修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。
依頼内容は、評価点の強化(「自由度」が売りなのであれば、より詳細な記述を)です。


パネキット

【ぱねきっと】

ジャンル シミュレーション
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 1999年8月5日
定価 5800円
配信 ゲームアーカイブス:2007年6月28日/600円
判定 良作


概要

パネル状のパーツを組み合わせ自動車や船、飛行機などのモデルを作って動かすコンストラクションと物理シミュレーションの要素を併せ持ったもの作り系ゲーム。
キャッチコピーは「無限工作おもちゃ箱」。その名の通り無限に遊べる途方もない自由度を持ち、発想次第で何でも作れるという、子供の頃の夢を具現化したようなソフトである。

どこでもいっしょ』や『Xi』を生んだ公募企画「ゲームやろうぜ」発祥タイトルの一つ。


「自由度」とは?

ゲームを語るときに欠かせない要素の一つとして「自由度」がある。「なんでもできる」ということはそれだけでウリになる事が多く、逆にどんなに名作でも「一本道で自由度が無い」と批判されることがあることからも、その重要性が分かる。自由度の高いゲームの例として同じPS末期の『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』をあげると、「生き残る事ができれば何でもしていい」という自由度が大きな支持を得た。

そして現在、自由度を重視したゲームとして前述の『ガンパレード・マーチ』や『グランド・セフト・オート』のようないわゆる「箱庭系ゲーム」が多く発売されるようになっているが、それとは全く異なる方向性で「一生遊べる」とまで言われた自由度を持ったソフトが本作『パネキット』である。


基本的なシステム

  • ゲームの流れ・フィールド
    • 舞台は個性豊かな5つの島。全ての島はシームレスに行き来可能。
    • 島のあちこちで「競技」に挑戦したり、点在するアイテムボックスを発見することで、後述のパーツやプリセット設計図を入手して、作れるモデルのバリエーションを増やしていく。
    • 色々なモデルを利用して、更に競技をクリアしたり島を探索しつつ、好きなタイミングで次の島へと移動する。これを繰り返して、5つの島を順番に進行していく。
      • 「パーツを組み合わせてモデルを作り、競技をクリアする」。子供のころの積み木遊びがそのまま「ロボコン」のようになったとでも例えれば良いだろうか。
      • 次の島へと渡る前には、険しい坂道を登らなければならなかったり、海を渡る必要があったりといった、何らかの関門を突破しなければならない。ここを越えるためにもモデル作りの工夫が試される。
    • 最後の島の競技「ワールドツアー」のレベル1をクリアすれば一応エンディング。スタッフロールが流れる。が……(後述)
    • 一度訪れたことのある場所なら、メニュー画面上で特定地点へ簡単にワープ(ファストトラベル)できるので、広大な島を割と快適に移動できる。
    • 横転するなどして操作不能になってもボタン一つで(角度などもある程度調整した上で)復帰できる。いっそそれを前提にしたモデルにしてもいい。
    • 海や湖も存在しているが、モデル全体が沈んでしまうと近くの水辺に戻される。逆に言うと、モデルの一部が水上に出ていればそのまま進めるため、船はおろか潜水艦的なものも作れる。
  • 競技
    • 各島の特徴を生かしたバラエティに富む競技が用意されている。それぞれレベル1、レベル2の二つのノルマがあり、それをクリアすることによってゲームを進めていく。
    • 第一の島「わかば島」からチュートリアルで始まり、レースやラリー、グライダー、射撃などを経て最後には全5島を一周する「ワールドツアー」で締め括られる。
    • 全ての競技は最高成績が記録される。競技の記録の限界に挑戦するという楽しみ方もある。
    • 競技をクリアするためのモデルの組み方は自由。競技のルールから違反しなければ、どんなモデルを使って、どんな風に攻略してもいい。
      • 競技のルール・趣旨に従ってモデルを作るだけでなく、ルールの穴を突くモデルを作って攻略するのもあり*1。難易度を大幅に下げたり、驚異的な記録を叩き出したり、無操作でクリアといったこともできる。
    • モデルの出来だけでなくプレイヤーの操縦スキルもモノを言うものが結構ある。
      • 例えば「ひこうきぐも」なら、ある程度の速度と高度で飛行することで発生する飛行機雲を絶やさず、急旋回やきりもみ飛行、果ては背面飛行や宙返りといったトリックを決めろというもの。
        これらのトリックを勢いを殺さず決められるモデル設計と操縦スキルが必要となる、初心者~中級者の壁。
  • パーツ及び設計
    • パネル型の形状をしており、これを組み合わせてモデルを作る。また、接続面は15°単位で±165°の角度をつけることができる。見栄えや空力など、ちょっとの差で結構な違いがある場合がある。
    • パネル以外の配置パーツには、コントローラーのほぼ全てのボタンに連動した動作を設定できる。カーブや加速、ジェットによるブースト、きりもみ飛行や変形なども設定次第で思いのまま。
    • パーツは全9種類。中心となるコア、ノーマルパネル、3軸それぞれのジョイント、車輪、ジェット、モーター、弾丸を飛ばすシューターと必要最低限で重要なパーツばかりである。
      • 各パーツはそれぞれあれこれ使ってみないと分からない特性を有しており、それによって実に様々な挙動のモデルを作ることが出来る。
      • コアは最初の1パネル目であり、中心部分。それ以外は通常のパネルと同じ。
      • ノーマルパネルは全てのモデルの基礎。パーツの中で唯一四方にパーツを接続できる。また、1枚接続するごとに電力が増える。各パーツはこの電力がないと十分に稼動しないので、本気でこのパーツがなければ何も成り立たない。着色可。
      • ジョイントはX,Y,Zとあり、設定されたボタンに連動して接続角度と同様に±165°変動する(ボタンごとに角度を設定可能)。いくら曲げても消耗する電力は固定。
      • 車輪は設定されたボタンに応じて時計回り/反時計回りに4段階の速度で回転させることができる(電力は速度に比例する)。実は普通に地上を走る以外にも使える。なお、出力は以下の4つも同様。
      • ジェットは直線的な推力を得る。飛行機や船が大好きな人はよくお世話になること請け合い。正確には「ジェット噴射を受けた物体(地面・空気込み)を垂直に押す」という機能なので、物を押したりにも使える。
      • モーターは先端部にさらにパネルをつけることができ、それを回転させることができる。重量などの負荷次第では根元の方が回る。もっぱらプロペラや遠心力を得るために使う。
      • シューターは弾丸を射出する。良くも悪くも物理法則の影響を受けるため、普通に撃つとあまり飛ばないが、ジョイントやモーターと組み合わせることで飛距離を伸ばせる。最大出力だとビームになるのでモビルスーツ御用達。
    • なお、各パーツは最初から全て使えるわけではなく、フィールドに散らばっているボックスから回収したりする必要がある。後述のプリセットも同様。
    • 設計したモデルは、実際にフィールドで動かす前にシミュレーターで動かすことが出来る。ここでは電力状況や負荷方向などが視覚的に分かるようになっている。
      • シミュレーターのフィールドは、無限遠に続く平面。そのため、水がないと直立すらままならないであろう船の設計には向かない(車輪駆動・飛行・変形など、水辺に行くための設計はできるが)。
  • モデル
    • モデルの組み方は、自分でパーツを組み合わせる「エディット」の他に、「プリセット」という設計図(ゲーム側から用意されているモデル)を読み込む方法もある。
      • もちろんプリセットのモデルをエディットで更に改造することもできる。
      • プリセットのモデルだけでもゲームクリアまで十分遊べるが、そこにプレイヤー独自の手を加えることで、更にゲーム進行を楽にすることができる。
    • パネルの数に応じて得られる電力とパーツが消費する電力のバランス、様々な抵抗、1モデルにつきパーツ100個という制限などを考えなければならず、非常に奥が深い。
    • ちなみに、作ったモデルには説明を入力できる。懇切丁寧な取説にしてもよし、脳内設定フルスロットルにしてもよし

エンディング=オープニング

  • スタッフロールが終わってからがむしろ本番と言える。レベル1の「ワールドツアー」まではちょっと長めなチュートリアルと考えてもらっても差し支えない。
  • まずレベル2全制覇を目指そう。かなりシビアな設定となっている競技も多く、モデルの完成度と操作技術が両方試される。
  • そしてレベル2を制覇してもそこで終わりではない。全てのパーツを集めたあとは、そこからの楽しみ方は人それぞれ。例えば……
    • 20段変形ロボを作ってみる。
    • プログラム上の限界を超えて上昇してみる。
    • 何も操作しないでも勝手に動き、競技をクリアしてくれる全自動モデルを作ってみる。
    • モビルスーツなど、既存作品に登場するものを再現してみる。 など様々。もちろん競技の記録を限界まで伸ばすのもいいし、外観にこだわったネタ系モデルを作るのもOK。想像力が尽きない限り一生プレイできる、それがパネキットなのである。

評価点

  • その圧倒的な自由度
    • 上記のように、想像力ある限りはプレイを妨げるものは殆どない(下記の問題点がある為「一切ない」とは言えないが)。
      発売から20年近く過ぎた今でさえ、本作(及び本作のオマージュ的なPCフリーゲーム)のユーザーにより生み出されたオリジナルモデルが掲示板などへアップされ続けている。
      これほど息の長いゲームであり続けられるのも、その自由度のおかげだろう。
    • また、自由度をウリにするゲームが陥りがちな「何をしていいかわからない」という状態にもなりにくい。
      競技に興味がなければやらなくてもいいし、限られたパーツで構わないというならばわかば島から出なくてもいい。
      ユーザーは何をしてもいいし、何もしなくてもいい。
  • 広大なフィールド
    • それぞれ趣の違う5つの島が舞台となる。チュートリアルマップのわかば島は少々小ぶりだが、他のマップは充分に広い。
      • 道路の多い文明的なマップ、水辺の多い歓楽的なマップ、摩擦抵抗の少ない雪マップなど島ごとに雰囲気や特徴がガラリと変わる。
      • その広大なフィールドを開始時以外のロード無し、シームレスで自由に探検出来るため、ただフィールドを巡ることさえ大きな楽しみの一つになっている。
    • マップの様々な場所に箱が設置されており、開けるとパーツやプリセットが入手出来る。初めての場所に来たという新たな発見や収集要素も味わえる。
  • 多彩な競技
    • 前述した様に競技の数は多く、多様性に富んでいる。競技毎に2個ずつ、クリアで必ずプリセットを獲得出来るので誰もがモチベーションも保ちやすい。
      • 種類はとにかく多く、単純なレース一つ取っても普通のロードレース、ジャンプ台の多い障害レース、荒野を走るオフロードレースなど多岐に渡る。
    • 行き詰まってもゲーム進行には何も支障は無い、先の島へと進み新たなパーツやまだ見ぬプリセットを得て攻略の助けにする事も出来る。
    • 競技中はいつでも中止もリスタートも出来る、失敗時も表示が消えるまでならリスタートが出来るため一々スタート地点に戻る煩わしさは無い。

問題点

  • 所々処理落ちする。
    • パーツ数の多いモデルを動かしたり、競技途中で別アングルの小窓が表示されると、その頻度は大幅に上がる。
  • シームレスにマップを行き来できる仕組みのため、細かいディスクアクセスが持続的に発生する。
    • ディスクドライブの弱い本体ではちょっとしんどい。
  • 前述の通り、一モデルにパーツが100枚までという制限がある。そのため、大型モデルは作れない。
    • 「制限があるから燃える」との意見も。
  • パネルと地面との摩擦が弱め。
    • そのため、モデルの手足の可動によって「歩く(地面を這う)」ことは非常に困難。たとえ歩けてもほとんど移動できなかったりする(不可能というわけではない)。
    • プリセットの中にも匍匐前進をするモデルや、複数のパネルを繋げて大きなタイヤを表現した自転車などがあるが、実用性には乏しい。

総評

「無限工作おもちゃ箱」というキャッチコピーは伊達でも酔狂でもなく、プレイヤーの想像力を燃料にして延々と遊び続けられるクラフト系タイトルの良作。
他の自由度の高いゲームがそうであるように人を選ぶ作品であることは否めず、自分で目的を見つけられないと単なる作業になってしまうが、想像力を発揮してコツコツともの作りに勤しむのが好きであればとことんハマり込めること間違いなしの中毒性を持っている。
もちろん、ハード的な制約もあってパネル枚数などの制限はあるが、制限の中でいかに工夫して発想を形にするかを試行錯誤していくことも楽しみの一つであり、無限の楽しみを味わうことができる優れた作品である。


余談

  • 初期型を除くPS2で起動しない。
    • ただし、SCEに連絡すれば修正版と交換してくれる。
  • PS末期のソフトのため、出荷数はそこまで伸びなかったとされる。
    • その後、インターネットの普及とともに再評価され、ファンサイトが多く立ち上げられた。
      • 検索すれば、モデルのセーブデータや攻略情報を掲載しているサイトが出てくるはずである。中には、バグさえ利用して普通では考えられない動き(一部ではパネキット物理学と呼ばれる)を実現させてしまうモデルもある。一度でもいいので「パネキット」で検索して、その才能の無駄遣いを見て頂きたい。玄人がそのリソースをフル活用した作品群は感動すら覚えること請け合い。
    • 原作ソフトはプレミア化していて、なかなか触れる機会がないのが惜しまれていた。
  • が、2007年6月28日にゲームアーカイブスで配信。600円という安価な価格も手伝って、再びファンを増やしている。
  • また、気軽に体験したいなら、同じようなコンセプトのフリーソフトで『RigidChips』というソフトがあるので、そちらで体験してみるのも手だろう。
    • もちろんRigidChipsにも別の良さがある。ネットワーク対戦、Luaによるスクリプト制御などが取り入れられていて、さらに自由度の高いモデル作成が可能。