本項では『リッジレーサー』『リッジレーサーレボリューション』を併せて紹介します。
判定は全て「良作」です。
リッジレーサー
【りっじれーさー】
ジャンル
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レースゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1994年12月3日
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定価
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6,090円
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判定
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良作
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リッジレーサーシリーズリンク
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概要
アーケードで大人気を博した『リッジレーサー』(以下AC版初代)の家庭用移植作。
ローンチタイトルでもあり、PSのハードスペックの力強さを見せつけるキラータイトルとしても注目されていた。
なお、ゲーム開始時のタイトル画面のロード中にミニゲームとして『ギャラクシアン』を遊ぶことができる。
特徴・評価点
高レベルで再現されたAC版の魅力
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美麗なグラフィックは健在。
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当時最先端の技術だったポリゴン+テクスチャマッピングという技法で描かれたグラフィックはAC版(基板はSYSTEM22)と比べても解像度が落ちている以外は殆ど遜色がない。勿論当時は家庭用ハードと業界最先端を行くアーケード基板(ハード)とでは両者に(価格あたりの)性能の差がある故にフレームレートが60fpsから30fpsに半減していたり減色されていたり一部遠景の描写が遅れるなどの劣化はあるものの、それでも当時の家庭用における3D描画では次元を2つくらい超越したレベルであり、PSという新ハードの性能を存分に見せつけている。
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ちなみにデモ中に表示されるタイトルロゴの旗は「半透明+グーローシェーディング」というSYSTEM22でも不可能なことをやってのけている。
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クオリティの高かったBGMもCD音源なため、AC版をそのまま収録。
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テクノ系のBGMはどれも個性的で完成度が高く評価されている。特にタイトル画面で流れるBGMが印象的というプレイヤーは多い。
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その中でもmegaten氏の「ROTTERDAM NATION」は他のゲームに無い「ロッテルダムテクノ」である事と、ぶっ飛んだ個性もさることながらリッジ全般の代名詞的な曲として語り継がれている程。
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標準コントローラではアクセル・ブレーキの強弱、ハンドルの角度といった細かい操作は不可能だが、別売のコントローラ「ネジコン」に対応。
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これにより車のアナログ操作も周辺機器前提ながら再現できている。(発売当時は「アナログコントローラー」は未発売なため、未対応)
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レースゲームとしてもAC版の爽快感のあるドリフトはしっかりと再現できている。
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上級コースの終盤、壁にぶつからずにアクセル全開で走り抜けた時の爽快感は筆舌に尽くしがたいものがある。現在のレースゲームでも、ここまでの爽快感を得られるものはそう無いだろう。
多彩な追加要素及び変更点
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使用可能なマシンが1種だけだったAC版から大幅に増加している。店舗側の設定で使用マシンを変更できたAC版『2』では見た目だけだったが、こちらは性能も異なるため毎回新鮮な感覚でプレイしやすい。
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最初に選べる4種は、バランス型・ハンドリング型・加速型・最高速型とそれぞれの特徴が分かりやすく出ている。
AC版の赤いスポーツカー「F/A RACING」もバランス型初期車として健在。印象に残っているプレイヤーは多いと思われるだろう。
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ギャラクシアンをクリアすると、さらに8種のマシンが追加され12種になる。それにより車を選ぶ楽しみが増す。
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モードは初期状態ではAC版と同じく初級、中級、上級、T.T.(タイムトライアル)の4種類。コースも初級・中級用の「SHORT」と上級・TT用の「LONG」の2種のまま。
加えて難易度(制限時間、敵の速さ)もアーケード版からかなり易しくされている。
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しかし全コースをクリアすると、それぞれのコースを逆走で走るエクストラコースが出現。
チェックポイントが1つだけになっていて制限時間がアーケード版と同等/或いはそれ以上に厳しくなっていたり、夜になって見通しが悪くなったり、敵が速くなったりと、AC版からやりごたえとバリエーションを増やす工夫がされている。
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さらに裏技としてとある操作により各モードで左右全てが反転したミラーコースを走ることができる。コースだけでなく、看板や車に書かれている文字も反転している。
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また、エクストラを解禁した状態でどちらかのTTを選ぶと黒いデビルカー「13th RACING」が乱入してくる。非常に速いが、勝利すれば最後のマシンとして使用可能に。その圧倒的な性能は必見。
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AC版シリーズに先駆けて、視点切替を実装。レース中に自車を背後から見ることができる。使用マシンが増えたのとも相性が良く、使用マシンに愛着が沸きやすい。
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コースサイドの看板がAC版から変更された。主に当時発売が控えていた同社のPS版ソフトの看板となっている。
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一方でスターティンググリッドの観客席の上の看板はAC版と同様。
他の特徴・評価点
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ゲーム中のローディングが全くないため、とても快適。
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ゲーム起動時に唯一長いロードがあるものの、『ギャラクシアン』がプレイできるためそれほど不快感は感じない。まさに工夫。
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ただこのギャラクシアン、原作の特徴であった敵の飛行攻撃がオミットされているので内容的にはインベーダーである。あくまでもオマケとして捉えておくべきだろう。
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ゲーム起動後はデータトラックの読み込みが全くないため、音楽CDに入れ替えてBGMを変更する裏技が存在した。
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車のデザインが架空ながらもどれもかっこいい。
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ミュージックモードがアザーカーのフリー走行のライブ映像になっていて、発売したてのPSのポリゴン性能を存分に堪能できると共にBGVとしても使用できた。このモードは以降のシリーズでも搭載されるのが通例となった。
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タイトル画面で靡いている旗がグーローシェーディング処理で非常に滑らか。この処理は非常に負荷がかかるためSYSTEM22基板のAC版でもタイトル画面の旗にしか使用されていなかった。
賛否両論点
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挙動がAC版とは別物。爽快感は増したが「アーケードからの移植作」としては問題ではある。
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全体的に旋回性がAC版のマシンより上だったり、ドリフトや壁に当たったときの減速が大幅に抑えられているなどプレイヤーに有利な変更が多い。しかし、それにより敷居が下がっているため一概に否定することはできない。
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ただし、ドリフトした時はかなり癖がある挙動に変更されている。「終了時にいきなり進行方向が元に戻って急減速」という通常時とドリフト時が一瞬で切り替わる不自然な挙動に。慣れていないと意表を突かれてミスしやすい。
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サイレントドリフトというPS版のみの裏技が存在し、成功させるとドリフト終了時に本来減速するところが逆に加速するようになる。
これを駆使すると本来の最高速度を超えることができ、AC版では考えられない高速走行が可能。これによりやり込んだタイムアタックはほぼ別ゲーとなっている。
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これにより、AC版のファンからはAC版準拠の移植が欲しいという声もある。残念ながらAC版シリーズはどのタイトルも完全再現の移植が現在でも行われていない。
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追加された曲(オープニング、エンディング、ネーム入れ、等)も完成度は高いものの、明らかに先のAC版のBGMと比べると雰囲気が浮いており、いわゆる「リッジサウンド」になっていない。
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他にもAC版と異なる点として些細な点だが、アザーカーの台数がAC版からさりげなく1台減らされている。
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この仕様は先述した視点切り替えや隠し要素のミラーコースと同様に、翌年稼働開始のAC版シリーズ3作目『レイブレーサー』(のデフォルト設定時)にも逆輸入された。
問題点
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あくまでAC版初代準拠の移植である。『2』の追加要素である対戦プレイとバックミラーは実装されていない。『2』の追加BGMも未収録。
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TTにおける敵の「13th RACING」はわざとこちらを先行させたあと猛追してくるAIだが、バックミラーがないため意図的なブロックはほぼ無理。あれば駆け引きにもなっただけに惜しい。
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それを見越してか後方視点では自車の表示位置を遠めに配置して後方から来る敵車を確認できるようにはなっているが、それでも狙ってブロックするのは難しい。
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1周目で一度抜かされても再びスタートライン付近で停止して先行させてくれ、そこからノーミスでパーフェクトランすれば勝てるので、事実上のご褒美要素と言える。
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実際には『2』の要素も中途半端に混じっていて、各車のナンバーや大型ビジョンのギャラクシアンやデジタル文字で表示される曲名などは『2』準拠である。
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細かい点ではタコメーターの針や『1』よりも細身になったレースクイーンの姉ちゃんのデザイン、BGMがスタート直後から鳴り始める、スターティンググリッド下部のnamcoの看板デザインも『2』準拠である。
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ちなみにコースのポリゴンも『2』の方が使用しているポリゴン数が少ないことから『2』がベースである。
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ドリフトの挙動も同様。AC版初代では180度で強制終了していたが、本作のは『2』の制限なしで自由自在にドリフト可能な代わりにプレイヤーで終始制御が必要な仕様となっている。
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折角追加されたマシンの背後からの視点だが、実用性がよくない。
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ハンドルを切っている時にカメラの追従が甘く、進行方向が見辛い。
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ドリフト時は車体の向きとカメラの向きがまるで合っておらず、操作自体が困難。
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前述のネジコンだが、レースゲームとしてはやはり標準コントローラでは明らかに不可能な記録が出せてしまうのが問題である。
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ハンドルの微調整が効くのは勿論の事、最大入力で標準コントローラより曲がる、ジャンプ中に曲がれるなどアナログ入力関係なしに露骨な優遇仕様がある。
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以降のシリーズや他の対応ソフトでもこのような不可解な仕様があり、非公式のタイムアタック企画では公平性のために禁止されたり、別レギュレーション扱いになったりする。
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エクストラコースでの夜中は、通常モードやAC版と違い意図的にゲームの視界を悪くする調整がされている。
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しかし冗談抜きに目の前しか見えないレベルで描写範囲が狭くなり、コースを覚えないとマトモに走れない状態になる。
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AC版同様、敵車なしで走れるモードが無い。タイムアタックを行う場合、突き詰めると敵車の動きに大きく左右され運要素が強い。
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LONGコースは敵車が1~2台になるTTで走ればほとんど問題は無いが、SHORTコースにはそれがない。11台もいる敵を避けながらノーミスで走るだけでも至難の業。
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ミニゲームのギャラクシアンクリアで8台のマシンが追加されるのだが、その難易度がお世辞にもクリアしやすいとは言い難い。
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というのは自機ストックがないため一回の被弾でアウト、しかも制限時間内に全滅が条件でその制限時間も余裕があるとは言い難い上に原作と同様に連射もできないため、完全に一切ミスが許されない1発勝負となっている。
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前述のミニゲームで手に入る隠しマシンなのだが、特定の性能に特化して個性が出ている初期マシンに比べるとそれらの中間的なものが多く性能的にはやや地味。一応中には扱いやすいものもあるが、縛りプレイ以外では使い道がないような完全下位互換のものがある。
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一方「13th RACING」は、使用条件が厳しいだけあってあらゆる面で他を突き放すスペック。タイムレコードは使用マシンは記録されるものの、全マシンで共通なためタイムを追求すると他を使う意味がなくなってしまう。
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スタート地点のビル群のポリゴン欠けが顕著で、近づくにつれてビルがパラパラと表示される。
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ただしハードのスペック上の理由と、まだローンチという開始時期で開発技術も発展していない状況だったことを考えると仕方ない面もある。
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一応この背景の描画面での違和感(問題点)は、同じPSハードで出た続編に進む都度、技術の進歩と共に少しずつ改善されていった。
総評
グラフィック・BGM・爽快感を余すことなく再現しており、また単なるAC版の家庭用移植に留まらない様々な工夫がされている良作。ローンチタイトルとしてPSの性能をアピールする役割も十分に果たしている。
AC版及び最近のゲームと比較すればさすがに画質は見劣りしてしまう上に今のゲームと比べるとボリュームこそ少ないが、今ならアーカイブスなどの廉価版で手頃に手に入る上にそのシンプルさもまたとっつきやすい要因にもなっているため、今買ってもまったく損はしない作品である。
余談
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ロード中にミニゲームが遊べる機能はナムコによって特許が申請されていた。
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前述したように本作はPSのローンチソフトであるが、次世代機競争のライバルだったセガと違い、ソフト面の資産のないSCEにとっては喉から手が出るほど欲しかったキラーソフトであり、ナムコとの交渉の際「『リッジレーサー』の発売日がプレイステーションの発売日です」とまで言わしめたという。実際に本作の型番は「SLPS00001」であり、名実ともに「PSソフト第1号」である。
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またナムコとしてもファミコン時代、任天堂とのライセンス契約更改問題のこじれからライセンス元に縛られない自社ハードの創出を画策するきっかけとなるが開発は遅遅として進まず、そんな矢先に絶好の移植先としてプレイステーションが見つかったこと、契約が好条件だったことで自社ハード開発は未完のままで終結することとなった。
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ナムコが開発中の自社ハードを久夛良木健に見せた際、「なんで3Dのナムコが今さら2Dのハードなんて作ってるんですか」と言われて凹んだという。一応「作りたくてもナムコでは価格に見合うものが作れない」という実情があったのだが。
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1993年末に「PS-X」第一報が報じられたときのナムコのコメント「今まで独自のハードを持たなかったナムコにとって、ソニーの開発したハードは、ナムコの考えていたハードが実現されたものと満足しています」には、こういう裏事情があったわけである。
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本作は事実上PSのベンチマークソフトでもあり、ハードウェア・開発環境共に試作品の段階からSCEとナムコとでタッグを組んでブラッシュアップを続けて完成させたものなので出来が良いのは当然である。反面、同社から続いて発売された『サイバースレッド』『スターブレードα』はハードに頼った作りで評価は芳しくなかった。
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2005年にPS2で発売されたコレクションソフト『ナムコレクション』に、5作品の1つとしてPS版を移植したものが収録されている。
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他のタイトル同様に内容はPS版のほぼベタ移植で、ごく一部のバグが修正されている。ただし、本作のみ諸事情でBGMが変更されている。
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諸事情というのは音ネタに著作権フリーではないサンプリング音声が使われていたため(Sybil Lynch「Let Yourself Go」のコーラス音声など)。このため曲は同じだが音源が異なるバージョンが使用されている。
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ゲーム開始時にタイトル選択が必要なため起動にやや手間が掛かるが、ゲーム開始後はPS2のためロード時間は短く快適。
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オマケとして各作品のイラストや設定資料が閲覧できるギャラリーが収録されているのだが、本作のものは用意されておらず、代わりに本作は「スーパープレイムービー」が収録されている。
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『鉄拳』『エースコンバット2』『風のクロノア door to phantomile』『ミスタードリラー』も同時収録されているためお得感はある。
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アザーカーは自車以外との接触判定を省略しているようで、通常はアザーカー同士が接近すると遅い車が道を空けるような挙動を取るが、ダンゴ状態になると車同士が接触してめり込んだり壁にめり込んだりといった現象が散見される。
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カラーリングが違うだけの車種はパレットを変えているだけで同じテクスチャーを使っている。そのためCar No.が一桁の車は上の桁の「1」をパレットで消しているため残った数字が右寄りになっている。
リッジレーサーハイスペックver.
1998年12月3日に発売された『R4 リッジレーサータイプ4』に付属したボーナスディスク。ただし、廉価版やゲームアーカイブス版は付属していない。海外版は『RIDGE RACER TURBO』というタイトルになっている。
「これまでに培った3D技術を活かして、1インター以内でどこまでグレードアップできるか」というコンセプトで生まれた研究作。
実際はソニーが開発した『ランタイムライブラリ Ver.3.0』の発表会で展示用に作ったものを(看板など一部演出に変更を加えて)再収録した物。
グラフィック・演出面に関する変更点
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ポリゴンモデルに陰影が付き、車体の丸みや背景の影が表現されるようになった。また、一部テクスチャも綺麗になっている。コース中の路面が分かりやすい。
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フレームレートが30fpsからAC版同様の60fpsになり、動きが滑らかに。
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あくまで特典ディスクであり、正式なソフトではないが家庭用リッジシリーズでは初めて60fpsを実現した作品である。
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一部演出がカット・簡素化されている。
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スタート時のレースクイーン、ヘリコプター、時間帯進行の表現(常に昼になった)などが削除。
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他にもコースサイドなどの看板が全て変更された。主に家庭用リッジシリーズの看板が採用されている。
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例:スターティンググリッドの観客席上の看板が全て「リッジレーサー」に変更、第二トンネル前のサイドの看板がそれぞれレイジレーサー、R4に変更されたなど。
他ゲームに関する変更点
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レースモードの種類が大きく変更された。
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初級~上級+T.T.という分け方ではなくなり。「SHORT・TT」「SHORT・TA」「LONG・TT」「LONG・TA」の4モードなった。
--加えてエンディング後に追加されるエクストラ(逆走)も初代同様に収録。なので実質全8種となる。
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新規追加されたTAは完全に一台で走れるモード。SHORTに関しては、TTモードも新規となる。
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一方、12台でレースする通常のレースモードが丸ごと削除。他にも初級の周回数と速度でSHORTを走れなくなった。(SHORTは中級相当)
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デビルカーこと13th RACINGは初代に引き続き登場。初代と同様にエンディング後にノーマルのLONG・TTに登場するようになる。勝利すれば入手可能なのもそのまま。
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更に本作では『レボリューション』での追加マシン「WHITE ANGEL」が登場。こちらはエクストラのLONG・TTに登場、勝利で使えるようになる。
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レース中のBGMは「RIDGE RACER」と「GRIP」の2曲のみ。
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「GRIP」は本来は『2』及び家庭用『レボリューション』収録曲で、PS版初代では未収録。
以上のように、元となったPS版『初代』の内容全てを収録しているわけではない。
カットされた演出やモードに関しては、60fpsを実現するためのハードスペックの都合と、あくまでおまけソフトである。ということだろう。
しかし60fps以外にも強化されたグラフィックと追加マシン、タイムアタックがしやすい仕様という面は優れているためこちらをメインでプレイするのもあり。
リッジレーサーレボリューション
【りっじれーさーれぼりゅーしょん】
ジャンル
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レースゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1995年12月3日
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定価
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6,090円
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判定
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良作
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リッジレーサーシリーズリンク
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概要(RRR)
プレイステーションの発売からちょうど1年後に発売されたバージョンアップ版。通称『RRR』『リッジレボ』など。
BGMについては当時アーケードで稼働していた『リッジレーサー2』の物を使用しており、起動時のミニゲームも『ギャラガ'88』に変更されている。『2』と同様にバックミラーが追加され、通信対戦も可能になった為、『2』のアレンジ移植版とも言える。
サイレントドリフトは削除されたが、代わりにドリフト中にシフトダウン→アップすると加速するシフトダウンドリフトというテクニックが存在。
特徴・評価点(RRR)
コースの一新
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前作から変わり、リゾート地のような海岸を走るコースに。中級はそこから山岳地帯へ分岐し、上級は山岳地帯からさらに分岐…、となるため全3コース。これにより、初級と中級で別のコースになった。
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初級~上級コース通して前作のコースに比べてコーナーが多い。直線も短く、アップダウンも激しいためコースの難易度はアップしている。
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前作同様、これらのエクストラ(逆走)コース・ミラーコースも存在。
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前作のコースは完全に消去されたわけではなく、後述の通信対戦プレイでのみ選択可能。
レースモードの追加、細分化
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コースとレースモードの選択が分かれた。これにより一人プレイで選べる3つのコース全てでTTが行えるようになり、タイムアタックがやりやすくなった。
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新レースモードとして、一人で何周でも走ることができる「フリーラン」が追加。残念ながらタイムレコードは保存されないが、敵車に邪魔されずコースの練習ができる。
マシンの追加要素
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新規マシン「13th RACING KID」「WHITE ANGEL」が追加。
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前作からの「13th RACING」と並ぶ高性能を持ちながら、見た目・性能ともに違った味付けがされている。
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入手方法に関しては前作と同様。TTがコース毎に可能になったため、コースによって違う相手になる。
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全てのマシンに「グレード」が追加。前作は4種類あるコース&レースモードで同じマシンでも最高速度が変化したが、それをプレイヤー側で選択可能にしたもの。
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最高速度が低い方から順に、「Type S」「Type R」「Type X」「Type Z」の四種類が全車に存在。
敵車もそれに応じて早くなるため、「初級コースで高速・高難易度レース」なんてことも可能になった。
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ただし、コースやモードにより一部グレードは選択できない。クリア後は全コース・モードで最速の「Type Z」が解禁。
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起動時のミニゲームクリアでマシン8台が追加されるのは前作同様だが、クリアがやや難しかった前作の『ギャラクシアン』とは異なり、今作の『ギャラガ'88』は原作の敵が一切攻撃してこないチャレンジングステージのうち序盤のまだ簡単な1ステージがノルマとなっており、当然動きのパターンも毎回固定の為、被弾を気にする必要がなくなり、敵の動きを覚えて逃さず全滅させれば良いだけになったおかげでかなりクリアしやすくなった。
しかしクリアだけなら簡単だが、実は1発も無駄撃ちしない命中率100%というかなり困難な条件で全滅させると.....??
AC版『2』の追加要素を実装
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PS本体2台を別売の対戦ケーブルで繋げることで、通信対戦プレイが可能に。ディスクも各本体に必要になる為計2枚必要。
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家庭用では初の対戦プレイながら、異なる性能のマシン同士で対戦といったPS版ならではの要素も。
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対戦中は前作のコースも使用可能。初級及び中級に該当していた「SHORT」が「特別1」、上級及びTTに該当していた「LONG」が「特別2」という名称で収録されている。これにより対戦中限定ながら、家庭用『2』として遊べる。
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加えて特別コース2種それぞれのエクストラコースも収録。出現させるには、「どちらか一方かが先に1人用モードを開始し、1人用でも登場する新コースのエクストラコースが遊べるようになっているデータの入ったメモリーカードをロード」するだけ。この為、起動時の『ギャラガ'88』クリアで追加される車種及びデビルカーといった各種隠し車種や、新コース3つのエクストラコースも、データが入ったメモリーカードさえあればそのまま対戦で使用できる。
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また、初代リッジの「LONG」コースで対戦が可能になったの本作が初。
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バックミラーが導入。AC版『2』及び『レイブレーサー』同様に処理の関係か、画面に自車が映らない一人称視点でのみ表示される(次回作以降も同様)。
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「13th RACING」をはじめ、自分より速い敵車をブロックする戦略が生まれた。他にもミスのリカバリーがしやすくなった。対戦プレイとの相性の良さは言わずもがな。
問題点(RRR)
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目玉要素として追加された通信対戦プレイだが、当時は実現のハードルが高かった。
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プレイするには別売の対戦ケーブルの他にソフト・PS本体・テレビ及びモニターがそれぞれ2つずつ(つまり1人の時の一式に加えてもう一つ)必要になる。ブラウン管テレビ主流の時代のため、お金やスペース的にどれだけのユーザーが実現できたのやら....恐らく「2台目のテレビ以外は用意できたが、その2台目のテレビたった一つだけが場所が足りず置けない」というユーザーも多かったはず。
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さらに特別コースこと前作のコースが収録されているにもかかわらず、通信対戦でしかプレイができない嫌がらせのような仕様。せめて条件クリアか裏技でソロプレイができるようにしておいてほしかった。
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結局あまり普及しなかったのか『レイジ』は完全一人用に戻った。『R4』は画面分割対戦が実装され、通信対戦は説明書にも載っていない隠しモードとなった。
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余談だが本作よりも前に発売された『サイバースレッド』『エースコンバット』は画面分割による二人対戦モードを搭載している。
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似たようなゲームにPS2の湾岸ミッドナイトRがある。
総評(RRR)
新コースをはじめ家庭用オリジナルの部分をさらに発展させ、本格的にAC版とは異なる作品に歩み始めた一作。
バックミラー・対戦プレイなど限られたハードスペックの中から『2』の改善点も取り入れており、より完成度は高まったといえる。
コースの関係で前作より難易度が上がってはいるものの、前作同様今からプレイできる分にもおすすめできる。
最終更新:2024年08月10日 19:58