蒼魔灯
【そうまとう】
| ジャンル | トラップアクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売・開発元 | テクモ | 
| 発売日 | 1999年12月9日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:C(15才以上対象) | 
| 廉価版 | PlayStation the Best 2001年8月16日/2,800円
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| 配信 | ゲームアーカイブス 2009年1月28日/600円
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| 判定 | 良作 | 
| 影牢シリーズ | 
 
概要
一作目『刻命館』、二作目『影牢 ~刻命館 真章~』に続くシリーズ第3弾。
システムの大きな改変はないものの、トラップのカスタマイズ・グラフィックの向上など作品の質は全体的に向上している。
基本的なゲームシステムは『影牢 ~刻命館 真章~』の記事を参照。
前作からの追加・変更点
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トラップ作成の仕様変更により、使用できるトラップの総数が増加。ついでに「デルタホース(三角木馬)」といったネタトラップも追加。これについては別項で説明する。
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また、マップにあらかじめ設置してある仕掛け(倒れる柱など)の種類も増加。スイッチに触れることで起動する仕掛けといった新顔も登場。
 
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前作では階段を上るだけでもたつくほどもっさりしていたが、本作では全体的に動作が軽くなっており、よくアクションゲームらしくなった。それに合わせてコンボのタイミングも早まっている。
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課題が与えられゲームを基礎から覚えられる「トラップライセンス」、動かない敵を相手にトラップの性能確認やコンボの練習ができる「フリートレーニング」、上級者向けの詰め蒼魔灯「エキスパートモード」が追加。エキスパートモードは同社の名作『零 ~zero~』シリーズに「ミッション」として受け継がれていくことになる。
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トラップコンボの最大ヒット数が10→15に上昇し、獲得Arkの上限も拡充されている。
トラップ作成の大幅な仕様変更
前作ではトラップ開発がツリー形式となっており、トラップAを開発すると新たにBが、Bを開発するとCとDが…という風に順番に開発していく必要があった。
しかし本作では、基本となる「ベーストラップ」に、属性を付与する「エンブレム」、レベルを上げて威力や効果範囲などを調整する「オーブ」、特殊効果を付与する「リング」の3項目を設定することで派生・変化するようになり、結果トラップの総量が倍以上に増えている。
    
    
        | + | 簡単な説明と例 | 
ベーストラップ
天井トラップ
メガロック…上から丸い岩を落とし、ぶつかった敵にダメージを与える。丸いので斜面に落とせば下に転がり落ちるし、プッシュウォール系トラップで押し出すこともできる。
ペンデュラム…振り子運動をしている巨大な刃。当たった敵にダメージを与えるとともに横に大きく吹っ飛ばす。
カビン…敵の頭上に落とすとすっぽり頭にかぶさり、しばらくの間前にフラフラ歩くだけになる。威力は低いが拘束時間が非常に長い。
壁トラップ
プッシュウォール…壁がせり出し、当たった敵を押し出す。前述のとおり、押し出せるのは敵だけとは限らない。
マグネットウォール…プッシュウォールとは逆に、こちらは敵を磁力で吸引して拘束する壁を作成する。
アロースリット…仕掛けから矢を射出して、当たった敵にダメージを与える。
床トラップ
スプリングフロア…踏んだ敵を横に吹っ飛ばす罠を生成する。
バキュームフロア…マグネットウォールの床バージョン。
ブラストボム…設置で爆発を起こし、周囲の敵にダメージを与える。
ベアトラップ…猟師が狩りに使うトラバサミ。足をガッチリ固定して敵を拘束する。
 
エンブレム
サンダーエンブレム…「雷の紋章」。トラップが帯電し、一部の仕掛け(例…水辺)に反応するようになる。
ファイアーエンブレム…「炎の紋章」。トラップが火に包まれ、油や火薬に着火できるようになる。
コールドエンブレム…「氷の紋章」。トラップが氷結し、当たった敵を凍結させることができるようになる。
インパクトエンブレム…「衝撃の紋章」。敵を横に吹き飛ばす力が高まる。
ライジングエンブレム…「飛翔の紋章」。敵を上に吹き飛ばす力が高まる。
カースドエンブレム…「呪詛の紋章」。毒や混乱といった状態異常を付与する。
カオスエンブレム…「混沌の紋章」。型にはまらない、様々な特性を付与する。
スレイブエンブレム…「奴隷の紋章」。プレイヤーがトラップの挙動に干渉できるようになる(軌道を制御できる、当たった敵をプレイヤーが操作できるetc...)。
ヘルエンブレム…「地獄の紋章」。敵の防御力を無視してダメージを与える特性が付与される。特定エンディング後に入手。
 
オーブ…トラップのレベルを決定させる。レベルは1~4の4段階で、基本的には高レベルの方が性能は上。ただし一部のトラップにはレベルが上がると性質が変化するものもある。
 
リング
チャージリング…トラップのチャージタイムを20%短縮する。
サモンリング…起動から4秒間の間、周囲4ブロック以内の人間を設置位置に引きつける。さらに設置位置に立つ人間の動きをトラップが起動するまで止める。
タイマーリング…チャージ完了から3秒間に限り、トラップの範囲内に敵が侵入すると自動発動するようになる。
ゼロリング…トラップのチャージタイムが種別を問わず1秒になる。
オートリング…仕掛けたトラップと同じ部屋に主人公がいる場合に限り、トラップの範囲内に敵が侵入すると自動発動するようになる。
ダメージリング…トラップのダメージが1.2倍に増加する。ただし「防御力を無視してダメージを与える」トラップは適用外。
 
トラップ派生の一例を初期装備の壁トラップ「アロースリット」で示すと、
| トラップ名 | エンブレム | 特徴 | レベルアップによる変化 |  
| アロースリット | なし | 壁の仕掛けから矢が放たれて敵を射抜く。 | 威力上昇 Lv4で矢の数が3本に
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| サンダージャベリン | サンダー | 敵を貫通、かつ帯電している矢を放つ。 | 威力上昇 |  
| ファイアーボール | ファイアー | 火の玉を射出する。 油まみれの敵や火薬にぶつけると…?
 | 威力上昇 Lv3以上でノックバック発生
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| コールドアロー | コールド | 当たった敵を凍らせる矢を放つ。 拘束時間が非常に長い。
 | 拘束時間増加 |  
| バズソー | インパクト | 当たった敵を横に吹っ飛ばすノコギリを飛ばす。 | 威力、ノックバック距離上昇 |  
| ライジングボール | ライジング | 当たった敵を高く打ち上げる。 | 威力、Arkレート上昇 Lv3以上で壁で反射するようになる
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| フラッシュアロー | カースド | 当たった敵の目を眩ませる矢を放つ。 | Arkレート、盲目時間上昇 |  
| チェインニードル | カオス | 立て続けに複数の矢を放つ。 | 威力、矢の射出本数上昇 チャージタイム増加
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| ヘルレーザー | ヘル | 敵を貫通、かつ防御力無視のレーザーを照射する。 | 威力上昇 |  
| ローリングボム | スレイブ | 自分で軌道を操作できる爆弾を放つ。 | 威力、ノックバック距離上昇 |  
これだけでも目移りしてしまいそうなラインナップなのだが、このような分岐がベーストラップ全てに存在している。
また、この他にも条件を満たすと解放される隠しトラップが6種類存在するので、トラップの総数は10(ベーストラップ)×10(エンブレム)+6で106通り、これにさらにレベル(1~4)とリング(6種類)を合わせれば総数は2000を超える。なお、作成したトラップは次周に引き継ぎ可能となっている。
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評価点
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トラップコンボの進化
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前述したようにトラップのバリエーションが前作とは比較にならないほど増加しており、Ark上限の上昇も相まってハイスコアを狙う楽しさが増している。
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当時の攻略本には200万(電撃)、1000万(メディアファクトリー)のトラップコンボが掲載されている。特に後者の再現は上級者でも相当難しい。なお、現在ではカンストが達成されている。
 
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充実したゲームモード
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敵に邪魔されずにひたすらトラップの練習ができるフリートレーニングが特に好評。
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トレーニングのステージはストーリーを進めるごとに増えていく。新しいステージが舞台になっても事前に下調べができるので、ぶっつけ本番で戸惑うという事態にはならない。
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敵は不死身なので、ストーリーモードでは繋がらないような限定的なコンボを試すこともできる。ちなみに主人公も不死身なので、あえて主人公を罠にかけて遊ぶのも一興。
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評判が良かっただけに、続編でこのモードが搭載されていないことを惜しむ声も多い。
 
 
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美麗なグラフィック
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PS1当時のゲームではトップクラスのグラフィックの綺麗さであり、キャラクターも背景もかなり作り込まれている。
 
賛否両論点
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残虐表現は控えめ。
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敵を倒した際に血だまりが作られる程度でCERO:Cの割にはおとなしい。代わりといってはアレだが、男女問わず良い悲鳴を上げてくれる。ただし、この点に関してはさらにパワーアップを求める声もないではない。
 
問題点
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ストーリーが二転三転して一貫性がなく、主人公も目的もそれに釣られて転がりっぱなし。主人公が自分の意志で戦うのを決意するのはストーリー全体の7分目あたりからと遅く、感情移入しにくい。
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一部の分岐後のシナリオは物語に深く関わってくるキャラ達が分岐後明確なシーンもなく、あっさり死んだり、酷いときには登場することすらなく他キャラの会話やプロフィールであっさり片付けられる。
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また、時空石という重要なアイテムを主人公が持っていて、それを悪人の部下が狙うという展開があるが、分岐によっては「時空石狙いで悪人の部下が侵入→主人公が撃退する」という流れが
10話以上
も続く。
 
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シリーズ伝統の悲劇的な結末は評価されているものの、途中のお粗末さを払拭するのには至らない模様。
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敵も基本的に悪党とそれに従う悪人及び悪人の私兵ばかりで、シリーズの特徴となる殺人への背徳感も薄れてしまっている。
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一応イベントシーンは長めに作られており、ED分岐もある。
 
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難易度が全体的に上昇。遠距離攻撃可能な敵や特定のトラップを無効にする敵が序盤から出てきたりと初心者は苦戦必至。
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中盤以降出現する地獄騎士などは攻撃力が異常に高い(HP満タンでも3発食らえば瀕死か死亡)上にダッシュ切りしてくる、時々ワープする、無敵時間が発生することがある、そもそもの耐久力と防御力が巨人兵とギガアーム並に高い、ベアトラップやロック系、ウォール、アロー、サモンリングが無効、または耐性ありなど用心しないと一方的にハメられる。
 
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シナリオ数の減少。一番長いルートでも24話。一部分岐では22話と前作と比べると少なくなってしまう。
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一応特定ルートでしか出てこない敵が多数出てきたり、ルートによって登場シナリオが変わったりなど工夫はされているが、何処か物足りなさを感じてしまったプレイヤーも多かった模様。
 
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マップクリア後のお楽しみ、DEATH FILEの記述がやや簡略化。
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油タルのような使い方が複数あるものは、どう使っても同じ死因になる。転がしても爆破しても、たとえ油だまりを踏ませたとしても全て「油タルにまきこまれて死亡」。
 
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クリア時に「リフトクロー」を装備していると次週に進めなくなるバグがある。エキスパートモードで装備から外せば正常に進行できる。アーカイブス配信版でもこの不具合は発生し、公式サイトでも注意が喚起されている。
総評
練り込まれたシステムという点ではシリーズの完成形といえる作品。
トラップ改造の自由度の高さは前作以上の奥深さを醸し出しており、高得点を目指したり、難問に挑戦したり、罠に嵌る敵を眺めて悦に入ったりとゲーム全体の自由度も高い。
反面ストーリーの評価は低く、シリーズ特有のダークな雰囲気は薄まってしまった。シナリオもシステム同様練り込まれていれば、と悔やまれてならない。
最終更新:2024年01月19日 08:44