SAINT EYES
【せいんとあいず】
| ジャンル | RTS | 
| 対応機種 | Windows 95/98 | 
| 発売・開発元 | TGL | 
| 発売日 | 1999年6月4日 | 
| 定価 | 9,800円 | 
| 廉価版 | TGL2000シリーズ 2000年12月1日/2,200円(税込)
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| 判定 | 良作 | 
 
概要
TGL(現:株式会社エンターグラム)より販売された、RTSかつステージクリア型のシミュレーションRPG。
RTSとはリアルタイムストラテジーの略称で、ターン制ではなくその名の通りリアルタイムでゲームが進行する。
ヘックス制でもなく、一箇所に多くのキャラクターを自由に配置でき、広大なフィールドで進軍と戦闘を行う戦略ゲームである。
メインキャラクター以外にも、多数のモブキャラクター(傭兵部隊)を雇って従軍させられる。
ストーリーは二つの国家間戦争を皮切りに、混乱に乗じ暗躍していた教会が放った伝説上の怪物達を止めるべく戦うというもの。
世界観的には中世で、魔法なども登場するものの人間同士の対立にこそ重点が置かれ、ファンタジー色が比較的薄い。
他社作品で例えると、『ラングリッサー』・『タクティクスオウガ』・『ファイアーエムブレム』などに近い雰囲気である。
キャラクターデザインは「弘司」氏が担当した。
特徴
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自軍は遊撃部隊の1中隊という設定なので、同時出撃可能ユニットがほどよい数に設定されている。
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フィールドでは、ユニットの周辺以外は薄暗く表示され、近付くまで敵の姿を視認する事ができない。
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主人公の体力が尽き、死亡するとゲームオーバー。
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主人公以外の重要キャラクターが倒れた際は「戦線離脱」になり死なない。
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これがモブキャラクターの場合だと主人公同様に死亡し、しかも永久退場したままゲームが進む。
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この仕様により、モブキャラクターの育成は困難。
 
 
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資金の概念はあるが、資金はモブキャラクターの補充以外に使用しない。
ユニットタイプ
人間のユニットはいずれかのタイプに所属している。モブキャラクターも同様。
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ウォリアー/フェンサー
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接近戦を行なう標準的なユニット。
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フェンサーはウォリアーに比べると若干打たれ弱く火力も低いが、移動と攻撃速度が速い。
 
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アーチャー
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遠距離攻撃を行なう弓兵。指定したポイントに延々と矢を放つ事もできる。高所では威力と射程が上昇する。
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近距離攻撃ができず足も遅い。敵ウォリアーに接近されると為す術が無い。
 
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ナイト
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高い防御力を誇る騎士。唯一方向によって性能が変化し、前方からの攻撃は超軽減する。
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一方で移動速度はウィザードと同じで最低クラス。
 
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レンジャー
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高い移動速度と攻撃速度を誇る工兵。
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打たれ弱いが視界を広げることができ、単体同士ならばどのユニットにも一方的に攻め勝つ事ができる。
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ユニットが接近すると爆発する「地雷」を設置する事もできる。
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地雷はレンジャーが死亡すると持っている数だけすべてその場に設置してしまう。爆発は味方も巻き込むのでレンジャーは死なせないようにしたい。
 
 
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クレリック
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足は遅いがユニットを回復する事ができる。ただし行程は非常に面倒。
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クレリックを一人選択し、回復対象ユニットを選択、さらにクレリックが対象まで到達できるよう周りのユニットに道をゆずらせなければならない。
 
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ウィザード
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一定の距離を飛行した後、爆発する魔法を使える。
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魔法以外の全能力が低く、魔法を使い切ると何も出来なくなる。
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爆発は敵味方を巻き込むので扱いは難しいが、敵として出てきた時は驚異。
 
 
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ガンナー
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アーチャーと同じように遠距離攻撃ができるユニット。
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アーチャーに比べ射程・威力共に上だが、攻撃延長線上に味方がいるとそこで攻撃が止ってしまう。
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イベントで数名仲間になるのみで人員補充ができない。
 
 
評価点
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RTSとして操作性に長けており、初心者でも快適にプレイできる。
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ドラッグで小隊選択、ショートカットなどでユニットを選択し、敵兵をクリックすると自動的にその敵兵を攻撃してくれる。
 同じように、進軍する際も移動させたい場所をクリックするだけ。
 
 
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主人公のエステルは女性。今となっては珍しくも無いが、一人の女性が戦いに身を投じていくシナリオが、豊富なキャラクター数と台詞量で語られる。
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ステージの前後にユニットを使った様々な会話イベントが用意されている。
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ファンの間でストーリーの評判は良く、各キャラクターの個性も立ち位置がはっきりしている。
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プレイヤーにすぐ蹴散らされてしまうようなモブにもいかにもな顔グラフィックが割り当てられ、シナリオ描写が疎かになっていない。
 
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基本的にプレイヤーがやる事は並み居る敵を全滅させるだけ。戦闘以外に難しいことは何も要求されないので気楽。
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その難易度も標準的。自軍ユニットをばらけさせず一塊にして行動するようにすれば、後は進行ルートに迷うくらいなもの。
 
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敵兵は倒すとその場に倒れ死体になり、ステージ終了までマップ上にそのまま残される。
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そのため、ステージをクリアすると文字通り「屍の山」を築き上げる事になり、これが結構心地よい。
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敵は盗賊や山賊のほか、民間人を虐殺する犯罪者兵・主人公一行を異端者扱いし弾圧する連中だったりと、倒してもあまり心が痛まない連中。
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「死体を漁る怪物」が登場するが、その怪物は味方及び民間人は勿論、前ミッションで倒した敵兵や同類の屍骸を漁るなど芸が細かい。
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視界外の怪物は表示されないが、貪る音でその位置を確認できるのでゲーム性にも繋げている。
 
 
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BGMが割合優秀。CD-DAなのでCDプレイヤーで全曲を聞く事ができる。
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勝利条件を満たすとステージクリアになり、リザルト画面兼・経験値習得画面になるのだが、演出が滑稽。
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どの味方がどの敵を殺害したかが一覧形式で順番に表示され、その画面で改めて断末魔を上げて敵ユニットが一斉に倒れていく。
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グアグアグアウォアギャア
 「キラーン」LvUp!
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シュール極まりないが、大量虐殺した後がこのゲーム最大の楽しみである。
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余談だが、一連の演出が『ラングリッサー』のリザルト画面に似ている。あれにボイスを付けた感じである。何故付けたし。
 
 
難点
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ユニットのアクションは豊富なのだが、各々の進軍スピードがあまり早くなく、見た目は地味な部類である。
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早過ぎても操作や状況の把握が追いつかないことになるので、ゲーム性のほうを優先したと思われるものの、派手さは伴わなかった。
 
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ユニットの決定方法が右クリックで固定。他の操作との兼ね合いで致し方ないのだが、序盤は戸惑うこと必至。
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イベントで仲間になる固有キャラは戦線から外す事ができない。
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初期メンバーは有用なウォリアーとアーチャーだけなのでいいのだが、途中で仲間になるナイトは足が遅いので使い難い。
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ナイトは単体では真価を発揮しないので、ナイト用に部隊を抱える必要がある。戦力外とし、彼一人を戦場端に放置してもクリアはできるが。
 
 
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選択肢等が存在しない一本道ゲームである。
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イベント自体は充実しているが、何度も繰り返し遊ばせるための仕掛けはこれといって存在しない。
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一度エンディングを見たら、プレイヤーによってはそれっきりとなってしまう。
 
 
総評
中世を舞台にしたRTSとして、持つべきものはしっかり備えており、堅実な作りになっているゲーム。
それでいてキャラクターにもBGMにも恵まれている。しかし、他にずば抜けた特徴がこれといって無いため埋没してしまった。
同社の『ファーランドストーリー』と異なりシリーズ化の波にも乗れずマイナーな部類だが、ゲームとしての面白さは保証できる。
最終更新:2022年09月20日 21:23