ワリオランド2 盗まれた財宝
【わりおらんどつー ぬすまれたざいほう】
ジャンル
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アクション
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 裏を見る
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対応機種
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ゲームボーイカラー(全GB共通)
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メディア
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16MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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1998年10月21日
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定価
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3,675円
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年4月4日/600円
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判定
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良作
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ポイント
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残機・ミスの概念がない不死身のワリオ コミカルかつ多彩で面白いリアクション
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ワリオシリーズ
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概要
『スーパーマリオランド3 ワリオランド』の続編であり、マリオのライバル・ワリオが主役をつとめるワリオランドシリーズの本編2作目。
ただしワリオランドシリーズ全体では3作目にあたり、本作以前にVBで外伝作品『バーチャルボーイワリオランド アワゾンの秘宝』が発売されていた。
ストーリー
ある静かな朝、ワリオ城に数体の怪しい影が。
その正体はかつてワリオが宝を横取りした海賊・ブラックシュガー団。ワリオが熟睡している間に城の宝物をすべて盗んでいったのだ。
さらに水道を流して城を水浸しにし、ワリオを挑発するかのように目覚まし時計を放りこんでいった。
「絶対許さん!宝物を奪い返してやる~!!」固い決意とともにワリオは冒険に旅立った。
本作の特徴
不死身&リアクション
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本作のワリオには残機・体力の概念がない。敵の攻撃を受けてもコインを落としながら後ろに飛ばされるだけで、落とし穴など一発ミスの即死トラップも存在しない。
その代わりに特定の敵や仕掛けに当たると、「太る」「つぶれる」「尻に火がつく」「バネになる」「酔っぱらう」…などなど、さまざまな状態異常の「リアクション」に陥る。
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時にはつぶされた状態でヒラヒラと降下したり隙間を抜けたり、時には火だるまになってブロックを破壊したり、時にはバネになって高いところまで飛び跳ね、時にはゾンビになって地形無視で落下したり…と、このリアクションをうまく利用するのが攻略のポイントである。
アクションの追加・変更
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体当たりの距離、スピードが強化され、体当たり中のジャンプが細かく制御できるようになった。
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前作では『ブルワリオ』にならなければ使えなかったヒップドロップが基本アクションとなり、通常時ワリオで繰り出すことが可能になった。
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通常の歩行移動速度も速くなっており、前作よりもスピーディに行動できる。
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坂の上でしゃがむことで転がることができるようになった。
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転がっている時は高速で移動でき、自動で敵を倒すことができる。またこの方法でしか壊せない配置のブロックもあり、細かいジャンプ制御が求められる。
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ちょっとした小テクとして、坂の上で体当たり中にしゃがむと即座に転がる事ができる。
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敵を持ち上げた際の行動が増え、ボタンを押しっぱなしにして強く投げる、上に投げるなどのアクションが追加された。
探索・謎解き要素の強化
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ステージ内に隠された宝を探し出すなど探索・謎解き要素が前作よりも強くなっている。
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破壊できる壁が増え、その先にコインがあるという仕掛けが多く、何気ないところからコインが出てくる。ステージに配置されているコインの多くはこのような隠し部屋に置いてあるので、念入りに探索しなければいけない。
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ステージ内の仕掛けもフクロウにつかまって空中を進んで行ったり、スイッチで部屋の水位やブロックの出没といった仕掛けの動作を変えたりと、一筋縄ではいかない変わった仕掛けが豊富に用意されている。
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ステージのクリア条件も単純にゴールに着くものばかりではなく「デカヤリクリを倒す」「DDを4体倒す」「メンドリを巣に返す」「列車を止める」などの変則的なクリア条件が提示されるようになった。
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各章最後に待ち受けるボス戦も「ボスが遠隔操作するロボットを機能停止させ、ボスに投げ当てる」「お互いをボールにしあってのバスケ勝負」などユニークなものがあり、人気は高い。
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ステージはコイン探しや謎解きをしながら進むとなかなかの長さとなるが、逆にそれらを一切無視してゴールまで行くとかなり短い場合もある。
最初は一気にステージを突き進んで、後からお宝を回収してしまうのも一つの方法である。
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各ステージの道中とゴール後にそれぞれ、宝、地図の欠片を入手可能なミニゲームが用意されている。両者とも挑戦には大量のコインを要する。
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宝を入手できるミニゲーム(50/100/200 ※ステージ中のコインのみ可)
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道中に入口が隠されており、入るとミニゲーム開始となる。
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8枚のパネルが裏返しにされ、一瞬だけ表が表示される。その後、指定されたキャラのパネルを選ぶゲーム。払うコインの数に応じて、表が表示される時間が長くなる。
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地図の欠片を入手できるミニゲーム(50~450 ※総額コインのみ可)
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各ステージのクリア条件を満たし、ゴールすると開始となる。
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タテヨコ3マス、最大9枚のパネルをコインを払ってランダムにめくり、答えがわかったところで10択から1つ回答。パネルにはデジタル数字1つが白黒で描かれており、答えを確定するのが難しい。(例えば、外周の8枚で8(ハチ)かと思ったら0(ゼロ)だった、ということも。)
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最初は1枚ずつめくり、続けてめくるか答えるかを毎回選ぶ方式だが、一度どれかのエンディングを見た後は出題から自動的にめくられ、ボタンを押して答える/コインがなくなるまでめくり続ける形式に変化する。
オートセーブ
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前作同様にコースクリア毎に自動でセーブが行われる。
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また、セーブ中・セーブ完了のアナウンスを表示するようになった。
マルチエンディング
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本作はアクションゲームとしては珍しいマルチエンディング方式を取っている。
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各ステージは「第○章 第○話」と表記され、初プレイ時はステージを次々とクリアしていく一本道のゲームに見えるが、ゴールが2つある等のクリア条件が複数あるステージがいくつか存在し、達成したクリア条件によってルートが分岐する。
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分岐の仕方も「敵を追って海賊船→迷いの森→街→ボスの城」というオーソドックスなものから、「逃走する海賊を追っていたら幽霊屋敷に入ってしまった」「海賊船を沈没させ、そのまま海底の遺跡に侵入」と意外な展開を見せるものもある。
+
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更に、最初のステージから予想外過ぎる分岐が用意されている。ネタバレ注意!
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第一章第一話のスタートの時にワリオはベッドで寝ており、ボタン操作でワリオを起こして冒険スタート…となるのだが、ワリオを起こさずに放置しているとそれでもステージクリアとなってしまい、正規の攻略ルートとは別のルートに分岐するという面白いネタが用意されている。
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この方法で分岐したルートでは、なんとワリオが眠っている間に城を乗っ取られる。乗っ取った敵を倒し、城から追い出せばそのままゲームクリア。エンディングまでにクリアを要するステージ数はワリオシリーズ…どころか、派生元であるマリオシリーズを含めてもぶっちぎりで少ない。
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但し、このルートのボスが正規ルートのラスボスと比較してかなり強いという点には注意されたし。本作でのアクションに慣れていない状態で挑もうとすると、高確率で泣きを見る破目に陥ってしまう。
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この「放置による分岐」ネタに気付かなければ分岐先に行くことはできず、当然ながら完全クリアもできない。
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一度ゲームをクリアすると、ステージクリアまでに放置しなければならない時間が大幅短縮されるという救済措置はある。またクリア後は下記フローチャートで最初のステージから分岐が存在している事が示されるので、分岐の存在自体に気づかないという事は無いと思われる。
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一度エンディングを見るとフローチャートが出現し、2周目からはステージセレクトが可能となる。全ステージをクリアし、更に全ての宝、地図の欠片を入手すると「ホントの最終話」が出現、これをクリアすれば真のエンディングを拝める。
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この「ホントの最終話」はありとあらゆるテクニックを駆使しなければクリアできない、このゲームで最も難しいステージである。なお、このステージのみゴールまでのタイムが計測される。
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同様に「フラッグマンD.D.」というミニゲームもプレイできるようになる。ゲーム&ウオッチの『フラッグマン』のパワーアップ版と言っていい内容であり、AとBのボタンも加わっている。
任天堂最初のGBC対応作品
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本作はGBCのローンチタイトルの1つであり、カラーで遊べることが大きな魅力であった。ワリオも「『ワリオランド2』をカラーで遊ぶ為にゲームボーイカラーが開発されたのだ!! ほんとうだ! たぶんな?」とその魅力を熱く語っている。
評価点
「ワリオランド」の独自性を開拓
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ワリオランドシリーズは初代『ワリオランド』以来、ダッシュアタックで敵やブロックを破壊しながら進むパワープレイや「お宝を手に入れるために冒険をする」行動力の高さでマリオとの違いを見せつけていたが、基本システムはまだマリオシリーズに準じていた。
しかし、本作によって「ステージを探索してアイテムを集める」「リアクションを駆使してステージを攻略する」という独自のシステムが確立。
マップ構成、演出
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シナリオの前にワリオとブラックシュガー団のやりとりが見られる。会話文はないが、大げさすぎるほどのアクションにより話の流れは分かり易い。
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前作は横スクロールだったが本作では上下左右にスクロール(上下の切り替えに少々時間を食うが)するようになり表現の幅が広がった。
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当時の携帯機では多重スクロールは無理だったが、それでも列車ステージの窓やエンディングの地形などに工夫がみられる。
賛否両論点
ミニゲームの存在
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「ホントの最終話」を出すためには宝と地図、両方のコンプリートが必要。稼いだコインはこのミニゲームで消費される事になるが、ミニゲームの内容は作業そのものと言い切って差し支えない程度のものである。
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絵合わせゲームは支払ったコインで難易度を選べるが最低でもそのマップで稼いだコインが50、最高で200枚必要。幸いにして、ステージ中のコインは簡単に集められる。
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3DSのVCで遊んでいるなら「どこでも保存」を使ってセーブ&ロードで終わらせてしまってもいい。
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数字当てゲームは外れれば、対象ステージのスタートからやり直しになってしまう。ボスステージの場合は再戦する羽目になる。
ホントの最終話
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上述の通り、全マップにおいて宝・地図をコンプリートすると「逆にシロップのお宝を横取りしてやれ!」というシチュエーションで出てくる高難度の最終マップ。
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クリアの為には今まで使い所のなかったアクションや「難しいし使わずともクリアはできるが、習熟すれば攻略が非常に楽になる」類のアクションなども普通に酷使しなければならない、と説明すればどれほどの難しさか想像できるだろう。
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特に高速ベルトコンベアを抜けるために『タックルからのしゃがみ滑り』というアクションを使う必要があるのは全ステージ中でもこのマップだけ。突破方法に気付けない人は本当に気付けない。
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その分今までに培ったテクニックを総動員させられる、GBワリオランドシリーズでも屈指の骨のある高難度マップとなっている。ワリオランド製作スタッフからの挑戦状と言えよう。
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またマップも、よく見ると背景が『ワリオが背後から触れた際に仰け反った姿のザコ敵や目・口・耳などの人体パーツが無造作に埋め込まれている』など、それまでのステージには見られないグロテスクなものになっている。
いわゆる黒い任天堂。
問題点
GBとGBCの間でデータを共有することができない
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初プレイ時、モノクロ・カラーのどちらでデータを作るのかを問われる。以降、このゲームはモノクロでデータを作った場合はGB、カラーでデータを作った場合はGBCでしか遊ぶことができない。
さらにセーブデータは1つしか作れないため、違うハードで遊ぶときには一度前のハードでデータを初期化しなければならない。
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多くの人はGBCで遊んでいたと思われるが、先にGBやスーパーゲームボーイで遊んでいて後からGBCを買った人は泣く泣くデータを消さなければならなかった。
いくら最初期のソフトとはいえ、なぜこのような仕様になったのだろうか?
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ちなみに、VC版ではカラーでプレイする扱いとなる。
「戻し」作業が面倒
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今作のワリオは「不死身」であるのだが、ステージの仕掛けに引っかかった時やボス戦でミスをした時など、ある程度戻されてしまう広義的なミスは発生しうる。
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特にボス戦は1発食らうとすぐやられ戻りになるので、慣れるまでは何度も同じステージを繰り返さなければならない。
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ダメージを受けた場合のノックバックが異常に大きく、画面の半分くらい吹っ飛ばされる。このノックバックのせいで仕掛けにハマり戻されるケースもそれなりに多い。
面倒過ぎるリアクション「酔っぱらう」
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「ペンペン」というペンギンのような敵の放つビールを食らってしまうとこのリアクションになるのだが、これがまた厄介極まる。
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まず酔っぱらっているという事でフラフラして、操作がし辛くなる。タックルやヒップドロップといった攻撃も一切不可。その代わりなのか、くさい息である程度の遠距離攻撃が可能となるが、発射前後の隙がやたら大きい。ワリオのライバルが使うファイアボールのようには頼れない。
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ペンペン自体も非常に厄介な相手で、ある程度遠くまでビールを飛ばしてくる。ヒップドロップの振動で動きを止めてその隙に倒そうにも、その振動でビールをこぼして飛ばしてくる為、結局食らってしまう破目に陥りやすい。
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せめて時間経過で解除されてくれればまだよかったのだが、元に戻るには水に入って頭を冷やすしかなく、しかもそれを行う為の水辺が大概のケースにおいて後戻りしなければならない場所にある。場合によっては大幅に戻らざるを得なくなる。
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この「酔っぱらう」は、全リアクションの中で唯一攻略やコイン集めに役立つ局面が全く無い。このリアクションの存在自体がプレイヤーへの嫌がらせ要素になってしまっている。
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一応しゃがんでいればビールに当たっても無害になるが、何の情報もなしに気づける人は少数だろう。
総評
やや粗はあるものの「お宝のために冒険をする」というワリオらしい目的や「リアクション」を用いた謎解きはマリオとは一味違うテイストを生み出すことに成功した。
本作はワリオランドシリーズの独自性を開拓し、名実ともに「マリオ」からの独立を果たした作品であったといえるだろう。
余談
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本作以降ワリオランドシリーズには必ずシールのおまけがついてくる。
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ステージの1つ「フクロウにつかまって」には絶対に取る事が出来ない大コイン4枚が存在する。
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海外版では酔っぱらうリアクションとアイテムについて規制がかかり、鉄球がぶつかりピヨる仕様に変更された。
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1回の攻撃被弾で即やられ戻しとなる仕様により、ボス戦に慣れるまで何度も同じステージを繰り返さなければならないという傾向は、次作『ワリオランド3』で更に顕著になる。
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ステージのクリア条件の一つに「デカヤリクリを倒す」というものが存在するのだが、そのステージのタイトル名がドラマのタイトルのパロディになっている。
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「あぶないデカヤリクリをたおせ」「もっとあぶないデカヤリクリをたおせ」「はぐれデカヤリクリをたおせ」
「もっともあぶないデカヤリクリをたおせ」「あきれたデカヤリクリをたおせ」「はみだしデカヤリクリをたおせ」
…どう見ても刑事(デカ)ヤリクリです、本当にありがとうございました。
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ステージタイトルでいろいろ書かれているが、デカヤリクリの性能は全く同じ。倒し方も同一である。
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『スーパーマリオくん』では、『マリオパーティ』編の途中で、城の蛇口の栓を閉め忘れたことを思い出したワリオが強引にマリオを引き連れてワリオ城に戻るというすさまじく強引な展開で無理矢理1エピソードを本作に当てている。そのため、マリオが同行する中で蛇口の栓を探して奔走する原作とはかなりかけ離れた内容になっている。
最終更新:2024年06月18日 15:45