シュタールフェーダー ~鉄鋼飛空団~
【しゅたーるふぇーだー てっこうひくうだん】
| ジャンル | シューティング |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売・開発元 | サントス | 
| 発売日 | 1996年1月26日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 大味なバランスに常時もっさり感 ポリゴン描写の意義がまるでなし
 シューティングとしては見るべき面あり
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概要
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1996年にてサントスがリリースしたプレイステーションソフト。PSでは割と珍しい、移植ものではない完全オリジナル縦シューティング。
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シューティングとしては完全に2Dだが、PSの性能を駆使したポリゴン描写による演出が随所に導入されているのが特徴。
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一人プレイ専用。全6ステージ構成でオプション項目にて三段階の難易度調整(イージー、ノーマル、ハード)が可能。
主なルール
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このゲームは従来のシューティングでは割と珍しく、オプション項目で敵弾の色を複数から変更できる。
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変更できる敵弾は「通常弾」「ミサイル」「レーザー」の3つがある。
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もっとも、初期状態の色でも十分見やすいので無理に変更する必要はない。
 
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自機は以下の4種類から選択。
    
    
        | + | 機体詳細 | 
Blau stern(ブラオ シュテルン)
あらゆる面で安定した性能で最も使いやすい機体だと思われる。
機動性は「並」、初期/最大ライフゲージは「5」、ワイドショットは「ワイルバルカン」、レーザーショットは「ハイパーレーザー」、ボムは「クラスターボム」。
Weiβ nacht(ヴァイス ナハト)
全機体中最速の機動性を誇る機体。
機動性は「最速」、初期/最大ライフゲージは「4」、ワイドショットは「スプレット」、レーザーショットは「エナジーレーザー」、ボムは「ソニックウェイブ」。
Schwarz Wind(シュヴァルツ ヴィント)
鈍足で機動性に問題があるが、全機中最大のライフを持ち、ショットの火力も高い。
機動性は「遅」、初期/最大ライフゲージは「7」、ワイドショットは「サーチミサイル」、レーザーショットは「プラズマフレイル」、ボムは「スネークナパーム」。
Lippenstift(リッペンシュティフト)
ライフが少なく装甲面では心細いが、ショット関係がすべてレーザーで強力な貫通性能を持ち、ライフ以外の性能は申し分ない。
機動性は「速」、初期/最大ライフゲージは「3」、ワイドショットは「エクステンドレーザー」、レーザーショットは「プラズマレーザー」、ボムは「サポートボマーアタック」。
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初期所持ボムストックは全機体共通で、難易度イージーとノーマルは「6」、難易度ハードは「4」となっている。最大ボムストックは全難易度共通で「8」である。
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残機なしのライフ制で、ライフがすべて尽きるとゲームオーバー。機体によりライフ数に違いはあるが、敵弾1発で受けるダメージは一律で「1」となっている。
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ダメージをもらうとワイド/レーザーの各ショットのパワーランクが下がるペナルティがある。また、パワーランクの下がり方は設定難易度によって若干異なる(難易度が高い程下がり方が激しい)。
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途中コンティニューは可能だが、設定難易度によってクレジット数に相違がある(イージーは「5」、ノーマルは「3」、ハードは「1」)。
 
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方向キーで自機に八方向移動、ボタンは各自「ワイドショット(×ボタン)」「レーザーショット(□ボタン)」「ボムボタン(○か△ボタン)」に使用する。
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ワイドショットは攻撃範囲重視のメインショットであり、ボタン押しっぱなしのオート発射で無制限に撃てる。
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レーザーショットは火力重視のメインショットであり、これもボタン押しっぱなしのオート発射で無制限に撃てる。
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ワイド/レーザーの各ショットは同時に撃つ事はできない。よって、状況によってショットを使い分ける必要がある。
 要はショットが各機体毎に2種類用意されているものと思ってもらっても差し支えない。
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一応2号機だけ裏技的にレーザーとワイドを同時に発射する事が可能。(要連射機能付きパッド、ワイドに連射を入れレーザーを撃ちながらワイドショットを押すとレーザーがサブショットの様に発射される)
 
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ボムはいわゆるストック制限のある強力なボンバー攻撃に該当。当然ながらストックが0になるとボムは撃てなくなる。
 
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頻繁に出現するアイテムキャリアーを破壊すると以下のアイテムを落とす。
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パワーアップ系(お互いのアイテムが時間経過で交互に切り替わる。ワイド/レーザーの各ショットアイテムは個別でのパワーアップとなる。)
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「ワイドショット」(赤)…ワイドショットを最大4段階までパワーアップさせる。
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「レーザーショット」(青)…レーザーショットを最大4段階までパワーアップさせる。
 
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その他
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「シールド」…ライフが1ゲージ回復する。
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「ボム」…ボムストックが1増える。
 
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各パワーアップ及びシールドゲージ、ボムストックが最大時に各アイテムを取得すると5000点が追加される。
 
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各ステージをクリアすると、ライフが回復するボーナスがある。難易度イージーは2ゲージ、難易度ノーマルは1ゲージ。但し難易度ハードでは一切回復しない。
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ステージ中に一度も被弾せずにクリアすると、ノーダメージボーナスがステージクリア時の点数集計時に加算される。
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途中でダメージを受けた場合は、その後にアイテムで回復しても駄目。一方、ステージ開始時にシールドが減っていても、その面でノーダメージならOK。
 
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なお、ボムに関しては増加ボーナスは一切のなく、ボムアイテムで補給するしかない。
 
問題点
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ステージ構造の単調さ。
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全編通してスクロールしかり、敵編成の出現のさせかたしかり、シューティングとしての構造の何もかもっさり気味。疾走感のあるステージは皆無といっていい程に。
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敵の配置も間延び気味で眠気を誘いそうな場面が多く、「シューティングに精通していない人達が関わった」というべき残念な仕上がりとなっている。
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ボスの攻撃パターンがワンパターンなものが多数で、いまいち強敵と戦ったという実感が沸きにくい(実際泣ける位に弱いボスが多い)。ラスボスも「なんか硬いボス程度」の影の薄き存在でしかない。
 
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ゲームバランスが大味。
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各自機の初期状態のワイド/レーザーの各ショットはどれも攻撃範囲に乏しく大量の敵を対処するのは難しい。それでいてこのゲームはダメージをもらうとパワーダウンしてしまう故に、ダメージをもらえばもらう程にショットランクが下がり何もできなくなるという悪循環に陥りやすい。
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逆にパワーアップを最大にしていると、(機体の個人差にもよるが)ワイドショットは撃ってるだけで雑魚一掃、レーザーショットは硬い雑魚を瞬殺してしまう高性能となってしまう為、パワーアップ次第で難易度に天と地の差が出てしまうバランスとなっている。
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もちろん、パワーアップで戦況有利、ダメージをもらえばペナルティという概念は多くのシューティングに存在するが、このゲームはそれがバランスを崩壊させる程に極端すぎるのが問題である。
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ピンチになったらボムを使って回避する手段はもちろん有効だが、ボムに限りがある訳でストックが尽きると地獄と化してしまうのはお約束。ましてや本作は残機がないので尚更悲惨な事に…。
 
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主にポリゴン描写に関する演出があまりにもショボい。
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2Dシューティングにポリゴンを盛り込んだ外観は意欲的といいたいところだが、これが致命的なまでにヘボヘボすぎる。
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例えば、ポリゴンで描かれたパーツを破壊すると倒壊を起こすのだが、倒れ方にまるで重量感がなく、まるでダンボールをへし折ってるような動きにしかみえない。
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このゲーム、あまりにも2D視線を重視している故なのかポリゴンすらもひたすら平面的な視線で映されており、立体感というものが表現できていない。正直何の為のポリゴン描写なのかまるで理解できない有様である。
 
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ポリゴン関係を抜きにしても、「中型機を破壊した時の撃墜演出がのっそりと落ちて軽く爆発するだけ」「各ステージの背景の変化に乏しく先に進んでいる感じがしない」などという問題もある。
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本作と同時期に登場した完全2D描写の縦シューティングである『レイフォース』や『雷電II(DX)』などと比べても目を覆いたくなる程のクオリティの低い外観が目に付いてしまう。
 
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自機や雑魚敵のデザインは無難なものだが、ボスデザイン全般がかなりダサい。
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ボスはすべてポリゴン描写だが、変にごてごてした容姿と演出のヘボさも相まってなんかボスだけが違和感ありまくりである。
 
 
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ストーリーなどの設定がゲーム内に活かされていない。
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説明書には本作のストーリー設定や各機体のパイロットなどが詳細に紹介されている。また、ゲーム内においても機体セレクト時にパイロットの全身絵やプロフィールが表示される演出があるのだが…。
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しかし、ステージを進めても一切のストーリー描写やパイロットの戦況に対する描写が存在しないばかりか、ゲームをクリアしてもまとまったエンディングすらもない(機体のプロフィールと一枚絵が表示されるだけ)。
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「軽い舞台設定はあるもゲーム内ではさほど描かれない」というシューティングはそんなに珍しくはない。しかしこのゲームは「パイロットの絵は表示されるのに彼らがそれっきり出番がなく、最低限の舞台設定描写すらもない」という中途半端な存在なのがかなり不可解である。
 
 
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BGMの流し方が適当すぎる。
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ディスクハードのゲームなのでBGMが途切れるのは仕方がない。しかし、このゲームのとあるステージでは「道中BGMが一旦途切れる ⇒ 再度BGMが流されるも即ボス戦が始まり、道中BGMが一瞬で終わる」というタイミングの悪い場面がある。そこはちゃんとボス戦に合わせるように工夫するべきではないだろうか?
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ちなみに、ポーズをかけてもBGMは流れ続ける。上記の問題はポーズなしでの状況である。
 
 
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ステージ開始前のロードが少々長い。
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PS2以降の本体でプレイすると多少はマシになるとの事。
 
評価点
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シューティングの土台としては特に不備はなく、操作性もわかりやすくて無難に遊べる出来。
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ショット2種類とボムというオーソドックスな操作であり、シューティング初心者でもすぐに入り込める馴染みやすさを持っている。
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グラフィック周りは視覚的に見やすい外観で事の状況を把握しやすい。また、ルールで述べた敵弾の色変更が可能で、プレイヤーに対する視覚面での配慮はきちんとなされている。
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好意的に解釈すれば難易度は低めで初心者に優しい作りである。もちろん上記問題点のゲームバランスの悪さは擁護できないが、それでも適度に敵を破壊する爽快感や敵弾を避ける面白みは持っている。慣れれば初心者でもノーコンティニューできるお手軽さはある。
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難易度ノーマルで物足りなさを感じる人向けにハードが用意されているが、むしろこっちの方がデフォルトの難易度という声もある。某ゲーム誌にて本作を「このゲームはハードでプレイする事に意義がある」(要約)というレビューがあった程。
 
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説明書の後ろのページにて「わかりやすい操作と誰でもクリアできる難易度を意識した」というスタッフのメッセージが表記されている。
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ゲームとしては微妙でも、この「信念を持って作った」という心意気は大いに評価できるだろう。実際、本作を「出来はともかく親しみやすさでは好感が持てる」と評する者も少なくない。
 
 
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BGMのクオリティは普通に高い。
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やはりこういうゲームのお約束といえるかもしれない事項は踏まえている。残念ながらサウンドテストは不可なのが悔やまれるが。
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作曲は益子重徳氏と玉山文人氏が手掛けている。
 
総評
ゲームとしてはお世辞にも完成度が高いとはいい難いが、複雑さを極力廃したシステムと低めの難易度で遊びやすいという見るべき面もある。
その後の展開
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本作の経験が功を奏したのか、同社の次回作『エアグレイブ』は、本作よりは高めの評価を受ける事になる(こっちも決して褒められる出来とはいえないが…)。
最終更新:2021年07月02日 16:12