ワリオランド3 不思議なオルゴール
【わりおらんどすりー ふしぎなおるごーる】
ジャンル
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アクション
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 裏を見る
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対応機種
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ゲームボーイカラー(専用)
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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2000年3月21日
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定価
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3,800円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年5月2日/600円
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判定
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良作
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ワリオシリーズ
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概要
『ワリオランド2 盗まれた財宝』の続編。ワリオランドシリーズ本編3作目、ワリオランドシリーズ全体では4作目に当たる。
ストーリー
ワリオはある日、飛行機で森の上を飛んでいた所、エンジントラブルを起こして森の中へ墜落してしまいました。
持前のタフネスでケガも無く済んだワリオは、ふと訪れた洞窟の中で、壊れて音の出ないオルゴールを見つけます。
相当な値打ちものかと興味を示し触れたところ、なんとワリオはオルゴールに吸い込まれ、オルゴールの中の世界に閉じ込められてしまいました。
ワリオが目を覚ますと、オルゴールの世界を守る神と名乗る「ナゾの像」が語り掛けてきました。
像いわく、「ワタシはこの世界に隠された5つのオルゴールの力で封印されており、全てのオルゴールを見つけ出してこの封印を解いてほしい」とのこと。
面倒事はまっぴらなワリオでしたが、封印を解かないと外の世界に帰ることが出来ないこと、
そして何より、道中で見つけた宝は全て持ち帰ってよいという話に惹かれ、オルゴール世界を駆け巡るワリオの冒険が始まるのでした。
特徴
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オートセーブと手動セーブ(中断)
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前二作同様に、コースをクリアすると進行状況が自動的にセーブされる。
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また本作では、コース内でスタートかセレクトボタンでメニューを開き、「SAVE」を選ぶと中断セーブが行える。
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なお、ボス出現中やタイムアタックなど特殊な状態下では中断セーブはできない。
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主に前作と同じく不死身のワリオを操作してステージを探索し、ゴールを目指すというシステムだが、以下の違いがある。
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前作はステージが時間軸で用意されており、エンディング到達後にフローチャート方式で分岐やステージを探していく形式だったが、本作はオルゴールの中の世界(東西南北で区切られている)にステージが点在するものとなった。
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箱庭型のステージを探索して宝箱の鍵を見つけ出し、その鍵に対応する宝箱を開けてステージクリアというのがゲームの基本的な流れ(『64』以降のマリオの「スター」や「シャイン」と同じ形式、と言えば分かり易いか)。
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宝箱と鍵はグレー、レッド、グリーン、ブルーの4種類が存在。左側の宝箱ほど比較的早い段階で入手でき、右側の宝ほど高度なアクションが求められるなど、入手時期が遅くなる傾向にある。
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宝はステージ中の隠し要素としてではなく、ゴール地点として設置されることになった。
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この関係で新しいステージを作り出すために宝を使うなどのシーンが挿入されることになった。また宝にはパワーアップの効果をもつものも存在する。
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もちろん、何の効果も及ぼさない宝も存在し、中には全くクリアしなくてもエンディングを見られるステージもある。
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本作には昼夜の概念があり、出現する敵や一部マップの構造が変化する。昼夜はステージを出るたびに切り替わる。
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特定の宝を手に入れるとマップ上で任意に昼夜を切り替える事が可能になる。
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なお、東エリアは初期状態だと夜で固定されており、とある宝を手に入れるまで昼に変える事は出来ない。
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主人公のワリオは基本的に不死身だが、前作同様、特定の敵や仕掛けの攻撃に当たるとさまざまな「リアクション」を取る。これを利用することでステージを探索していく。
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リアクションは全15種類。「顔が膨らんで宙に浮く」「つぶされてペッタンコになる」「身体がバネになって跳ねる」など前作から引き続き登場しているものに加え、新たに「透明化」「毛玉になって転がる」「雪だるまになる」「ドラキュラに変身」が追加された。
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攻略に無関係なもの(ダメージモーションの亜種)では「感電」に加え「ビームで縦に真っ二つ」という物騒なものも。攻略本の言葉を借りれば、「それでも生きてるんだからワリオはすごい」。
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前作から続投したものでも「ゾンビ化」はジャンプが可能になるなど調整がされている。
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反面、前作の「チビワリオ」は削除、「酔っぱらう」もなくなって同様のモーションを取る「目を回す」が追加されたが、こちらは攻撃手段の削除など弱体化されている。
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ちなみに、ラスボスの一部の攻撃を喰らうとゲームオーバーになる。ただしボス戦前の会話はスキップ出来る上にラスボスとの戦闘のみのステージなので、リスタートは苦にならない。
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今作のワリオは能力がかなり制限されており、ゲームスタート時はジャンプやしゃがみ、坂転がりなどの基本動作以外はショルダータックルしか使えない(十字キーを上に入力しながらの大ジャンプ、泳ぐ、敵の持ち上げすら使えない)。
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ゲームを進めていくうちにお宝(強化アイテム)が手に入り、『ヒップアタック・泳ぐ・頭でブロックを壊す・敵を持ち上げる』などといった従来のアクションが1つずつ解放されていく。
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一部のアクションは最初は従来の下位互換のものを手に入れることになり、例えばヒップアタックは貫通性能が無く地震も起こせない。従来の性能のものが手に入るのは先になる。
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ゲームの謎解きにはステージ中にミニゲームの部屋があり、そこでゴルフゲームをクリアすることで通路が開くものがある。
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ゴルフの内容は2Dマップ(左側からスタートで右側にカップがある)で、敵キャラをボールに見立ててタックルで飛ばすもの。『マリオゴルフ』のようにパワーを決定後ミートポイントを決定して飛ばし、ミートポイントでトップスピンやバックスピンも決めることで規定打数を目指すための落とし方を考えるなど、意外と戦略性が高く侮れない。
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お宝としてステージにあるオルゴールを5つ集めてスタート地点の「神殿」に行き、そこでラスボスを倒せばエンディングとなる。
評価点
ボリュームがある
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最終的にステージ数が25にもなり、それぞれに宝箱が4つも隠されている。もちろん全てのステージに謎解き要素があり、場合によってはボスもいる。つまり、全部で実質100ステージ分あるということ。
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宝箱からゲットしたアイテムの効果によって新ステージが出現したり、今まで行けなかった場所に行けるようになる。新ステージ出現の際にはちょっとしたイベントシーンが入り、それもなかなか面白い。
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ゲームの進行上は48ステージをクリアするだけで済むのだが、やりこみ要素としてゲーム進行と関係ないステージやお宝探しなどのやりこみ要素が多い。
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上述のゴルフゲームは宝の「7色のクレヨン」を全て揃える事でコインを支払って自由に遊ぶことが出来る。
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各ステージに8枚ずつある「音符コイン」をすべて集めると、ゴルフゲームで高難度マップがプレイ可能になる。ちなみに音符コイン集めは一度の攻略で8枚全て集めないとクリアした事にならないためゲーム進行よりずっと難易度が高い。
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全100種の宝を入手後は各ステージのタイムアタックができる。
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このように、同じステージを何回も回る仕様ではあるが、アクション強化・進行用のアイテムを入手しなければどうしても行けない場所があるように作りこまれており、そのたび新鮮な気持ちでプレイできる。
難易度バランスの良さと快適性の向上
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難易度のバランスが取れている。敵の配置やボスの強さも、最初は腹立たしいが慣れればクリアできるように作られており、決してゲームとして理不尽ではない。
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また探索寄りのゲームは次にどこへ行けば良いのか分からなくなりがちだが、本作では「神殿」でナゾのぞうから『次は何処のステージへ行けばいいのか』という事を教えてくれるためノーヒントでも詰まりにくい。ラスボス撃破後も宝をコンプリートするまではヒントを教えてくれる。
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ダメージを受けてもコインを落とすことがなくなったことで、コイン集めが前作以上に楽なものとなった。
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なお、1枚で複数枚のコインが手に入るカラーコインは特定のブロックを壊した時のみ出現するようになっており、入手枚数も前作より減っている。
演出面の強化
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説明書のワリオ曰く、「ゲームボーイカラー専用だから画面が美しい~!」。
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誇張ではなく、前作と比較して敵キャラクターのカラーリングが鮮やかなものになっており、1キャラクターに使われる色の数も増加している。特にボスが顕著。
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背景のグラフィックの書き込みも大きく向上。多彩なステージで違う背景をきっちり楽しめるようになっている。
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ワリオのモーションも新しいリアクションに加え、既存リアクションでも黒焦げから元に戻る動作や痩せるモーションなど、テンポを極端に損ねない程度に追加されている。また水面の際で立ち泳ぎしたり、イベントでも色々な表情やポーズをするなど、リアクション以外もモーションが多彩になっている。
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BGMも良好で、特にスタッフロールの曲は評価が高い。
その他
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ストーリー性は薄いもののラストにかけて発覚するオルゴールの世界の真実は熱い。
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ネタバレ
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実は、ワリオに自らの封印を解くように頼んできた「ナゾのぞう」こそがオルゴールの世界に侵攻してきた邪悪な者であり、本作のラスボスである。撃破すると、「かつてこの世界の住民がラスボスをオルゴールの力で封印した」「ワリオを襲うモンスター達はラスボスの最後の力で姿を変えられた住民達であり、ワリオが封印を解かないように邪魔をしてきた」ということが判明する。
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「ただ宝を求めて冒険してきたワリオが、図らずも人を救うヒーローになってしまう」という展開に対し、ラスボスを倒したお礼として集めた宝を渡され元の世界に帰されたワリオの表情が、他の任天堂ヒーローとは違う味を出しているとして評価が高い。
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本作以降のワリオランドシリーズでは「私利私欲で冒険し、その障害となる敵を倒すに過ぎないが、結果的に人を救い感謝される」というワリオのヒーロー像が定着することになる。
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賛否両論点
ボスへの攻撃方法が初見では分からないことが多い
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1回攻撃を入れた後もう1回弱点を攻撃しなくてはならなかったり、明らかに相手贔屓なサッカー勝負を挑まれたり。前述のように1ミスで即座にやり直しになるボスが多いため、ボスだけならば他のアクションゲームに比べて飛躍的に難しいとさえ言える。
ミニゲームの難易度が高い
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ステージによってはミニゲームのゴルフをクリアしなければならないがこれが意外と難しく、しかもプレイするたびにコインを使用しなくてはならないため、コインがなくなると場合によっては最初からやり直しになることも。
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難易度もさる事ながら、コースがランダムなのが厳しい。運が良ければ簡単なコースだが、運が悪ければ池やバンカーが連続するようなコースになる。
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本作は5桁ものコインを貯金出来た前々作、前作に比べると999枚までしか備蓄出来ない。ゴルフは最終的に1回50コインである。溜めやすいのが救い。
徐々にステージの制限が解放されていく仕様への賛否
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前述のように、今作のワリオは強化アイテムを取る事でアクションが増えていくが、これを「どんどん新しい事が出来るようになる」と取るか、「最初は不自由でつまらない」と取るかで、長所にも短所にもなる。特に初期は前作・前々作で出来た事が出来ないためイラっとするかもかもしれない。
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「行ける場所が増える」というのは逆に言えば「見えているのに行けない場所」が多いということでもある。「いつかあそこに行ってやる」というモチベーションになるか「行けない場所が多すぎる」とストレスになるかはその人次第。
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逆に後半は、ステージ内の多くの場所(最終的には全て)を回れるようになるが、広いステージのどこに宝箱があるかはノーヒント。以前どこに宝箱があったかを覚えていないと、以前行った場所も含めて探し回る羽目になる。
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また、前述の通り音符コインは1度に集める必要があり、そのためには各種のアクションが必要となるので、「最初から見えているのに、終盤になるまで取る意味が一切ない」と言う事になってしまっている。
問題点
「戻される」のが面倒
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死なない仕様上、仕掛けやボスの攻撃に当たると一定の場所まで戻される。クリアするまでは延々と同じ場所を回らされるのでもどかしくなることも。
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特にボスの攻撃は一度でも受けるとリアクションで強制ボス部屋退出→やり直しが殆ど。感覚的には「残機は無限だけどボス戦では一撃死」と変わらない。それをカバーする様なアイテムもない。
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「死んだときに中断ポイントに戻されるような物」と思えば仕方ないが、死なないのを前提にバランスを取っているようにも見受けられる。また、ダメージの受ける場所によってはステージ終盤から一気にスタートまで戻される事も有り得る。
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絶対に死なないのにその場ですぐに復帰出来たりすると温すぎるので仕方のない面ではあるが、「いっそ死んで再復帰できれば……」と思ってしまう事も。
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一部のリアクションはそもそもそれ自体が無駄に長い。リアクション中に出来る事が少ないため、テンポが悪い。
総評
カラーまで含めれば10年以上の歴史を持つゲームボーイの末期に作られた『マリオランド・ワリオランドシリーズ』の到達点。
その完成度、ボリュームからプレイしたユーザーからはGB末期の名作として高評価を得ている作品である。
余談
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始まる前にゲームのテキストを英語か日本語かを選択できる機能がある。日本と海外で、マイナーチェンジをせず同じROMを流通させる関係だろうか。
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ラスボスの没デザインらしきものが没データとして残っているがこれがかなり恐い。
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実は一部のステージでこの没デザインのような模様があったりする。
最終更新:2025年03月13日 00:10