リアルロボット戦線
【りあるろぼっとせんせん】
| ジャンル | シミュレーションRPG |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | バンプレスト | 
| 開発元 | ウィンキーソフト プロソフト
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| 発売日 | 1999年8月12日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 「はっきり言う、気に入らんな。UIが」 「隠しシナリオに踏み込むにはそれ相応の資格がいる」
 「君の父上がいけないのだよ、ジジ上も」
 「まだだ、まだ終わらんよ!ロード時間が」
 「ええい、ハヤトが死ぬ!!」
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| バンダイナムコ クロスオーバー関連作品シリーズ | 
 
概要
所謂「リアルロボットもの」と呼ばれるアニメのロボット達が共演するシミュレーションRPG。
    
    
        | + | 参戦作品一覧 | 
機動戦士ガンダム
機動戦士Ζガンダム
機動戦士ガンダムΖΖ(一部の敵のみ)
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(小説版『ベルトーチカ・チルドレン』)
機動戦士ガンダム0083(ガンダム試作2号機とそのパイロットのみ)
戦闘メカ ザブングル
聖戦士ダンバイン
重戦機エルガイム
オリジナル(S.M.A.Pなど本作のみ登場する機体、『スーパーロボット大戦シリーズ』のR-1)
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特徴
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同じ発売元・開発元によるSFCソフト『バトルロボット烈伝』(以下『バトロボ』)の設定を練り直したかのような作品である。
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舞台の名前が「惑星ウルス」である事、登場する版権キャラクターは原作世界から転写されたコピー人間(「ブランチ」と呼称)で、純粋なウルス人と険悪な関係にあるという設定は共通している。
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また「過去にシャアのブランチが反乱を起こした」という、『バトロボ』を思わせる設定も語られる。
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しかし登場する国の名前やオリジナルキャラクターなどは一新されている。
 
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システムにしても、『スパロボ』とは全く異なっていた『バトロボ』とは違い、ほぼ当時の『スパロボ』そのままである。
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成長システムは経験値によるレベルアップと改造からなる、戦闘中に敵を説得できる、『スパロボ』と同名同効果の精神コマンドが存在するなど。
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受け継がれているのは、ロボットがリアル頭身である事と、ユニットに「向き」の概念が存在し側面や背後を攻撃されるとダメージが増す事ぐらいである。
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更に版権キャラの顔グラフィックも『スパロボF』を下敷きにしている(完全な流用ではない)。
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キャラ及びユニットの図鑑機能も存在する。
 
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ユニットの改造は、個々ではなくその機体の系統ごとに共有される。ユニット1機を改造すると、それと同型の別機体や色違いの機体の能力も同じ様にアップする。
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但し敵の同種のユニットも同時にパワーアップしてしまう。
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例・味方の白いガンダムMK-IIを改造すると、敵の黒いMK-IIにも同段階の改造が施される。
 
 
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母艦(戦艦)はユニット化されておらず、シナリオ中に格納する事はできない。また修理装置や補給装置も存在しない。回復できる地形も存在しない。
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回復は、精神コマンドか使い捨ての強化パーツで行う。一部のユニットは回復系の特殊能力を持っている。
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強化パーツは特定の敵を倒すと入手できる。どのユニットも1つずつしか装備できない。
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ユニットの変形はできるが、合体や分離は存在しない。
 
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ザンボット3とダイターン3は登場せず。文字通り「リアルロボット」のみが登場するゲームである。
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『超機大戦SRX』のリュウセイとR-1も隠しキャラとして登場しているが、R-2や3は登場しない為、当然合体もできない。
 
評価点
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難易度は高過ぎず低過ぎずといったところ。
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1周する上での話数もそれほど多くはない(最短ルートで25話)為、気軽にプレイできると言えばできる。無論、ルート把握のために攻略本は必須だが…。
 
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2024年現在でも『スパロボ』に出演していないキャラやメカが多数登場している。『ガンダム』のククルス・ドアンや、ジムII、ゾック、アイザック、マリンハイザック、ゲドなど。
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原作で完全な敵だったキャラやメカが味方として使用できるのも、魅力と言えば魅力である。
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3色のダンバインがセットで飛来したり、赤い三騎士と黒い三連星が争っているシナリオがあったり、シャアでランバ・ラルを説得できたりと、ファンサービスもなかなか。
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『ダンバイン』に1話しか登場しなかったゲスト敵キャラ・ジャバも出演している…のだがなぜかイベント内に登場するのみで、敵にも味方にもならず、事典にも載らない。つくづく謎なチョイスである。
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因みにスパロボで優遇されることも多いトッドに関しては、本作ではハイパー化もせず味方にもならず、空気である。
 
 
賛否両論点
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多彩なルート分岐
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シナリオは全部で125種類存在するのだが、分岐条件がやたらと複雑である。『第3次スパロボ』すら相手にならないほど。
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誰が、いつ、どう行動したかというほんの些細な違いでルートが分岐してしまう。攻略本のフローチャートを見るだけで目眩がする事請け合いである。
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例えばGP-02が仲間になった際にアトミックバズーカを自軍で使っておかないと、あとで作中世界において悲惨な結果となるなんてことも。
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しかもシナリオそのものも非常に複雑で、様々なルートを通らないと物語の全貌やオリキャラの設定の把握も困難となる。
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『ザブングル』のキャラに至っては、ルートによっては誰一人仲間にならなかったり、全員永久離脱したりする。ジロン一行と隠しキャラのリュウセイも択一となっており、同時に仲間にできない。一方で同種のユニットを最大7機入手出来るルートもあり(悩ましいことにここが択一のルート)、前述した改造の共有の恩恵を最大限に得ることが出来るなど極端なことになっている。
 
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ルート毎に仲間の離脱が激しいため、ルートが確定するまでは下手にユニットを改造できない。
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しかも機体によっては改造すると敵まで強くなってしまう為、ますます改造に悩まされることになる。
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しかし実は、無改造でも中盤まではなんとか進めるバランスでもあったりする。
 
 
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背後を突いた場合のダメージや命中回避率の補正がやたらと高く、敵も味方も柔らかいゲームになっている。
問題点
システム面
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ロード時間が非常に長い。
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同じくロード時間の長さで知られる『新スパロボ』よりも更に長い。本作はボイスが全く入っていないのだが、にも拘らず時間を取られる。
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幸い戦闘アニメのON/OFFは戦闘前に切り替えられるが、OFFにしていても戦闘・マップ兵器使用・変形の度に画面が暗転し、ロードが入る。
 
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精神コマンドを使う度にもいちいちロードが入る。本ソフトは精神コマンドを使うと、消費ポイントの半分と同じ経験値が入るため、マップクリア前に精神ポイントを使い切りたいところだが、本当に時間がかかる。
 
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基本的なUI部分も不便な点が目立つ
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サウンド、スクエア表示、戦闘アニメのスキップといったオプション項目の設定がセーブされず、リセットする度に初期化されてしまう。更に戦闘アニメの質も低い。
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メーカーロゴと版権表示がスキップできず、パッドリセットは可能なのにクイックロードができない。
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その為リセットしてから再開するのに40秒ほどかかる。
 
 
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マップが見づらい
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マップはスクエア式だが、クォータービューの斜め見降ろし視点になっており、また障害物も判りにくいグラフィックになっている。故に全貌が把握しづらい。
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時折、パイロットのステータスウィンドウが高速で点滅することがあり、非常に目が疲れる。
 
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なぜかガンダム系のユニットのみ、機体名の前に型式番号まで表示されている。初代ガンダムなら「RX-78-2ガンダム」、量産型ザクなら「MS-06ザクII 緑」といった風に。
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そのためユニットを改造する際、ユニット表から目的の機体を見付け辛くなっている。戦闘マップや強化パーツの装備画面では、型式番号は表示されないのだが、なぜそちらに統一しなかったのか?
 
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パイロットステータスとして、ニュータイプ値・運転技術・オーラ力・ファティマ同調という4種類のパラメータが存在する。
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それぞれモビルスーツ・ウォーカーマシン・オーラバトラー・ヘビーメタルの命中及び回避率に関わる能力値だが、乗れる機体はパイロットごとに決まっているため、それ以外の機体に関する数値は死に設定となる。モビルスーツパイロットの場合、ニュータイプ値以外の3種類は何の意味も無いという事。
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これなら「直感」「操縦」など、1つの項目に統一した方が確認しやすいだろうに。
 
 
ゲームバランス面
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敵が落とす資金は、ユニットではなくパイロットごとに決まっている。
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例外なく一般兵は少額、ネームドは高額となっている。別におかしくないのでは?と思うかもしれないが、問題はユニットによる変動が一切なくパイロットで完全に固定されている点にある。
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序盤の雑魚ユニットも後半の強力なユニットもパイロットが同じなら資金は全く同じであり、例えばパイロットがティターンズ兵の場合、ユニットがハイザックだろうがハンブラビだろうが落とす資金は1000、ジェリルの場合、ユニットがビランビーだろうがレプラカーンだろうがハイパーレプラカーンだろうが落とす資金は5000となっている。
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この仕様によりシナリオが進めば進むほど稼げるとは限らず(一応雑魚敵やネームドの数は増えていく傾向にはある)、序盤から幸運を掛けてネームドを倒していかないと金欠でジリ貧になりがち。
 
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入手時期のおかしいユニットが何機もある。
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後半になってから役にも立たないザクやゲルググが手に入るなど。売れればどんなに良いだろうか…。
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ベースになった『F完結編』での「モビルスーツの性能は年代順」という悪癖も変わっておらず、ガザCが最強のザコ敵として登場する。
 
このように、大まかなシステムは露骨に『スパロボ』同様なのに、わざわざ遊び辛くするような変更ばかり加えてしまっている。
シナリオ面
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隠しシナリオが2種類存在するのだが、プレイするには特定のルートで条件を満たした上でクリアし、クリアデータをセーブした上で最初からプレイし直さなければならない。なのにレベルや資金などの引き継ぎは一切できない。
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しかもその隠しシナリオの片方は、クリア済みのルートをもう一度歩み直さなければプレイできない。
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プレイしてもお得な事は無く、図鑑コンプリートとも関係無いので、無理して目指す必要が無いのが救いか。
 
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更に、ルート全6種類のうち2種類のクリアデータは、隠しシナリオのプレイ条件には関係無いので何の使い道も無い。
 
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隠し要素に対するヒントが欠け過ぎている
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例えば『エルガイム』の敵であるギャブレーやワザンを主人公で説得することができるが、それまでゲーム中では会話どころか名前を口にしたことすらないため、原作知識があるか、攻略本を見るでもしないと説得できること自体に気付けない。
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そして仲間にしても、原作の主人公であるダバ達は、なぜかノーリアクションである。
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因みに主人公はワザンを「亡くなった息子さんのブランチを作れば、2人で暮らせますよ」と言って説得するのだが、そのルートでは後に「ブランチを呼び出す装置は災いの元だからぶっ壊そう」と言い出す。これではワザンが再度敵に回ってもおかしくない。
 
 
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キャラ事典の紹介文は、原作設定とゲーム内設定がまぜこぜに記述されており、しかも「○○を裏切り脱走する」などこの後の展開が平気でネタばれされている。
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また『エルガイム』の敵のチャイのみ、バグなのかなぜか登場しても登録されない。
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因みに『Ζガンダム』のダンケルの項目には、「スパロボシリーズでは『ダンゲル』と表記される事があるが、『ダンケル』表記が正しいようだ」と他人事のように書かれている。同じ開発元だろうに。
 
キャラゲー面
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登場するキャラやメカの選定、敵味方の所属が非常に混沌としており、優先順位的におかしい物が多い。
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『ガンダムΖΖ』や『0083』からは、主人公や主役メカを差し置いて敵だけが出演している。
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『逆襲のシャア』は、アニメ版ではなく小説版の、しかも機体のみが登場している。
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もっとも、本作以前のスパロボでも『逆襲のシャア』の妙な参戦実態(いわゆる強引な「いるだけ参戦」型)はたびたびあった。それに馴染んだ当時のプレイヤー視点では、更に少し妙な素材だっただけ…と言えなくもない。
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因みに同時発売の『SDガンダム Gジェネレーション ZERO』と共に、Hi-νガンダムが初映像化された作品でもある。
 
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ガルマが出ていないのにその専用ドップだけが味方機として入手できるなど、不自然な点も。
 
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明らかな設定ミスも存在する。
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カミーユが「ハマーンはネオジオンを組織した女」と発言するシーンが有るが、彼は『Ζガンダム』の時代から転写されており、ネオジオンという単語が登場するのは『ΖΖ』からなので、このセリフが出るはずがない。
 
    
    
        | + | 終盤のネタバレあり | 
シナリオは、最終的には主人公の父・敵幹部の1人・シャア・シロッコ・ハマーン・ポセイダルの6人の何れかが大ボスとなるルートに分岐する…のだがラスト2面の展開はほぼ同じ。セリフを喋るキャラが少し違う程度。
 
あるルートでは、主人公が軍の先輩と敵対した上で殺してしまい、復讐心に狂った婚約者に狙われる…のだが主人公はその相手が誰だか最後まで気付かずに終わる。
それどころかその婚約者、撃墜時の台詞が無く、死んだのかどうかも不明のままフェードアウトする。
 
『ガンダム』のハヤトが、どのルートでも絶対に殺される。リュウは絶対に死なないのに。
シャアルートのみ、後に『Ζガンダム』の世界から転写された青年版の彼も登場するが、こちらは非戦闘員の上にチョイ役で、しかもすぐフェードアウトしてしまう。別のキャラでも良かった程度の扱いである。
一応、アムロが部隊を脱走する理由付けではあるのだが、彼は元々ブランチに対する処遇に腹を立てていたので、「ウルス人からの差別に耐え切れず脱走した」でも十分だったはずである(原作でも脱走経験があるし)。
リュウが死ななかった事に付いては、上記のシャアルートの追加会話でシナリオ上の意味があった事はわかるのだが、いずれにしてもなぜハヤトばかりが殺されるのかがわからない。『Ζガンダム』のフォウのように、ルート毎に死んだり死ななかったりするキャラもいるのだが。
 
『スパロボ』同様、原作で和解できなかったキャラと和解できたり、戦死したキャラが生存したりと、所謂「原作の悲劇の回避」は存在する。しかしどのエンディングでも、「ブランチ達は皆、本来の自分の体に戻って行った」で終わるため、結局エンディング後に原作同様死亡するという事であり、後味の悪い結末になっている。
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総評
とにかく一言では言い表せない作品である。
講談社刊の『バトロボ』攻略本にのみ載っていた裏設定が本作ではゲーム中で明言されるなど、『バトロボ』のリベンジ的作品なのかと思えば、オリキャラは一新されている上にシステムは『スパロボ』そのもの。
一方版権キャラの選定や扱いは、良く言えば自由、悪く言えばカオスもしくは好き勝手である。
シナリオや設定は奥深いので、全てのシナリオをプレイして全貌を理解できれば驚くことだろう。問題は全てのルートをプレイし終えるまで、プレイヤーがロード時間の酷さを我慢できるかどうかだが…。
いずれにしても、本作及び『バトロボ』の関連作品はこれきり発売されておらず、オリキャラも他のゲームに出演はしていない為、企画的には失敗と見なされた模様。
余談
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双葉社刊行の攻略本の編集後記では、「どうしても『スパロボ』と比べられるであろう本作」「『スパロボ』とは似て異なるもの」という奥歯に物の挟まったようなコメントや、「戦闘アニメを頑張ってほしい」「コアブースターの攻撃シーンは情けないものを感じた」という明け透けな物言いが書かれている。
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同社の『新スパロボ』の攻略本にも「アレンビーのカットインは出来が悪い」と、歯に衣着せぬコメントが書かれている。
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もっとも、これでもケイブンシャの『F完結編』のユニット紹介の辛辣ぶりには及ばないのだが…。
 
 
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本作の主人公のムジカ・ファーエデンは一部で人気の根強いキャラであり、OGシリーズなどでの再登場を望む声もある。
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ただし出自に版権作品が関わっている為、仮に参戦する時が来てもその点は変更が加えられると思われる。
 
最終更新:2024年07月22日 17:07