ベアルファレス
【べあるふぁれす】
ジャンル
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ARPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Zealsoft
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発売日
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2000年9月28日
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定価
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6,090円(税込)
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配信
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ゲームアーカイブス:2007年7月26日/600円
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判定
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良作
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ストーリー
1000年近く続いた平和によって、王族や貴族、聖職者達は腐敗の一途を辿り、平民は搾取され虐げられていた時代。
城壁と山脈で外界から閉ざされた「カルスの棺桶」と呼ばれる冒険者の町「カルス・バスティード」の地下遺跡には
「アスラ・ファエル」と呼ばれる太陽帝国の黄金郷が存在し、そこには不老不死を得られる秘石「アザレの石」があるという。
ある者は武者修行のため、ある者は身を隠すため、ある者は一攫千金を求めて、ある者は「アザレの石」を求めて、
集まった冒険者達を発端に後世の歴史家から「黄昏の時代」と呼ばれる動乱の時代に至るまでの戦いを描く。
概要
『XI[sai]』『サーカディア』『アディのおくりもの』などと同様、当時SCEが行っていたゲームやろうぜ!プロジェクトから生まれたアクションRPG。
当時は無名開発メーカーが何の前触れもなく作った作品という印象で存在感が薄かった。ジャケットの表にキャラクターが描かれていない点もそれに拍車を掛けた感がある。
ほとんど宣伝もされなかったため当然知名度は低く、更に半年前の同年3月4日に「プレイステーション2」が発売されたせいか、売上はわずか1万程度に留まった。
しかし良質なゲーム性と重厚な世界観を持ち、当時から購入した人達には密かに評価されていた。
キャラクターデザインはかつてファイアーエムブレムシリーズを担当した小屋勝義氏であり、世界観の演出に一役買っている。
特徴
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太陽帝国の地下遺跡の上に作られた町「カルス・バスティード」を拠点とし、新たに町にやってきた主人公と個性的な13人の仲間達で3人パーティを組み、地下の遺跡に潜って行く。
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戦闘はクォータービューのリアルタイムARPGで、遺跡の中ではLボタンで操作キャラを切り替えられる。この切り替えによって各自の得意武器や後述するトラップ・魔法を状況に応じて使い分ける事が出来る。
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一つの町を拠点に巨大なダンジョンに挑むという点から、一見すると、ローグライクかハックアンドスラッシュ的な探索型RPGのように見えるが、実際はストーリー重視のステージクリア型アクションRPGである。
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主人公はプレイヤーの意志を反映するためか、いわゆるドラクエ主人公型の無口キャラ。デフォルト名は存在するが勿論、自由に変更できる。
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キャラクターメイキングが存在し、性別・出身地・身分・「カルス・バスティード」に来た目的の4つを決められる。
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性別は各キャラのイベントとエンディングに大きく影響し、基本的にエンディングを迎えるキャラと同性なら友情、異性なら恋愛という形になる。
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出身地・目的は初期パラメータと各キャラの初期相性、初期所持金に影響。イベントにも若干影響する。基本的に同出身地・同身分・同目的の相手には好かれやすいが、一部の組み合わせは特定キャラに極端に嫌われたりする。
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身分は相性にも影響するが、なにより使用武器の種類は身分に応じて決定するためゲーム的には一番重要。
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武器は格闘ゲームのように攻撃判定の発生速度が違い、基本的に重い武器は遅い。また、振り回すタイプの武器は攻撃範囲が広い反面、正面への発生が遅くなるといったデメリットも内包する。これにより一部の敵と正面から殴りあうと速度差で潰される事も。
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逆に軽く攻撃範囲の狭い武器は、正面の敵に素早く対処できる一方、少し横に移動されるだけで簡単に避けられてしまう。武器毎に存在するメリット、デメリットを見極め、足りない面を補える仲間と組むことが重要となる。
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トラップカプセル・魔法具
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トラップカプセルは名前の通りトラップを仕掛けられる。使用回数などの制限は無いが設置数に上限あり。直接ダメージを与えるものは少ないが、使いこなせば戦闘を有利にしてくれる物ばかり。
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魔法具は名前の通り魔法が使えるようになる。こちらは攻撃・回復・補助魔法と、オーソドックスなものが揃う。
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使用出来る種類は各キャラ毎に固定。クムランに有料で改造して貰う事によって種類が増える。特に主人公のトラップは隠しアイテム取得やステージクリアに必須だったりするため非常に重要。
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トータルブレイク(TB)
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敵を倒してから数秒間の間に別の敵を倒せば撃破数が連鎖する。すると入手出来るお金が4→8→16→32といった形に撃破数だけ倍プッシュされる。また特定連鎖数以上でのみ入手可能なレアアイテムなどが存在する。
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時間の概念がある。それによって町の明るさも変わり、店や各キャラの活動時間が違っていたり、ダンジョンでの経過時間など戦闘中にも関わってくる。
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特定時間帯にのみ起こるキャラ毎のイベントがあったり、特定ミッションで時間制限を指定されたりする事がある。
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時間進行があるのはダンジョン探索中のみ。町では自室で寝るか全体マップで「時間を進める」を選ばない限り変わらない。
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ダンジョン内では階層によって時間の流れが異なる場合があり、あっという間に日にちが経つ階層もあれば、
精神と時の部屋の如く外の時間が殆ど進まない階層もある。
評価点
とにかく細かい所まで作り込みが丁寧。ゲーム性とストーリー性、共に高いレベルで纏められている。
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歴史や舞台背景などの設定は「設定マニア」のスタッフが心血注いで纏めた事を感じさせる骨太さ。
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本編は「カルス・バスティード」と地下遺跡だけで完結するにも拘らず、その世界設定は緻密に作り込まれている。その全容は別売りガイドブックなどに掲載されているが、本編でもその一端をクムランの家にある資料から垣間見る事が出来る。
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それでいて描写が伴わず設定倒れになっている…などという事は全く無く、そのバックボーンによって人種・身分の差別や風土・国柄などが生まれストーリーにも深みを出している。
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しかし必要最低限の情報はストーリー上でも描写・解説されるため、それらはあくまで世界観の味付け、縁の下であり、ストーリーの理解には支障は無い。無理に作中の資料を読まなくとも良い。
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アイテムは△ボタンを押すと全て解説がイラスト付きで表示される。またストーリーが進むにつれ記事が増える壁新聞なども毎回紙質が違うという芸の細かさ。ストーリーに沿って外界の情勢を刻々と伝えてくれるため世界観を広げてくれる。
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ドット絵はクオリティこそ特筆するほど芸術性がある訳ではないが、芸の細かさは天下一品。
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装備品はちゃんと武器グラフィックが変更され、イベントではキャラがぬるぬる動き、小芝居なども豊富。酒場で飲んだくれてるモブキャラのオッサンですら、話し掛けた方向へわざわざ首を向ける凝り様。
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イベントを一つ起こしたりクリアする度に各キャラに話しかけると個別の反応が返ってきたりする事も。他にも、早朝に訪ねると寝癖つけながら寝ぼけ眼をこすって渋々起きる朝の弱いジェシカ、夕方酒場の厨房に行くとオイゲンの手伝いにと甲斐甲斐しくパンを焼くサラ、憧れのクムラン先生に話しかけるとわざわざ主人公とは別に丁寧に挨拶をするノエルなど、各キャラの独自行動がいちいち楽しい。
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登場人物は魅力的なキャラが揃っている。
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騎士道精神溢れる正統派騎士のアーサー、「面白そうだからここに来た」という妖艶美女のイヴ、明るく家庭的で荒くれの集うこの町に似つかわしくないサラ、天然気弱で敬虔な聖職者のルカ、無愛想な冷血漢だが物理攻撃時石版で殴りつける時の「ヌゥン」がひそかに人気のディアス、など個性派揃い。
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仲間達は全員10代後半で、設定を考えると不自然な年齢層の固まり方だが、これはカルスの町に向かう隊商が若い者から順に出発する事と、主人公達が到着してすぐに道が崩れて後続が到着できなかった為と理由付けされている。通常ならもっと大勢の新参者が押し寄せる所が、主人公達15人しかいないのもこの理由による。
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仲間にならないサブキャラも魅力的なキャラが沢山。どこかで見た事あるような酒場の親父オイゲン。やはりどこかで見た事あるような学者先生クムラン。これまたどこかで見た事あるような優しく献身的な司祭ティアラ。どこにでも居そうな小悪党の飲んだくれ生臭坊主カドモン。大剣を軽々と振り回す重戦士だが、中盤で先達として、戦士として、漢としての生き様を見せるカルス最強の戦士バルデス。自身も凄腕の戦士だが極めてストイックに武器の殺傷力をひたすら追求する鍛冶屋の名工ガイウスなど。総じて、「どこかで見た事のある」ような、それでいて各々の個性を立たせたいい意味で「ベタ」なキャラが揃っており、これらが単なるNPCに終わらずしっかりストーリーに絡む事で濃厚なドラマに仕上がっている。
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これは主人公とて例外ではなく、顔なし主人公にありがちな「他のキャラが実質的な主人公としてストーリーを牽引し、主人公は脇役化する」ような事はほぼ無い。
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流石に多人数の会話シーンや、敵役にバシッと決めるシーンなどは台詞が無いだけに他のキャラに委ねる事が多いが、ストーリーの中心には常に立ち続け、特に終盤〜エンディングでは紛れも無く「主人公」の役割を果たしている。
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終盤のある階層はパートナーと2人だけで挑む事になり、パートナーに選べばどのキャラも主人公に並ぶ主役級の扱いでドラマを繰り広げる事になる。友情モノとしても、ギャルゲーとしても、乙女ゲーとしても作り込まれている。
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モブNPC達も
いかついオッサンしかいないが時には深い台詞を口にしたり、メインキャラに負けない人間味を見せる事もある。
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このようにキャラクターへの愛着を持たせた上でテンポよく進む秀逸なストーリー。
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当面の目標となる太陽の宝玉を手に入れるまでに描かれる各キャラクター達の群像劇。その中で組みあがっていく人間関係。仲間たちとようやく太陽の宝玉を手に入れた直後に訪れる衝撃の転換期。それから狂い始める外の世界。明かされていく太陽帝国の秘密。そして訪れる黄昏の時代…。序盤〜前半こそゆるやかなペースだが、前述の「転換期」から急速に物語が動き出し、休む間も無くストーリーを展開しながらプレイヤーを遺跡の最深部、エンディングへと連れて行く。
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冒頭で少し述べたが、ストーリーが薄めな探索重視のダンジョンRPGを思わせる舞台設定でありながら、その実は人間ドラマと世界観に裏打ちされた壮大な物語である。
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肝心のゲーム性も正面に相対すると軸をずらす敵や引火させると簡単に無力化出来る敵など変化に富んでやり応えがある。
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裏を返せばキャラ交代・トラップ&魔法を駆使する事が「前提」のバランスなのでアクション苦手な人はゴリ押しが通用し難いという欠点にもなりうるが。
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またストーリー中盤~後半または一部キャラのエンディングで、実際にカルスでレベルを上げて鍛えられた冒険者が「外の世界でどの程度の強さなのか」という描写がある。システム的なRPGのレベルという概念を実際のストーリーに絡ませたという手法も興味深い。
問題点
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メニュー画面の各インターフェースでカーソル一番上から一番下にループしないなど、若干洗練されていない所がある。
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序盤初ミッション前に各キャラ結構な量の初期限定イベントが存在するが、酒場に行くと強制ミッション時間制限開始&伝言で酒場に来いと促されるので色々スルーしやすい。RPG上のゲーム的な損は無いが、ストーリー的には見ないと損。
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中盤以降も前述のようにストーリーのテンポが良いので、先々進めがちになってしまうとそういったイベントをすっぽかしやすい。ストーリーが秀逸な点の裏返しで痛し痒しと言った所。
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また、後半はステージが少ないため、順当に強化が出来ていればあっという間に進んでしまう。盛り上がってくる後半戦をテンポ良く楽しめるとも言えるが、ゲームとしてはやや尻すぼみ感があり、プレイ時間の大半は前半戦に費やされる。
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第四階層「時の回廊」はボスを除けばアクションステージは1つしか無い。第五階層「天界」も似たようなもので、最終階層「始原の地」はボス戦のみである。
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相手の攻撃を避けた隙に回り込んで攻撃する、が基本戦術。戦闘はリアルタイムで進行する上にその場での方向変換に×ボタンを使うなどアクション要素が大きいため、普通のRPGと同じような気構えでプレイすると序盤から苦戦する。また序盤のステージ構成もそれに拍車を掛けている。
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このゲームは「序盤のミッションが最難関」とも言われ、どれもこれも時間制限や特殊な達成条件によって初心者には一筋縄でいかないものばかり。これら序盤ミッションでベアルファレスでの戦い方を覚えろという開発チームの意図なのだろうが、その間はフリーミッションにも行けないのでアクション慣れしていない人にはレベル上げによるゴリ押しも出来ない。特に「青の羨道」は不慣れな人には鬼門。
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一応その鬼門ミッションは任意参加のため拒否も出来るが…そうするとストーリー展開上、多数の仲間から冷たい奴だと思われてしまう。
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序盤の金欠っぷりも深刻。物価は高いのにTBを上手く繋がないと雀の涙ほどしか稼げず、下手をすると回復アイテムすらままならないという事態にも。
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TBは装備やキャラ性能が低くてもなんとかなる上手い人ほど上手く繋げ、本来救済すべき苦手層ほど苦労するのでプレイヤー格差を拡大するシステムとなってしまっている。
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TB稼ぎの要となる魔法やトラップの強化にも少なくない金額が掛かり、そこまで稼ぐのも正攻法では苦労する。
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町にはかなりの金額で売れる隠しアイテムが散らばっているが、それも発見できなければ意味は無い。
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このゲームには被弾時の無敵が存在しないので雑魚敵であっても囲まれて文字通り袋叩きにされたり突進攻撃を壁に背にして受けたりすると一瞬でHPを持って行かれてしまう。
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仲間がいると、HPが減った時やステータス異常時に自動でアイテムを使ってくれるのだが、どのアイテムを使うかという指定や不使用の指示が事が出来ず、湯水の如く使われてしまう。そのため、上記のような袋叩きや壁で一気にHPが持っていかれる状況になるとあっと言う間にアイテムが枯渇する上、貴重品だろうと使えるなら容赦無く使われてしまう。
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ステージ数自体多くはないので鬼門ミッションが終わった後も、序盤はキャラは弱い&稼ぎに向かないステージでちまちま戦う展開になりがち。
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しかし設定上では第一階層「黒の羨道」だけで地下40階近く、第二階層「アスラ・ファエル」の探索の舞台となる神殿も20階はある高層建造物とされている。
大半が退屈なフロアだったようだ。
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中盤に差し掛かると強化が進み、プレイヤーも慣れて勝利条件が気楽なステージも増えるが、難易度の高い壁ミッションは他にも幾つか存在する。
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罠や魔法を改造・強化してくれるクムランだが、ストーリー上序盤~中盤にかけて不在の時がある。そのため、ストーリーを進めつつお金を貯めると、いざ改造したい時に居ないという事がある。
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よりによってクムランが不在になるイベントの直前のステージでは、主人公のトラップを有効活用してレアアイテムが取れる隠し要素がある。それを回収できればかなり楽になるのだがある程度のトラップ強化が必要であり、しかしこのステージをクリアするとクムランは無情にも家を空けてしまう。ステージクリア後に気付いても手遅れであり、もしこの時点でアイテムを取りたければステージをクリアしないようにここで改造費稼ぎに精を出さなければならない。
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特定のステージで特定の条件を整えるとボタン連打ないし押しっぱなしで無限稼ぎが出来る場所がある。これを利用し過ぎるとあっという間にバランスが崩壊する。
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ただ、アクション苦手の人には救済措置的な働きもあるので賛否が分かれる。
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作り込みの緻密さと各キャラ個別イベント発生条件のフラグ管理を考えると驚異的な不具合の無さではあるのだが、それでも少々バグが存在する。アーカイブスでも修正はされていない。
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代表的なのは特定のイベント中に指定の場所へ行く前にクムランの家に居るノエルを仲間にすると一部のイベントが発生しなくなる通称ノエルバグ。他にも特定のイベント終了後にゲーム画面全体が砂嵐のように乱れる映像不具合バグなど。
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但しノエルバグは条件的に意図せず発生させてしまう確率は低く、ゲームそのものが進行不可能になるような致命的なものでは無い。映像バグも起こった時はびっくりするが、その後の自由行動で普通にセーブができロードしなおせば直るためさほど大きな問題ではない。また後者は個体によっては起こらず再現性が一定しない。
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武器の格差がやや大きい。特に性能だけで言えば逆剣を持った時の細剣一強。具体的には
発生が超早い上に2連撃
、その発生の早さでもって初撃の攻撃範囲が広く乱戦に強い、ノックバック方向が進行方向一定で乱戦中の敵を一纏めに出来る、連撃ダメージは細剣・逆剣の別々計算ではなく
双方の攻撃力合算×2回
、万能武器属性「雷」と相性最高、など長所だらけ。逆に軸合わせしないとかすりもしない槍や弓は難易度が高い。
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ただし、細剣を選ぶには生まれを「上級貴族」にする必要がある。上級貴族は多くの仲間から嫌われており、初期好感度が低くなるというデメリットも。仲間内でも使用可能なのはエレアノールだた1人しかいない。
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魔法使いキャラが不遇。通常攻撃が貧弱なのはもちろんとして、肝心の魔法も強力とはいえない。
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特に初期から使える魔法は威力が雀の涙でまともな攻撃手段にならない。開発を進めればそれなりに強力な魔法を使えるが、莫大な費用が必要。
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各キャラには個別イベントと個別エンディングが用意されているとはいえ、ストーリー中のキャラ毎の扱いはかなり差がある。特に自分から積極的に他人に関わらないタイプのキャラ達はこちらから関わろうとしなければ空気化してしまう。
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善良組は積極的に話に加わり、特にアッシュ、ルカ、ジェシカは関連ミッションすら存在し、パスカ、シャルンはメインキャラの如く皆をまとめる一方、イヴ、オルフェウス、ディアス、レイアと言った協調性のない組は事態が深刻化する後半に至っても殆ど本編に関わらない。終盤に思い出したように顔を見せる程度。
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本編中に個別エピソードのあるレイアはともかく、ディアスは本当に空気である。イヴとオルフェウスも共通ルートだけではただ印象が悪いだけのキャラに終わる。
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勿論、本編に関わらせたり終盤のパートナーに選べばしっかり活躍し、印象も全く変わるのだが、このタイプのキャラ達はエンディングに至るための必須イベントの条件が複雑な物が多く、事前情報無しに達成する事は非常に困難である。
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善良なキャラでも、エレアノールは当人の事情から人と距離を置こうとしている面もあり、本編での個別エピソードも無いのでかなり出番が少ない。サラもあまり前線に出るタイプではないためか、やや控えめ。
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ラスボスが強い。というより、ワープしまくるので反撃のチャンスが少なく、こちらの攻撃を当てる事自体が難しい。攻略法は無い事も無いが、上手く噛み合わなければ長期戦は必至。
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位置を見定めても、正面に立つと広範囲攻撃であっさりノックバックさせられ、しかも足場が細いので簡単に場外に出されてしまう(ダメージを受け、近くの足場から復帰)。
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特に最終形態はワープの勢いが凄まじく、追いかけて攻撃を当てる事がまず不可能になる。トラップを活用しないと、弓矢ぐらいしかまともな攻撃手段が無くなる。その上、攻撃のSEがBGMの如く響き渡るのでプレイヤーの精神もゴリゴリ削る。
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13人×主人公の性別=26ものエンディングがあるのは高評価だが、主人公の性別に関わらずエンディング内容がほぼ共通のキャラが数人居るのが惜しい。
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また、データの引継ぎなども無い。ただ周回プレイを意識してかストーリーは長すぎず短すぎずといった印象である程度カバーされている。
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意図的に嫌われ者プレイをしても、最終的には誰か(大抵は救済措置的な立ち位置のサラかアッシュ)とくっつく。そのため、ソロエンディングという物は無い。
総評
前述の通り、RPGは好きだがアクションは苦手という人には難しいゲーム性で、ハードルが高い。
世界観も万人受けするタイプではないが、構成要素となる部品を一つ一つ丁寧に磨き上げて組み上げた、
といわんばかりの小奇麗に纏まった完成度はハマる人にはどっぷりハマる。
某所からの引用だが、
「このゲームの売りは何?って聞かれると返答に困るが、どこが好き?って聞かれたら全部好きって言える、そんなゲーム」
派手さは無いが、細かい所まで行き届いた随所の作り込みから作品への情熱を感じるこのゲームに相応しい評価だろう。
余談
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同じく初代プレイステーション世代末期の名作『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』と同時に発売され、パッケージが地味で「パケ買い(ジャケ買い)」し辛い点や、本ジャンルの他に恋愛シミュレーション的な要素を併せ持つ点など、作品の方向性は違えど何故か共通点が多い不思議な関係にある。
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また、前年に同じくゲームやろうぜ!プロジェクトから生み出された『サーカディア』も恋愛シミュレーション的要素を持つ点が共通している他、精神世界が関わってくる世界観も似通っており敵側の最終目的に至っては殆ど同じようなものである。
最終更新:2024年02月08日 10:50