注意:本稿では、オリジナル版のPS2『リバース ムーン』(クソゲー)と、移植版である360『ディアーリオ リバース ムーン レジェンド』(判定なし)を併せて紹介する。
リバース ムーン
【りばーす むーん】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売・開発元 | アイエフタイプ零 (アイディアファクトリー)
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| 発売日 | 2005年11月24日 | 
| 定価 | 通常版:7,140円 限定版:9,240円(共に税5%込)
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| レーティング | CERO:全年齢対象 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | ロード地獄 敵ばかりがインフレ
 ストレスの溜まる要素が満載
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概要
かつて存在したアイディアファクトリーのブランド「アイエフタイプ零」の作品。なお、ネバーランドシリーズとの繋がりはない。
マス目の存在しないマップ上でキャラを動かして戦うSRPG。移動や技範囲選択などのシステムは、日本一ソフトウェアの『ファントム・ブレイブ』や『ファントム・キングダム』に近い。
待機時間を倍にして連続行動する「フラッシュ・コンボ」や、一時的に武器のステータスを跳ね上げる「想具」、スキルが別の物に変化する「スキルシフト」など独自のシステムもある。
傭兵団スレイプニルの一員となって、護衛やモンスター討伐などの依頼をこなしながらストーリーを進めていくのがゲームの目的。
評価点
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IFだけあって、キャラクターデザインの出来は非常に良い。
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随所にアニメーションが差し込まれており、ストーリーの演出に一役買っている。
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当時のRPGからすれば特別視するようなことではないが、IF作品の中ではかなり気合が入っている方だと言える。
 
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キャラクターのステータスをいくらでも強化できたり、クリア後の隠しボスがいたりとやり込み要素は豊富。
問題点
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ゲームテンポの悪さ
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ロード時間が長めで、その回数もうんざりするぐらい多い。会話を1つ進める度にロード、画面が切り替わる度にロード。
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クリア後のやり込みも、このロードのせいでやる気が沸きにくい。
 
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戦闘が終わってもHPは自動回復しない。回復させるためには拠点で「休息」コマンドを選ぶか、拠点の医療施設を利用する必要がある。
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ところが一度の休息で回復するのはたったの1割。全快させるには10回休息させる必要がある。休息の度に入る長いロードがプレイヤーを苛立たせる。
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よって医療施設を利用したいところだが、こちらも多額の料金を要求されるため気軽に利用できない。また拠点から医療施設へ移動する際に長いロードが入る。
 
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ショップを利用するために、NPCに話しかける → ロード → 飛ばせない会話を読む → ショップメニューを開く、という長い手順を踏まなければならない。
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物語後半でショップを多用することになるため、この仕様はかなり面倒と言える。
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加えてショップの品揃えはランダムで、欲しい品物がある場合は休息して商品を入れ替えなければならない。とにかく手間がかかる。
 
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下で述べるダメージインフレへの対策として、武器強化・合成を行う必要があるのだが、上述の問題により合成作業の継続は困難を極める。
 
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ゲームバランス
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中盤からダメージのインフレが発生し、ゲームバランスが崩壊する。
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そのときの味方の最大HPが1万程度であるのに対し、雑魚敵は3000~8000、ボスは3万~10万のダメージを与えてくる。武器合成などで対策しないと敗北必至。
 
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SPDのパラメータの重要度が非常に高い。行動速度に関わるパラメータで、序盤はともかく中盤以降はSPDを強化しないとまともに戦闘できなくなる。
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終盤で「伝説の武器」なるものが手に入るがこの武器のSPDはゼロ。しかも店売りの武器と違ってパラメータは固定。伝説とは名ばかりの、ゴミ武器である。
 
 
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不親切・理不尽なシステム
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一度付けた装備品を外せない(交換は可)。例えば新しく加入したキャラの装備を別のキャラに渡そうと思った場合、ショップで「装備を外すための装備」を買ってくる必要がある。
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倉庫の容量が少なめで、定期的に整理しないとすぐにいっぱいになる。物語中盤で倉庫が拡張されるイベントが発生するが、それでも空きが足りない。
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戦闘前の出撃キャラ選択で、一度選択したキャラをキャンセルすることができない。
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フリーマップの開放状態や出現する敵の強さがランダム。行きたいときに行けず、戦いたい敵と戦えない。
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どうしても倒したい敵がいる場合、休息を繰り返して自分に都合の良いフリーマップが出るまで粘らなければならない。
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序盤のうちは利用できるフリーマップが1つか2つしかなく、運が悪いと全てのフリーマップが利用不能になってしまう。
 
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スキルシフト発生時に、予期せぬ同士討ちが発生してしまうことがある。
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例えば敵に対して単体技を発動したとき、スキルシフトによってそれが範囲技に変化してしまうと、味方までその範囲技に巻き込まれてしまう。
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スキルシフトを封じるロックの設定ができるので事前に対処可能だが、この仕様は少し理不尽と言える。
 
 
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BGM
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曲のレパートリーが少ない。1ループも短め。
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曲そのものの出来は悪くないのだが、いかんせん種類が少なく途中で聴き飽きてしまいやすい。
 
総評
ゲームテンポの悪さで、やり込み要素などの魅力を台無しにしている作品。あらゆる場面でプレイヤーを苛立たせ、やる気を削いでくれる。
よほど気の長い人間でない限り、最後までプレイするのは困難。大抵のプレイヤーはあまりのテンポの悪さにうんざりして、途中で投げ出してしまうだろう。
ロード時間を抜きにしても、中盤のゲームバランス崩壊や、自由にプレイできないフリーマップなどSRPGとしては微妙な点が多い。
現在はロード時間が改善された移植版『ディアーリオ リバース ムーン レジェンド』が発売されているので、本作に興味を持った人はそちらについて調べて欲しい。
間違っても、こちらを購入してはいけない。
余談
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アイエフタイプ零が開発した作品は、なんとこれ1本のみ。下記の移植作品を含めても2本である。
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『カオス ウォーズ』に本作の主人公イレスが出演している。また同作は本作のシステムをベースに制作されている。
ディアーリオ リバース ムーン レジェンド
【でぃあーりお りばーす むーん れじぇんど】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | Xbox 360 | 
| 発売・開発元 | アイエフタイプ零 (アイディアファクトリー)
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| 発売日 | 2007年2月8日 | 
| 定価 | 7,140円(税込) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | なし | 
 
概要(レジェンド)
『リバース ムーン』の360への移植作品。新規イベントがいくつか追加されている。
無料DLCとして戦闘曲が配信されており、戦闘中に曲を変更することができるようになる。全12曲。
評価点(レジェンド)
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ロード時間の改善
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PS2版で酷評されたロード時間が大幅に短縮され、快適にプレイできるようになった。
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休息の繰り返しや、ショップの商品の入れ替えなどもそこまで苦にならない。
 
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やり込み要素
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武器強化・合成のシステムをロードに悩まされずに楽しめるようになった。
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やることはただひたすら武器のパラメータを伸ばすだけだが、プレイヤーによってはとことん嵌る。鍛えたキャラで無双するのはなかなか気持ちがいい。
 
問題点(レジェンド)
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ゲームバランスやゲームシステムの問題点はそのまま。
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新規イベントで追加された敵の中に、設定ミスとしか思えないような極悪な強さを持つ者がいる。
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序盤の適正ランク8のマップで出現する敵なのだが、その敵のランクは22(数話先の強さ)。
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その段階ではまだ武器強化・合成の施設が開放されていないため、フリーマップで戦闘を繰り返してランクを上げる以外に対策がない。
 
総評(レジェンド)
ロード時間の改善により、1つのゲームとしてまともにプレイできるようになった。
ただあくまで「まともにプレイできるようになった」だけであり、ゲームそのものの出来は良作とは言い難い。クソゲーレベルを脱却したのは間違いないが。
育成要素ややり込みに魅力を感じる人ならそれなりに楽しめるが、そうでない人には向かない作品である。
最終更新:2022年10月24日 16:36