本ページでは、アーケード版『鉄拳2』及びプレイステーション移植版『鉄拳2』を紹介しています。(判定は共に良作)
【てっけんつー】
ジャンル | 3D格闘アクション |
対応機種 | アーケード(SYSTEM11) |
発売・開発元 | ナムコ |
稼動開始日 | 1995年8月 |
判定 | 良作 |
ポイント |
前作から1年も経たずに登場した2作目 業界初のタイムリリース制; ビジュアルに粗さが目立った前作からブラッシュアップ 衝撃の主人公/ボス交代、主人公が50代の親父 イロモノと濃いキャラ達も健在 システムも基本的に踏襲しながら劇的に改善 一方でキャラバランスはまだ良くない |
鉄拳シリーズ |
3D格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの2作目。基板は前作同様にPS互換のSYSTEM11。
初代『鉄拳』のアーケード稼動から8ヶ月、家庭用発売からは5ヶ月という異様なハイペースで続編が発表された。
短期間ながらもシステムの改善に新要素の追加などと、その進歩はめざましく、前作を楽しんでいたユーザーが飽きる暇も無いほどであった。
また、一度バージョンアップしてバランス調整を施している(ver.β)。アップデート実施は稼動からたったの2ヶ月で、フットワークの軽さは賞賛された。
ちなみに初期版とver.βとの区別として後者のタイトル画面にはver.βのロゴが入っていることに加えて、勝ち星の色が赤から緑に変更されている。なおβでは最初から「TEKKEN 2」のロゴに一八の顔の目の部分が描かれているが、これはタイムリリースキャラが1人でも解禁済みであることを示し、βでは最初から2人(ワンとアーマーキング)が解禁されている故の仕様である。なのでβ独自の演出であるとするのは誤りである(*1)。
世界に名を馳せる三島財閥が開催した格闘大会「The King of Iron Fist Tournament」。通称「鉄拳トーナメント」。
前大会は三島一八が優勝し、主催者の三島平八は三島財閥頭首の座を追われた上、一八によって崖から投げ捨てられた。
だが、平八はそれでも生き延び、崖を這い上がってきた。
悪事にかまけて修行を怠っていたことを悔いた平八は、クマとともに山籠もりを敢行し修行に励む。
そして2年が過ぎたある日。独立国家の建国を目論む一八は、北海道の大半を手中に収めていた。
そして、一八は自らの野望である世界規模のクーデターに備え、戦力強化を図るべく第2回大会を開催。
前大会に出場した面々はさらに技に磨きをかけ、そして新たに腕に覚えのある猛者が集う大会。
平八は大会開催の報を受けて山を下り、一八から全てを取り戻すべく参加を決意するのであった。
システム周りに関しては前作に準じているため、ここでは主な追加点を挙げていく。
デフォルトで10人、中ボス・ボスキャラで13人、隠しキャラ2人の合計25人(厳密にはカラー違いで別人・別キャラ扱い(コンパチキャラ)のものもあるので実質的には23人)。
前作同様、中ボスは使用キャラに対応した相手が登場する。中ボスを使用した場合のCPU側中ボス役は、対応するデフォルトキャラクターが担うようになる。ボスの一八やラスボス、隠しキャラを使用した場合の中ボスは当該キャラクターの項目を参照。
+ | 本作からの新キャラクター(デフォルトキャラ2名+タイムリリースキャラ2名) |
+ | 前作から続投のデフォルトキャラ |
+ | 中ボスキャラ (タイムリリースで使用可能) |
+ | ボスキャラ (タイムリリースで使用可能) |
+ | 隠しキャラ (タイムリリースで使用可能) |
相変わらず格闘ゲームのノウハウが乏しいナムコ製だけあってか、ゲームバランスについてはやはり難点も多く、強いキャラと弱いキャラの差の大きさが目立っている。以下に一例をあげていくと…
ゲーム的にはまだまだ粗く、対戦シーンの面でバーチャに遠く及ばない作品ではあったが、前作から1年以内で大幅にゲームを進化させたことは評価に値する。
相変わらず『バーチャファイター2』に押されていたが、家庭用からアーケードにデビューししてきた層を大幅に味方につけることで、2大派閥の一翼という地位を確立するに至った。
2D格闘ゲームにおけるカプコンとSNKのように、セガとナムコのライバル関係は以後も続いていくことになった。
ジャンル | 3D格闘アクション | |
対応機種 | プレイステーション | |
発売・開発元 | ナムコ | |
発売日 | 1996年(*33)3月29日 | |
定価 | 5,800円 | |
廉価版 |
PlayStation the Best 1998年3月12日/2,940円 |
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配信 |
【PSP/PS3】ゲームアーカイブス 2006年11月22日/600円(*34) 【PS4/PS5】クラシックスカタログ:2022年6月1日/1,100円 |
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判定 | 良作 |
プレイステーション移植版は
ver.β
をベースとし、遊びやすさを追求した新要素が多く搭載された。
現在の『鉄拳』シリーズの家庭用の基礎を確立させた作品である。
プレイステーション史上初のミリオン達成ソフトであり、鉄拳シリーズ隆盛の原動力となる。同時期に発売された『バイオハザード』や後の『ファイナルファンタジーVII』と共に、プレイステーションの地位を向上させた立役者的作品の1つとなった。
インカムを気にせず遊べる一方、ネット対戦の環境が確立していないゆえに対人戦の環境を整えることが難しかった当時の家庭用格ゲーにおいて、1人でも遊べる要素をふんだんに用意することで遊びの幅を広げ、なおかつ充実した練習環境を整えたことにより、熱心な格闘ファン、格ゲーは好きだけれどアーケードで対戦するのが苦手なプレイヤー双方の要望に十分に応える作品となった。
特に家庭用で練習し、アーケードデビューを果たすという流れの後押しに繋がった点は非常に大きく、シリーズ初期に大きなうねりを生み出したことで後のシリーズの躍進の契機となった。
以降、鉄拳シリーズの家庭用は本作をベースとしていくこととなる。
*1 初期版でもタイムリリースキャラが解禁され始めるとこのタイトル画面に変更される。この演出は『4』など一部続編にも受け継がれた。
*2 ガード方向にレバー入力+RPボタン連打
*3 ダウン中の相手にもヒット
*4 短距離ダッシュ中に相手に接触すると発生し、相手を押し倒して馬乗りになる。その後の派生技として、男性キャラはマウントパンチ、女性キャラはマウントビンタ(どちらも最大5発)、吉光・州光は刀やクナイでの串刺し攻撃(1発のみ)を繰り出せる。ポールだけ、パンチ一発目を投げ抜けできるコマンドを持っているが、ビンタと串刺しは抜けることができない。
*5 ポールと一八のみ、距離に関係なくこのタックルを繰り出せる技「アルティメットタックル」を持ち、またポールのみマウントパンチからの派生コマンド投げ「闇雲絞め」が使える。
*6 全身無敵+ガード不能
*7 キングのフィギュアフォーレッグロックのみ、本作の単発コマンド投げの中で唯一投げ抜けが可能
*8 前作では背中側から接近して各種投げ技のコマンドを入力しても、エフェクトが出るだけで投げられなかった。
*9 使えるキャラは、準、ポール、ニーナ、アンナ、ワンの5人。
*10 ポリゴン(四角や三角の板)ごとに色変化をつける技法。滑らかさに劣る代わりに処理負荷を軽くする目的で用いられる。
*11 タイムリリースキャラが1人でも解禁されると、デモ画面の途中で現在使用可能なキャラと人数が表示されるようになる。
*12 中ボスを全員解禁すると、タイトル画面がアーケード版のver.β準拠の一八の顔が描かれているものに変化する。
*13 3以降は『風間流古武術』。
*14 付け加えておくと、当時はナムコとソニーは同盟を結んでいた関係であった。その業務提携の一環として開発されたのが、本作及び前作に使用されたPS互換基板の「SYSTEM11」である。
*15 『鉄拳タッグトーナメント2』でのファランのエンディングにおけるペクの回想では、父は少年時代のペクに戯れ半分にテコンドーの技を教えていたが、その過程でペクの蹴りを受けて昏倒し、そのまま死亡したともとれる描写になっている。
*16 特に10連コンボは2パターンともキックボタンのみで構成されており、習得が非常に簡単。
*17 媒体によっては「ブルース・アー"ビ"ン」という表記揺れも見られる。
*18 この出来事がきっかけとなり、以降の作品でも仲間として卍党員と行動を共にしている。
*19 当時はこの老人の正体は平八の父(一八の祖父)の三島仁八か王椋雷のどちらかという説があったが、前者は平八と一八を倒させるためにリーを命がけで鍛え上げたとされていたが『5』で仁八が設定を変えて登場、後者はまだご存命であるために結局はこの人物の正体は謎となっている。
*20 のちに発売された、鉄拳シリーズ開始以前の時代におけるニーナの活躍を描いた外伝作品『デス バイ ディグリーズ』では、父は姉妹が幼い頃に既に死去していたという設定になっている。
*21 ただし再度スラッピングダウンを入れるタイミングはシビアで、全体的な性能ではブルースなど他に凶悪なキャラがいたせいか、こちらはそこまで問題視されていなかった。
*22 背面投げは技名は一八と同じ「背落とし」だが、モーションは平八の「仁王砕き」の流用となっている。
*23 ステージ3(3人目)で、全試合本数のうち一本でも、プレイヤー側が体力を僅かに残して相手を倒す「グレイト勝ち」を収めると、次のステージ4にロジャーかアレックスが出現する。
*24 なお、一八の中ボスとしてもロジャーかアレックスが登場するが、そちらを倒しても使用可能になる訳ではないので注意。ちなみに一八使用時は通常の出現条件を満たしても登場しない。
*25 キャラセレクト画面上のアイコンでは「上部に突き出して交差された二人の腕」となり、両者の顔は描かれていない。
*26 アレックスはクマステージ(BGMはロジャーのもの)、エンジェルはデビルステージと共通。
*27 AC版における楽曲の曲名にはそれぞれのキャラ名やキャッチフレーズが含まれており、キャラ固有のBGMであることが明確に示されている。
*28 『鉄拳7』では三島流喧嘩空手の道場と設定されている(本作同様に床に平八と彼の妻である一美との相合傘が刻まれている)。
*29 この時点で体力の半分以上を奪っている。初段LKのカウンターヒットのダメージが高い
*30 『鉄拳3』以降は同作で初登場したブライアン・フューリーというキャラが「ガトリングコンビネーション」を引き継いで使用するが、こちらは流石に調整が入り、主力で使うほどではなくたまに攻めのアクセントに使うかどうかという程度に弱体化されている。
*31 この風間準の永久はさすがにまずかったらしく、しかもブルースと違ってデフォルト設定では最初から使えたキャラクターだったこともあり(設定で本来はタイムリリースの一人であるペクと入れ替えが可能でもあった為、緊急措置として入れ替えた店も続出した)、ver.βでは修正された。
*32 こちらのネットワークによるアップデートの場合は、ネットに繋げる環境でネット回線に繋ぐ必要はあるものの、全国に一斉に配信できるため、タイムリリースシステムに存在した、店舗間での稼働期間による格差という問題が見事に解消されたと言ってよい。
*33 1996年は平成8年であり、奇しくも略した場合は「平8(平八)」となる。
*34 最初期はPSPのみ対応で525円だったが、PS3への対応に伴い現在の価格に変更された。
*35 デカ頭モードに至っては、発売当時のテレビCMにて条件が紹介されていたりもした。
*36 AC版に設定した場合でも中ボス戦BGMにはならず、前作のAC仕様のBGMが流れる。なお、AC仕様のペクステージはイントロのドラのソロパートがカットされている。
*37 この関係で、アーケード版の1人プレイでは一八ステージ→デビルステージ遷移時に続けて流れていたBGMがかけ直しとなる。
*38 特にオープニングにおける平八の崖をよじ登って登場するシーンは、前作の一八のエンディングで谷底に落とされてからの「再起」を感じさせるシーンとなっている。
*39 家庭用版のサウンドトラックではこの傾向が押し出されており、「キャラ名+キャラのキャッチコピー」で統一されていたAC版サントラに対して純粋な楽曲のイメージを表したタイトルが付けられている
*40 プレイしているレギュラーキャラがゲーマーの設定。
*41 PS専門誌『ザ・プレイステーション』第8号に、隼が「BRUCE」、レイが「JUN」と表示されている開発中画面が掲載されている。おそらく隼はまだ名前が決まっていなかったので便宜的に「BRUCE」になっていたものと思われる。
*42 SYSTEM11基板はプログラムROMにEEPROMが使用されているため、ROMを交換しなくてもプログラムの書き換えが可能。