R4 リッジレーサータイプ4
【あーるふぉー りっじれーさーたいぷふぉー】
ジャンル
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レースゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1998年12月3日
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定価
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6,090円
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廉価版
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PSone Books 2002年2月14日/2,310円
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配信
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ゲームアーカイブス 2011年7月6日/600円
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PS4/PS5移植版(単品) 2023年8月16日/1,100円
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判定
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良作
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ポイント
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業界最高峰の演出面 ハードの限界に挑んだグラフィック 拘りと構成のきいたGUI 感動モノなシナリオ 御洒落で多彩なBGM ゲーム自体は作業ゲー
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リッジレーサーシリーズ
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概要
ナムコの定番レースゲーム『リッジレーサー』シリーズの家庭用4作目。
『リッジ』、『レボリューション』、『レイジ』の路線とは少し趣を変えた、ハイセンスなインターフェースデザインと恒例のリッジサウンド、そしてレースゲームとしては珍しいストーリーモードを備えた異色の作品。
随所にレベルの高い演出が盛り込まれており、シリーズ最高傑作として挙げるリッジファンも多い。
略称は上記の画像の通り「R4」。
ゲームの流れ
本筋となるグランプリモードを始め、タイムアタックや対戦モード、グランプリクリア後のエクストラステージなどが用意されている。
条件を満たすことで獲得した新車をドレスアップできるガレージ機能も搭載。
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グランプリモード
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99年5月から大晦日にかけて行われる日米合同のレースイベント「REAL RACING ROOTS '99」に出場し、4つの都市・8コースで行われるレースを勝ち抜いていく。
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ゲーム開始時に契約するチームを4つから選択する。ストーリーはチームごとに存在するほか、4段階の難易度選択にもなっており、選んだチームによってマシンの性能や敵車の速さが変わる。
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チーム一覧
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RC MICRO MOUSE MAPPY(マイクロ・マウス・マッピー) 略称:MMM カーナンバー#88 難易度:Easy
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フランスのチーム。マシンのカラーリングはピンク、水色、白のトリコロールカラー。モチーフは『マイクロマウス』及び『マッピー』。
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マシンは最高速度は低いが、旋回性能に優れており、初心者でも運転しやすい仕様となっている。また、敵車の速さも他のチームを選んだ場合に比べて遅くなる。
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PAC RACING CLUB(パック・レーシング・クラブ) 略称:PRC カーナンバー#76 難易度:Normal
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日本のチーム。マシンのカラーリングは黄色と赤のツートーン。モチーフは『パックマン』。
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マシンはバランス型のセッティングがされており、敵車の速さも真ん中くらい。
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RACING TEAM SOLVALOU(レーシング・チーム・ソルバルウ) 略称:RTS カーナンバー#02 難易度:Hard
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イタリアのチーム。マシンのカラーリングは銀をベースに紺と白のストライプが入る。モチーフは『ゼビウス』。
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マシンは最高速が高めだが、その分旋回性能が犠牲となっているため操作難易度は高い。
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DIG RACING TEAM(ディグ・レーシング・チーム) 略称:DRT カーナンバー#14 難易度:Expert
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アメリカのチーム。マシンのカラーリングは水色をベースに青と黄の差し色が入る。モチーフは『ディグダグ』。
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序盤のマシンは最高速はMMMより少し高い程度にもかかわらず、旋回性能はRTSより低いととにかく低性能。ステージが進むごとに最高速は伸びていき、最高分岐ではRTSを超えるほどになるものの、旋回性能は一貫して低いままであるためピーキーで扱いづらい。また、難易度Expertらしく敵車も非常に速いため、クリアにはかなりの腕前を要求される。
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一番簡単なMMMなら他車が遅い上自車も扱いやすく簡単だが、一番難しいDRTでは他車が速く自車も特にコーナリング性能がヘボなため、本当に難しい。
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乗る車のメーカーも4種類から選択でき、選んだメーカーによってドリフトタイプかグリップタイプか変わってくる。
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一次予選・2戦、二次予選・2戦、決勝グランプリ・4戦をそれぞれ3位・2位・1位以内でクリアすると次のレースに進める。各レースは4回までリトライが可能で、クリア順位や走行タイムによって査定が行われ、一次~二次、二次~決勝、最終戦前に投入される新車の性能に影響する(セーブもこのタイミングで可能)。
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好成績を収めると高性能な車が貰え、反対だと現行車のチューンアップで済まされる妙にリアルな設定。ただし新車を貰うと他チームもそれ相応の新車を投入してくるため、実は好成績を収めた方が難易度は上がる。
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グランプリモードで乗車した車はガレージに登録できる。好きなカラーリングをしたり、自作エンブレムをペイントすることが可能で、タイムアタックや2P対戦などで使用できる。
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ポケットステーションに対応しており、収集した車の交換もできる。
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エクストラトライアル
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グランプリモードを一度クリアすると解禁されるモード。デビルカーとの1対1のタイマン勝負を行い、勝利すると相手のデビルカーがガレージに追加されタイムアタック等で使用できるようになる。
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デビルカーは各メーカーごとに1車種用意されており、またチームによるチューニング違いも存在するため、4×4=16種存在する。この内チームとメーカーの国籍が一致するものは他より若干性能が高く、カラーリングも豪華な「シンボリックデビルカー」となる。対戦するデビルカーは自車のチーム及びメーカーの組み合わせと同じものとなる。
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ディスク2枚組で、ディスク2は「ボーナスディスク」となっており、PS版初代リッジレーサーを60fpsにした「ハイスペックバージョン」と、体験版などがついたナムコのゲームの商品カタログが収録されている。
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ハイスペックバージョンの詳細についてはPS版「リッジレーサー」の記事を参照。おまけとは思えない程のクオリティなのにもかかわらず、残念ながらThe Best版以降、およびアーカイブス版には収録されていないので注意。
評価点
ハイセンスかつ卓越した演出力
このゲーム最大の評価点は、まさに「演出重視のレースゲーム」と言われる、演出面である。
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CGムービーによるオープニングは非常にお洒落。ゲーム画面もプレイステーション最高クラスのグラフィックで、路面への光や影の表現には特に力が入っている。
パフォーマンスをギリギリまで引き出すため、ソニー提供のランタイムライブラリを使わずに、アセンブラで直接チップを叩く荒技を行ったとか。
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「早朝」「夕方」「夜」といったコースごとの時間帯ごとの表情や、コースの各所に設けられた背景オブジェなども印象的。
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『グランツーリスモ』では一枚絵で表現されていた背景はしっかり作りこまれている。
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ストーリーは主張しすぎず、それでいてゲームを盛り上げるほどよい塩梅。
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4チームの中でも人気が高いのが最も難易度の高いDRT。冴えない中年監督がプレイヤーの奮闘から自信と勇気を得ていく様に感動したプレイヤーは数知れず。エピローグは感動を維持したまま、ほろ苦くも温かみのある幕引きとなっている。
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日本人中心の新興チームPRCと、イタリアの名門RTSの監督同士の因縁。1人のドライバーの死をきっかけとした過去の悲劇から立ち直り、最後には互いのプライドをかけた激突にまで突き進む一部始終を両者の視点から個別に描いている。
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道楽感覚のいい加減な若手女性オーナーが、プレイヤーや監督以下スタッフたちに引っ張られる形で成長するMMM。徐々に自覚と責任に目覚め、最後は「自分の守りたい人は誰なのか」に気づくまでの過程をプレイヤー視点で見ることとなる。
リッジサウンド
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BGMは概ねシリーズ屈指の高水準と評され、「YOUR VIBE」「QUIET CURVES」「MOVE ME」「MOVIN' IN CIRCLES」などを中心にどれも人気が高い。
バキバキのサウンドを響かせていた初代~レイジから180度方向転換しているが、落ち着いた雰囲気のドラムンベースやハウスやアシッドジャズがメイン。
中には後発作品に通じるソリッドなミクスチャーサウンドもある。サントラCDもかなりの好評を博し、一度再販されるまではプレミア化していた時期もあったほど。
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残念ながら今作からCD-DA再生では無くなったため、ゲームソフトをサントラ代わりにする事は不可能。
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シリーズの恒例として、レース開始前に選曲が可能だが、今作のGPモードではプリセットBGMが各コース・チームごとに最も合っているものに設定されているのがオツなところ。
個性的な見た目のマシン
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シリーズの中でもメーカーごとに割り振られたマシンの個性が明確。メーカーごとにマシンのフォルムの明確な個性付けがされており、格好いいマシンから奇想天外なマシンが揃っている。
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特にテラジは風変わりな外観ばかり。オートバイに自動車のフロントをくっつけたような「ワイルドボアー」や、旧式の葉巻型フォーミュラに似せて作られた「スターライト」、どこからどう見てもミニ四駆な「デストロイヤー」のビジュアルは脳裏に焼き付くこと請け合い。
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クリア後の隠しモードで入手できるデビルカーはさらにゲテモノ化が進み、ロケットや軽自動車が登場している。ロケットはジェットエンジンで突き進み、軽自動車は並列2気筒で排気量たった500ccなのに500馬力超という超絶高性能エンジンに物を言わせ、ギア1段のみの時速300kmでコースをひっかき回す。リザード社とアッソルート社のデビルカーは完璧にオーパーツ化しており、それぞれ熱核融合炉と対消滅反重力エンジン(!!)という事故ったら大惨事確実の走る危険物を繰り出してくる。
バラエティに富んだコース
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今までは作品によって舞台となる場所が決められていて、そこから分岐点を作って2~3コース、というのがシリーズ恒例であったが今作は複数の地域でレースが開催されるようになった。
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「横浜」「福岡」「ニューヨーク」「ロサンゼルス」の4地域にコースがあり、それぞれ全く違う雰囲気で走るため飽きにくい。
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分岐コースも存在するが共通区間を極力短くしたりレースの時間帯を変更したりと同じであることを感じさせない工夫がされている。横浜のみ3コース存在しているものの、そのうち1つは完全に独立して作られている。
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コース数も順走のみで全8コースと倍以上に増加。なんと過去作コースなしに次作『V』より多い。
適正に調整された難易度
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ゲームバランスが適正に整っており、難し過ぎず、簡単過ぎないレベルにまとまっている。
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グランプリモードでは難易度EasyのMMMを選択すれば初心者でも十分クリアを狙える一方、難易度ExpertのDRTは最高分岐でのクリアがやりこみ並みの難易度と言われるほど歯ごたえのある難易度となっており、上級者も楽しめる。
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ただしこれはあくまでグランプリモードの話であり、全マシンのコンプリートを目指そうとすると後述する問題点が露呈することとなる。
問題点
水増しも過ぎる車種数
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300台以上ものマシンを使用できるというのが公式のウリであったが、水増しがかなりひどい。
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使用可能マシンは320+1となっているが、これはチューンナップ等による同一車種の差分を全て別個にカウントしたうえでの数。収録車種というくくりで見ると「4メーカー各11車種+1」の全45車種しかない。
流石に宣伝に使われた数である300の6分の1未満というのは、わざと誤解させる意図があったと思われる。当時としては圧倒的な収録車両数を誇った『グランツーリスモ』に対抗するために誇大広告を打ったのだろう。
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性能面についても、グリップorドリフト・契約チーム・グレードの3要素が同じならどの車も横並びになってしまい、よほどガチガチにやり込まない限りマシン毎の違いは実感できない。デビルカーはかなり個性的な性能になっているが、それが却ってチーム毎の差異を目立たなくする結果となっている。そのため、事実上のバリエーションは全37台相当と収録車種数よりもさらに少なくなってしまう。
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そして入手後は大多数のマシンがトロフィー代わりにしかならないため、321台にしろ37台にしろ、その数を全く活かせていない。根本的に曲がり方が違うグリップタイプの存在は差別化に一役買っているが、同タイプ内でも差がもっと欲しかったところ。
苦行のマシンコンプリート
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膨大なマシンの数に対して、ゲームを1周クリアして手に入るのは最大4台。マシンコンプリートにはグランプリモードを最低112周する必要がある。しかもこれはできる限りマシンの被りを減らした上での数。分岐条件を把握していないとさらに掛かってしまうのだ。
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上述した通り所属チームによる差分はデビルカーにも存在するため、エクストラトライアルも計16回の勝利が必要になる。
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グランプリモードの説明でも述べた通り、ただ1位を取り続けるだけでは入手できない車種が出てくるため、あえてレースに負けたりタイムを落としたりしなければならない。成績に応じたストーリーの分岐は楽しめるが、それでも作業感は非常に大きい。
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ちなみに、オープニングムービーを飾る「ビゾンテ」も、1位を取り続けるともらえない車両である。
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最後の隠し車両である「パックマンカー」の条件は「パックマンカーを除く320台全てのマシンを入手」。流石にここまで解禁に時間がかかる条件はいらなかったのでは…。
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難易度面でも初心者には相当厳しい。グランプリモードのDRTが大きな壁となるほか、エクストラトライアルの対戦相手のデビルカーもRTSとDRTだと鬼のように強い。
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そのため一般的にシリーズ最高難易度とされるのは『V』だが、難易度EASYで全マシン解禁ができるあちらと違い、マシンコンプリートに関しては手間を抜きにしても本作の方が圧倒的に難易度が高い。
緩慢でらしくない挙動
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これまでの作品と比べゲームスピードが落とされたことに合わせ、全体的に車の旋回性能が低めに設定されている。
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さらに本作はドリフトの仕様が独特であり、最初のアクセルを離した時間で持続時間が決まるというのがかなり厄介。ドリフトが開始してからの調整は左右に軌道を多少動かせるだけで、意図的なタイミングで収束ができない。高グレード車だと持続時間の調整もシビアすぎて、慣れていても毎回適切に行うのはほぼ不可能。
そのため左右調整だけでドリフト終了時に壁に接触するのを極力減らすことになる。
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シフトダウンを利用した再加速のテクニックがあり、壁に接触した際のロス自体は大幅に緩和されている。道幅も広めになっていので、コーナリングの緊張感をある程度保っている面もある。
相変わらずのネジコン優遇
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アナログ入力対応でハンドルの微調整が行えるのは当然として、最大入力が明らかに標準コントローラよりよく曲がるようになっている。明らかに不可能な挙動が行えるようになる初代や『レイジ』ほどではないが、アクセル全開で曲がり切れるコーナーが増えるのは旋回性が全体的に低めな本作では強力。
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ドリフトも仕様そのものが変わるわけではないが、軌道調整が大幅に楽になるため操作難易度はガクンと落ちる。
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非公式のTA大会では使用禁止の措置が取られることもあるが、結果表示画面だと使用の有無の判別ができない。レースゲームとしてはかなり公平性に欠ける。
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本作より先に発売した『グランツーリスモ』ではDUALSHOCKに対応していたが、結局PS1のリッジシリーズでは対応しなかった。正直、ネジコンを売るためにあえてそうしたと邪推されるのもやむを得ないだろう。
その他
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複数の敵車とレースができるのがグランプリモードのみ。
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ガレージに入れた車でグランプリのような混戦をすることはできない。またコースの登場順はどの所属チームでも同じのため、序盤のコースを高速マシンでグランプリ形式のレースをしたり、その逆ができない。
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グランプリの同時出走台数は8台とシリーズの中では少ない。内訳は所属チームとして選択できる4チームのマシンが2台ずつで、ゲーム中では気にならないが、一次予選から決勝まであるのにずっと同じ4チームというのはよく考えてみると不自然な仕様になっている。
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特にDRTを敵チームにした時に顕著。所属チームでは「予選突破が珍しい」「プレイヤーが活躍しないと予算不足で高性能車を用意できない」と語られているが、敵だと負け続けながらも決勝まで残り、プレイヤーが好成績ならそれに合わせた高性能車を用意してくる。
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いずれのチームにもプレイヤー相当のライバルが存在しており、リトライも可能なルールであるため別の試合で好成績を残しているのではないかと推測することは可能。特に決勝をノーミスで勝ち上がるのは作中の世界では至難であることも語られている。
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また、各チームの2台の車両のテクスチャは共通のため、カーナンバーが重複している。2台目のマシンは数字が黄色になっているため見分けはつくものの、現実ではほぼあり得ない状態となってしまっている。
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リプレイの出来は、同時期に発売された『グランツーリスモ』と比べると劣る。
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レース途中からのリプレイしか見ることができないほか、再生中のカメラアングルの変更やリプレイの保存もできない。
総評
「演出重視のレースゲーム」という稀有な存在。しかし、その演出が特に際立って出来が良く、それが一部のファンに「最高のレースゲーム」と言わしめるほどの好評価に繋がっている。
リッジレーサー特有の操作性もあり、手軽に遊べるレースゲームである。
余談
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次回作は『リッジレーサーV』であり、本作のタイトルは4作目という意味だと思われるが「3」にあたる作品がどれになるかははっきりしていない。
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「家庭用4作目」という意味なら、「2」=『レボリューション』で『3』=『レイジ』だと思われる。
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が、ナンバリングとして「2」がついているタイトルはアーケード版のみで家庭用ではその名が採用されていない『リッジレーサー2』であり、「3」はアーケード版の3作目である『レイブ』で『レイジ』は外伝作とも考えられる。
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『リッジレーサーズ』においてはどちらもナンバリング作品と同等のタイトルとして扱われている。
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本作と同時に、ナムコからネジコンに次ぐコントローラーとして「ジョグコン」が発売され、本作との同梱版も発売された。
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コントローラーの中心にダイヤルが配置されており、実際に運転しているような反発力を感じることができるという触れ込みであったが、ネジコンほどの普及は叶わず公式の対応ソフトも少ないまま終わってしまった。
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発売から20年経った2019年3月21日には、本作のサントラのリマスタリング版に加え、著名サウンドクリエイターたちによるリミックス音源を収録した『R4 -THE 20TH ANNIV. SOUNDS-』が発売された。
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原盤のサウンドトラックは一度再版されたが再び廃盤となってしまっているため、もし本作の音楽が気に入ったのであればこちらを購入しよう。
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さらに発売から25年経った2023年3月21日にはPlayStationPlusのクラシックスカタログにて配信開始、同年8月16日からは『リッジレーサーズ2』と共に単品でのDL販売も開始された。
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ちなみにこの配信により、ゲームアーカイブス版を合わせてリッジレーサーシリーズ中唯一の全PS系列ハードで遊べる作品となった。
最終更新:2024年07月27日 22:27