SIMPLE DSシリーズ Vol.8 THE 鑑識官 ~緊急出動!事件現場をタッチせよ!~
【しんぷるでぃーえすしりーず ぼりゅーむえいと ざ・かんしきかん きんきゅうしゅつどう じけんげんばをたっちせよ!】
SIMPLE DSシリーズ Vol.15 THE 鑑識官2 ~新たなる8つの事件をタッチせよ~
【しんぷるでぃーえすしりーず ぼりゅーむふぃふてぃーん ざ・かんしきかんつー あらたなるやっつのじけんをたっちせよ!】
| ジャンル | アドベンチャー |  
  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| メディア | 256MbitDSカード | 
| 発売元 | D3パブリッシャー | 
| 開発元 | トムキャットシステム | 
| 発売日 | 1 | 2006年5月25日 | 
| 2 | 2007年5月31日 | 
| 定価 | 2,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| SIMPLE DSシリーズ | 
 
概要
主人公の新米鑑識捜査官、江波識子(えなみ・しきこ)がパートナーや同僚と協力し、事件の捜査に当たるアドベンチャーゲーム。
PS2の『SIMPLE2000シリーズ Vol.70 THE 鑑識官』の続編だが、キャラや世界観の説明はあるので単品でプレイしても支障は無い。
プロファイリングを行う新キャラも加わり、8つの事件を解決していく。
なお、同じくSIMPLEシリーズで展開する『THE 推理シリーズ』及び『THE 爆弾処理班』とは開発元が同じで、世界観も共有している。
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本作の主人公・識子は、『THE 推理』シリーズで依頼人として頻繁に登場する江波徹子警視正の姪である。
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『THE 推理』ほどではないが、「擬人」の設定も登場する。科研の「情報」担当者、かんこさんが擬人。
以降、『Vol.8 THE 鑑識官』を『1』と、『Vol.15 THE 鑑識官2』を『2』と表記する。
あらすじ
(1の公式サイトより転載)
江戸時代から続く警察一族江波家。ひょんなことから江波家の本家を継ぐことになった13代目の識子も、また例に漏れず鑑識官となるのだった。
先祖代々伝わる十手に宿る霊「江波査之介」と江波家に居続けるネコマタの「鑑太」と共に次々起こる難事件を解決するドタバタ(?)サスペンス。
特徴
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全編に渡って「科学捜査」に重点を置いたシナリオ。指紋の照合や死体の解剖調査などは、有名な海外ドラマ『CSI:科学捜査班』シリーズを彷彿とさせる。
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シナリオの基本的な流れは以下の通り。
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シナリオが始まると、まず主人公・識子が属する科研(南東京市科学捜査研究所)に出勤して所長から依頼の内容を聞く。
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捜査:依頼を受諾した後は事件現場に赴き、現場検証で証拠を採取する。
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現場検証では、現場に残された証拠品の検証のほか、指紋採取・靴跡の採取などの「鑑識」に関する操作をタッチペンで行えるようになっている。
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『逆転裁判』シリーズの一部作品に「カガク捜査」として同様のものがあるが、本作はそれをより多く本編に取り入れている。
 
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分析:採取した証拠は科研に持ち帰り、分析を依頼する。科研には様々な分野の専門家が揃っており、証拠に応じて適当な人物を選択して分析を依頼することとなる。
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「法医」「化学」「情報」「交通」「指紋」「物理」「生物」「心理」の8種(「心理」はDS版で新しく追加された)。それぞれに個別の担当者がいる。
 
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推理:全ての分析が終わったらご先祖の幽霊・査之介と対話しながら今までの情報をまとめ、事件を推理する。
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推理中には、択一式選択肢の選択、または証拠品の選択が繰り返される。それぞれ、正しい選択ができないとワンミスとなりやり直しになる。
 
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以降、事件が解決するまで「捜査 ⇒ 分析 ⇒ 推理」を繰り返していく。そのうちに、段々と事件の全容が見えていくことになる。
 
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扱う事件は殺人事件ばかりとは限らない。絵の真贋の鑑定や行方不明者の捜索・時には銃撃戦など、探偵モノのアドベンチャーとは一線を画す。
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シナリオクリア時には、ミスをした回数に応じて「完璧」「優」「良」「可」と4段階に評価される。
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どのシナリオをどの評価でクリアしたかはセーブデータに表示されるので分かりやすい。
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PS2版と同様、全てのシナリオを「完璧」でクリアするとおまけシナリオが追加される。
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PS2版ではごくごく短い本当にただの「おまけ」でしかなかったが、DS版ではちゃんとした一本のシナリオになっている。
 
 
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各シナリオの所要時間は長くても1時間程度で、テンポ良く進行していく。短編~中編程度の長さであるが、時には考えさせられる重い話も。
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各シナリオで張られている伏線は最終章でほぼ全部回収されており、一本の中で完結するようになっている。
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全てのシナリオをクリアすると、前述のおまけシナリオとは別に各シナリオの短い後日談を見られる。
 
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主人公・識子の声優はPS2版から引き続き木村亜希子。
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ハードの都合もあり台詞はあまり多くないが、要所要所で「バッチリだわ!」「もう少しだったのに…」等と喋ってくれる。
 
評価点
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シナリオ
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小さなきっかけが大きな謎に発展していくなど、話が「動く」ところが描けていて出来は悪くない。
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証拠を手に入れた時点では証拠に謎があることが多く、大抵科研で分析してもらうことで新しい情報が得られる。
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証拠を色々な担当者のもとへ持っていき、結果をワクワクして待つ過程が存外に面白い。
 
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他のトムキャットシステム作品にも言えるが、当時の時事ネタや芸能ネタなどをちょいちょい挟んでくるのも特徴。
 
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メインキャラクターはいずれも個性的で愛着が湧く。
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何より科研のメンバー達がみんな個性豊かで、やりとりが面白い。笑えるというよりは、キャラがぶれないため不思議な安心感がある。
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死体を眺めながら昼食を摂ったという逸話を持つ死体マニアの法医学者、二言目には女性を口説きにかかる化学者、情報データベースの擬人プログラムなど濃いキャラが揃う。
 
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シケナオト氏による登場人物のイラストもかなり高評価。PS2版から続投していることからも人気の高さが窺える。
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特に女性キャラは肉感的と大好評。CERO:A(全年齢対象)ながら挑戦したキャラデザインである。
 
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作中では、科学捜査の知識や雑学なども案外詳しく解説されている。
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特に「法医」の古畑博士が語る実践的な検死の知識、「生物」の植木さんが語る昆虫の知識などは見ているだけでも興味深い。
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『THE 推理』シリーズでは多少無理に知識要素が入ることもあったが、本作では構成の関係上さほど無理なく取り入れられている。
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ただし、細かい部分では間違いもある。あまり鵜呑みにし過ぎないように。
 
問題点
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(『1』のみ)完全に立ち絵会話のみで話が進むため、演出面がやや乏しい。
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証拠品の画像を除いて一枚絵などはなく、『THE 推理』シリーズのように一枚絵を動かして盛り上げるということもできないのでどうしても印象が地味。
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『2』では続編ということで余裕ができたのか、一枚絵も追加された。さほど数が無いのと、自由に見返せないのはやや残念だが。
 
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現実的に考えると無理のある展開はそれなりに見られる。
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特に捜査の手順、時間的な整合性など、冷静に見ればかなりご都合主義になっている点も割と多い。
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ただし、その代わりどの物語も二転三転する過程が描けている。評価点でも述べたが、全体的に見ればシナリオは良い方である。
 
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インターフェースがイマイチ良くない。
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シナリオを中断してメニューに戻るコマンドがない。間違えてシナリオを選んでしまった時などにやや不便である。
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移動画面中(それも本部の屋上に行ける状態)でないと途中セーブができない。会話中やイベント中に中断ができないのは大きな難点。
 
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分かりづらい・理不尽な選択肢や証拠の提示が求められることがある。
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間違うと評価が下がっていき、果てにはゲームオーバー。ある程度メッセージのバックログは見られるものの、唐突に選択肢が現れることも多くよく不意を突かれる。
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1シナリオで間違えられるのは20回。多そうに思えるだろうが、実際は初プレイだとこれでもゲームオーバーになることが割とある。
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一応、途中セーブはできるし、移動画面から「所長室」に寄ることで現段階の評価を聞くこともできる。
 
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おまけシナリオをプレイするには、評価「完璧」(ノーミス)でのクリアが必須。
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上述の難易度からお分かりかと思うが、1周目で「完璧」を取るのは極めて困難。
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実質的に2周目プレイ必須であり、1度でもミスするとやり直しなのでこまめなセーブも要求される。
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『2』では条件が緩和され「優」評価でも認められるようになったが、それでも4回しか間違えられない。
 
 
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(『1』のみ)新キャラ「遠山・ゴールディ・桜」(通称:金ちゃん)は公式サイトなどで大きく扱われている割に出番が少なく、影が薄い。
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遠山は「心理」(犯罪心理課・プロファイリング)担当なのだが、「心理」に証拠を提出する機会がほとんどない。
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一部シナリオ冒頭などでちょこちょこ出てきたりはするものの、なにぶん肝心のプロファイリング面での活躍があまりに少ない。
 
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『2』ではメインとなるシナリオが増え、キャラクターも掘り下げられた。「『2』の第2話だけで『1』全体より台詞が多いんじゃないか」なんて言われることも。
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代わりに、今度は『2』の新キャラクター・クラリスの出番が食われてしまっていたりはするのだが。
 
 
総評
良質な内容から、SIMPLEシリーズのADV作品シリーズの代表作のひとつとなった。
ボリュームは価格と同じく一般的なアドベンチャー作品の半分程度になっているが、シナリオの出来はなかなか安定している。
キャラクターとの会話要素をシステムにうまく落としこんだことや、独特のテンポの良さが主因なのだろう。
ニンテンドーDSにハードが移行したことで鑑識要素との相性がぐっと良くなり、うまくはまっている。
「DSのSIMPLEシリーズ2,800円は高すぎる」という声も多かったが、本作に限っては「値段以上」と高評価を受け、続編を希望する声も少なくない。
累計1万本を超えられないことも多いSIMPLE DSシリーズにおいて1は累計5.7万と大健闘、『2』も累計3.8万本を売り上げた。ゲームの質が売上に反映された結果と言える。
@SIMPLE DLシリーズ Vol.21 THE鑑識官~File.1 緊急捜査!重要証拠をタッチせよ!~
【あっとしんぷるでぃーえるしりーず ぼりゅーむてぅえんてぃーわん ざ・かんしきかん ふぁいるわん きんきゅうそうさ!じゅうようしょうこをたっちせよ!】
@SIMPLE DLシリーズ Vol.23 THE 鑑識官 ~File.2 緊急出動!落ちたホシを追え!~
【あっとしんぷるでぃーえるしりーず ぼりゅーむてぅえんてぃーすりー ざ・かんしきかん ふぁいるつー きんきゅうしゅつどう!おちたほしをねらえ!】
| ジャンル | アドベンチャー | 
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| メディア | ダウンロード専売 | 
| 発売元 | D3パブリッシャー | 
| 開発元 | トムキャットシステム | 
| 発売日 | File1:2013年10月30日 File2:2013年11月27日
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| 定価 | 500円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| @SIMPLE DLシリーズ | 
 
概要(3DS)
『1』を4話ずつに分割し、それぞれに新シナリオ1話を収録した移植作品。
変更点
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基本的にDS版ほぼそのままの仕様だが、ボイスや一部会話のカット・追加(後述)とグラフィックの高解像化が成されている。立体視にも対応(立ち絵が浮き出る程度だが)。
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捜査開始時や終了時の「さあ、始めるわよ!」などといったボイスがカットされている。
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第2話の本筋とは関係ないサブイベントがカットされている。
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原作の5話が収録順の関係で『Vol.2』の1話に回ったため、キャラクター紹介を兼ねたセリフが新しく追加されている。
 
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新シナリオはボリューム自体は他のシナリオの半分以下という短さだが、立ち絵描き下ろしの新キャラや最新の時事ネタなどを取り入れている。
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配信当初はソフト容量が3000ブロック以上という謎の大きさだったが、現在はアップデートで1000ブロック強に減っている。
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事実上、『1』+αが合計1,000円で買えるのでかなりお買い得であると言える。
余談
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『THE 鑑識官』シリーズのレーティングは全て「全年齢対象」なのだが、第1作である『SIMPLE2000シリーズ Vol.70 THE 鑑識官』は全年齢対象にも拘らず何故かパッケージにグロテスクマークがある。
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この他に、ケータイ向けシリーズである「SIMPLEシリーズDX」には、『THE鑑識官モバイル旅情編~甲斐の国 彷徨える蝶~』がある。全5話で525円であるが、imode版のみ各話105円での切り売りと、無料の体験版が存在(※価格はそれぞれ税込み)。
最終更新:2022年04月30日 04:11