天外魔境II MANJI MARU
【てんがいまきょうつー まんじまる】
ジャンル
|
RPG
|


|
対応機種
|
ニンテンドーゲームキューブ プレイステーション2
|
発売元
|
ハドソン
|
開発元
|
ハドソン レッド・エンタテインメント スティング
|
発売日
|
【GC】2003年9月25日 【PS2】2003年10月2日
|
価格
|
4,980円(税抜)
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:全年齢対象
|
廉価版
|
【PS2】PlayStation 2 The Best 2004年9月16日/2,800円(税抜)
|
判定
|
劣化ゲー
|
ポイント
|
オリジナルに比べてヌルゲー化 一部イベントの中途半端な改変 グラ・BGM・ムービーは強化
|
天外魔境シリーズ
|
概要
PCエンジン スーパーCD-ROM2で発売された名作RPG『天外魔境II 卍MARU』のリメイク。
シリーズ復活および『天外魔境III NAMIDA』の宣伝もあって最新作『オリエンタルブルー 青の天外』と同時期に発売された。
基本的なゲーム内容は変わっていないが、グラフィックの近代化、BGMの高音質化、ムービーの強化、ゲームバランス調整など様々な部分に手が入っている。
しかし、グラフィック・BGM以外は元作品から劣化しており、劣化移植、微妙リメイクとして多くのファンが肩を落とすことになった。
問題点
-
過剰なゲームバランス調整
-
段(レベル)を上げるのに必要な徳(経験値)が低下し、戦闘で入手する両(金)も1.5倍に引き上げられた為どんどん段が上昇し、両(金)にもあまり困らなくなった為オリジナルに比べて激しくヌルゲー化している。
-
普通に進めていれば負ける要素がなく(ラスボスはそれなりに戦術を要する)、オリジナルでの巻物を使った戦略性、絶妙なゲームバランスが崩壊。
-
いちばん最初のボスに至っては、「最初は手加減していたが、実は強い。」という敵なのに、それほど鍛えていなくても本気状態といえる二回目にも簡単に勝ててしまう。
-
イベントの改変
-
オリジナルで印象的だった地獄釜の肉助をはじめとする一部のイベントが改変されている。
ただし、これは現代の倫理規制に従ったためやむなし。
-
ただし「人肉」表現を直接避けたと思いきやその変更は村一か所だけであり、他の村の表現は残っており中途半端さが否めない。また敵の大物を惨殺するイベントも残酷表現をある程度弱めたといってもそれなりの過激さは残っている。
-
使用しているボイスデータはオリジナル当時に収録されたものをそのまま使用しているが、データを紛失したのかオリジナルで使用されたものとテイクが違っている。このせいでオリジナルにあった一部のアドリブが消失。
-
ムービーも新規のアニメーションムービーは少なく、当時のドット絵で製作されたものを高画質化したものが大半。新規アニメの作画も当時としては古臭さが漂っている。
-
イベントの演出も一昔前で古臭い印象を受ける。ボスを倒しても点滅しながら消えていくだけ。SFC時代に逆行したようである。もう少し凝った「ボスならでは」の演出もハード的には充分可能だった筈。
-
その他の細かいところを含む演出やビジュアル面も一昔前のような簡素なもので、グラフィックの高度化とのミスマッチで悪い意味での古さを感じさせてしまう。
-
リメイクに際し追加イベントなどは一切なく、上記の点も相俟って劣化した点と見做されている。
-
BGMの問題点
-
BGMは全てアレンジされ豪華になったが、「菊五郎のテーマ」の入りの部分が一部消失してオリジナルと入り方が異なる。
-
戦闘終了後にフィールドBGMが頭から再生されるようになった。
オリジナルでは戦闘終了後もBGMの続きが流れる(厳密には裏で流れ続ける)ためループを聞きやすかったが、本作では立ち止まるなどしないと聴けない。
-
ローディング
-
全体的にローディングの頻度が上がっており、オリジナルより快適性が低下。
-
戦闘前にロード、町に入ってもロード、あげくに階段を上り下りするだけでロードなのでストレスが溜まりやすい。
-
一応GC版はPS2版よりは速い。
評価点
-
グラフィックはそれなりのレベル
-
背景は3D、キャラは2Dだがオリジナルより頭身が上がっている。
-
ダンジョン内ではある程度視点を動かせるようになり、探索しやすくなった。キャラクターもダッシュ移動が可能になった。
-
卍丸の歩行グラフィックに序盤のムービーで着ているノラ着が追加され、陣羽織を羽織るイベントの格好よさが増した。
-
効果音、エフェクトの向上
-
戦闘中に「ダメージを受けなかった!」で固い音を響かせるなどの演出。
-
特に乗り物に顕著。鋼鉄城の着陸音など。
-
イヒカの巨人や土偶ロボを動かすと地響きを立て、揺れながら動く。
-
全ての敵がアニメーションするようになったが、LかRを押し続けるとオリジナルより高速で戦闘する事が出来るため戦闘のテンポは良い。
-
ただし、高速化中は敵の行動演出が削られるため、あまりにもテンポが早すぎて気づいたらやられていた、という場合もある。
-
全体的に快適性を上げる改善が行われている。
-
音声付イベントもスキップ可能になった。
-
戦闘中に術を使う時どれだけ技を消費するかが事前に確認できるようになった。オリジナルは戦闘中は確認不能。
-
店で武具を購入時に現装備との差が表示されるようになった。また購入品をその場で装備させてもらうことも可能になった。
-
地図に天狗の庵やダンジョンの場所が表示されるようになった。
巻物を貰った天狗の庵は地図上では色が薄くなるのも良い点。
-
一度見たムービーを見返せる「天外活劇写真館」が追加された。
総評
システムの改善やグラフィック周りは強化されているが、それに演出が付いてきていないため、「古き良き和風RPG」ではなく「妙に古臭い和風RPG」といった風に捉えられてしまった。
難易度の低下により初見のライトなプレイヤーならそこそこ楽しめるかもしれないが、オリジナルを遊んだプレイヤーにとっては物足りず、一部イベントの改変もファンから改悪の烙印を押されてほぼ黒歴史化されてしまった。
現在はオリジナルにほぼ忠実なDS/PSP版、PCエンジンアーカイブスでオリジナルが配信されている。
余談
-
本作発売の2年後には最新作『天外魔境 NAMIDA』がPS2のみで発売されている。
-
こちらは九州が舞台となり、竜神族が主人公で火の一族がヒロインという新しいストーリーが楽しめる。
-
発売後は従来のシリーズとは違うように進化された部分がある。
-
キャラクター描写の追加・フィールド・戦闘・ムービーなどのフル3D化・ゲームオーバーの概念導入・戦闘に味方パーティー表示などの様々な点がある。
-
また、櫻井孝宏氏・日髙のり子氏・西村知道氏・横山智佐氏・置鮎龍太郎氏・小山力也氏・関俊彦氏・龍田直樹氏など豪華声優陣起用なども豊富であるが、本作を超える凄まじい数のロード回数、ロード時間によって、評価は芳しく無く、シリーズの展開に止めを刺してしまった。
-
さらに、3年後には1作目のリメイク『天外魔境 ZIRIA~遥かなるジパング~』が発売されているが、こちらは良リメイクとして評価されている。
-
キャラクター描写の追加やフル3Dになった戦闘シーンなど現代に合わせた大幅な変更が行われている。本作もこのくらい気合が入っていれば良かったのだが。
最終更新:2024年07月31日 20:20