メタルギア ゴーストバベル
【めたるぎあ ごーすとばべる】
| ジャンル | タクティカルエスピオナージアクション |  
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| 対応機種 | ゲームボーイカラー(専用) | 
| メディア | 16MbitROMカートリッジ | 
| 開発元 | コナミコンピュータエンタテインメントジャパン トーセ
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| 発売元 | コナミ | 
| 発売日 | 2000年4月27日 | 
| 価格 | 4,725円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | プレミア化したGBC最高評価のステルスアクション | 
| メタルギアシリーズ | 
 
概要
海外での要望に答える形で作られた携帯機初の『メタルギア』シリーズ作品。
監督は後に『メタルギアアシッド』シリーズを手がけることになる鬼才・野尻真太。
シナリオは『メタルギアソリッド』の脚本家の1人・福島智和が担当。
生みの親である小島秀夫監督はプロデューサーという形で参加している。
本作はPSとは比較にならない性能のGBCで発売された作品であるが、その出来は『ソリッド』や『メタルギア2』に勝るとも劣らない、『メタルギア』の系譜を忠実に受け継いだ作品である。
ストーリー
OUTHER HEAVENでの戦いから7年。
ソリッド・スネークはFOX HOUNDを引退し、アラスカで孤独な生活を送っていた。
だが、彼の元にやってきたキャンベル大佐により再び戦場へ赴くこととなる。
アメリカ軍の新兵器を積んだ輸送機C-5Bギャラクシーが消息を絶ったのだ。
その新兵器とは「メタルギア」であった。
あの戦いの後、メタルギアの有用性を認識したアメリカは極秘裏にデータを引き上げ、開発を続けていたのだ。
強奪したのはジンドラ解放戦線、通称ジレフ。
分離独立のため武装蜂起したジレフは傭兵集団「ブラック・チェンバー」を雇い、メタルギアを手に入れ、
かつてのOUTER HEAVEN跡地に建設された武装要塞ガルエードに運び込んだのだ。
スネークは因縁を感じつつ、武装要塞ガルエードへの潜入を開始するのだった…。
特徴・評価点
細かいグラフィック
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ゲームボーイのドット絵であるにもかかわらず、とても細かいところまで描かれている。
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兵士達の動きも背伸びをしたり居眠りをしている際は首を上下に揺らすといったことまで再現されている。
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さらに無線画面では、きちんとキャラクター達の顔の部分が電波によって乱れるという演出も加えられている。
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デモシーンの中には所持ゴーグルで変化する内容のものもある。
 
 
システム・装備品
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基本的にはMSX2の『メタルギア2 ソリッドスネーク』のシステムをベースに、『ソリッド』の壁張り付きと言った要素を掛け合わせたような形になっている。
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Aボタン-パンチ Bボタン-武器攻撃 スタートボタン-立ち・ホフク状態の切り替え セレクトボタン-メニュー画面表示。ボタン数が少ないハードの中では、とれるアクションは豊富。
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メニュー画面で十字ボタン上下で装備武器選択、左右で回復アイテムなどの装備選択、スタートボタンで無線画面へ移行する。
 
 
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装備
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ハンドガン「FN Five-seveN」や、アサルトライフル「R-5」を始め、チャフ・スタングレネードやC4爆弾などの装備が使用可能。流石に長距離射程武器はない。
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アイテムもお馴染みのレーションを始めとして、サーマルゴーグルやナイトヴィジョンゴーグルも存在。
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ゴーグルアイテムを使用した際には、サーマルなら画面が真っ赤に、ナイトヴィジョンなら暗闇でも通常時と同じような視界を確保できる。
 
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煙草は残念な事に任天堂ハード販売故に規制されて発煙筒になっている。体力が減らないのは嬉しい様な寂しい様な…。
 
豊富なモード
今作は携帯機作品ということで短時間でプレイできるように、ステージ形式や本編を題材にしたミニミッションやステージセレクト、前作からの継続であるVRミッションといったモードによって空いた時間のプレイが容易になっている。
また、対戦モードの独特の仕様は「敵から隠れながら目的を達成する」と言う『メタルギア』シリーズにマッチするものであり、今作の要素は後の携帯機向け作品の原点とも呼べるものとなっている。
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ストーリーモード
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メタルギアを巡る、全13ステージからなるステージクリア方式のストーリーモード。難易度をEASY・NORMAL・HARD・VERY HARDの4段階から選ぶことができる。
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本家に負けず劣らず専門用語が飛び交い、張り巡らされた伏線が見事に解消される、初代『メタルギア』からの流れを上手くまとめたストーリー。
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通信で聞ける政治情勢や武器の解説はGB故にカタカナが多めになっているが、長く丁寧な説明なのは本家と変わらず。
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ただし、メイ・リンの諺解説はGBの仕様では漢字を完全に表現できないので名言解説に代わっている。
 
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初代『メタルギア』の後の話だがザンジバーランド騒乱が無かった世界、つまり『メタルギア2』と『MGS』シリーズとはパラレルの話になっている。なのでオタコンやリキッドは登場しない。
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共通のキャラにも独自の設定が付加され、キャンベル大佐がかつて犯してしまった「過ち」が物語に大きく関わるなど、適宜挿入されるビジュアルシーンもあってドラマチックなストーリーが展開される。このストーリーは後に『MGA』シリーズに引き継がれることになる。
 
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ステージセレクト
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ストーリーモードで一度クリアしたステージを任意に選んでプレイするモード。
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ストーリーモードクリア後にはスペシャルモードが出現する。「NO.4」なる謎の人物から指令を受け、各ステージをストーリーモードとは異なる目的で攻略することになる。
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この指令内容が非常にバラエティ豊富で、ミッションをこなしていくごとに「NO.4」からストーリーでは明かされない裏の真実を聞くことができるなど、ちょっとした隠しストーリー形式になっており、退屈しないように工夫されている。
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ひそかにドンキーコングのパロディステージがあったりする。
 
 
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VRトレーニング
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ステージ毎に与えられた課題をクリアしていくモード。全180種類でバラエティーに富んでいる。BGMとして、初代『メタルギア』と『メタルギア2』のアレンジメロディーが使用されている点もファンにはうれしいところ。
 
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通信対戦
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通信ケーブルを用いた2人対戦ができる。対戦機能がついたのも『メタルギア』シリーズでは今作が初。
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プレイヤーには視界の概念があり、相手プレイヤーを視界内に入れなければ攻撃することができないというシステムになっており、スリルをもってプレイ可能。
 
豊富な小ネタ
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『メタルギア』シリーズ好例の小ネタも健在であり、かなり数は多い。
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十種類以上あるメイ・リンの名言解説、連続無線ドラマ「アイデアスパイ2.5(ツーハン)」など、PSPで発売された『MPO』よりも無線はバリエーションに富んでいる。
 
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『MG』に関するネタ
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「かつて自らが破壊したメタルギアの残骸」「地下百階に佇むメタルギア」など『MG』をプレイした人ならニヤリとできる部分も
 
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無線で語られる人間模様
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キャンベル大佐、メイ・リン以外の人物は今作のみの登場なのだが、本流シリーズにも劣らぬ個性を持つ。
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彼らの「本編とは一件関係ないように見える身の内訳」を語る無線内容は、実は「過去との決別」が共通項となっており、今作のテーマを暗に示している。
 
 
問題点
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全体的に難易度が高い
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難易度選択が可能なのだがEASYでも『MGS』より難しい程の調整がされている。
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敵兵の数が多めで、ステージ上のギミックもパズル要素を含むものが多く一筋縄ではいかない。
 
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GBCというハードの性質上仕方ないところもあるが、画面内に表示されるレーダーがかなり小さく、見づらい。
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イベントでの砲撃や「ハボック」「メタルギア・ガンダー」のミサイル攻撃はこのレーダーに映るのだが、光点が小さいため回避しにくい。
 
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今作オリジナルのメタルギア「メタルギア・ガンダー」もかなり強力。ハード上の制約もあって動き回ることはないものの、バルカン・火炎放射・ミサイル・ウィスプ(無人攻撃兵器)と武装が豊富で耐久も高め。
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なお、模擬弾ではあるがシナリオ上実際に発射する場面もあるので、「全シリーズで最強のメタルギア」と呼ばれることも。
 
 
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使い回しが多い
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シナリオ上の関係で同じ場所を複数ステージで使用することが多い。一応停電、目的の違いなどでマンネリに陥りにくくなってはいるが。
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VR訓練も『MGS』とほぼ同じ物しかないのでシリーズ経験者にとっては新鮮味に欠ける。
 
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データの初期化することができない。カートリッジを破壊する覚悟があるならともかく、正規の方法では不可能。
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コレのどこがマズイかというと、スペシャルモードで聞ける裏話が「最後にどのミッションをクリアしたか」ではなく「ミッションを幾つクリアしていたか」によって変わるため、一度聞いた話を後でもう一度聞くことはできないのである。
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ソフトを中古で入手し、前の持ち主のデータがスペシャルオールクリア済みだったりした日には、もはやご愁傷様としか言いようがない。
 
 
総評
『メタルギア』としてもGBCのソフトとしても完成度が高く、中古でもプレミア並みの値段がついている。
入手は困難かもしれないが、プレイするチャンスがあれば決して損はしない作品であるといえる。
余談
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世界的な評価も極めて高く、ファミ通クロスレビューでは31点のシルバー殿堂入りというそれなりな点数だったが、レビュー集積サイト「GameRankings」では95.61%という破格の数字を叩き出している(アーカイブ)。
最終更新:2024年07月16日 22:06