鳥人戦隊ジェットマン
【ちょうじんせんたいじぇっとまん】
| ジャンル | アクション |  
 | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | エンジェル | 
| 開発元 | ナツメ | 
| 発売日 | 1991年12月21日 | 
| 定価 | 6,000円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | スーパー戦隊シリーズ初の単独ゲーム化 アクションゲームとしては手堅い作り
 キャラゲーとしてはボリューム不足かつ単調
 | 
| スーパー戦隊ゲームリンク | 
 
概要
1991年から92年まで放送されていたスーパー戦隊シリーズの1作『鳥人戦隊ジェットマン』のゲーム化作品。
『ジェットマン』はシリーズのマンネリ化を打破するために意欲的な試みを多く行った作品であり、特にトレンディドラマの要素を取り入れた恋愛ドラマは視聴者に強烈な印象を残した。
そんな原作に対して、本作はメイン視聴者である低年齢層を意識した、横スクロールのアクションゲームとして発売された。1人プレイ専用で「イージー」「ノーマル」「ハード」「ベリーハード」の4つの難易度が選択できる(後者2つはエンディング後に表示されるコマンドを入力することで解禁される隠し要素)。
主なシステム
- 
ゲーム開始後にA~Eの5ステージが出現し、全てをクリアすると最終ステージに進むことができる。
- 
各ステージの奥まで進むと次元獣/バイオ次元獣(本作の怪人)が出現し、ジェットイカロス(巨大ロボ)に乗って戦うボス戦に移行する。
道中戦
- 
ステージ選択後、5人のジェットマンから1人を選ぶ。選んだメンバーによって下のように武器と初期ライフが異なるが、ステージ構造などは特に変わらない。
| メンバー | 使用武器 | 初期ライフ |  
| レッドホーク | ブリンガーソード(剣) | 8 |  
| ホワイトスワン | バードブラスター(銃) | 6 |  
| イエローオウル | ウイングガントレット(拳) | 7 |  
| ブルースワロー | バードブラスター(銃) | 6 |  
| ブラックコンドル | ブリンガーソード(剣) | 8 |  
 
 
- 
十字ボタンでジェットマンを操作。Bボタンでジャンプ、Aボタンで攻撃。十字ボタン上+Aボタンで蹴り上げ攻撃(上方向に強い攻撃)が可能(どのキャラクターでも性能は同じ)。
- 
ストックがある状態でSTARTボタンを押すと、各キャラクターにつき1回だけ画面内の敵を一掃できる「スカイアタック」を放つことができる。ストックは敵が落とすアイテムを集めることで貯めていく。
- 
このため、本作でポーズをするときはSELECTボタンを押す必要がある。
 
- 
ライフが0になると1ミスで、別のメンバーから改めて1人を選ぶ。ステージクリア後は再び5人から選べるようになるが、同じステージで5人全員がミスするとゲームオーバーとなる。
- 
敵からのダメージは1固定で、敵が落とすアイテムで回復することができる。
 
ボス戦
- 
グレートイカロスを操作し、敵怪人と1vs1のバトルを行う。基本操作は道中戦と同じだが、以下のような格闘ゲームに近い操作性になっている。
- 
通常攻撃は最大で3連続まで放てるが、敵が攻撃を避けたりガードしてきたりすることがある。
- 
ジャンプの距離や空中での動きは制御できるが、振り向き動作は用意されておらず、グレートイカロスは必ず右側を向いた状態で戦う。
- 
十字ボタン下で敵の攻撃をガードできるが、ダメージを半減するだけでノーダメージにはできない。
- 
画面下のゲージが一定量溜まっているときにSTARTボタンを押すと必殺技が出せる(ポーズはSELECTボタン)。ゲージは時間経過で上昇し、多く溜まっているときダメージは大きくなる。
- 
敵のライフゲージを0にするとグレートイカロスが必殺技を放つ演出が挿入されてステージクリアとなる。逆にこちらのライフが0になるとゲームオーバーとなる。
 
- 
コンティニューに制限はないが、そのステージの最初から(ボス戦でゲームオーバーになった場合も道中戦の最初から)のやり直しとなる。
- 
タイトル画面で数字4文字のパスワードを入力する事により、途中ステージからの再開が可能。パスワードはステージクリア後かゲームオーバー後に表示される。
 
バトルモード
- 
ラスボス以外のステージボスと戦うことができるモード。勝っても負けても専用の一枚絵が表示され、その後は再び好きなボス戦を選んでの再トライとなる(倒したボスとの再戦も可能)。飽きるまで好きなボスと戦うことができるエンドレスモードである。
評価点
- 
ナツメ開発の作品だけあって操作性は良好。アクションゲームとしてストレスを感じるところはまったくない。
- 
「演出のが薄い」というのは裏返せば「過剰な演出がない」ということでもあり、テンポよく進めていくことができるのは、アクションゲームとしてはプラス評価になる。
 
- 
OPデモ、ボス戦前のデモにおける、ジェットイカロスとジェットガルーダが合体してグレートイカロスになるアニメーションはクオリティが高く、一見の価値はある。ぱっと見はFCのゲームとは思えない程の職人的書き込みとなっている。
- 
スタートボタンで上記のアニメシーンのスキップが可能。頻繁に挟まれるシーンなのでありがたい機能。
 
- 
BGMはFCの性能を超えているといっても過言ではないレベルの音源で、極めて高クオリティである。また、OPデモシーンのテーマソングもインストバージョンとしてTV版を上手く再現している(残念ながらサウンドテストは不可)。
問題点
- 
ジェットマンの性能に差がない
- 
レッドとブラック、ホワイトとブルーは使用武器・ライフ値も同一の完全なコンパチであり、実質的には3種類しかキャラクターがいない。
- 
しかも、イエローとレッド・ブラックとの性能差もほとんど感じられないので、「レッド・イエロー・ブラックの接近型」と「ブルー・ホワイトの射撃型」の2種類しか存在しないと言って差し支えない。
- 
説明書には「ステージに合わせたキャラを選べ」とあるのだが、道中戦の仕様を考えると、彼らの存在意義は残機数と考えるべきであろう。
 
- 
アクションゲームとして単調すぎる
- 
道中戦はどのステージもひたすら一本道を進んでいくだけで、武器で攻撃しないと壊せない壁や一部ステージに動きが遅くなる水たまりがある以外はトラップもギミックもない。「落とし穴すら存在しない」と言えばその低難度ぶりが分かるだろうか。
- 
ザコ敵の種類も数も少ないうえにどれも弱く、せっかくのスカイアタックも使う機会がないままクリアできてしまう。
- 
ボスはどれも見た目が違うだけで、主な攻撃パターンが素手の突きと飛び道具の2つしかない。グレートイカロス側もできる行動が少ないので、どうあがいても単調な操作しかできない。
- 
ボス戦は「ひたすらガードしてパワーゲージが最大まで溜まり次第必殺技を出す」という戦法で勝てる。というより、ボスによっては攻撃が激しくてそうしないとまともに勝てない。
- 
難易度の違いはザコ敵の数と耐久度がアップする程度。「ハード」「ベリーハード」の実態も、ライフが1のままでプレイさせられるだけという水増し気味の内容である。
 
- 
演出の物足りなさ
- 
道中戦の操作キャラクターが小さく、体型・性別が描きわけられていない。
- 
『ジェットマン』は飛びながら敵と戦う場面の多い作品なのだが、本作でジェットマンが飛行するのは、スカイアタックを使用したときの演出のみである。
- 
ボス戦の背景が黒一色。グレートイカロスや敵怪人のグラフィックの出来が良いだけに、街中で戦っている雰囲気が出ていればと惜しくなる。
- 
幕間のデモが存在せず、敵怪人がなぜ出てくるのか、ジェットマンがなぜ戦うのかがゲームだけでは分からない。
 
- 
原作と比べたときの物足りなさ
- 
道中戦ではグリナム兵(戦闘員)と次元虫(次元獣/バイオ次元獣の元になる魔物)、ボス戦では次元獣/バイオ次元獣、セミマルと戦うのに、原作の華とも言える敵幹部はゲーム中に一切出てこない。
- 
発売時期を考えると原作どおりの展開にはできないだろうが、ジューザをラスボスにするなどのオリジナル展開にすれば、敵幹部を出演させられたのではないだろうか。
- 
ボス戦で使用できるのはグレートイカロスのみで、合体前の姿であるジェットイカロスとジェットガルーダは、OPデモやボス戦前のイベントシーンの登場にとどまる。
- 
3号ロボのテトラボーイも登場しないが、テトラボーイの初登場が原作31話=9月であることを考えると、無理はないかもしれない。
 
総評
操作しやすく難易度が低い点は子供向けのアクションゲームとして良好だが、操作キャラクターに大きな差がなく、登場人物どうしの掛け合いもないシンプルすぎる演出は、個性を十二分に発揮していた『ジェットマン』らしさをほとんど感じられない。アクションゲームとしてもステージの数やバリエーションが少なく、総じてボリューム不足が目立ってしまっている。
『ジェットマン』のゲームとしてもナツメ製のゲームとしても物足りない、惜しい1作である。
その後の展開
- 
後継番組の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』もFCでゲーム化され、同じメーカーから発売された。こちらは、キャラゲーとしての演出が改善された一方で、アクションゲームとしての完成度は本作よりも明らかに劣化してしまった。
- 
秘密基地建設ゲーム『アジト3』のユニットとして『ジェットマン』の5人が参戦している。オリジナルキャストではないが、檜山修之氏や玄田哲章氏など豪華声優陣が声を当てている。
余談
- 
実は「スーパー戦隊シリーズ」でファミコン化された本作と次作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』は結果的に原作のシリーズでも作品名の転換点になった作品である。
- 
それまでは1983~1984年の『科学戦隊ダイナマン』以後「~マン」が王道路線だったが、これ以後は「~レンジャー」が固定路線となった。
- 
その後2000年代後期にはさすがにネタ切れか「レン」にあたる部分もいろいろ改変されるようになったが「~ジャー」が王道と言うスタイルは、これから30年以上が経過した現在も続いている。
 
 
最終更新:2024年05月22日 03:03