺技を使うことはできないというピンチに陥る。
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一部キャラクターの選考基準について
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『超電子バイオマン』のバイオハンター・シルバがバイオマンを差し置いて参戦している。
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これは、バルタン星人、シャドームーン、ジオングと同じく、各部屋1人ずつ敵役キャラを参戦させる方針での選考と思われる。説明書のイラストでも彼ら4人が同じ部屋のヒーローにやられる役として起用されている。
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ただその場合でも、なぜ他戦隊が巨大ロボでの参戦なのにこいつだけ等身大(シルバは巨大化しないキャラ)が選ばれたのかという疑問も残る。「のるぜ ばるじおん」の口上通り巨大ロボット「バルジオン」にパワーアップはできるが、他に合わせてそれ名義で参戦するほうが自然。とはいえ仮面ライダーも等身大なのでサイズ差を気にするのは野暮かもしれない。
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開発時期の都合か、1990年3月から放送開始したばかりの『地球戦隊ファイブマン』のファイブロボはさすがに未登場。1990年2月まで放送の『高速戦隊ターボレンジャー』のターボロボもスーパーターボロボ(1989年9月23日放送分に初登場)やスーパーターボビルダー(1989年11月17日放送分に初登場)に変身できない(合体変形前のターボビルダーは戦隊部屋のEDに登場する)。
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ガンダム系は、「ガンダムNT-1 アレックス(『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』)・ガンダムMk-II(『機動戦士Ζガンダム』)・νガンダム(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)・百式改(『Ζ-MSV』)・ジオング(『機動戦士ガンダム』)」と、出典がバラバラ。
問題点
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エンディングまで長すぎる道のり
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全員違ったエンディングが用意されているのはいいのだが、1000勝しなければ到達できない。部屋によってもエンディンググラフィックが少し異なるので全部屋制覇するなら5000勝もする必要があり、かなり面倒。
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意味のない物言い
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土俵際で決着が付くと物言いがついて協議が始まるのだが、結果は軍配通りにしかならずテンポを悪化させているだけ。
総評
前例がまったく無い訳ではないが、様々な版権作品が競演するゲーム、という概念を世に広めた功労作。
とはいえ、ゲーム内容まで文句の付け様がないと言うほどの完成度とは言い難い。
これから伸びていくシリーズの、荒削りな頃のタイトルである。
余談
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パッケージに描かれているコンパチヒーローは、全員がまわしを締めている。また取り扱い説明書の挿絵には、実際に取り組みをしているイラストが掲載されている。シュールであると同時に、今となってはある意味で貴重である。
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わざとやらないと見る機会は普通ないが、ウルトラマン系は時間が経つとカラータイマーが鳴り始め、3分経過すると自動的に敗北する(宇宙を除く)。
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この時の“
決まり手 勝負結果”は、腰砕けならぬ「エネルギー砕け」と発表される。
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「腰砕け」とは、相手が何もしてないのに倒れてしまった場合の相撲の“勝負結果”。ちなみに現実の大相撲では「腰砕け」や「勇み足」などは“決まり手”ではなく“勝負結果”と呼ぶ。
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パスワードで再開した時、取組前の画面に表示される「過去に対戦した時の勝敗と決まり手(勝負結果)」がバグってしまうことがあり、過去に負けたことがないはずの相手に負けた事があるとされていたり、こちらがウルトラマン系でもないのに「エネルギー砕け」で負けたことになっていたりする。
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タイトル画面で隠しコマンドを入力すると、必殺技をいつでも使えるようになる裏モードになる。
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このモードを解禁すると、開幕からスペシウムを連打したり、サーベルでメッタ切りにしたりと、何でもやりたい放題になり、土俵上では非常に世紀末な対戦が繰り広げられることとなる。これ何てSUMOU?
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登場するキャラのうち、ウルトラマンエースとターボロボは原作でもその回の敵と相撲対決をした事がある(エースは四股踏み程度だが、ターボロボはまわしまでつけていた)。
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観客席には仮面ライダーX、ウルトラマンレオ、旧ザク、カネゴンなどのキャラクターが描かれているが、その中に仮面ライダーBLACKらしき人物がいる。言うまでもなくRXとは同一人物であり、同一人物が土俵上と客席の2ヶ所に同時に存在する事態となっている。もっとも、観客席のBLACK自体もコピペにより複数存在してしまっているのだが…
最終更新:2024年06月03日 11:24