レイジレーサー
【れいじれーさー】
ジャンル
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3Dレーシングゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1996年12月3日
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定価
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6,090円(税込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1ブロック使用
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周辺機器
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ネジコン対応
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判定
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スルメゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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永瀬麗子初登場 外伝ながら本流に組み込まれる異色作 坂を中心としたコースなど、シフトチェンジ(MT)に重きを置いたデザイン しかし内容故にATでのクリアは実質不可能 本作初であり発、唯一の要素も満載の意欲作 一方でバグを含めたおざなりな判定や内部処理に粗い挙動も目立つ
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リッジレーサーシリーズ
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概要
『リッジレーサーシリーズ』の家庭用(CS)オリジナル3作目に当たる作品。
タイトルに「リッジ」が入っていない事が示す通り、クルマの購入や、走りに影響する極端な坂の存在などから、本流であったアーケード(AC)の作品と異なる方向へ移行して深化した作品。
以前のリッジレーサーシリーズと比べて雰囲気が暗くなり、ダークな世界観。
これはストーリーが暗いとかではなく、全体の雰囲気そのものに変化がある。時間経過やスタート時点から夜間を走るシチュエーションが従来の作品に比べて非常に多く、それが結果としてこの渋いダークな雰囲気を作り上げていると言える。
シリーズの中でもとりわけシフト(ギア)チェンジに主眼が置かれているのが特徴。コースには通常では考えられないほど傾斜の大きい坂が登場し、プレイヤーの走りとは別に激しく車速が上下する。
当然、登坂中はアクセル全開でも速度は下がり続け、それによってパワーバンドから外れれば、更に激しい減速に悩まされる事になる。
加えて、シリーズの中でも飛びぬけてドリフト不遇と言っていいシステムであり、カーブでの減速幅も従来作の比ではない。必然的に、シフトチェンジが必要な場面は非常に多い。
また、本作からコーナーを曲がる際に従来のドリフト走行に加えて、
新たにグリップ走行というテクニックが登場した。
グリップ走行は本作以降の『R4』『RV』でも、ドリフトと共に継承されていく挙動の一つとなる。
一方で複雑なテクニックの要求や粗い当たり判定、コースの道幅の狭さや敵車の妨害などで全体的に敷居が高くリッジシリーズでもレースゲーム初心者を突き放すような傾向にあり、良くも悪くもパッケージ裏に書いてある通り
「選ばれた者のみが、この壮快感を味わえる」
ような仕上がりとなっている。
モード
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GRAND PRIX(グランプリ):メインとなるモード。レースを勝ち抜いて賞金を集め、その賞金を使って「カーショップ」で車を購入したり、現在所有している車を「エンジニアショップ」にてチューンナップ(グレードアップ)できる。
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グランプリ(以下、GP)には「クラス」なる段階・区分けが存在しており、1つのクラスにつき4(最初のクラス1、2のみ3)コースが用意されている。
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3位以内に入るとコースクリアとなり、賞金が与えられる。
逆に3位以内に入れなかったり、タイムアップ(制限時間切れ)になったり、途中でスタートボタンによるポーズ画面経由でリタイアすると、「失格」になり、リトライ制限回数を一つ失う。リトライ制限回数が0の状態で失格になるとゲームオーバーとなり、クリアしたコースも帳消し、そのクラスの最初からやり直しとなる。
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ただしゲームオーバーになってもペナルティはクラスのクリアコースの帳消しのみで、「貯めてあった賞金や所持車両及びそれらのチューンナップしたグレードはそのまま残る」親切設計なのでご安心を。
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各クラスの全コースを3位以内で入賞するとクラスクリアとなり、次の段階のクラスが出現。クラスが上がってもコースは変わらないが、上がるごとに敵車が新しくorチューンナップされて登場し、それに伴って速くなっていく。それに合わせてプレイヤーも新車購入やチューンナップで対応していくことになる。
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ちなみに、クラスが上がると、「クラスアップボーナス」として入賞賞金とは別にボーナス賞金も与えられる。
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さらに、各クラスを全コースで1位入賞しかつクラス段階と同じ数のグレード(以下も含む)だけを使ってクリアすると、ゴールドトロフィーも授与される。一種のやり込み、コレクション要素。
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一度制覇したクラスはコース選択画面の「class」で再度挑戦することも可能な為、練習や賞金稼ぎ、クラス数以下のグレード帯の車をまだ所持しているならそれを用いて獲得し損ねたゴールドトロフィーに再挑戦したりすることも可能。
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全部で5段階のクラスが用意されており、最後のクラス5をクリアするとエンディングを迎える。そして次の新たなモードが出現する。
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EXTRA GP(エクストラ・グランプリ):前述のGPの全クラスをクリアすると出現するモード。簡単に説明すると「走るコースが逆走になったGP」。
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コースが逆走になっただけで基本的な流れは通常のGPと同様だが、賞金も所有車(及びグレード)も最初からやり直しとなる。また、通常のGPよりも敵車が少し速くなっており、難易度も上昇しているので気が抜けない。
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そしてクラス5をクリアすると、真の最終クラスであるクラス6が出現、敵車がたった4台だけだが、その全てがデビルカーといったクラスに挑戦することになる(と同時にショップにプレイヤー用のデビルカーも入荷される)。
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クラス6をクリアすれば通常のGPと同様にエンディングを迎える。
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各クラス名
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グランプリ(順走)
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クラス1:CALME(カルム)GP
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クラス2:BRISE(ブリズ)GP
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クラス3:RAFALE(ラファール)GP
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クラス4:MISTRAL(ミストラル)GP
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クラス5:TEMPETE(タンペート)GP
エクストラ・グランプリ(クラス6以外は逆走)
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クラス1:AISANCE(エザンス)GP
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クラス2:AGITATION(アジタシオン)GP
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クラス3:IRRITATION(イリタシオン)GP
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クラス4:COLERE(コレール)GP
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クラス5:RAGE(ラージュ)GP
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クラス6:DIABLE(ディアーブル)GP
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TIME ATTACK(タイムアタック):レースゲームお馴染みのプレイヤーのみで独走して最速タイムを目指すモード。同シリーズの過去作にあったタイムトライアルに相当。
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GPと異なり、エクストラを含めたGPで入手した車をそのまま使えるが、このモードではGPクリア後であっても車やグレードがリセットされず、最後に入手したグレードの車種を全て使用することができる(ただしグレードを下げたりすることは不可能)。
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エクストラGP出現後は逆走コースをこのモードでも選べるようになる(「REVERSE」のマークが表示される)。
登場車種
本作はシリーズで初めて、完全な家庭版のゲームとして作られている。これに合わせ、ゲームシステムも前作までのACライクのものから一転して、レースで獲得した賞金で車の購入やアップグレードを行っていくスタイルを採用している。
そこに付随する形で、マシンの個性付けとして車両のメーカーの概念も登場。それぞれのマシンにメーカーの特色として、より大きな挙動の差別化が行われるようになったのもこの作品から。本作で登場するのは「グナーデ」「リザード」「アージュ」「アッソルート」の4社。
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車両一覧
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以下、「#カーナンバー 車名:開始グレード(1〜5、デビルカー)」の順に記す。またMT only車は開始グレードに続いて「MT only」も追記する。
【GNADE(グナーデ)】
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ドイツのメーカー。全ての性能が平均的なバランスタイプ。登場車種はゲーム開始時から所有してるエスペランザのみ。
【Lizard(リザード)】
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アメリカのメーカー。ダイナミックなフォルムと大排気量のエンジンの大トルクを活かした加速力と登坂性能が特徴。ただし加速性能を相殺しかねないレベルで車体が重く(特にハイジャックとテンペスト)、ハンドリング(旋回性能)に難有り。そのため、コーナー突破はドリフトと加速力を活かした立ち上がりで補うことになる。
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#46 INSTINCT(インスティンクト):2
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#05 BAYONET(ベイオネット):3
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#95 HIJACK(ハイジャック):4・MT only
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#?? TEMPEST(テンペスト):デビルカー・MT only
【age(アージュ)】
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フランスのメーカー。小排気量ながら軽量コンパクトでキビキビとした走りが身上でハンドリング重視。その反面、加速力がなく坂に弱い。
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#01 ALOUETTE(アルエット):2
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#20 ABEILLE(アベイユ):3
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#06 PEGASE(ぺガース):4・MT only
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#?? VICTOIRE(ヴィクトアール):デビルカー
【ASSOLUTO(アッソルート)】
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イタリアのメーカー。直線的なフォルムが目を引く。最高速重視でハンドリングは最低レベルの為オーバル専用の傾向が強いメーカーだが、慣れれば他のコースでもタイムだけなら出せなくもない。ただしコーナーが多いレイクサイドゲートだけはやはり厳しい。
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#76 FATALITA(ファタリタ):3
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#88 ISTANTE(イスタンテ):4・MT only
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#56 GHEPARDO(ゲパルド):5・MT only
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#?? DRAGONE(ドラゴーネ):デビルカー・MT only
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クラスが上がると、そのクラス数に1を足した開始グレードの車がショップに新たに入荷される仕組みとなっている。
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チューンナップも同様に、現在選べる最高クラス数に1を足したグレードまで可能となっている。
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デビルカーのみ例外で、エクストラGPの最終クラスであるクラス6にて初めて入荷される。
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家庭用作品の名物であるデビルカーは本作でも健在。冒頭で記したようにマシンの差別化が進んだことを受け、3台のデビルカーはいずれも強い個性を持つ。
前作まではあくまでタイムアタック用のおまけ要素だったが、本作ではラストのラストに「敵車が全てデビルカー」のレースが登場する為、本作を完全クリアする上では必ず操る事になる。
コース
4種類あるコースは全て共有するルートが存在。そしてコース毎に異なる特徴が際立っており、それに合わせて各メーカーの車種を使い分けることで対応のしやすさがかなり変わってくる。勿論敢えて不得意メーカーで挑むのも一つの手(ただしオーバルだけは例外)。
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コース一覧
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以下、「コース名:一周あたりの全長」の順に記す。オーバル以外は計3周走行する。
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Mythical Coast(ミシカルコースト):4641m
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通称「ミシカル」。登り坂や急なコーナーがバランスよく配置、メインストリート以外にもそこそこ長い距離のストリートが配置されているのが特徴。主にグナーデ車が向いているとされるが、他のメーカーでも十分勝機があるコース。
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逆走時は基本的に総合的な難易度は変わらないが、ヘアピン突入地点が死角になっていたり、急コーナー突破直後に登り坂になっている箇所への対応が勝負の分かれ目となる。
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Over Pass City(オーバーパスシティ):6640m
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通称「オーバーパス」。高低差が激しいコースで、長い登り坂もその分目立つ為、加速性能が求められる。よってリザード車が向いている。ただし下り坂やストレートもそこそこあるので、テクニックがそこそこあればアッソルート車でも割と健闘できる。登り坂以外では、急コーナーが連続する「サイドワインダー」地帯に見通しが悪いスプーンカーブなどが勝負の分かれ目になる難所。
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逆走時は登り坂が下り坂になり、その逆も然りなコースとなるのは走る前から解る構成なのだが、サイドワインダーが順走時よりさらに難易度が上昇しており、各坂への対応を順走とは逆にするだけでは攻略ができず一筋縄ではいかない。
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Lakeside Gate(レイクサイドゲート):6237m
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通称「レイクサイド」。細かいシケインからヘアピンなどの急なコーナーがとにかく連続するワインディングロードで構成されたコース。加えて道幅も終始狭く、かなりのコーナリングテクニックが要求される。ハンドリング性能が高く車体も小さいアージュ車が最適。逆にハンドリングが最悪でストレートも殆どない為に最高速も活かせないアッソルート車はかなりの苦戦を強いられる。
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逆走時は元からコーナーが多いのに加えて、逆から走るだけでいくつかのコーナーが死角になってしまっており結果、先の見通しも全体的に悪くなってしまい暗記はやはり必須。また、グレードが高い状態でスピードに乗っていると、コーナーを曲がる最中にジャンプしてしまう難所まで追加されている。
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The Extreme Oval(ジ・エクストリームオーバル):3074m
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通称「オーバル」。このコースのみ、クラス3以降で登場(エクストラも同様)。また他のコースと異なり、一周あたりの距離が短い代わりに計6周走ることになる。
リッジシリーズ初となるオーバルコース。ロングストレートと緩やかなバンクコーナーで構成されたコースで、その構成故に最高速が求められる。そして仕様上、向いているどころか勝つにはクラスと同一グレードのアッソルート車が必須。
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逆走時はそのコース構成故に順走とは殆ど変わらない。ただし最初のバンク入口が死角になっているので暗記必須。逆に言えばそこさえ覚えれば順走時と同じ感覚でクリアできる。
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評価点
シリーズの中でも一線を画すシステム
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上り坂の失速が激しくシフトチェンジが非常に重要視されるゲーム内容。
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概要欄記述の通り、本作はシフトチェンジひとつでタイムに差が出る。タコメータとにらめっこしながら走る楽しみはレイジならでは。
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チューンナップ・新車購入についても同様に、文字面以上の楽しみがある。
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初期マシンであるエスペランザにしても、最初はまるでリミッターでも掛かっているかのように140km/hで頭打ちだったのが、次の段階で170km/hを普通にオーバーし、更に次では5速が追加され……と、しっかり手応えを感じて行けるようになっている。
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車及びメーカーによってコースに対する得意不得意がはっきりした事で、最低でも2タイプの車は使い分ける必要がある。額面通りに性能を受け取れば、1つのコースに1タイプともなる。
これにより、車の乗り換えが有利になる事を認識しやすく、それが結果的に「他の車はどんな性能なんだろう?」と、プレイヤーの興味を煽る。
進化するグラフィック
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これも本作初の要素として、車種毎にメーターのデザインや排気音が全て異なるという特徴がある。排気音の違いはまだ大きくはないが、タコメーターは重要な役割を担う本作ならでは。『V』以降の作品でも、この部分の差別化は徹底されている。
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更に、各車種はチューンナップすると見た目が変わるという拘りも。特に購入時には市販車同然だった低グレード車も、チューンナップを経て、本格的なレーシングカーへと変貌していく。中にはエンジン音まで変わる車も。
その他、細かい所では車の色を変えたりエンブレムを自作することができる。現在のレースゲームでは然程珍しくない機能だが当時としては画期的。
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クラス数以下のグレードで各クラスを全コース1位でクリア」というそこそこ厳しい条件があるとはいえ、条件達成で入手できるゴールドトロフィーも各クラス毎に異なるデザインが用意されており(全11クラス分存在)、集めて鑑賞するのもまた楽しみの一つ。
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ゴールドトロフィーを5クラス分集めると、BGMが一曲追加されるオマケも。
BGMのクオリティ
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全体的に曲のテイストは旧来のリッジと比べ様変わりしているが、シリーズで見ても特徴のある曲が揃っており本作の雰囲気にハマっている。「Rage Racer」や「Mech Monster」などロック系のBGMや、「Lightning Luge」「Volcano Vecicle」などのテクノ系のBGMなどがあり、旧来に比べてクールな雰囲気の仕上がりとなっていて人気も高い。
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ちなみに、オープニングムービーが挿入されるのもリッジシリーズとしてはこの作品が初。
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クオリティは高いものの、オリジナルサントラが存在しない。その辺りの経緯については後述する。
永瀬麗子初登場
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実はシリーズお馴染みのレースクイーン、永瀬麗子の初登場作でもある。当時はCGで生み出された彼女にビックリしたプレイヤーも多い。
本作以降、『V』を除き、レースクイーンとしてシリーズのマスコットキャラ的な扱いとなる。
賛否両論点
MT only車の存在
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その名の通り、MTしか選べない車がある。寧ろ、グレード3以降に追加される高性能車両の殆どはこれに該当する。
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但し、このゲームのデザイン自体、シフトチェンジに重きを置いている作風の為、ボタン二つで解決するこの部分を一概に批判する事はできないという意見も多々ある。
本作の坂道だらけのコースに加え、ATの仕様も出来が良いとは言えない上に、ATを使用すると難易度が逆に上昇する場面も多々ある。
逆にMTは本作における基本操作の一つであり、AT自体がオマケだと断じるプレイヤーもチラホラ。
クラス6のオーバルはMTが操作出来ないとクリア出来ないが、その他3コースも結局ATでの攻略は上級者向けの縛りプレイみたいなものであり実質MT必須である。
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勿論、苦手な人は苦手な要素ではある為、それが難易度に良くない影響を与えているのは間違いない。結局「MT only車」は本作のみの要素となり、以降の作品はどの車種もATとMTを選べる従来通りの方式に戻った。
敵専用車種の存在
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本作の敵車は全てプレイヤー車とデザインの異なる車種となっているのだが、プレイヤー側は改造コードなどを使わない正規プレイでは絶対に使用することができない。
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ザコ車ポジションの7台(×5クラス分で計35台)は全体的に簡素で小柄な外観となっているのだが、本作の4メーカー車種とは毛色が異なるデザインとなっている。特に初代リッジ以降メインビジュアルで推されていた「F/A RACING」っぽいデザインのモブ車、カーナンバー「55番」と「15番」は使いたかったという声も多い。
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入賞圏内に入る上位敵車4台(デビル含む×6クラス分で計24台)は各4メーカーの車種がモデルとなっているのだが、プレイヤー車のマイナーチェンジ版の様な外観になっており、カラーの塗り分けも異なる。
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ベイオネットっぽいがライトが固定式で吊り目のクラス3のカーナンバー「42番」や、自車版よりも細くリトラクタブルライトになった紫のイスタンテ(仮)であるクラス4の「28番」、白と青のカラーリングが目を引く自車のゲパルドと同系統であろうCカー風のクラス5の「03番」など、敵ながら人気のある車種が多く存在する。
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今までのリッジシリーズでは敵専用車種は数が少なく、特にPS版系統は登場車種は全てプレイアブルとして使用可能だったために特に目立つ。自車として実装する場合、各ペイントカラーのパターンを新たに用意しないといけないなどの手間を考えると実装できなかったのも頷けるがカッコいいデザインが多いだけに惜しい。
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しかし一方で「使用できない敵専用車種だからこそ輝いている」と言う意見も存在する。
問題点
操作性
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本作はまだPS1初期の作品であり、現在では当たり前となっているスティックによるアナログ入力には非対応であり、PS純正コンでは適切なハンドルやアクセル操作が難しい。
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この操作性の悪さが災いし、全台デビルカーで争う事になるエクストラグランプリのクラス6については超高難易度となっている。
また、壁や敵車に接触した場合の減速(ペナルティ)が大きすぎる為、操作性の悪さとATの出来の悪さも相まって速度の上がるクラス5辺りもそれなりに難しい。
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ただし、ナムコ純正の、PS1、2で発売されたリッジシリーズ全作共通で対応しているアナログコントローラー・ネジコンを使うとコーナリング性能が大幅に向上する。
「マシンのグリップ力自体が上がっている」と評されるほどの変化がある。更にコーナーリング中の減速も標準コンより抑えられる仕様である。
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特に顕著なのがオーバルコースであるジ・エクストリームオーバル。常にインベタを維持し、安定して最高速を出し切れる為、余程限界まで突き詰めない限りは完全に有利になる。
敵車及び壁追突時の厳し過ぎるペナルティ
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今作は操作性が非常に悪い上、コースに道幅の狭い部分が多い為、壁や敵車に接触しやすい。
その上、壁や敵車に接触衝突した場合のペナルティ(大幅な減速と加速力低下)が非常に大きい。
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道幅の狭い区間で敵車を綺麗にパスする事自体、使用するマシンによってはかなり困難である。
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一応MTのシフトアップダウンを利用しペナルティを殆どチャラにする裏技も有るが、タイミングがシビアであり簡単に出来るものではない。
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この仕様が後述されているクラス6の極悪難易度化に拍車をかけている。
クラス6の難易度
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エクストラGPのクラス5と6の差は余りにも激しく、普通のプレイヤーでは3位になるのすら大変なレベル。
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何よりデビルカー且つMT onlyのドラゴーネ以外ではクリア不可能なオーバルは勿論、それ以外のコースではATを選択出来るヴィクトアールで勝負出来るものの、今作のATは出来が悪い上に壁打ちとロケットスタートが使えない為大幅に不利になる。更にそのヴィクトアールを含めてデビルカー全車の操作がかなり難しく、慣れるまでは車の暴力的な性能に振り回されて満足に運転もままならないことも珍しくない。それでいて敵車は全台デビルカーである。
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他作品で例えるならリッジレーサー5を難易度ノーマル且つグリップ車でプレイしていたら最終戦だけマキシマムグランプリをドリフト車でクリアしろと言ってる様なものである。
しかもリトライ制限は他のクラス同様3回しか無い為、攻略は困難を極める。
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オーバル以外はデビルカーより1段階下のグレード5でもクリア可能である。しかし敵車が全台デビルカーである為、通常のプレイヤーでは4位になる事すら不可能。
そもそもクラス6に限らず、元々通常のGPよりも敵車が速いエクストラにおいて、クラス数未満のグレードでクリアすること自体が縛りプレイの一種のようなものである。
車の性能差に関する問題
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初期車両エスペランザはバランス型のはずが、同一グレードで比較したとしても非常に遅い。
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ハンドリング性能がアージュの各車に次いで良い為、それなりに扱いやすい程度のメリットしか無い。
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このマシンのATオンリープレイ自体が縛り・やりこみプレイみたいなものである。
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アッソルートの各車は設定スペック上速い筈だが、ハンドリング性能が低くドリフトの制御が難しい為、一般のプレイヤーが操作するレベルではオーバル以外では役に立たない。
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上級者が様々なテクニックを駆使した場合はその限りではないが…
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各車種はチューンしてクラスを上げる事が出来るが、仮にチューンしてクラスを一つ上げても最初からそのクラスの車よりスペックが劣る。
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アッソルートで具体的に例えると、ファタリタをチューンしてグレードを4に上げても最初からグレード4のイスタンテにスペックで劣り、イスタンテをチューンしてグレード5にしたとしても、最初からグレード5のゲパルドにスペックで勝つ事は無い。
タイムアタック関連
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タイムアタックではクリア前後問わず最後に入手した最新のグレードの車が選べるようになるが、その車はこのモードでも一度上げたグレードはそのままで変更が一切不可。なのでグレードを一旦下げて低グレードで、あるいは各車各グレード毎にタイムを計測するということができない。タイムアタックは最速タイムを狙うだけでなく練習にも最適なモードである為、これはやや不便だし残念な点。
ドリフト・グリップ走行が難しい
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本作はドリフト復帰時の車速減速率がかなり高いため、ほかのリッジ作品に比べてドリフト時の爽快感が薄い。
カウンターを当てるタイミングも随分とシビアになり、失敗のリスクが増加、純粋に脱出速度でも大きな差がつかない為、グリップに対してドリフトはかなり不利と言っていいくらいになった。ドリフトの始動・終了も各ボタンのタイミングがシビアでコントロールしづらく、ある時はドリフトしようとブレーキを踏んでも全く滑らなかったり、またある時は想定よりも長く滑ってしまうことがある。
従来作に慣れていると、たとえドリフトに成功しても「本当に上手く行ったのか?」と疑問に思う程の脱出速度になる。
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グリップ走行は
アクセルボタンを押しっぱなしの状態で
ブレーキを踏むことで発動させることができる。基本的にドリフトよりも安定しており、どんなコーナーに対しても確実に発動させることができるが、減速時に急激にコーナリング性能が向上する為、スピードが出る様になる終盤だと制御が難しくなっていく。
さりとてグリップもドリフトよりは余程マシだが物凄く速いとはいえず、ヘアピン級のRを持つコーナーだと、脱出速度が100km/hを切る場合も少なくない。
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一応ドリフト・グリップ走行は両立して使うこともできるが、慣れてくるとエスペランザやドリフトが殆どまともにできないアージュ車種は基本的に安定性の高いグリップ走行のみでよくなってしまう。
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本作時点では両挙動が統合されていたが、少々ややこしい仕様のためか後の作品では車メーカーによってドリフト・グリップ走行の挙動が変化、完全に分離することとなり、更にグリップ走行自体もアクセルボタンを離すだけで発動するなどより手軽に操作しやすくなった。
しかし本作では前述した通りアクセルを押した状態でブレーキを踏まなければ発動しない為、後発の作品をやった後に初めて本作をプレイすると混乱すると言う事態も起こる。流石にこればっかりは発売時期的に致し方ないが...
バグを含む内部処理の問題
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コースの当たり判定の設定がかなりアバウト。
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リプレイで見ると怪しい表示がはっきりと分かるレベル。何もない空間にマシンがぶつかっていたり、逆に壁や縁石にマシンの一部がめり込んでいるシーンが見て取れる。
特に、ライン的に順走時には通らないような箇所を走行する逆走時にこうした現象が起こりやすい。
敵車に対する優遇やそれに関連する問題
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グランプリクラス5までの敵車は、遅く入賞争いに関わってこないザコ敵車7台と、最終的に入賞圏内の順位まで上り詰める上位敵車4台で構成されているのだが...
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敵車や自車の当たり判定がコース同様に少々アバウトとなっており、ブロックに成功したかの様に見えても此方がぶつかってしまった判定になってしまい、減速ペナルティを食らうことがある。
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加えて基本的に敵車にとっては減速ペナルティがほぼ存在せず、こちらがぶつかったり敵車自身がコーナーでミスをしてもすぐに元のペースを取り戻す。加えて当たり判定もこちらよりも小さく、レイクサイドゲートの橋周辺の様に、自車がどう入ってもぶつかる様な壁とザコ車との細い隙間を、上位の4台は何事もなかったかの様にスッと通り抜けてしまう。
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上記の理由により、自車の速度が下がる急カーブで、後ろから猛スピードで追突してきた上位敵車のせいでこちらは失速してしまったにもかかわらず、ぶつかってきた敵車は何事もなかったかの様に復帰、自車を突き放していくという当たり屋の様な現象が起こることがある。
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派生として細い道でしか追い抜くタイミングがなく、ザコ車・上位敵車を追い抜こうとしたら何故か後ろからぶつかったことになり減速ペナルティを喰らうといったケースも。
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さらに本作のコースは全体的に道幅が狭い為、敵車に走りたいラインを潰されて迂回せざるを得なくなることも多い。それだけならまだしも、タイミングによってはそもそも追い抜ける隙間自体がなく、前を走る遅いザコ車に対して壁打ちでぶつかりある程度速度を維持して広い道まで耐えるしかないといった理不尽な局面も少なくない。
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他にも例としてジ・エクストリームオーバルは全6周となっているのだが、途中からザコ車が周回遅れとして再び前に出現する様になる。このザコ車達を避けつつ上位4台よりも速く前に出なければならないのだが、前述した様にコースが狭い関係で場合によっては上位敵車とザコ車が並んで追い抜ける隙間をほぼ埋めてしまう事がある。更にザコ車を追い抜こうとしたら丁度近くにいた上位敵車がザコ車を押し退けて、横からぶつかってきたザコ車のせいで自車が減速ペナルティを喰らうといったことも。
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ただでさえコースの当たり判定の出来が良くないにもかかわらず、この様に敵車によって理不尽な失速をせざるを得ないようなケースが多く、更にこれらの現象はスピードが速くミスも許されないクラス5以降から多発しやすくなる為プレイヤーの精神を削る様な仕様となっている。レースゲームに慣れていない初心者はもちろん、ある程度本作に慣れたプレイヤーにとっても辛い。敵車が狙って意図的にブロックしてくることはないのが救いか。
シフト関連
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シフトチェンジ時に純粋に加速が止まるのではなく、マシンの「加減速」が両方止まっている。
ここの仕様を突き素早くギアを上げ下げすると本来速度がガタ落ちするはずの坂道でギア一速落ち分の速度を保ったまま駆け上る事が可能。当然、リザード車の立場が無くなる上、MT操作さえできれば誰でもできるのにゲームバランスを軽く壊してしまうレベルのバグ技である。
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レースのスタート時にブレーキとアクセルを同時に踏んでおき、GOの合図と共にシフトアップしつつブレーキを離す事でロケットスタートが出来る(マシンによってスタート可能なギア数が違う)。成功すれば不使用時とは比べ物にならないスタートを切れる。更にトップギアでロケットスタートが出来るマシンは通常走行では到達不可能な速度まで加速する為、1周目のタイムが一番速いという現象も起こる。
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更に、坂道でのシフト技を応用し、敵車や壁に衝突する直前にシフトダウンする事で、衝突時の減速判定をクラッチの溜めで上書きし、衝突時の減速ペナルティをほぼ無かった事に出来る壁打ちという技も存在する。
こちらはタイミングを取るのが難しく、コンスタントに出来るものではない。この三つの技を活用出来なければ本作を完全クリアするのは実質不可能である。
総評
家庭版リッジレーサーシリーズとしては3作目、『リッジ』の名を冠していない為、外伝的な扱いをされる事の多い本作。
実際問題、初代やレボリューションに比べると、あらゆる面で本作独自の要素があり、CS機向けのシリーズの新たな方向性を見据えて開発されたであろうことは想像に難くない。
ただ、蓋を開けてみると、本作で追加された要素はいずれも出来が良く、その多くは次回作から早速取り入れられる事に。本作で一気に形作られたシステムは今後も形を変えながら、本シリーズの最後まで続いていく。
そうした意味では『真の意味での家庭版リッジレーサー』の始まりと見る事もできる、歴然とした本流作品の一つ。それを踏まえてか、次回作は『3』ではなく、『R4 リッジレーサータイプ4』となっている。
一方で壁への当たり判定や、イマイチ甘い調整が原因のバランス崩壊のバグが目立つなど、欠点も見られ、純然たる良作と呼ぶには粗い作りがなんとも惜しまれる。
基幹部分に当たるところの問題であり、手放しに良作と扱う事はできないが、十分佳作と呼べる作品だった。
シリーズとしても、いい意味で今後の展望を開いた作品であり、実験作としては大成功だったと言っていいかもしれない。
サウンドトラックに関するいざこざ
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歴代シリーズの中で本作のみサントラが出ていない上、その「真相」が明るみに出たのも随分と時間が経ってからになってしまった。
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次回作や機種が変わった新作でも早々にサントラが発売されたにもかかわらず、本作は音沙汰なし。別段出来が悪い訳でもないだけに、ファンの間では様々な憶測や疑問を呈す声をも少なくなかった。
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時は経って『リッジレーサーズ』のサントラにて、「Silver Stream」がかろうじて収録されたが、相変わらずこの一曲だけ。
リッジ20周年記念リミックスCDのライナーノーツで、歴代シリーズ全曲の作曲者が発表されるまでは、スタッフロールに記載されていた2人のどちらが担当していたのかも分かっていなかったほど。
同じくサントラ発売が遅れに遅れた『R:Racing Evolution』や、『リッジレーサー6』と違い、作曲者が2人とも当時の社員だった故に版権については問題ないという事で、後はマスター音源が残っているか否に絞られていく事に。
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2017年になって『レイジ』名義で初のサウンドトラックが発売されたが、こちらもオリジナル楽曲は収録されず。これによって、いよいよマスター音源紛失の可能性が高まっていたが…
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同年6月11日に行われたリッジレーサーフェス2017にて、サウンドディレクターで本作の曲を手掛けた1人でもある大久保氏より「ゲームディスクが再生出来るのでサントラを出す必要性を(当時)感じていなかった」「20年前という事もあり、マスター音源は全てのデータが発掘されなかったので、レイジリミックスのDisc2は『原曲に沿ったリミックス』という形で依頼した」と発言があり、大方の予想通り音源が無い事が発表された。
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流石に音源なしではどうにもならない為、今後もオリジナルサントラの発売は絶望的。ただ、大久保氏の言葉通り、本作までのシリーズ作品は本編ディスクをプレーヤーで再生する事でサントラ代わりに使える。
それらの面で見ても、本作の中古価格は変に高騰していたりしない為、サントラとして購入するのもアリだろう。
最終更新:2025年03月22日 10:37