グラディウス リバース
【ぐらでぃうす りばーす】
ジャンル
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横スクロールシューティング
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対応機種
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Wii(Wiiウェア)
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発売元
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コナミデジタルエンタテインメント
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開発元
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コナミデジタルエンタテインメント、M2
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発売日
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2008年9月2日 更新版:2009年10月13日
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定価
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1,000Wiiポイント
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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備考
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2019年1月31日にWiiウェアの購入期間は終了済み
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判定
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良作
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グラディウスシリーズ
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KONAMI ReBirthシリーズ GRADIUS ReBirth / 魂斗羅ReBirth / ドラキュラ伝説 ReBirth
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概要
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Wiiで発売されたグラディウスシリーズの作品。MSXで発売されたシリーズを中心としたストーリー展開に組み込まれた作品となっている。
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時間軸は『グラディウス2』の2年前に位置する。この作品で語られるのは『2』のオープニングにて語られるある事件のこと。
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基本的なシステムは普段のグラディウスシリーズに則っている。MSXシリーズの定番要素であったパワーアップゲージの拡張については(復活といったゲームバランスを考慮してか)搭載されておらず、多くの装備に2段階パワーアップが採用されたのみに留まっている。
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全体的にMSXシリーズではなく、『グラディウス外伝』のシステムに近い。また、コナミ側のディレクター兼グラフィックデザインを担当した三崎真人氏はサントラ(後述)のライナーノーツで「GB版『ネメシス』のリメイクである」旨を述べている。
ストーリー
宇宙歴6664年。
「サイレント・ナイトメア事件」の2年前。
グラディウス帝国の保護国である惑星アンティクトンが突然沈黙するという事件が発生した。
宇宙科学技術庁長官ヴェノム博士の報告で、同惑星のマザー・コンピューターがバクテリアンによって密かに侵食されていたことが明らかになった。
事態を重く見た政府は同惑星に宇宙軍を派遣することを決定。
その中には、かつてバクテリアンを退けた超時空戦闘機ビックバイパーと、そのパイロットである特別大佐ジェイムス・バートンの姿があった。
(公式ホームページより)
特徴
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【自機の装備】
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共通:スピードアップは5段階目の時は「スピードダウン」になり、取得すると初速に戻る。オプションはタイプDを除き4つまで装備可能。今作の「?」は装備タイプごとに固定。ダブル連射判定は各方向で独立。
ミサイル・ダブル・レーザーの各装備は2段階パワーアップが可能で、『外伝』と同様にダブル/レーザーを切り替えても1段階目に戻ることはない。
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タイプA 万能型
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スピードアップ - ミサイル - ダブル - レーザー - オプション - シールド
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シリーズ伝統の装備。攻撃範囲の広いダブルと火力の高いレーザーを使い分ければ、どんな状況にも対応できる。
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レーザーはLv1とLv2でそれぞれ効果音が異なり、
Lv1時はMSX版の、Lv2時はAC版初代の効果音に切り替わる
という芸の細かい仕様を搭載している。
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タイプB 広範囲攻撃
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スピードアップ - 2-WAYミサイル - テイルガン - リップルレーザー - オプション - フォースフィールド
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AC版『グラディウスII』の4番装備に由来する装備。唯一後方向への攻撃が可能なテイルガンや、上下にミサイルを発射する2WAYミサイル、当たり判定の大きいリップルレーザーで死角のない攻撃が可能だが、やや火力に劣る。
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その一方でバリアはフォースフィールドを搭載しており、防御面での安心感が高い。
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タイプC 攻撃力重視
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スピードアップ - スプレッドボム - バーティカル - ツインレーザー - オプション - シールド
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着弾時の爆発で追加ダメージを与えるスプレッドボムと、連射性能に優れるツインレーザーによって高い火力を得た機体。ただしスプレッドには敵弾が見えにくくなる副作用があり、バーティカルも通常のダブルより使いやすさは劣る。
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タイプD 試作型(隠し装備)
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スピードアップ - ナパームミサイル - ダブル - アップレーザー - オプション - シールド
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MSX版『グラディウス2』に登場する機体「メタリオン」の試作型。A~Cタイプ自機であるビックバイパーとの差別化のため、グラフィックや残機アイコン、さらには
空中戦のBGMまでMSX版『2』のものに変化する
。
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ナパームミサイルはノーマルミサイルのように地形を滑走するが、着弾するとスプレッドボムのように爆発でダメージを与えることができるミサイル。アップレーザーは敵を貫通する短いレーザーを真上に発射するが通常ショットも同時に発射することが可能で、強化するとレーザーが横に伸びるようになる。
横に高い火力と縦方向に特化した攻撃範囲を両立したが、オプションを2つまでしか装備できないという弱点がある。
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タイプE 初心者向け(隠し装備)
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スピードアップ - 2-WAYミサイル - V-ショット - ベクトルレーザー - オプション - フォースフィールド
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この装備もメタリオン試作型のひとつという設定の隠し自機。初心者向けにしてはショット装備の癖が強い。
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2-WAYミサイルはタイプBのものと異なり、地面を滑走するよう性質を持つ。V-ショットは真上と真下にショットを撃てるが、その代わりとして
前方へショットが発射されない
という特に癖が強い武器。
ベクトルレーザーは『2』のそれとは違って地形・敵を貫通する『ダライアス』のウェーブのような装備になっており、一見優秀だが
地形を一切破壊できない
ため2面で苦戦を強いられ、エキストラステージはほぼ突破不能。
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ReBirthシリーズのBGMはすべて並木学氏によるアーケード版『グラディウスII』『III』の音源を使ったアレンジ。さらに今作中のプレイBGMはボス前哨以外のほぼ全てがMSX/FC/GBのいずれかでリリースされた家庭用作品の楽曲のアレンジである。
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各種効果音はMSXシリーズのものとアーケード版のものを織り交ぜており、「Destroy Them All!」などのナレーションは『グラディウスIII』のものを使用。グラフィックも同AC版を意識したドット絵で統一されており、いわばアーケード版『III』の路線のままに作られた家庭オリジナル版という雰囲気を醸し出している。
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全5面で3周(VERY EASYとEASYでは1周)エンド。
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遊び方説明にはシューティングをやり込むに当たっての基礎も書かれていたりと侮れない。
一方、開始デモは珍しくはっちゃけている。機内に搭載されたコンピューター「ガウディ」がどう見てもメタルギアmk2だったり隣にWiiらしきものが確認できたり、Wiiニュースチャンネル風の流し読みに同社過去作のネタを仕込んだり、周回時の開始・エンディングは完全にメタ会話だったりと、さり気なく自重なし。
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しかし、3周目エンディングになると一転して真面目な雰囲気になり……。
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【ステージ】
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#1:火山
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火山が点々としている洞窟を進んでいくが、ステージ冒頭に2機1組の敵が登場し、それを破壊する順番によりステージ中の展開が3通りに変化。それによりボスの前哨戦も2種類に分かれる。
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#2:細胞
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増殖する細胞壁が道を塞ごうとしてくるステージ。後半は背後から飛んで来る大量の細胞片をかわしつつ、破壊されるまで上下移動するシャッターを突破せねばならない。
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ただし後半の細胞片はすべてパワーアップカプセルを落とすゴージャスな稼ぎ仕様。
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#3:モアイ
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おなじみの上下無限スクロール面。四方八方からの集中砲火が絶えず襲いかかる。
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#4:砂漠
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MSX版やPCエンジン版の『グラディウス』に存在した「骨ステージ」のイメージを引き継いでいる。
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前半は各所に巨大な骨が埋められており、それを撃つと破壊不可能な骨を大量に撒き散らすため、極力ダブルやミサイルの無駄撃ちを控えねばならない。『III』火山ステージの応用版のようなもの。
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後半は地形や設置物がほとんど無くなる代わりに、地面から飛び出す大型の虫が、さながら沙羅曼蛇3面のプロミネンスのような動きを見せつつ大量に登場する。
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#5:要塞
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入り組んだ地形に砲台やハッチが満載された、最後の要衝。終盤にはフォーメーションを組んで電流線で追い詰めようとするギミックが登場する。
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評価点
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「
リバース
」の名のとおり、BGM、グラフィック、ゲーム性などが徹底的に80年代後期のアーケードシリーズ作品である『II』~『III』の路線を再現したものであり、さらに非常に高い完成度でまとまっている。
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雰囲気だけでなく、過去作のネタも存分に取り入れられている。
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例を挙げると、FC版『I』の「5000点ボーナス」や、SFC版『III』の「エキストラステージ」など。中には、「ラスボスの前口上が『沙羅曼蛇2』のゲームオーバー時のボイスの流用」といった、かなりコアなものも。
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ゲームバランスは良好。2周目まではそれほど難易度は高くないが、パターン性が強く初見ではやられがちな部分も。
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全5面構成で一見少なめのボリュームに感じるが、実際は3周エンドで、なおかつステージの地形そのものも周回ごとに全く異なっているためやりごたえも十分。
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ちなみにスコアアタックモードでは4周目以降にも挑戦可能。4周目以降は地形は1,2,3,1,2,3…とループしていく。
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また、一部ステージではSFC版『III』のようにボーナスステージも隠されており、ミスせずに突破できればその面をスキップできる。これによって攻略が難しい面はボーナスステージで回避するという抜け道も。
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BGMは全曲過去作、それも殆どが移植で追加されたもののアレンジとなっているが、そのどれも評価は高い。特に1面のBGM『Heavy Blow』(原曲:FC版『グラディウスII』3面前半)のアレンジは非常に高い評価を受けている。
問題点
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決して作り込みが浅いわけではないのだが、グラフィックに関しては拡大縮小・回転や透過処理が比較的多用されている。その点でピクセルの不整合など、違和感を覚える部分も。(例として耐久力の減ったシールドやフォースフィールドなど)
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周回を重ねることで撃ち返し弾が発生するが、本作は2周目でも確実に発生する他、敵1機につき「(周回数-1)発」が発生する。
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従来作では発生率の概念があり、撃ち返し弾の増加率は本作よりも緩やかなものだったが……。
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よって、本作の高次周ではとんでもない量の撃ち返しが飛んで来る。例えば100周目までたどり着こうものならば敵1機につき99発の撃ち返し弾が飛んで来るという大味仕様。255周まで記録されるため、最高難易度は敵1機につき254発では無いか、と言われている。正確に確認する事は不可能だろう。
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上記撃ち返しの仕様も重なり、3周目の難易度が非常に苛烈。
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弾速が非常に高速化していることに加え雑魚敵を破壊しただけでも2発の撃ち返しが飛んでくるため、空中戦から難易度が高くそこから進めなくなることもしばしば。
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追い打ちをかけるように、「コナミコマンドを使っても装備されるのはオプションだけ」「3の倍数の周回ではボーナスステージに入れず、苦手な面を回避できない」という仕様も相まって、並大抵の腕前では3周目のクリアは難しいものとなっている。
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さらに問題なのが、ストーリーの全容を把握するためには3周目のクリアが必須という点。ステージセレクトが可能とは言え、救済措置の殆どが機能しない中で自力で全5面を突破するだけの力量を強制されてしまう。
総評
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とことんまで「おっさんホイホイ」を貫き、その結果非常に高い評価を得るに至った本作。1,000円という安価な価格にもかかわらずここまでのゲームを作り上げたKONAMIとM2にはただ感服するばかりである。
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サウンドトラックにおいてもそのサービス精神は衰えることはなく、本編の全曲はもちろん、原曲まで全て収録、更に未使用曲や、ACなどの曲のSCCへの逆アレンジまで収録されている。
余談
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2009年10月13日に更新版が配信。上記サントラの未使用曲を一部追加し、その他細かい部分が修正されている。
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まさかの更新にプレイヤーを驚かせた。ちなみにこの更新版の受信は無料である。
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Rebirthシリーズはそれぞれで既存作品のリメイクという側面も持つが、開発者によると今作はGBで発売された『ネメシス』のリメイクであるらしい。
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本作の2面ボスが、『ネメシス』の2面ボス「クロウラー」によく似た生物系のボスである点がその一例と言えよう。
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移植作品や『オトメディウス』等を除き、現状最後の『グラディウス』の名を冠した作品となっている。
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本作とともに同様のコンセプトの魂斗羅、ドラキュラ伝説のKONAMI ReBirthシリーズはWiiウェア終了にともない、現状(2023年)プレイをすることが非常に困難な状況になってしまっている(今からプレイしてみたいという新たなプレイヤーは、本作がダウンロード済みのWii、またはWiiU本体を中古でうまく購入する方法しか現状では無い状況)。ReBirthシリーズの作品はどれも出来の良い良作といえるものなので、現行機種への移植を望む声は決して少なくないと思われるのだが…。
最終更新:2024年08月26日 09:28