ドラゴンクエストV 天空の花嫁

【どらごんくえすとふぁいぶ てんくうのはなよめ】 

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 アルテピアッツァ
マトリックス
発売日 2004年3月25日
定価 8,190円
廉価版 アルティメットヒッツ
2006年7月20日/2,940円
判定 良作
ドラゴンクエストシリーズリンク


概要

SFC版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』のリメイク作。グラフィックやサウンドの向上は勿論、一部システムの追加・変更等が行われている。

特徴・評価点

  • BGMはNHK交響楽団によるオーケストラを採用しているので、とても聴き応えがあり、評価は非常に高い。この演奏は他の楽団ものと比べ元のゲーム音源に最も忠実であると言われている。
    • 当時廃盤となってしまっていたN響のCDであるが、今作発売と共に別の形で再販されている。
    • 3DS版DQ7DQ10では「オーケストラ音源を採用したことによる弊害」がいくつかあったが、本作ではそのようなことは一切無い。評価点として、いの一番に挙げることができるほど、音楽面については完璧と言っていい。
      • ループ調整も非常に丁寧で、不自然さがほとんど無い。音楽面には相当にこだわって作ったことが伺える。
  • 味方の戦闘人数が他の作品同様に4人となり、パーティー編成の自由度や戦略性が向上したほか、主人公家族4人パーティーも組めるようになった。
    • その一方で、敵の出現数及び能力値も上方修正。全体的な難易度は向上気味。
    • とり分けボスキャラは全体的に強化されている。特に目につくのが攻撃力で、守備力を上げる呪文スカラ・スクルトの弱体化と合わせて大きなダメージを受けるようになった。SFC版ではありえなかった場所で全滅することも。
      • ニセたいこうやカンダタは何と攻撃力の数値自体が2倍になった。これほど極端ではないにしてもボスの基本ステータスは全般的に大きく引き上げられている。
      • SFC版のボスの多くが同じパターンの行動を繰り返す完全ローテーションだったのが、ランダム性も持たせたり不必要な行動を飛ばすなりして賢くなったのも一因(これはイブールとラスボスで顕著)。
    • 特に変更が分かりやすいのは「かえんのいき」というブレス攻撃で、SFC版に比べダメージが10~20ポイント程上昇している。ニセたいこう戦でヘンリーなどがあっさり死んで驚いたプレイヤーも多かっただろう。死の火山では3匹までしか出なかったほのおのせんしが5匹出るようになって火炎の息を使ってくるほか、ここのボスのようがんげんじんも同様にかえんのいきを連発してくるようになり、中盤の全滅ポイントとして名があげられるほどになった。
    • とはいえ、理不尽というほどの調整になっているわけではなく、適度な歯ごたえと言える範囲に収まっている。原作自体、難易度が歴代シリーズの中でも低かったため、やりごたえの向上につながっている点は十分評価できる。
  • グラフィックが3Dになった。
    • モンスターにはモーションがつくようになり、会心の一撃(もしくは呪文)で倒されたときは雑魚のやられモーションが変わるなど、細かい部分もよく出来ている。
  • モンスターのデザイン自体にも細かいところまで手が加えられており、下位種と上位種が単なる色違いではないことも多い。
    • スライムナイトの上位種・メタルライダーは、剣はサーベル、盾のデザインはキングスライム(メタルキング?)になっている。爆弾岩の上位種・メガザルロックは、歯がキレイに生え揃っている。ブラックドラゴンの上位種・グレイトドラゴンは、ブラックドラゴンよりも一回り体が大きく、より大迫力になっている。
    • …といったように、細かい部分まで実にこだわり抜いたデザインがされている。そのこだわりっぷりには、もはや脱帽。
  • 仲間モンスターの種類が増加し、それに伴い仲間モンスターの最大預かり数が実質無制限(199匹)になった(SFC版では通常は50匹、特殊な手順を踏んでも最大53匹)。
    • これにより、仲間モンスター全種類を限界数まで最大限に揃えることも可能になった。
  • モンスターボックス(いわゆるモンスター図鑑)の追加。
    • 獲得経験値やゴールド、落とすアイテムはもちろん、モンスター達のモーションも見られる。冒険の思い出になるアイテム。
      • モーションが見られるが、何故か効果音がなく味気ない。今作に限らず今後も全てこの仕様。さらに3Dである割にあらゆる角度から見ることができず、R1ボタンでモンスターの後ろ姿を見れる程度。
      • 『VII』やPS版『IV』と異なり同じモンスターを999匹倒しても、すべてのモンスターをコンプリートしても報酬はない。
    • 実はこのアイテム自体はSFC版から没アイテムとして存在しており、今回具現化に漕ぎ着けたというところだろう。
  • 名産品システムが追加。名産品は1つの町につき1個は用意されており、手に入れたものは名産博物館に飾ることができる。
    • 単なるコレクション要素かと思いきや、神秘の鎧のような効果を持つ装備品の「オラクル屋ののれん」や、戦闘で何度でも使える補助アイテム「あんみんまくら」「コワモテかかし」など意外と実用性のある名産品もあったりする。
      • 「世界樹の苗木」という名産品は「聖なる水差し」というオリジナルからあった重要アイテムで水やりをすると、一日に一枚だけ世界樹の葉が入手できる。オリジナルのアイテムと組み合わせた面白い演出となっている。
    • 名産博物館は多少のカスタマイズ要素がある。「ボトルシップ」や「さばくのバラ」など何個でも手に入る名産品で埋め尽くす嫌がらせも可能。
    • 『VII』やPS版『IV』の「移民の町」と似た要素だが、名産品を全部集めても500Gしか手に入らない。純粋に本作の世界観を楽しむためのやりこみ要素といえる。
  • 仲間と会話できるシステムが追加された。これによりSFC版では影が薄かったサンチョ、ピピンの個性がより深く出るようになった。
    • 特にピピンは普通の生真面目そうな会話や顔グラから想像できないほど内容があまりにも現実的、俗物的であり、多くのプレイヤーの笑いを誘い、「会話のためだけにピピンを入れた」という人も出たほど。彼の容姿もSFC版よりかなり変わっている。
  • 「すごろく場」が追加された。
    • SFC版「III」からの続投であり、本作でも各地にすごろく場が追加されている。基本的なルールや仕組みは「III」と同じだが、マスの追加や入手出来るアイテムが大量に増えており、よりボリュームが増している。
  • 原作で印象深いシーンの演出が強化、新たなシーンの追加など、シナリオ面に補強が加わった。
    • 各イベントや設定でSFC版では言及されていなかった部分については一部新たな設定が追加されている。
  • その他の改善点
    • キャラの移動速度があがった。原作ではかなりもっさりした速度だった。
    • 戦闘テンポが劇的に良くなった。3Dにもかかわらず、そのテンポの良さは歴代でも群を抜いている。
      • その理由は、敵味方の行動演出が素早く、演出終了の前から、次に行動する別のキャラの演出が展開されるからである。
    • キャラごとに作戦を指示できるようになった。
    • 袋システムの追加。道具をたくさん持ち運べるようになった。
      • 幼年期から使用できる為、青年期へのアイテム引継ぎがSFC版よりしやすくなっている。
    • ルーラの行ける場所、使える場所が増えた。
      • SFC版経験者からは特に評判で、とにかくわずらわしい移動時間を短縮できるようになっただけでもありがたい変更である。
    • SFC版のバグが修正された。
      • 代わりに新しいバグが生まれてしまったのだが、プレイには支障がないためあまり問題にはなっていない。
    • サンチョの特技にくちぶえ、しのびあし、とうぞくのはな等が追加。原作であまり活躍できなかったサンチョの株が一気に上昇した。
      • 後に出たDS版に比べマップが広く、エンカウント率は低めであるため、「においぶくろ」というエンカウント率増加アイテムを使わずとも、狙って戦闘が行えるくちぶえはかなり有用な特技である。
    • 一部の例外を除き仲間にしたモンスターの名前の変更が可能になった(何故か「ふくろ」も変更できる)。
      • 「ああああ」のようなふざけた名前や下品な言葉をつけると呪われてしまい、再度変更するには多額のゴールドが必要になるのもSFC版『III』『VI』『VII』と同様。
    • 序盤の終わりで負けイベントとも呼べる戦闘が二回連続であったが*1、敗北してもゴールドが減らなくなった。
      • そういったものは2度連続行われるのだが、SFC版では通常と同じ全滅扱いで2回分…つまり所持金が4分の1にまで減ってしまっていた。
    • エルヘブンや妖精の村など、一部の町やダンジョンの構成が大きく変わっている。

問題点

戦闘に関するバランス調整が雑

  • AIが大幅に劣化。SFC版では優秀すぎるレベルだったが、PS2版は極端に頭の悪いAIになってしまった。
    • 「いのちだいじに」ではHPが8割も切っていないのにベホマを使うほど過剰な一方、場当たり的なHP回復しかしなくなっている。「ガンガンいこうぜ」でMP満タンの状態で上級攻撃呪文も使えるのにマグマの杖(使うとイオの効果)を使うなど、変なケチり方をする、防御力の高い敵にいてつく波動を使いまくるなど、頓珍漢な行動ばかり起こす。その関係でミニデーモンなどの敵が使う「主人公の声真似で作戦変更」がかなり嫌らしい行動と化し、AI作戦メインでの攻略が一種の縛りプレイなどと言われている程。
    • 堀井雄二氏がVジャンプのインタビューで「今作のAIは賢いですか?」と質問を受けたことに対して「賢いというか、仲間らしさを表現しました」と答えている。
  • 「まんたん」コマンドも酷い。
    • 消費MP5で85回復するベホイミを覚えているにもかかわらず、消費MP3で30回復するホイミを2回掛けたりする。誰が見ても一目で分かるほど馬鹿である。
  • レベルアップ時のステータス上昇がランダム上昇に変更された。
    • やり込み派のプレイヤーにとっては、吟味に莫大な時間がかかるので、レベルアップ時のステータス上昇のランダム化は評判が悪い。
  • オリジナル版に比べ仲間にできるモンスターが増えたが、どちらかといえば使えないモンスターが増えている。
    • 本作は原作の時点から「誰を仲間にするか?」で難易度が激変するのだが、結局強いモンスターは殆ど原作同様。ここら辺のバランス調整はある程度意図的なものであることは伺えるのだが、それに加えてリメイク版では下記の問題点が指摘されている。
    • ほとんどの新仲間モンスターは既存の仲間モンスターの成長率・経験値テーブルを流用し適当に組み合わせた物。それだけならまだしも、上限レベルやステータス成長率、覚える特技、装備グループまでも適当に決められたとしか思えないような雑な設定が多く、「強めの特技を覚えるタイミングが明らかに遅く、そのころにはとっくにゲームをクリアしてるし特技も役に立たなくなっている」などの事態が頻発している。
      • 下手に装備グループを流用したため、炎の戦士が水の羽衣を装備できたり、ブリザードマンが炎の鎧を装備できたり、そして逆ができないという謎な設定になっていたりもする。
    • 加入時期が遅すぎてまったく使い道がないモンスターもいる。特におおねずみ、おばけキャンドル、ガップリン、ゴーストの4匹は「今更四天王」として名前が挙げられる。
      • ステータスから推測すると、層の薄い序盤の即戦力として追加された様子だが、序盤どころか中盤でも出会えず、終盤呆れるようなタイミングでようやく登場するので、大抵は仲間になってもモンスターじいさん送りが関の山となってしまう。
      • これらはまだモンスターを仲間にできない幼年時代で初登場するモンスター。モンスターを仲間にできるようになる頃を境にそれまでと出現する敵が一部変更されるのだが、その変更によって上記のモンスターは序盤~中盤のフィールドからきれいさっぱり消えてしまう。つまり、このことを忘れて新仲間モンスターを決めていたとしか考えられない、なんともお粗末な話である。これは後のDS版でも修正されなかった。
    • 『VII』から輸入されたコロ系・プチ系のモンスターもひどい。仲間にしても、強力な呪文を覚える割にMPが非常に上がりにくくすぐガス欠になるなどの理由で使いづらい。『トルネコ3』と同じく使い勝手が悪く、プッシュされている割に使い勝手が悪いのは残念。
      • ちなみに、敵としてのステータスや行動は『VII』と全く一緒で、出現率も低いという欠点も。
    • 追加された仲間モンスターの名前(特にデフォルトに当たる1匹目)は安直なものばかり。
      • エビルマスターが「エビルマ」、コロファイターが「コロファ」等、種族名から4文字取って語感を合わせただけ、というのが大半を占める。特にひどいのはおばけキャンドルの「おばドル」。不自然だとは思わなかったのか。
        一応、エンプーサの「キャシー」、さまようよろいの「サイモン*2」などフルアレンジもあるにはある。
  • とはいえ、使えない仲間ばかり増えてしまったというわけではなく、強い仲間モンスターもちゃんといる。
    • 序盤の即戦力として活躍できるエビルアップルやおばけキノコは、SFC版からいたばくだんベビーを合わせて序盤3強と呼ばれており、その実力は序盤限定ではあるものの3匹揃えばスライムナイトさえ馬車に追いやる程である。
    • 他にも、なかなか起き上がらないが耐性もステータスも仲間になる時期に反して強い炎の戦士や、仲間になる確率は1/256と極端に低いが運よく仲間に出来れば終盤まで活躍できるメタルスライムは、期間は限定されるがかなり役立つ。
    • さらに、育ち切ればエスターク戦で一線級の活躍が期待できるさまようよろいは、文字通りクリア後になってから真価を発揮する大器晩成タイプ。
    • また、既存のモンスターでもHPが飛躍的に底上げされて使いやすくなったはぐれメタル等、調整もマイナス方面にばかり働いている訳でもない。
  • すごろくの難易度や景品などについて
    • 全体的に配置が意地悪で、難易度が高い。特に隠しである謎のすごろく場はとにかく落とし穴や振り出しに戻るが多い、旅の扉に何度も入らないといけない、ゴール手前で落とし穴ラッシュと、難しいというよりもはや理不尽の域に達している。
      • そして苦労して手に入れる賞品は隠し仲間モンスターなのだが、呪文やブレスの耐性がない、経験値テーブルは最も経験値が必要な仲間モンスターのヘルバトラーと同じで育ちにくい、成長も典型的な大器晩成型であるため、苦労にまったく見合わない。
      • このような難易度になった要因としては、直前に何回でもすごろくが出来る「セレブリティパス」が景品となっているすごろくがあるからだと思われる。しかし挑戦回数を重ねる事によるステータスや所持金への影響、何より攻略に膨大な時間がかかる為、「そういう問題ではない」という批判に繋がっている。
      • またこの隠しモンスターを仲間にしていないと、もう1匹の隠しモンスターも仲間に出来ないようになっている。そちらだけ欲しい、ということもできない。そしてこの隠しモンスターも、前述のモンスターと同じくレベルが上がりづらい、耐性が全くない、どころか初期ステータスはスライムと同じ。前述のモンスターはヘルバトラーと同じステータスなのでかろうじて使えるが、こちらはレベル60を超えないと足手まといもいいところ。99まで上げれば両者ともステータスは全キャラ最強なのだが…。
      • 最強のステータスを持つ両者だが隠しボスなどの追加は無く、どうにも育てる意義の薄いものになってしまっている。
    • 隠しばかり問題にされるが、2番目のカジノ船のすごろく場もかなり嫌がらせな配置。
      • 最初の階層の階段の手前に落とし穴、振り出しに戻る、回数-3が連続で配置されており、次の階層は旅の扉に止まらないといけない。大体が最初の連続配置を抜けるためにサイコロの回数が減らされて回数が尽きる。
      • そして苦労してゴールして手に入るアイテムは市販品
    • …などなど、プレイヤーの負担や落胆を強いるつくりになっており、『III』のそれに比べると評価は割れてしまっている。DS版では1~6の好きな数字を出せるマスが追加され、ある程度は修正されている。
  • これまでのDQリメイクは追加ダンジョン・追加ボスがついていたのが恒例だったので、それらが存在しないのを残念がるプレイヤーは多かった。
    • 暗黒世界のすごろく場は、元々は新たなダンジョン(魔界の塔)になる予定だったらしい*3。納期の関係で実現しなかったらしいが、これを残念がるプレイヤーは多く、発売を遅らせてでも追加して欲しかったという意見も多い。
      • なお、DS版においても魔界の塔の追加は無し。結局はボツとなった模様。
  • 改善されていない死にステータス
    • 20以上あるかないかでしか変わらない「かしこさ」、少し弱体化した「うんのよさ」など役に立たないステータスや、敵に与える「どく」状態が本当に無意味なこともSFC版から改善されていない。
  • キャラもフル3Dになったのだが、原作同様、立ち止まっている時にも足踏みをしているので違和感がある。
    • 傾斜地に立つと、そこに合わせて斜めに立つので非常にシュール。
  • 評価点でもあるよう設定などが追加されているが、原作の設定とのすり合わせの考慮もなく、大きな矛盾と化している箇所がいくつもある。
    • レヌール城が滅んだ経緯に光の教団を絡ませたことによる時系列などとの多くの食い違いが生じた、光の教団の行動理念が明かされたのは良いが教団の各行動および思想が頓珍漢なものと化した、フローラが預けられていた修道院が明言された事により彼女の道程に不自然さが生じているなど。

賛否両論点

  • ゲマの設定改編
    • 上述のとおり、このリメイクは世界観の設定改編があちこちで行われているのだが、中でも設定改編及びそれに伴う影響が顕著なのがこれである。
      地上世界に君臨する「光の教団」の幹部でパパスを殺害し、主人公の人生をも大きく狂わせた怨敵。SFC版ではその長のイブールに忠誠を誓っているという設定だったが、今作ではラスボスのミルドラースに忠誠を誓っている。
      • もとから出番が多く主人公の父をなぶり殺しにした怨敵というラスボス以上に目立つ立ち位置もあってか、イベントや戦闘が追加されているのだが、それによりシナリオ全体の整合性が崩れてツッコミどころが増加し、ゲマのキャラクター性も損なわれてしまっている。
        SFC版の時点でも行動に対しては教団幹部としての詰めの甘さなどが指摘されていた(参考)ものの、そこまでおかしいといえるようなものではなかったのだが、後付けで設定変更を行た結果、無理や矛盾が生じてしまったのである。(参考
    • また、マーサ殺害シーンも実行犯がミルドラースからゲマに変わっているため、ゲマの卑劣さを際立てた反面、ただでさえ影の薄いミルドラースの貴重な見せ場が奪われてしまった。
      • また、このシーン演出に関しても無理やりねじ込んだ感が強く、「ゲマの攻撃を受けて倒れた後にミルドラースの攻撃を受け再び倒れる」という、なんともシュール極まりない演出になってしまっている*4
    • 結果として、「主人公の因縁の敵役としてキャラが立った」という意見もあれば「無理に登場させたせいで物語に矛盾やキャラの崩壊が生じてる」という意見もあるなど、賛否両論である。
      • 一方で、SFC版では上のとおりで出番が終わってお、断末魔も「信仰に殉じ悔いのない最期を迎える」といったような最後で敵討ちのカタルシスを感じにくいものだったが、本作では相応の報いを受けたと思わせる壮絶な最期となってもいる。
  • 『嫁論争』を煽るような結果となった追加要素
    • フローラは青年期前半(結婚後から離脱までの短い間だが)の間、レベル制限(10まで)と戦闘中命令不可の制限がかかっていたが、これが無くなった。
    • フローラとの結婚時、義父であるルドマンから貰えるアイテムに神秘の鎧と5000Gが追加された。結婚してすぐに手に入る品ではないが、神秘の鎧は非常に強力な装備。
    • シナリオ的にはフローラよりもビアンカの方が優遇されており、結婚までの会話数が少ない。堀井雄二氏も「『DQV』発売当時はほとんどの人はビアンカを選ぶと思っていた」と語っているほど。
      これに関して、「フローラに関する新規イベントが追加されこれまで以上に嫁選びに苦労するかも」との触れ込みだったが、オープニングの船でのごく僅かな交流のみであり、ビアンカに用意された既存のイベントとは比べるべくもない。
      • 逆に、ビアンカに関してはそもそもイベントや要素が一切追加されていない。
    • ビアンカファンにとってはフローラとのシステム的格差がさらに増加、フローラファンにとっては最も期待していたイベントの追加があまりに乏しくイベント格差がまるで是正されていないと、どちらにとっても中途半端な追加要素であり、SFC時代から続いていた不毛な嫁論争をさらにネガティブに煽る事になってしまった。
  • 1度の呪文で2度の効果を発動する装備『やまびこのぼうし』と、戦闘を最初のターンまで巻き戻す『ときのすな』が入手不可能になってしまった。いずれもSFC版ではかなり便利であった道具であり、これらを削られたことに不満を持つプレイヤーは多い。
    • 『やまびこのぼうし』に関しては強力すぎたから削除されて当然じゃないかという声もあるが、全員にバイキルトの効果を与える『たたかいのドラム』はより壊れた性能でありながら続投している。
      • ただでさえSFC版にて既に問題視されていた物理・特技偏重、呪文冷遇のバランスに拍車をかけるようなアイテムが残されたことについての批判が大きい。
    • 『やまびこのぼうし』については攻撃呪文の増幅はもちろん、スクルトやベホマラーなどといった回復・補助呪文の増幅も非常に有用であった。とりわけベホマラーの増幅は今作のダメージバランス的に非常に燃費が良いため、参加人数が4人に増えた今作で廃止された事には同意する意見が無いわけではない。
      • ただ、そう考えてもやはり戦いのドラムの方が4人パーティになったことの恩恵を遥かに大きく受けており、結果的に呪文冷遇に繋がっていることは否めない点である。攻撃呪文のほうも『やまびこのぼうし』削除に合わせて調整を施していればまだ違ったんだが
  • グラフィックは今までのドラクエとは違って完全3Dとなった。しかしその質に関しては「綺麗になった」と感じる人もいれば「SFC版から表現だけを3D化させた事で安っぽいグラフィックになってしまった」と感じる人もおり、プレイヤーの感性によって評価は分かれる。
  • 裏ボスがたどたどしい口調から普通の口調に急変する演出が抹消されており、SFC版を知っている者からすれば非常に物足りない。

バグ

SFC版にあった数々のバグは修正されたが、新たなPS2版独自のバグが存在している。
中にはバグを利用して遊びの幅を広げられる有用なものもある。

  • 本作で有名なバグはやはり、発売から程なくして見つかったオープントレイの裏技(通称:OT技)だろう。
    • 原理としては、PS2の蓋を途中で開けてそのままフィールドを移動すると、先のマップが読み込まれないため地形を無視して暗黒空間を移動し、本来ならその段階で行けない場所に行けてしまう、というものである。蓋を閉めると再びマップが読み込まれゲームに復帰できる。
    • 明らかにプレイヤーが意図的に行わないと発生しない現象なので、そこまで問題視はされなかった。むしろこのバグのおかげで重婚が出来たり、パパス・ベラ・ヘンリーを最後まで使用できる、種を増殖して弱いモンスターをドーピングして最後まで連れ回せるなど新しい遊び方が生まれたため、現在ではひとつの遊び方として定着している。
      • ただし当然ながら本来想定されていないプレイ方法であるため、場合によっては変な場所でハマって動けなくなったり、イベントフラグの異常でゲームがフリーズしてしまうことも多々ある。
        だが発見直後からこの技に魅せられたプレイヤー達によって地道に研究が重ねられ、現在はフリーズしないためのイベント進行手順やキャラ増殖など、OT技に合わせた各種攻略ルートまで確立されている(勿論本来のストーリーの流れはぶち壊しに)。
    • このオープントレイ技を使用することで幼年期にもモンスターを仲間にすることが可能になるのだが、これにより本来のプレイでは加入時期が遅すぎて「今更四天王」などと呼ばれた弱小追加モンスターが、このプレイに限っては一転強力な仲間モンスターとして大活躍できる事態となる。特におおねずみは序盤のエースとなりうる性能。妖精の世界で加えられるガップリンもその時点ではかなりの強さを誇る。
    • このOT技を応用し、スティックバグ(地形すり抜けショートカット)や、内部データに残されたデバッグモードに行く方法なども発見されている。ついには幼年期のままエンディングに向かうルートまで発見された*5
  • ふくろのカーソルずれを利用したアイテム増殖技やアイテム空売り(金増殖)が存在する。
    • こちらも意図的に実行するとゲームバランスを激しく損ねるが、操作が簡単なため意図しなくても稀に事故で起こることがある。
    • ゲームが有利になるものの、本来1つしか取れないはずの重要アイテムを増やすとやはり進行不能に陥る場合もあるので注意。
  • オラクルベリーで「セーブデータ再開からカジノの台にたどり着くまで最短距離で移動する」ことで、スロットの出目をある程度固定し、カジノの大当たりを意図的に狙うことができる(いわゆる電源パターン)。
  • ダンジョンでトヘロスを唱えても「こうかがなかった」と出るが、実際には効いている。
    • ただし効果があるのかどうかはレベルによるので、レベルが足りていない場合は本当に「こうかがなかった」。
  • 毒の沼地対策等の移動中に使うトラマナが、戦闘に入ると効果が消えてしまう。その為、使用直後にモンスターに遭遇した場合など、完全に意味がなくなってしまう。
  • ある毒の沼地で、沼地から移動すると、フィールド、海の移動中にも毒のダメージ音が鳴る。

総評

ゲームとしては充分良作だが、SFC版への思い入れが強い人にとっては、前述の問題点が気になり易く、賛否を呼んでしまう点は否めない。
とはいえ総合的なリメイク作品としての品質は十分であり、とりわけ原作で問題とされていたビジュアル面・サウンド面の強化による恩恵はとても大きい。
また、やりこみ要素はかなり増えており、戦闘難易度の適度な向上に加え肝心の戦闘テンポも良いため、やりこみプレイヤーや新規ユーザーからも好評である。
結果としては原作の粗の多さをほどよく無くし、完全版として生まれ変わった良リメイクと言える。

その後の展開

  • スクエニに合併してから初のドラクエという事も影響したのか、今作はリメイク作品としては異例ともいえる161万本の売り上げを記録した。
    • 発売当時は今一つ人気を得られなかった原作の評価が、時間が経つにつれ見直されていったことを裏付ける記録となった。
  • 2008年、DSで2回目のリメイクが行われた。
    • AIの改善や時の砂の復活、一部難易度調整や嫁の追加等が行われたが、基本的にはPS2版と変わらない。
    • ただし、旧作のバグはほぼ全て修正され新たなバグもほぼ無いため、SFC版やPS2版のようなバグを利用したお遊びプレイはできなくなっている。
  • 続編の『IX』で本作の主人公の姿になることが出来る装備品が登場している。

余談

  • 本作品と無関係の浅野智也氏はこれに感銘を受け、『FFIII』のリメイクを製作することとなった。そちらも本作と同じくマトリックスが担当している。こちらも良リメイクと評判である。
  • PS版DQ4と同様に、ストーリー・キャラ設定にアクのある変更や追加等がされた、DQとしては異質なリメイクであり、ファン同士の議論になりやすい。