本項では『ラリーX』と続編『ニューラリーX』を併せて紹介します。
ラリーX
【らりーえっくす】
ニューラリーX
【にゅーらりーえっくす】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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ナムコ
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稼働開始日
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無印
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1980年11月
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NEW
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1981年2月
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判定
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無印
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ゲームバランスが不安定
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NEW
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良作
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ポイント
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ロングセラーな『NEW』 煙幕を活用したゲーム性 やや不親切で難易度が高い『無印』 一転して易しくなった『NEW』 知名度的にはややマイナー気味
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概要
1980年11月に登場したドットイート型アクション。
1981年2月にはver.UP版である『ニューラリーX』が稼動開始。
現在は知名度の差により単純に『ラリーX』と言った場合でも『ニューラリーX』を指す場合が多い。
『無印』の難易度は「劣悪な燃費」「レッドカーや岩が多い」などをはじめ、救済処置を考慮してもかなりの難易度だった。
しかし『NEW』になって一転。上記の無駄に難易度が上がっていた要素を易化することで、現在でも愛される名作へと変貌を遂げることになった。
システム
共通している要素
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プレイヤーは青いマイカー(名前に反して見た目はF1)を操作し、迷路に点在する黄色いフラッグを全て入手する事が目的。
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マイカーは一度動き出したら止る事ができない。壁に接触すると自動的に進める方向へ向きを変えて前進し続ける。
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障害物としてこちらを追尾してくるレッドカーと岩があり、接触するとミスになる。
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レッドカーは1面では3台(ニューでは1台)。以降面が進むごとに増えて行き、最大8(ニューでは7)台まで増える。最初はマイカーの後方に配置されるが、4台目からはマップの反対にも配置される(最大で後方4台・反対側3台)。
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レッドカーはマイカーを執拗に追尾してくるだけで法則性や個性は無い。なので岩に衝突して動けなくなっている事もままある。
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またレッドカー同士にも当たり判定があり、レッドカー同士が接触すると後述の煙幕に接触したのと同じ状態になる。その後は別々の方向に動き出す様に成っているので、袋小路での接触や3台以上での接触で無い限り連続で接触する事は無い。
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岩はランダムで迷路内に点在している。配置は完全なランダムではなく、いくつかの候補から選ばれる方式の為、岩と岩の間に挟まれた進入不可能地帯が出来ることはない。なお初登場はボーナスステージ、通常面だと第4ステージから。
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画面右側にレーダーが表示されており、現在位置とフラッグ、レッドカーの位置が表示されている。道や岩は表示されない。
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道や岩が表示されないため、後述の袋小路問題が発生する原因の一つに。
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今では当然扱いされているが、当時はマップを丸暗記するプレイヤーなんて少数派だった。
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マイカーには燃料があり、これがなくなると移動速度が激減する。燃料はステージクリアするかミスすると最大値になるが、それ以外で補充する方法は無い。ステージクリアすると残った燃料がボーナス点に。
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マイカー後方に煙幕をはる事ができ、煙幕に接触したレッドカーはその場で一時停止する。煙幕をはると燃料が少しだけ減少する。もちろん、燃料がなくなれば煙幕は使用不可能になる。
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しかし一時停止したレッドカーにも当り判定があり、接触するとミスになる。当然レッドカー同士の判定も残っているので玉突き衝突をしてくれる事も。
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フラッグは100点だが、連続で取ることで200点,300点と100点ずつ上がっていく。ミスするかステージクリアで100点に戻る。
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1ステージ中1つスペシャルフラッグがあり、それを入手すると以後はフラッグの得点が倍になる。ミスするかステージクリアで効果は消滅。
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後のナムコ名物(1UPアイテム)スペシャルフラッグ初登場作品である。なお1UPアイテムとしての登場は『ゼビウス』が最初。
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第3ステージから4ステージ毎はチャレンジングステージ(ボーナスステージ)になる。
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ルールは一切変らないが、7台あるレッドカーはスタート地点から動かない(判定はある)。ただしマイカーの燃料がなくなると動き始める。尤もボーナスステージで燃料が無くなるなんて狙わない限りありえないが(つまり(点は稼げないものの)永久パターン防止)。また通常ステージより岩が多めで、一応燃料の減りも早い。
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ミスしてもマイカーは減らないが、ステージ終了となって次のステージに進む。
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何気にボーナスステージが初登場した作品である。
しかし無印では「CHARANGING STAGE」というスペルミスをやらかしてしまっている。
『NEW』のみの仕様
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前作『ラリーX』から難易度のみならずいくつかのシステム変更も施されている。
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前作では陰気だったBGMがやたら陽気な物に変更され、マイカーとレッドカーデザインも一新された。
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難易度の緩和、前作ではステージ1から3台のレッドカーがいたが、ニューでは1台しかおらず、よほどの事でなければミスにならないという入門設計となり、初心者がルールを把握しやすく、ゲームの開口を広げている。
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迷路の形が変更されて抜け道が増加。袋小路が減少した。
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4パターンある迷路の内、第3パターンの真ん中には未だ袋小路が一つある(しかもそこにフラッグが配置されることがある)。
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他にも長い一本道の真ん中に岩が配置されたり、二つある出口の片方を塞がれていたりして袋小路になっている事もある。
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ステージクリアと同じ計算式で点数が貰えるラッキーフラッグが登場。
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その性質上、回収が遅いと(燃料が減っているので)貰えるスコアが少なくなる特徴がある。ただし燃料はそのままであり、補充される事は無い。また、最後に回収した場合、ボーナスが出ない。
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レーダー上のスペシャルフラッグは点滅する事で通常フラッグと区別できるようになり、ステージ開始時点から場所を把握出来るようになった。一方ラッキーフラッグは地図上では通常フラッグと区別がつかない。
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燃料の減少速度が減り、燃費が大幅に良くなった。
評価点
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ドットイート型アクションではあるが緊急回避方法を持つ為、比較的難易度が低い。
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だが、地図に岩は表示されないので調子に乗ってると予想外の出来事に混乱して衝突する事がままある。
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ハイスコアを狙おうとするとラッキーフラッグをどのタイミングで取るかで頭を悩ませる事になる等、スコア関連のゲーム性も高い。
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無駄に陽気なBGMは耳についてなかなか離れない。
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作曲者は大野木宣幸氏。前バージョン『ラリーX』のハイスコアBGMを作っていた彼が、『ニューラリーX』で初めてメインBGMを担当した。
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後に同社のRPGであるテイルズ オブ シリーズでもマラソンのミニゲームのBGMとして収録していたり、『太鼓の達人』(旧筐体『2』が初出)にも『ラブリーX』と言う名前で、ヘンテコな歌詞と共にアレンジ収録されている。
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ビクターからリリースされていた「ビデオ・ゲーム・グラフィティ」では『かっとびラリーX』のタイトルでボーカル曲として収録。ノリの良いロック調の曲で、歌詞はゲーム内容に即した物となっている。
問題点
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袋小路に追い込まれるとほぼ死亡確定
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特に『無印』で頻発する現象であり、マップを覚えていなければあっという間に袋小路に誘い込まれてなす術もなくミスになる事が多かった。
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スクロールの速度も速めなので慣れないうちは唐突に登場した岩に当たって死ぬ事も多い。
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第4パターンの難易度
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『無印』ではあまりの難易度の高さに到達した事がないプレイヤーも多く、難易度が緩和された『NEW』でも到達するも、ミスの連続でゲームオーバーになるプレーヤーがそれなりに発生した。
総評
ドットイート型アクションの名作と誉れ高い『パックマン』と比べると「緊急回避方法」を追加、敵の個性も消滅もさせる事で当時の一般小学生でも十分楽しめる難易度となった。パックマンの「食べまくる楽しさ」に対し、こちらは4方向スクロールする広大なマップにより「走り回る楽しさ」があり、マップも4種類用意された。
『NEW』では『無印』の問題点であった「低難易度でありながら袋小路に頻繁に追い込まれる」「燃料が直ぐ無くなる」と言う問題点も解消し、何故か解らないが陽気で軽快なBGMの評価も高い事から、十分名作の一つと言える。
惜しむらくは、後述する技術的な問題絡みでファミコンに移植されなかった為、ゲームセンターに行かないor行けない子供達にはあまり縁が無かった事である。
余談
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同年(『ラリーX』と同年で、『ニューラリーX』からは前年になる)に同社から『パックマン』と言う強力な同ジャンルのライバルが出現したため、商業的にはナムコの思惑よりも成功しなかった。
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あくまでも『パックマン』が国際レベルで大成功し過ぎた化物コンテンツである事に留意すべきであり、『ニューラリーX』も十分に売れたゲームである事には変わりない。80年代後期の脱衣麻雀ブームでレトロゲームコーナーの淘汰が始まるまでの間、ゲームセンターの片隅でロングランで稼働していたケースも多かった。
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更にこの頃は縦画面ゲームが多かったため、縦画面でありながら右側に地図を表示し、横画面筐体を必要とした同作は導入にちょっと手間がかかるゲームでもあった。
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デッドコピー基板やハック基板では、縦画面に改められたバージョンもある。
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なお、米国に進出する際にはミッドウェイ社の予想ではパックマンより売れるという評価だった。
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本作品に影響を受けた作品としてサン電子の『ルート16』や、サンリツ電機の『バンバンカー』等がある。
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初代『ラリーX』は、漫画『ゲームセンターあらし』にてあらしの必殺技「真空ハリケーン撃ち」が初披露された記念すべき(?)ゲームである。
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名盤「ビデオゲームミュージック」の収録はニューラリーXのみであり無印は収録されていない。数少ない未収録ゲームの1つでもある。
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ちなみに楽曲は暗い暗いと言われるがニューラリーXが能天気で明るいだけでそこまで陰気ではない。
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本画面とレーダーを独立させて表示する為に分割スクロール活用していると言う、ちょっと手の込んだ事をしているので移植に手間取り時期を逃してしまい、家庭用ゲーム機への移植はPSの『ナムコミュージアム VOL.1』まで待たなければならなくなった。
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パソコンは多重画面の重ね合せが得意なこともあり、MSXにはナムコから、その他の機種へは電波新聞社から移植版が出ている。この点は『ボスコニアン』も同様。
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PSPの『リッジレーサーズ』(RRs)系列にボーナスゲームとして収録されている。難易度を上げた「デビルカーバージョン」なるものも搭載されている(『RRs2』ではデビルカーバージョンがデフォルトで、コマンドでノーマルに戻る)。
更に『RRs1』では隠しカーとしてラリーXが使える。周りが美麗グラフィックの中、ドット絵をスケールアップしたようなカクカクなのは違和感MAX、ドリフト時のスモークも煙幕になっている芸コマっぷり。
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2021/10/14よりPS4/Switch用アーケードアーカイブスにて無印版、2022/2/3より『ニューラリーX』が配信された。
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野球ゲームの先駆者『ファミスタシリーズ』の初作品『プロ野球ファミリースタジアム』のナムコキャラチーム「ナムコスターズ」の8番打者として登場している。
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チーム内でも貧打の野手だが車のゲームということを反映してか足が速い。
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さすがに俊足の代名詞「ぴの」には及ばないが「まるぴ」と並んでチーム2位の俊足。
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1988年のファミコンソフト『ファミリーサーキット』でラリーXはナムコキャラで構成されたノービルクラスのトップレーサーになっている。
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このゲームでは『パックマン』もいなければ他に車系ゲームに由来したレーサーが何故かいない。
最終更新:2024年12月22日 10:05