流星のロックマン2 ベルセルク×ダイナソー / ベルセルク×シノビ
【りゅうせいのろっくまんつー べるせるく だいなそー / べるせるく しのび】
ジャンル
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ブラザーアクションRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売・開発元
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カプコン
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発売日
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2007年11月22日
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定価
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4,800円(税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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『流星のロックマン』第2作 初代から改善された部分は多い あまりに多すぎるエンカウント 新要素で対戦バランスが崩壊 総合的には楽しめる出来
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ロックマンシリーズ
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概要
『流星のロックマン ペガサス/レオ/ドラゴン』の続編として発売された本作。
前作は3バージョンで販売した結果、大幅な値崩れを引き起こしたが、本作は「1つのソフトに2つのバージョン違いが収録、それを2パッケージで販売」という形式となった。
本作の主な特徴としては、前作の「スターフォース」に代わる新たな強化要素「トライブオン」の登場や明確なライバルキャラの登場などがある。
なお本作は「電脳世界」という概念自体が消えていたりと、前作と比べるとエグゼの雰囲気は影を潜めている。
2014年5月20日に任天堂がWi-Fiコネクションを終了したため、現在Wi-Fi機能は使用不可能である。
特徴・新要素
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「トライブオン」「ダブルトライブ」「トリプルトライブ」「ロックマンブライ」
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トライブオンはブラザーバンドのカードを使用することによって変身できる新たな変身要素。ユーザーの遊んでいるバージョンに応じて「ベルセルク」「ダイナソー」「シノビ」のいずれかに変身をする。
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トライブオンは前作のスターフォースとは違い「特定属性のバトルカードの攻撃力アップ」など各トライブごとの固有能力を持っている。さらに新しい要素として「別バーションのトライブと合体する」ことができる。
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「ダブルトライブ」は上記のトライブオンに変身した状態で、別バージョンのブラザーカードの使用により変身するさらなる強化形態。本作のソフトが2バージョン収録ということなので、最低でも『ベルセルク×ダイナソー』だとベルセルクとダイナソーの組み合わせ、『ベルセルク×シノビ』ならベルセルクとシノビの組み合わせが使える。
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また、例えば元の形態が「ベルセルク」に「ダイナソー」を使うと「ベルセルクダイナソー」になるし、ダイナソーでベルセルクを使うならその「ダイナソーベルセルク」になる。また属性は、ダブルトライブ時に使ったカードの属性が優先される。
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そして3つのバージョンのカードを全て使うと、究極の形態「トライブキング」になれる。この形態は「使うカードの威力が全て倍になる」「無属性のため弱点属性が存在しない」「必殺技が超強力+全範囲攻撃」などの能力が使える。しかし強力すぎるがゆえに、3ターンしか使えない。
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「ロックマンブライ」はブラザーバンドを一切使わないで、とあるアイテムのセットによりなれる特殊な形態。
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受けられる能力としては、「ソードカードの威力+50」「電波障壁(1ターンに1度だけ攻撃を防ぐバリア)」「通信対戦時に相手のロックオンカーソルを破壊」がある。しかし「メガクラスカードの使用不可能」「カウンターでしか必殺技が使えない」などデメリットが尋常ではなく、使いこなすのは難しい。
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キズナリョクとアビリティ
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今作はブラザーバンドの多さや、ブラザーの強さが数値化され「キズナリョク」として表示される。この数値の高さにより「アビリティ」つまり特殊能力が使える。
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ウェーブコマンドカード
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別売りのカードをタッチパネルに重ねて、空いてる穴をタッチすることにより、特殊なカードや強力なカードがもらえるというシステム
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基本使うカードは別売りだが、本作の初回特典として一枚付いていた。
評価点
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ブラザーバンドが使いやすくなった
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前作は「ゲーム内のキャラの枠で、現実のユーザーの枠を取ってしまう」という問題点があったが、今作はゲームキャラとのブラザーバンドの枠と現実のユーザーとの枠は分けられたため、使いやすくなっている。
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さらにロックマンブライを使う場合でも、ゲーム内のキャラとのブラザーバンドは切らなくてもよい。
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またゲームソフト内でブラザーを結んでくれる「オートブラザー」が登場。現実でブラザーを結ぶ相手がいなくても、最低でも一人とはブラザーが結べるようになった。
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「アビリティ」や「キズナリョク」といった新要素のおかげで、前作よりもさらにブラザーバンドの重要性が向上。
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トライブオンを初めとする強化形態が使いやすい
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今作のトライブオンは前作で使い道の薄かったスターフォースに比べてしっかりと強化されており、それぞれに個性を持ったものとなっているので使いやすい。またダブルトライブによる組み合わせのバリエーションも多く、楽しめる要素となっている。
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またトライブオン中は下のカード選択画面に、トライブ時に使ったブラザーバンドカードが枠を取り、カードの選択範囲が狭まるというデメリットもがある。トライブキングもターン制限によりいつまでも使えるわけでは無いので、対戦においてもバランスが崩れないようになっている。
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ただし「ロックマンブライ」は非常に癖が強く、使いにくい物となってしまっている。詳細は問題点にて。
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ボイス搭載
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少しではあるが、ゲーム開始画面やトライブオンを初めとする各種形態に変身するときにボイスが入るようになった。当時放送していたアニメと同じ声優が起用されており、アニメを見ているユーザーには嬉しい要素ではある。
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前作よりさらに増えたやりこみ要素
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前作もそこそこやりこみ要素は多かったが、今作はさらに増えている。クリア後の隠しエリアやボス、増えたサブイベントなど非常に充実している。
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ただし前作よりも行動範囲が広いためおつかい要素のわずらわしさは増してしまっている。
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ストーリー
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ストーリーも前作同様完成度は高い。今作で出たブライに電波変換するライバルキャラ「ソロ」は絆を否定するキャラとして登場したが、こちらも人気は高い。
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単純にセーブデータが増えた
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本ソフトが2バージョン収録の仕様のため、単純に見ればセーブデータが増えている。
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例えば『ベルセルク』のデータは対戦用に使い、『ダイナソー』のデータでロックマンブライでクリア後のやりこみをする…なんてことも出来る。
……要するに、二つ分のセーブデータ領域で片方のバージョン二つを作成出来ない『エグゼ5DS』である。同じROMのデータ同士でカードの交換等は出来ない。
賛否両論点
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全体的に敵が前作よりも強い
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雑魚敵、ボスともに前作よりも全体的に最大HPが上昇し避けにくい攻撃をする敵が多くなり、後述のエンカウント率も相まって難易度は前作よりも高め。特に、ストーリー終盤で戦うブライEX、ラスボス、隠しエリアで戦うことになるSPよりも能力が強化されたIFボスや裏ボスの強さは突出しており、プレイヤーの壁として立ちはだかる。
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使いにくすぎる「ロックマンブライ」
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トライブオンとは逆に、どのユーザーともブラザーバンドを結ばないことで電波変換できる「ロックマンブライ」だが、強化形態とは思えないほど上級者向けすぎる使いにくさである。
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「電波障壁」は便利ではあるのだが、「メガクラスカード使用不可能」はデメリットとしては大きすぎる。またブラザーバンドを結べないので飛躍的なスペック向上も見込みにくい。
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対戦でもトライブオンを初めとする通常のトライブオンやダブルトライブ、特にトライブキングとの力の差は歴然。やはり必殺技が画面暗転時のカウンターでしか使えないこともあるが、そもそものスペック差があまりにも大きすぎる。通常カードの強化もロックマンブライは「ソード系カードの威力が50アップ」に対しトライブキングは「全カードが二倍の威力アップ」である。
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またロックマンブライのデザインは各トライブ形態の色を黒く変化させただけでかなり味気ない。必殺技も元々が使えないからとはいえ、各種のトライブの必殺技のグラフィックの色を変化させただけ。
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元々この形態自体が「流星のロックマンのテーマであるブラザーバンドを否定する」ため、デメリット能力が付いたり、究極態のトライブキングに劣るのは仕方ないと言う見方もできる。しかし、形態バリエーションとして用意するならダブルトライブ並の性能はあって良かったのではないだろうか。
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古代文明というテーマ
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ストーリー自体の評価は高いが、本作が「古代文明」をモチーフとしたのは賛否が分かれた。
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前作は宇宙や星座をテーマとしており敵は主に「地球外生命体」だったが、本作の敵は「古代文明の力を利用する人間の犯罪者達」のため、単純にスケールダウンしていると言われることもある。
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また本作の新ボスキャラは前作と違って殆どが完全な悪人であり、かといって悪役としても魅力がやや薄い。前作とはテーマが違うため仕方ないととも取れるが。一応ライバルキャラのブライや黒幕、作中何度か顔を出す様なキャラはちゃんとキャラが立っている。
問題点
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あまりにも多すぎるエンカウント
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「今作一番の問題点は?」と聞かれれば、ほとんどのプレイヤーがこれを挙げるだろう問題。前作でもエンカウント率はそこそこ高かったが、今作はその比ではない。
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エリアが広いため、移動が面倒臭い
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前作よりもエリアは広くなっているが、そのせいで移動自体が面倒くさくなってしまっている。上記のエンカウント率の高さもそれに拍車を掛けてしまっている。
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また本作は外国にも電波世界の移動で行けるようになっているが、一度行っても移動を短縮する方法は少ない。そのせいでモブキャラのサブイベントコンプリートが面倒になっている。
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前作ではすべてのエリアにバスで行けたため、明らかな改悪点としてストレスを与える要素になっている。
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ウェーブコマンドカードによる対戦バランスの崩壊
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「最初からトライブキング」「前作のギガクラスカード入手」「スーパーアーマー追加」「フォルダに入れられるメガ、ギガクラスカードの枚数がアップ」といった非常に強力なものが含まれており、Wi-Fi対戦のバランスが崩壊してしまった。そのため、これを使えるかどうかでプレイヤー同士の格差は天と地までの開きがでる。
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なお、このウェーブコマンドカードは専用の別売りのカードをタッチパネルに重ねて、空いてる穴をタッチする仕様だが、実際には縦4×横5のパネルに特定の順番にタッチすることで効果が得られる仕組みになっている。つまり、攻略サイトなどで場所を知ることができれば専用のカードは不要である。
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スタッフロールが飛ばせない
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前作ではラスボス後のスタッフロールは早送りができたが今作では早送りもカットもできなくなっている。一見些細な問題点ではあるが…
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ネタバレ注意
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今作ではある条件を満たした状態で強化版ラスボス「ラ・ムーXa」を倒すとスタッフロールの後に真のラスボス「ブライSX」と戦うことになる。
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ブライSXは強力な攻撃、壊してもすぐ復活するバリア、スーパーアーマー(攻撃してものけぞらない)を兼ね備えていて非常に強く初見で撃破するのは難しい。
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のだが、戦う前にセーブができないので負けたらラ・ムーXaと戦う前に戻ってしまい、再び倒してもまた飛ばせないスタッフロールを見せられることになるのだ。
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さらにラ・ムーXa自体も流星のロックマンシリーズの中ではかなり強敵の部類であり倒すのにも一苦労する。
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総評
完成度の高いストーリーは健在で、前作からはちゃんと改善するべき部分はされている。初代からはゲームバランスがしっかりと直されており完成度自体は高くなっている。
しかし、エンカウントやお使い要素の広大化など、無視できない問題点も増えてしまった。
総合的に見ればボリュームもあり十分楽しめる出来であるため、気になった人はぜひプレイしてみていただきたい。
余談
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前作は発売直後にすぐに1,000円台、最終的には三ケタにまで値崩れを起こしたことは一部で有名であるが、本作も案の定値崩れがすぐに起きた。
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確かに売り上げは減ってはいるがそれでも30万本近く売り上げている。また前作よりバージョンは減っており、小売も警戒をして慎重に入荷したはずなのだが…
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この二作連続での大幅な値崩れのせいで「流星のロックマン=値崩れをすぐに起こすソフト」というイメージがついてしまった感じではある。
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『コロコロコミック』での漫画も前作のコミカライズをした作者で連載されたが、前作以上に評価の厳しい作品となってしまった。
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前作の漫画と一切繋がりがないどころか、
原作の影も形も無い世界設定
になっていた。
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その内容は、ベルセルク、ダイナソー、シノビのロックマン3兄弟が、かつて一族を滅ぼした仇を討つため、各階のボスと戦いながら塔を上っていくというものである。
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はっきり言って、キャラクターの名前以外原作と関係ない、「流星のロックマンの名前が付いた何か」という状態になっている。
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タイトルも『TRIBE 流星のロックマン 武闘外伝』となっており、「外伝」とついているあたり、原作と無関係という自覚はあったようだ。
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次回作のコロコロコミックでの前後読み切り漫画は、評判の高い『エグゼ』の漫画を手がけた作者が書いている。こちらの漫画は評価が高い。
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当時放送していたアニメ版も2に合わせた新展開に入ったものの、結局は打ち切りのような形で終わってしまっている。
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ちなみにアニメ版の最終回は10分枠だったことも重なり、超展開と化したことは一部で有名だったりする。
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今作も前作同様ダブルスロットによるロックマン エグゼシリーズとの連動イベントがある。
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そこでエグゼの登場人物達のその後や、ブラザーバンドシステムの始まりを知ることができる。
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しかし次回作では連動イベントがなくなってしまった。
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本作のCMソングである『ウツセミ』は歌詞が本シリーズに非常にマッチしているとファンから評価が高い。
本作の売上などの関係でいまいちマイナーな曲ではあるが、一聴の価値はあるだろう。
最終更新:2024年07月04日 11:22