ゼルダの伝説 スカイウォードソード

【ぜるだのでんせつ すかいうぉーどそーど】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 Wii
発売・開発元 任天堂
発売日 通常版
ゼルダ25周年パック
2011年11月23日
Wiiリモコンプラスセット 2012年1月31日
定価 通常版 6,800円
ゼルダ25周年パック
Wiiリモコンプラスセット
8,800円
プレイ人数 1人
周辺機器 要WiiモーションプラスorWiiリモコンプラス
配信 【WiiU】2016年9月2日 / 2,700円(税込)
判定 良作
ポイント 「濃密ゼルダ」の名に恥じないボリュームと手ごわさ
バトルの数だけ、謎解きがある
空中と水中の操作性が悪い
ゼルダの伝説シリーズ


概要

ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』に続く、Wii用『ゼルダ』の2本目。シリーズの25周年記念作品でもある。
ただし、『トワプリ』が元々ゲームキューブ向けに開発されていたのに対し、本作は当初からWii専用ソフトとして開発されている。
開発期間は実に5年にも及び、キャッチコピーに「濃密ゼルダ」とあるように、ゲームのボリュームだけでなく遊びそのものの密度に重点が置かれている。
操作面ではWiiリモコンを剣に見立てて振るなど体感的な要素が多い。


特徴

システム

  • 基本的には3Dゼルダ過去作のゲームシステムを引き継ぎながらも、アイテムの強化やダッシュなどのアクションの追加など、遊戯性を突き詰め快適なプレイを可能にしたシステムが追加された。
  • ポーチアイテム
    • 本作は「ポーチ」というアイテム欄に、ビンや盾、各所持数を追加するバクダン袋や矢筒などのアイテム、持っているだけで効果を発揮するメダルを入れる事になる。いわゆる「付け替えスキル」に相当する。
    • 初期は4つまで入れる事が可能。イベントをこなせば最大8つになるが全てのアイテムを持ち運べるわけではない。相棒のファイからポーチアイテムが現在の状況にあっているかアドバイスをもらうこともできるので、何を持っていくか迷った時はこのアドバイスを参考にできる。
    • バクダン等の消耗品の所持数を増やすか、予備の盾を持っていくか、メダルで強化するか、ビンを持って薬を多めに持っていくか等、プレイヤーに合わせたスタイルを選択することが可能。
    • メダルはハートが出やすくなる・ハート最大が増える、虫の居場所がマップに表示されるようになるなど、アイテム枠を取る分便利な効果を持っている。なお、本作でハートを最大にするにはメダルが必須となる。
  • 新アイテム「ビートル」
    • カブトムシのような小型機械で、現代でいうドローンのようなもの。遠隔操作によって直接行けない場所の偵察、離れた場所にあるアイテムの入手やスイッチの起動などを行える。
    • 強化すれば飛行距離や移動速度が上昇し、さらに快適な探索が可能になる。
  • ダウジング
    • 相棒ファイの能力で、対象がどこにあるのか、大まかな距離と方向を知ることができる。これにより、ゼルダの居場所や、冒険を進めるためのキーアイテムやハートなどのアイテムを探すことができるようになる。
  • ダッシュ
    • 本作のリンクは、アイテムや装備の補助がなくても自由にダッシュできるようになった。
    • また、壁にダッシュすると、壁を蹴ってよじ登るという「かけあがり」というアクションが追加された。
    • これは従来では剣を振る操作に割り振られていたAボタンが空いたことにより実装されたとのこと。
  • がんばりゲージ
    • 所謂スタミナゲージ。ダッシュしたり重いものを持ち上げたり、ツタなどにしがみついたり、シリーズおなじみの回転斬りを使ったりすると消費する。
    • ゲージがなくなるとリンクはヘロヘロになってしまい、ゲージが回復し切るまで動きが鈍くなり、一部の動作も行えなくなってしまう。
    • 時間経過や「がんばりの実」というアイテムを入手するとゲージが回復する。
    • がんばりゲージの減少をしばらく遅くする薬もある。この薬を強化すればがんばりゲージが一定時間減らずに行動できる為、ダッシュし続けることも可能になる。
  • セーブ方式の変更
    • セーブがこれまでのどこでも自由に行える方式から、各地に配置された「鳥のモニュメント」前で行うという、いわゆるセーブポイント方式に変更された。
    • 「少し進んではセーブ」の繰り返しという手段が取れなくなり、ピンチの時は「無理しても進むかor回復に戻るか」という駆け引きが生まれた。
    • 一見シビアになったように感じるが、モニュメントは各地のエリア毎はもちろんダンジョン内にも適度な間隔で置かれているので、「ゲームを中断しにくい」と感じる場面はそこまでないだろう。
    • なお、地上に配置された各モニュメントは大空から降り立つ際の降下地点として機能し、大空へ戻る時にもモニュメントを経由する必要がある。ダンジョン内のものは大空へ繋がる機能はないが、ダンジョン外へ脱出する機能が与えられている。


Wiiリモコンのフル活用

  • 本作ではWiiリモコンを振った方向などをより正確に把握するために、初期のWiiリモコンには搭載されていなかったジャイロセンサーを追加する「Wiiモーションプラス」を利用している。そのため、Wiiリモコンに別売りの同パーツを装着するか、組み込み済みの「Wiiリモコンプラス」が必要。
    • 剣による攻撃は、振った方向により縦・横・斜め・突きを自由に繰り出すことができる。この使い分けがうまくできるかどうかが、本作の難易度を極度に左右するほどの基本操作となっている。
    • さらにリモコンを縦にしたままにして剣を掲げ、しばらくするとスカイウォードが使用できる。過去作における剣ビームであり、本作では攻撃だけでなく謎解きにも使用する。これも使いこなせるか否かで、難易度に影響する。
    • 弓矢やパチンコで狙いをつけるにもWiiリモコンを使用するほか、マップの各所にある綱を渡る際のバランス取りや水中を泳ぐ際の方向転換など、様々な部分でWiiリモコンを使う。むしろWiiリモコンを使わない操作の方が少ない。
      • 引き絞る動作は従来通りボタンでも可能だが、ヌンチャクを使えば瞬時に構えが完了する。
    • なお、逆にゲーム中はWiiリモコン自体のセンサーバーを一切使わない仕様となっている。


グラフィック

  • 本作のグラフィックデザインは『時のオカリナ』から始まった「リアルゼルダ」を踏襲しており、リアルな高頭身でキャラクターが描かれている。
    • 一方で、写実路線だった『トワプリ』と異なり、キャラクターデザイン自体はややアニメ調のデフォルメの効いたハーフトゥーンという技法で描かれており、水彩画風の淡い色彩で統一されている。
      • これについては「開発初期はキャラクターも水彩画風にしていたが、これでは背景に埋もれて見えづらくなってしまったため」と公式ホームページの「社長が訊く」で説明されている。


サイレン

  • 「リンクの心の試練」で、「しずく」というアイテムを15個入手するのが目的。
    • ここには剣も含めて一切のアイテムを持ち込むことができず、よって敵からは逃げる事しかできない上に攻撃を受けるとまた最初から集め直し。しずくを1個入手する度に敵の動きは止まるが、その時間も限られている。よって敵が動いている間は見つからないように進まなければならない。全てのしずくを入手して指定の場所まで戻ればクリアとなる。
    • また、スタート地点のレリーフから出る度に敵が動き出すムービーが入るため、少しうっとうしく感じる。
    • ただ目の前のしずくを闇雲に取るのではなく、取りやすいものは後回しにするなどの戦略も必要。「急がば回れ」「短気は損気」ではあるが、「しずく入手する度に敵の動きは止まり、頑張りゲージも回復する」という点を念頭に、敵に見つかる前提で次のしずくまでノンストップで走るという一見無茶な選択の方がいい場合もある。


辛口モード

  • 本編を一度クリアすると、「裏ゼルダ」に代わる高難易度モードである「辛口モード」で遊べるようになる。受けるダメージが2倍になり、雑魚を倒しても基本的にハートが出てこず*1ハート花もすべて撤去されている。
    • このモードの特典として、スカイウォード能力だけ最後まで強化された状態になっている。敵の攻撃をしっかり見切る戦術以上に、スカイウォードを使い、遠距離から攻撃をさせずに倒すという安全確保が重要になってくる。
    • 好評だったのか、辛口モードは新作や過去作のリメイクでも実装されるようになった。

評価点

便利なシステム

  • ダンジョンの謎解きに使う弓矢やクローショットなどのアイテムと、薬など冒険の補助に使われるポーチアイテムが分けられたことにより、アイテムを探す手間が省けた。
  • ビートルは前述のとおり非常に器用な運用ができ、何をすればいいのか分からなくなったときでも隅々まで探索できるようになった。
  • ダッシュが実装されたことで、遠いところへも短時間でたどり着けるようになり、非常に快適なプレイが可能になった。
    • 「かけあがり」により今までブロックがなければ上ることができなかった壁にも登れるようになり、よりリンクの挙動がリアルになった。
    • 普段の移動の他にも、大きな盾を構える敵に向かってダッシュし、その盾を駆け上がって後ろに回り、隙だらけの背面を斬りつけるなど、戦闘にも応用できる重要テクニックとなっている。もちろんピンチになった時の脱走にも使える。
  • ツタの移動時、リモコンを振れば飛び移ることができるようになり、移動が非常に快適に(ただしがんばりゲージは大きく減少する)。
    • ツタ移動の場面では大抵設置されているので、よほど無計画なプレイをしない限りゲージ切れで落下することはない。


直感的な操作方法による新しい体験

  • 本作ではまるで自分自身がリンクになったかのように、自由自在に剣を操る体験ができる。後述する通り、慣れるまで敵を倒すには苦労することもあるが、それが主人公との一体感や腕の上達を味わえるという見事な操作体系を実現している。
  • Wiiモーションプラス/Wiiリモコンプラスを前提に調整されているため、全体的なレスポンスは非常に良好で、落ち着いて操作すれば前作のように誤入力が起こることは少ない。また、使用中にWiiリモコンの動きにズレが生じてきた場合は十字キーの下でいつでも補正できる。


テンポのよさ

  • アイテム選択時にはゲームがポーズされず動作したまま選択する事になる。Bトリガーを押しっぱなしにするとアイテム画面が表示され、Bを離した時にWiiリモコンを傾けている方向に応じてアイテムを切り替える仕組みとなっている。
    • アイテム画面がどの配置になっているのかを覚えておけば、あらかじめWiiリモコンを傾けておき、素早くアイテムを切り替える事も可能。慣れれば慣れるほどスムーズに操作ができるようになり、剣の操作同様に自分の腕の上達を実感できる。
    • ゲーム進行中にアイテムを選択する事になるので、選んでいる間に攻撃を受ける場合もある。前作までは薬を飲む際にはゲームが停止していたが、本作では薬を飲む際にもゲームが停止せず移動しながら飲むことができる。ピンチで薬を飲みたい時も、敵から離れて安全な場所に逃げてから飲むなど、素早い判断力が要求され緊張感も増している。
  • 2ボタンを押す事によって、いつでも操作のヘルプが呼び出せる。
    • ヘルプもゲームが停止せず表示され、リンクのそのときの状況(何も持っていないとき、剣や各種アイテムを出しているとき、泳いでいるときなど)に応じて随時内容が変化し、操作のヒントを教えてくれる。


有機的に関連した収集要素

  • 今までのゼルダでは、お宝を集めてもルピーをもらうこと以外にあまり使い道がなく、虫にしてもただ集めるだけといった向きが強かった。
    • だが、本作ではお宝はアイテムの強化に、虫は薬の強化に使うため、それぞれ集めることで非常に冒険に役立つようになった。
    • また、ルピーに交換してもアイテムの強化、予備の盾を含むポーチアイテムの購入…などなどかなり出費が増えた為、収集要素が無駄になることなく、冒険につながるようになった。


濃密なゲームボリューム

  • キャッチコピーにもあるように、本作は非常に濃密。公式曰くプレイ時間は70~100時間にも及ぶ。さらに虫やお宝の収集、各地におかれた女神キューブや感謝のかけら集め、ミニゲームなどのやり込み・寄り道要素も満載。
    • 女神キューブとは大地の各地に置かれたキューブで、これにスカイウォードをあてると対応した大空にある宝箱が開くようになる。宝箱の中には冒険に役立つ便利なアイテムや多額のルピーが入っている。
    • 感謝のかけらは、人に感謝されたときに出るもので、集めると同様に役立つアイテムがもらえる。
    • どちらも集めるのは大変だが、ゲームが進むとダウジングによってどこにあるか知ることができ、収集の手助けになる。
  • ミニゲームはシリーズ恒例の弓矢を用いた射的の他にも、ルピーの掘り当てやトロッコレース等バラエティに富んでいる。


「伝説のはじまり」を描くストーリー

  • 本作の世界にはまだ「ハイラル」という言葉すら存在しない。マスターソードの誕生までのエピソード等が描かれ、テレビCMでは「ゼルダの伝説、はじまりの物語」とされているように、現時点で本作がシリーズ通して時系列的に最初の物語となる。
    • シナリオは従来のゼルダシリーズを踏襲した極めて王道的な作風で、期待を裏切らない出来である。
      • 伏線の張り方等も絶妙で、「何度もよく目にしていたアレが実は…」という仕掛けも多い。
    • 時のオカリナ』や『風のタクト』等の歴代ゼルダ経験者向けのネタも多数仕込まれているが、時系列上は最初の話なので、ゼルダの知識が全く無くても問題なく楽しめる。


魅力的なキャラクター

  • 本作のゼルダは姫ではなく、リンクと幼馴染で同級生というかなり近しい関係であり、ゼルダ個人に関する描写も多いため、「助けたい」という気持ちをより強くさせる。
  • 敵の親玉であり作中幾度となく闘うことになるギラヒムも、その独特のセリフ回しや行動・動作も含めた奇抜なキャラデザインがとても印象的。
    • ギラヒム様と呼んでくれて構わないよ」というセリフがあるが、ファンは彼を本当にそう呼んで親しんでいる。
  • 本作のパートナーキャラのポジションである、剣の精霊ファイ。人造生命体らしく機械的な思考・台詞が特徴だが、駄洒落を交えた解説をしたりリンクの行いに注意や苦言を行ったりするなど、印象的な部分も多い。
    • そして彼女は出会う人物・敵全てに解説を行ってくれる。中には思わず笑ってしまうものも。
      • ただし、スカイロフトレスキュー隊などは解説がない。
  • 他にも『ドラえもん』におけるジャイアンのようなガキ大将キャラのバドを始め、どのキャラクターもそれぞれの魅力にあふれている。
    • ゲームやイベントを進めるに連れて彼らの意外な一面も見られることも。特にバドは初登場シーンからは考えられないほど非常にカッコよくなる。
  • また『風のタクト』以降ちょくちょく出演している「テリー」や、ムジュラ以降シリーズの定番ネタとなりつつある「手」などお馴染のサブキャラも登場する。

賛否両論点

高い難易度

  • これまでのゼルダシリーズはどちらかというと低難易度化の傾向にあったが、本作はそれらに活を入れるかのような高難易度になっている。そのため『風のタクト』『ふしぎのぼうし』以降と同じ感覚でプレイすると、確実に痛い目に遭う。
    • その分ハート初期値は従来の倍の6から始まるが、最初のダンジョン時点ですでに1ミスで1ハート分というよりシンプルな攻撃力設定になっているため、難易度感覚は初期作とほぼ変わらない。詳しくは後述するが、ゲームに慣れるための意図的な設計ではないかと思われる。
  • 本作は『PUNCH-OUT!!』さながらに、不用意な剣攻撃は確実に防御する敵がかなり増加している。たとえば敵が上を防御していれば下にゆっくり構えてから振り上げるなど、防御のスキを狙うような形でリモコンを振り分けねばならない。
    • 例として挙がるのがスタルチュラ。『時オカ』から出ている巨大なクモで、腹部が弱点なのだが、倒すにはまずひっくり返すか剣撃で向きを変えてから腹部に突きを入れなければ倒せない。地上にいる時はともかく、宙にぶら下がっている場合は反動での体当たりを食らうリスクを常に覚悟しなければならないため、地上に引きずり下ろす手段のない初プレイ時は高確率でこいつに返り討ちにされることだろう。
    • それでも、相手の動きを見極め、相手の隙に乗じて攻撃すれば気持ちよく斬る事ができる。前述の通り慣れてくると自由自在に斬ることができるようになるので、苦戦させられた敵を思うがままに攻撃できるようになる。回転斬りなどがヒットするとかなり吹っ飛んだりするので、爽快感もある。
  • 「がんばりゲージ」の導入により、ツタや崖の移動時に常に落下の危険性が伴う等の緊迫感が加わった。
    • とはいえ、実質ダッシュに制限がかかっているような状態であるため、「ダッシュぐらい無制限にさせて欲しい」という意見もあり、賛否両論となっている。
  • これまで盾は無敵の存在で、一部の盾を除いて防御すればほとんどの攻撃を防ぐことができたが、本作は盾も消耗品扱いになっている。弱点だけでなく耐久度が設定されており、普通にダメージを防ぎ続けただけでも壊れてしまう。
    • この仕様のために今までの常套手段であった「盾で防御しつつ時間をかけて攻撃のチャンスをうかがう」といったことができなくなっている。
    • また、本作では鉄製の盾にも「電気攻撃を防げない」という弱点が設定された。
    • 盾が壊れた場合は当然新しいのを買い直さなければならないし、何よりこれから向かう先に合わせて持ち替える必要もある。一応弱点が無く、自己修復する「聖なる盾」も存在しているが、こちらは耐久度が極めて低く、盾アタックを使いこなすまでは耐久度が回復するまで敵から逃げ回る事になりやすい。道場で盾アタックの練習はできるが。
      • 後述の「空中での操作性」もあり、「壊れた直後に買いに行く」というのも手間がかかる。消耗品なので盾も複数持つことはできるが。
    • 弱点が無く、ゲージが減らない従来通りの仕様である「ハイリアの盾」*2もある。
      • しかし入手可能になるのが終盤も終盤になってからであるうえ、入手条件が「ミニゲームのボスラッシュで8連勝」になっている。このボスラッシュは武器が初回の戦闘時に持っているものしか使えない*3上、ポーチのアイテムも盾しか使えない*4ため、入手がやや難しい。
    • 盾は強化して壊れにくくしたり、壊れる前ならジャンク屋や薬で盾を修理することもできる。また、敵の攻撃を受ける際にヌンチャクをタイミングよく振る「盾アタック」が決まれば盾の耐久ゲージは減らず、さらに敵を怯ませる事もできる。
      • 盾アタックはほとんどの敵に有効。さらに「盾で突く」という動作のためか、後発の『ブレワイ』や『ティアキン』よりもタイミング自体は厳しくなく、タイミングがズレても直撃してしまうことが少ないため、気兼ねなく狙うことができる。
    • 盾を使わないでクリアすることも可能なので、好きなプレイスタイルに合わせられる。
  • アイテム選択画面で時間が止まらないようになった。装備変更や回復アイテムを選ぶ間も常に状況は変わり悠長にしていられず、ゲームポーズは画面が隠れるマップかオプションしかない。
    • また、薬を飲んでいる間も一時停止しないので、ピンチになる前に飲むか温存しておくかの判断が重要になった。その代わりに飲みながら歩けるようになった。


操作性の問題

  • 直感的な操作は評価点でもあるが、それでも完璧という訳ではない。
    • 水中操作に関しては問題点として後述するが、剣の「突き」動作や「とどめ」、「回転切り」といったアクションを自由に繰り出せるようになるには慣れが必要。これはどちらかといえばゲームよりもWiiヌンチャクの問題で、コントローラとしての挙動のコツを掴む必要がある。

プレイテンポに関する賛否

  • 「社長が訊く」でも触れられているが、ダンジョンや大まかな地域の種類が少なく、世界の広がりにやや乏しい。
    • 密度重視でボリュームのある本作だが、物語のルート上を問題無くプレイできている間はともかく、次の攻略場所やキーアイテム探しなどで迷っている最中は何度も同じ所を行き来することになる。良くも悪くも直接的なヒント*5は少なめで、迷わされる分だけ飽きがきやすい。
    • テンポ向上を重視するあまり、ファイが然程アドバイスしてくれなくなるというのも、それはそれで世界観やストーリー上問題ではあるが…。
    • また、地形は非常に複雑で作りこまれているため、一度の来訪では探索しきれるものではない(逆にそれが迷わされる原因にもなっているのだが)。何度も訪れる間にも、新しい場所を見つけるなどの発見もあり、通いつめてその地形を覚えるほどスムーズに冒険を進められる。
    • 地域の種類は少ないといっても、フィールドの様変わりや奥地など、舞台の広がりは決して小さいものではない。冒険を進めて再び訪れた時には火山の噴火などによって大きく変化することもあり、十分にバラエティに富んでいる。
    • ダンジョンの数にしても、流石に4つしかなかった『ムジュラの仮面』よりは多いし、丁寧に作りこまれていて、ボリュームの少なさを感じることはない。


その他

  • 電気を防ぐ盾は存在するが、電気を防ぐ剣は存在しない(本作ではそもそも剣の選択自体できない)。
    • 電気を帯電している状態の敵を攻撃したり、電気を帯びた武器を使う敵を間違った方向から斬りつけると、感電して逆にリンクが一方的にダメージを受けてしまうのだが、これを防ぐ手段がない。ストーリーを進めて剣を最終段階まで強化しても、帯電している敵を攻撃する時の感電は防く機能が付かない。
      • これまでのシリーズにもこのような敵は存在したし、一応スカイウォードや弓矢で遠距離から攻撃したり、パチンコで隙を作るなどして安全に戦う手段はある。だが、防ぐのはできるのに剣ですぐ倒せないのはもどかしいという意見もある。
  • ファイによる「敵への注目」がボタンを押したときだけ注目しかできない。
    • 大半のボス戦や中ボス戦は敵が複数いる場合でもない限りは注目を解除するメリットがほぼないのだが、ボタンを離すと解除される使用にしかできない為、人によってはもどかしさを感じる。
      • 同時期にリメイクされた『時のオカリナ』では「ボタンを放しても注目し続け、再び押すと解除*6」という仕様にもできるため、本作でも導入できなかったのか。

問題点

致命的な進行不能バグ

  • 後半、ある特定の順序で進めてしまうと後のイベントが発生しなくなり、そのまま進行不能となる。
    • これに対して任天堂は謝罪し、本作のデータを入れたSDカードを送ることで修正をするという対処がされた(詳細)。
    • 修復プログラムもWiiチャンネルとして配信。ネットに接続している人は、自宅での修復も可能である。
      • なお修復プログラムの新規ダウンロードは2019年1月31日に終了し、郵送での修復も2020年2月6日に終了している。すでにWiiとWii Uが過去ハードとなって久しいが、今から遊ぶ際は注意したい。
    • 回避不能というわけではないが発生条件がやや気づきにくいため、犠牲となったプレイヤーも多い。


水中の操作性が悪い

  • 操作性の難点として最も挙げられる事の多い問題点。
    • 地上移動がコントローラで行っていたのに対し、空中・水中では「リモコンの傾きに合わせて進行方向が変わる」という操作方法になっている事が原因。
    • 空中はプレイヤーが任意的に起こすモードかつインターバルが挟まれるのでそこまで問題ではないが、水域はフィールドやダンジョンに存在する上、地上⇔水中の移動のたびにエイミング(照準)操作とリンクの操作が入れ替わるため非常に動かしにくくなっている。この挙動に慣れるまで時間を要したプレイヤーも多く、ストレス要素として挙げられる事も少なくない。


その他のゲーム上のテンポの問題点

  • 地上に配置されたモニュメントはワープポイントとして利用できるのだが、地上から同地域のモニュメントへ直接アクセスできない。必ず大空へ飛び立つ必要がある。
    • あくまで「ロフトバードからの降下」であってワープ移動ではないことを意識した仕様と思われるが、エリア移動のためにわざわざ大空へ飛翔→回れ右して再度降下しないといけないため少々不便。
  • ゲームを起動するたびに、お宝と虫を入手した時の演出(解説)が入り、足を止められる。
    • レアなアイテムや重要アイテムはともかく、さして重要でもないものやどうでもいいものまで再び起こる。しかもスキップ不可。
    • この演出は注目などの操作もキャンセルされるため、戦闘中に発生するといらぬダメージを受けて損害を被ることも少なくない。

Wiiモーションプラスの機能が必須

  • 本作では「Wiiモーションプラス」「Wiiリモコンプラス」のいずれかが必要だが、ソフト単品版では『ムジュラ』のような注意書きがなかった点が批判されている。


一部違和感のある描写

+ ネタバレあり
  • ミニゲームの一つにかぼちゃを弓矢で攻撃する「かぼちゃクレー」があるが、よりにもよって剣術道場の出入り口の前でやる。しかもこの道場、他に出入りできる場所はない。
    • 実際のゲームではリンク以外が出入りする描写はないが、ドアを開けた直後に矢が刺さりかねない場所でやる。何もそんな所でしなくても…
  • アクシデントで持ち物を無くす・ボコブリンに盗まれるイベントで紛失する真のマスターソードはとある場所に突き刺さっている。しかしその場所には天井があり、「落下中に鞘から抜け落ちて突き刺さった」と解釈するにはかなり無理がある場所になっている。加えてマスターソードには「悪しき者は触れることができない」という設定のためボコブリンが運んで雑に突き刺したとも考えられない。火山の爆風にふっとばされてあの場所に突き刺さったのだろうか。
    • そもそも他のアイテムは全て箱に保管して見張りもいるため、ボコブリンが盗んだとも思えない。
  • ギラヒムとの最後の戦いで「空中の足場から魔王の封印されている地へ転落させる」という究極処刑を味わわせてやると宣言しているにもかかわらず、リンクが奈落に落ちても一切ダメージを受けずに戻ってきてしまう。奈落に落ちるデメリットはせいぜいタイムロス程度。
    • 究極処刑と言っておきながらダメージを一切受けないのはいかがなものか…
      • むしろギラヒムを剣で押し出して奈落に落とすと攻撃チャンスになってしまう上、ある程度ダメージを与えると空中の足場から降ろされ、地に下ろされて戦う。

一部アイテムについて

  • 「ハートのかけら」と「感謝のしるし」に、気が引けてしまう入手条件のものがある。
    • バーのシャンデリアの装飾の一部としてハートのかけらが使われており、ハートのかけら入手のために「バーの壁に体当たりしてシャンデリアを壊す」という多大な迷惑行為を行わねばならない。
      • しかも事前にマスターから「壁に体当たりするとシャンデリアが壊れるから気を付けてくれよ」と警告されており、もどかしい想いをしたプレイヤーもいる。 警告がヒントになっているとも
      • シャンデリアを壊した後は弁償の為にバーで働く事になり、これをクリアすることで「感謝のしるし」が手に入る。 リンクの自業自得なのに…。
      • 一応、やめたくなったら中断する事ができるし、弁償しないままエンディングまで行っても問題はない。こうしてもちゃんと弁償した場合や壊さなかった場合との変化などはない。
    • 「キコアの家の掃除」で「感謝のしるし」を貰えるのだが、こちらもあまり後味がよくない。掃除するとキコアの母から感謝のしるしと共に20ルピーも貰うのだが、このルピーは本来パンを買う為にキコアが夜警で稼いだものであることが後に判明する。貰ったルピーを親子に渡す手段は存在しない。また「感謝のしるしだけもらう」もできない。
      • おまけに掃除してルピーを受け取った人物が誰かを知らないキコアから、面と向かって「余計なこと(掃除)をする人だと思わないか」と言われ、一方の母親も一切反省の意思を見せず今後も掃除をリンクにお願いするため、やるせない気持ちになるだろう。
  • 回復アイテムに「かぼちゃスープ」があるが、この回復アイテムは購入してから5分で回復量が半減する上、他の回復アイテムと比べて安いわけでもないため、活用する価値がほとんど無い。
    • 他の回復アイテムのほぼ下位互換であり、上記の「シャンデリア弁償」の一環の「かぼちゃスープを冷めないうちに配達する」という仕事くらいでしか使い道がない趣味アイテムとなっている。
  • アイテムの1つに「女神のハープ」があり、中盤からは必要なアイテムを得るために曲を覚えていくのだが、演奏が一律で「コントロールスティックを左右交互に倒すだけ」で統一されている。
    • 「時のオカリナ」と違って楽器に焦点を当てていないとはいえ、演奏としては味気なさすぎる。


最初のボスの難易度

  • 前述の通り、本作は全体的な難易度が高いとはいえ、最初のボスについてはそれを考慮しても過度に難しい。また、その後の2つのダンジョンのボスと比べた場合のバランスもあまりよくない。
    + 序盤のネタバレについて
  • なんと最初のダンジョンのボスがいきなり前述のギラヒムである。最初だから手加減を…等ということは無く、割と本気で殺しにかかってくる。
    • ギラヒム自身は初戦は相当手加減をしているつもりらしく、実際に初戦は攻撃パターンはかなり少ないが、この時点で「正しい方向から斬る」操作ができなければ絶対に勝てないという、初戦にしては過度に強い相手。剣の振り分けを基本操作と上述したのはこのためである。
      • しかも攻略法が「剣を構えて特定の場所にだけ注目させ、注目していない場所から斬る」という方法。無防備でない方から斬ると剣を掴まれ、最悪の場合剣を奪われてしまう。ギラヒムが剣を投げつけた所か盾アタックで落とした所の剣を拾うまではリンクは一方的に攻撃される。
    • ファイのヒントも「無防備な方から狙う必要がある」というだけで、その手段がわかりにくい。他は強いて挙げればギラヒムが剣を奪うと「剣を見ていれば片手で掴める」というだけ。
      • ヒントが乏しいせいで、過去作をやった人なら「パチンコやビートルでギラヒムを失神させてから斬る」と解釈されかねないが、ギラヒムにはこういった武器が使い物にならず、初回だけではないものの剣と盾のテクニックだけで立ち向かわなければならない。3Dのゼルダのダンジョンボスとしては型破りな存在。
      • このせいで「剣もパチンコもビートルも効かない」と誤解され、「最初のボスで詰んだ」「負けイベント」と思ってしまう可能性がある。
      • 一応、離れていればナイフを発射してくるので、そのナイフを盾アタックで反射して反撃してもダメージを与える事はできる。

総評

5年の歳月をかけて作られた期待の新ゼルダ。その出来は当時のファンの期待に応えるべきものとなっている。
シリーズの時系列の始祖に相応しい壮大なストーリー、高難易度でかつ操作体系やシステムを一新しながらも緻密なバランスを保つゲーム性は、その変化の激しさ故の賛否こそあれど多方面でハイクオリティな水準を保っている。

今までの低難易度志向によりゼルダから離れていたプレイヤーも振り向かせることに成功した一作ではあるが、逆に言えばそれだけ初心者やライトユーザーを突き放しているという事でもある。
それ故、「人気のあるシリーズだから~」と気軽な気持ちで手を出すことはオススメできない。ゲームとWiiリモコンプラスの操作にある程度慣れた上で、覚悟を持って伝説の序章に挑んでいただきたい。


余談

  • 剣をWiiリモコンで振る仕様に合わせて、本作のリンクは右利きに設定されている。ゲーム内に加えて公式イラストなどでも右利きで統一されている。
  • ソフト単品の追加出荷分以外には25周年記念スペシャルCDが同梱。
    • Wiiリモコンプラス同梱版は25周年パック・新パッケージどちらにも同梱されている。コントローラのカラーリングも前者は特別仕様、後者は通常の白となっている。
  • 発売前の大手ゲームメディア各社によるレビュー評価は高く、その中でもIGN, Eurogamer, Game Informer, Edgeなどは、本作を10点満点とするレビューを発売前に発表していた。
    また、ファミ通クロスレビューでも史上16本目となる40点満点を獲得し、『ゼルダ』シリーズとしては『時のオカリナ』『風のタクト』に続いて3回目となった。
    • その結果、これらのメディアレビューの集計値であるメタスコアは90点超えの高い数値となり、この件については発売前の社長が訊くでも語られていた。
  • 公式サイトに発売前から過剰なネタバレ要素が含まれていた。
    + 若干ネタバレ要素あり
    • 公式サイトでは発売前よりワールドマップ全体とほぼ全てのエリア・ダンジョン名及び映像が公開されていた。ダンジョンについては、5つめと7つめを除いた全てのダンジョンが公開されていた。(現在も当時のまま公開されている)
      • ゼルダの醍醐味は「冒険」である。特にエリアが比較的少なくワールド全体が狭いこのゲームにおいて、それら及びその終着点であるダンジョンや景観をほぼ全て事前に明かしてしまうのは、確実にプレイヤーの期待や楽しみを損ねることとなる。
      • その上で問題となるのが公開されていなかった終盤部分。このゲームの内容を3部に分けるならば、序盤・中盤についての行動範囲とダンジョン名については(公式サイト上では)5つめを除き全て公開されてしまっている。つまり事前に公式情報に目を通していたプレイヤーはここからがいよいよ未知の領域となるわけだが、これが(『風のタクト』のそれ程ではないものの)非常に異質で作業的なものとなっており、ダンジョンもラストダンジョンを除き登場しないため、従来のゼルダらしい冒険に相当する部分はほぼ全て公式情報のネタバレ範囲内ということになる。これにより事前に公式情報に目を通すか通さないかではプレイ後の印象が大幅に変わり得る。
    • 「社長が訊く」では『"濃密"な作り込みゆえ"濃密"な情報が印象を損ねることはないので安心して欲しい』と随所で強調されているが、本当にその通りであろうか?
  • 2021年7月16日にリメイク*7版となる『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』がNintendo Switchで発売。
    • Joy-Conの機能によってWiiリモコンプラスの操作を継承している他、携帯モード(Switch Lite)やProコントローラー用にジャイロ/モーション操作をカメラ操作のみに限定する操作体系が新たに追加されている。
最終更新:2025年02月19日 21:41

*1 とあるアイテムを所持していれば確率で出るようになる。

*2 ただし、聖なる盾のように「くされボコブリンを怯ませる」事や、木の盾のように「防いだ矢を回収して拾う」事はできない。完全上位互換の関係と言えるのは鉄の盾だけである。

*3 剣は強化されたまま。

*4 一応、一部の薬は挑戦前に飲んでおけばしばらくは薬の効果を維持したまま戦う事ができる。

*5 分かりやすくはあるのだが、そのものズバリな場所や行動を指すものばかりではなく、紛らわしい要素も少なからず存在する。

*6 ただし、倒したりリンクから見えない場所に消えたりすると強制的に解除される。

*7 タイトルはHDリマスターのような名称ではあるが公式サイトではリメイクという体裁をとっている