いきものづくり クリエイトーイ
【いきものづくりくりえいとーい】
| ジャンル | みんなと組み立てピクチャー | 
| 対応機種 | ニンテンドー3DS (ニンテンドー3DSダウンロードソフト)
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| 発売元 | 任天堂 | 
| 発売日 | 2011年9月7日 | 
| 定価 | 700円 | 
| 判定 | スルメゲー | 
| 備考 | 現在配信停止につき入手不可 | 
| ポイント | キャラクターを自由に作って動かすことに特化 良くも悪くも楽しさはつくる意欲に左右されがち
 キャラメイクの自由度は決して低くないが乗り越えるべき難点は多め
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概要
ニンテンドー3DSのダウンロード専用タイトル。独特の世界観の中で奇妙な生き物クニャペを作る楽しさを堪能する。
とにかく作ること、動くことにこだわったゲームで、やや人を選ぶが中毒性のあるゲーム。
特徴・システム
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舞台はとある星、そこにはクニャペという奇妙な生き物が住んでいる。プレイヤーはクニャペを作ったり、クニャペと遊んだりして楽しむ。
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ゲームの柱はクニャペを作る、クニャペとおさんぽする、の2つだけである。主な操作はタッチペンによって行われる(ボタン操作も多少存在する)。
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クニャペは、直接絵を描くのではなく、パーツを選んで組み合わせることによって作る。
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メ、アシ、カラダ、クチなどのパーツに分かれていて、ゲームの進行によって使えるパーツは増えていく。
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各パーツは拡大縮小回転反転複製など、かなり自由にいじれる。
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パーツの選択によって見た目はもちろん、おさんぽの操作性も変わってくる。
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たとえばアシにはふつうのアシ以外にタイヤ型が用意されており、それぞれ移動速度、操作感が異なる。
 
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クニャペは言葉をはなすが、その時の会話の効果音や、語尾も自分で設定可能。
 
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クニャペをつくるには1体ごとにハートを1つ消費する必要がある。ハートは最大5個までストックされ、実時間で1時間たつと1つ回復する。
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ゲームを起動していなくても、3DSの電源を切っていても1時間ごとに1つ回復する。
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これはこのゲームの追加要素の解放がクニャペを作った回数に依存するため、とりあえず適当なクニャペを短時間で連続して作ってゲームクリアしてしまうことを防ぐための仕様と思われる。
 
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つくったクニャペはおさんぽさせる。
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おさんぽの操作はタッチペンを使った独特な操作。タッチパネルの右(左)側をタッチすれば右(左)方向に歩く。タッチし続ければその方向に歩き続ける。
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タッチパネルに表示されたサークルをタッチペンでドラッグすると、そのサークルの動きに合わせてクニャペは体を振って反動をつける。
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反動がついた状態でタッチペンを離すとクニャペは反動から解放されたことでジャンプする。
 
 
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おさんぽコースにはさまざまなアイテムや野生の?クニャペがおり、それらを蒐集していくことがゲームの目的の一つとなっている。
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おさんぽコースにはコインが設置してあり接触すれば獲得できる。コインはおてほんクニャペのパックを購入したりと様々な用途がある。
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おさんぽコースにはいろいろなタベモノが存在している。
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クニャペのクチをそれに近付けるとクニャペはそれを食べ、いくつか食べるとタマゴを産んだりウココをしたりする。
 
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制限時間が終了するとおさんぽ終了。タマゴはおさんぽ終了後に割ることになり、中からはかなりの枚数のコインが出てくる。
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おさんぽコースにいるクニャペはおさんぽクエスト(クニャペを使ったミニゲーム)を依頼してくるものがいる。
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それをこなすとそのクニャペのおてほんが手に入り、クニャペを作る時そのパーツを利用できる。
 
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おさんぽコースにある宝箱を開けると、背景の追加パーツが手に入る。これらによって背景もエディット可能。
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作ったクニャペははじめてのおさんぽを終えるとおいのりをし始める。
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規定数のおいのりが行われるごとにクニャペの住む星が拡大し、おさんぽコースが増える。
 
 
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QRコードやすれちがい通信を使って、他の3DSにゲストクニャペとして登場させることができる。
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クニャペをつかった写真撮影もできすれちがい通信で一緒に届けられる。(ARを使った撮影もできる)
 
評価点
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作る楽しさに大きな重きを置き、それをゲームとして完成させた独創性。
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絵が描けなくてもクニャペは問題なく作れ、タッチペンを使った直観的な操作だけでそれを動かすことができる。
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クニャペの声、セリフ、おさんぽコースの背景などエディット可能な要素が多数。それぞれに蒐集要素もあり、作ることについて高い自由度がある。
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ただ、声やセリフに関しては痒い所に手が届かない点もそれなりにある。(後述)
 
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パーツはなかなかの自由度でいじることができる。少ないパーツで気軽に作ることも、ものすごく凝って作ることもできる。
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とにかく凝って作る際「パーツは必須のクチを含め20個まで」という制約が足を引っ張ることもままあるが、この制限の中で「いかにそれらしく見せるか」をパズルのように考えるのもまた楽しいという意見も。
 
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おてほんクニャペだけでも動物はもとより自転車、宇宙人、勇者などさまざまなモチーフが存在している。
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ネット上では交流サイトなどでさまざまなクニャペが公開されている。
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アニメ、ゲームのキャラクターなど相当複雑なものも「職人」の手によって再現されている。
 
 
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独特な世界観が作品のコンセプトに非常によくマッチしている。
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木に肉が生っている、ものをたべてウココをする、といったシュールな要素が盛りだくさん。
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BGM、効果音はどこか「はずれた」印象を抱かせる仕上がりで、きもかわいい野生のクニャペとともに脱力感を演出している。
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背景にある家や木などのオブジェクトもデフォルトでは洗練されておらず、逆に自分でエディットしたいという欲求をかきたてさせるものになっている。
 
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QR、AR、すれちがい通信など、3DSのハード特性をどれもうまくいかしている。
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これらの他のユーザーとの交流要素がこのソフトを飽きさせず、はまれば際限なくプレイできるソフトにしている。
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それだけにQRの機能が原因で配信停止に追い込まれてしまったのは残念としか言いようが無いが……。
 
難点
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非常に特殊なゲームであり人を選ぶ。ある意味評価点はすべて難点の裏返しである。
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無論、プレイヤーに合う合わないという問題は全てのゲームに存在するが、ゲームのコンセプトから操作性、世界観まですべて独特な作品であるためとくにプレイヤーの感覚の差がゲームの感想に対して顕著にでやすい。
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作る楽しさが大きな比重を占めており、そこに楽しさを見いだせない人には、何が面白いのかわからない。
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何か明確な目標があるゲームではなく、いろいろできるゆえになにから手をつけていいかわからず、結局三日坊主で放置、ということも起こりやすい。
 
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「つくる」際の不親切・不可解な仕様
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パーツ一覧を開いた際、各カテゴリの種類数に応じて数ページに分割されて提示されるのだが、このページ送りが一方通行で戻ることが出来ず、目当てのパーツを逃してしまうと再度全ページを一周することになる。その上あろうことかこのパーツの並びや含まれるページは毎回ランダムなため、「どのパーツが何処にある」のように暗記することも通用しない。
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上記の問題に関連して、円形のパーツには「アニメーションのないもの」「大きく二回膨らむもの」「平たくへこむように縮むもの」と3つもあり、しかもパーツ一覧ではアニメーションが見られない為それらを判別することはほぼ不可能である。最も使用頻度の高い1つ目を求め、何度も一覧ページを開閉する羽目になることもしばしば。
 
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語尾、ボイスについて
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クニャペに語尾を付けることが必須であり、作ったキャラとイメージが合わなくとも何か設定しなければならない。「。」や「...」、「です」等にすれば比較的無難にはなるが、それでも固定のテキストに直に付加される都合上違和感が拭えない場面はわりかし多い。
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ボイスに関してはプリセットされた12種の中から選び(人柄を表す会話テキストもここの設定に依存する)、声の高低を決めるといった形だが、如何せん元の種類が少ない上に「ざーます」「オカマ」など割と誰得なものも含まれている。あくまで一例だが「清楚で大人しい女性」や「引っ込み思案な人物」等を作ろうとすると近いイメージのものが無く、キャラの内面まで意識して作ろうとすると歯痒い思いをしがち。
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またその内のひとつ「ツンデレ」に関しては「ぐふふー!」「ばふん!」等謎の感嘆詞を多用する奇妙なキャラになっており、制作陣が何か勘違いしているような節がある。
 
 
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おさんぽコースのアクションも、快適な操作とはお世辞にも言い難い。
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クニャペのアシはかなり伸縮性があるが、それゆえ障害物などに引っかかってとれなくなることがままある。
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とくに正確なジャンプをこなすにはなれが必要。なれるまで何度も足場を踏み外すことがあるだろう。
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反面、快適でないことがクニャペを動かす感動につながったり、クニャペの作り方自体が操作性に影響を与える面白さもあるが。
 
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自分の作ったクニャペは80体までしか持てないので、やりこんだ人にとってはやや少ないと感じるかもしれない。
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ただしQRコードとして保存しておけば復元することは可能。
 
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すれちがい通信に関して、達成が非常に困難なトロフィー=実績が存在する。
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「マイクニャペが旅した星の数30個」というもの。この「旅した星の数」というのは「すれちがい通信で受け入れられ、送られた先のデータで他プレイヤーに送信されるゲストクニャペの枠に設定されてまた別のデータへと送信され、最終的に自分のデータに戻ってきた際に経由したセーブデータの数」であり、当時のすれちがい全盛期でも正攻法での達成が非常に困難であったことは想像に難くない。
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ただ、この30個という数値は「マイクニャペ全員の合計」で計算されるため、近くに同ソフトのデータを所持している人がいれば、30体ずつ送りあうことでいずれは達成できる。この手のゲームとしては珍しくローカル通信での交換が実装されていないが、それも含めて想定内の攻略法であったとも考えられる。
 
総評
低価格のダウンロードソフトらしい実験的な色の濃い作品ながら、豊富な拡張性によって非常に長い間楽しめる可能性を持つソフトである。
爽快感のあるアクション、壮大なストーリー、頭をフル回転させる謎解きなど、王道のゲームの楽しみ方とは無縁なソフトなので万人に勧められるゲームかといわれるとそうではない。だが、プレイヤー一人一人がそれぞれの楽しみ方を見つけられれば、いつまでも3DSに入れておきたいソフトになるだろう。
その後の展開
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発売から2年後の2013年4月10日にアップグレード版となる『大盛り! いきものづくり クリエイトーイ』が配信された。
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それに伴い配信前日の4月9日をもって本作は配信終了となった。
 
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『大盛り』では多数の新パーツが追加され、おさんぽのエリアが広がった他、RPG風にクニャペがバトルするのを眺めるダンジョンなど新たなモードが登場した。
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Miiverseでもコミュニティが開設されTwitterなどを介さずともゲーム中から気軽にクニャペを公開し、他のユーザーと交流が出来るようになった。
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こうしてコミュニケーションツールとして息の長い作品になると思われていたクリエイトーイだったが、2016年に入り本作のQRコード機能を用いて改造ツールなど自作ソフトを導入する方法が確立されてしまう。
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事態を重く見た任天堂は2016年6月6日に本作を配信停止にし、以降配信が再開されることはなかった。
 
最終更新:2023年11月29日 18:19