サイドワインダーMAX

【さいどわいんだーまっくす】

ジャンル フライトシューティング
対応機種 プレイステーション2
発売元 アスミック・エース エンタテインメント
開発元 BIT TOWN
発売日 2000年12月7日
定価 6,800円(税別)
廉価版 PlayStation 2 the Best
2002年9月12日/3,000円(税別)
判定 賛否両論
ポイント シリーズの外伝的な作品
限りなくシミュレーションに近いフライトシューティング
キャラクター描写に重点が置かれている
自由度とゲームテンポに難あり
サイドワインダーシリーズリンク


概要

サイドワインダーシリーズの3作目で、PS2初のフライトゲームに当たる作品。
ハードが変わったことでグラフィックが大幅に進化している他、システムも一新されており、PS時代とはほぼ別ゲーと化している。
コンセプトは「仮想近過去シミュレーション」で、90年代の紛争をイメージした世界観が特徴。
機体挙動や武器搭載量などが、フライトシューティングにしてはかなり現実に近く、シミュレーション要素が強い。

ストーリー

「サイドワインダーMAX」に登場するエスカーラは地中海沿岸に位置する架空の国家である。
よって本作は架空の世界設定の下、架空の国家を舞台に、架空の内乱を架空の人物が演ずる仮想近過去シミュレーションなのである。

1980年代末期、ペレストロイカに成功したソ連は急速に市場経済化を推し進め、連邦制を維持したまま経済的先進国の地位を確立した。
さらに中国もまた「4つの近代化」により市場経済化に成功、経済的先進国への道を歩み出した。
一方、西側先進諸国は中ソ市場経済化誘導のため、「先進国経済共和機構(略称ACECC、エイセック)」を設立、東西対立は遂に崩れさった。

反面、中ソのように広大な国土・資源に恵まれない社会主義の小国は、容易に市場経済化に向かうわけにはいかない。
新列強(市場経済化に成功した先進国)の半植民地化するのは明らかであり、発展途上にある小国に社会主義と統制経済はまだ必要だからだ。
かくして、これらの国により、エイセックに対抗して「新興国家安全保障機構(グランドパワーズ)」が設立された。

過去のものとなった東西対立に代わり、市場経済諸国のエイセックと統制経済諸国のグランドパワーズと言う新たな対立構造が生まれたのだ。

こうした世界設定の下、やがて時代は1990年代初頭を迎える。
エスカーラは国家政策および地理的環境において、エイセックとグランドパワーズの中間に位置しており、国内は市場経済派(改革連合)と統制経済派(ゴスキル)に分かれていた。
加えて旧王党派(ゴスホーク)も穏然たる勢力であったため、三派分立と言った方が正しいであろう。

当初は平静を保ちつつ東西対立の崩壊を迎えたエスカーラであったが、「黒い4月事件」によってゴスホーク総裁のベズミ・シャヒリが凶弾を受け、事態は急展開を迎える。
事件の黒幕を改革連合と断定したゴスホーク首脳部は、ゴスキルと手を結び新政府を樹立、改革連合を主流とする現政府に対して武力闘争を挑んだのだ。

この事態に際し、改革連合政府を支持するエイセックは多国籍航空部隊「ファイティングバーズ」を結成しエスカーラに派遣するが、グランドパワーズもまたゴスキル政府への支援を表明する。
これによりエスカーラ問題は、エイセック+改革連合政府VSグランドパワーズ+ゴスキルと言う図式となり、単なる一国の内政問題から両陣営の代理戦争へと変質していったのである。

拮抗する両勢力間で武力対決を回避する道が模索され続けたが、ゴスキル政府は工業都市ゴスプランに在住する外国人技術者に強制退去を命令、難民キャンプを巡り緊張の度合いは更に増していった。
そして4月18日、難民キャンプをパトロールするファイティングバーズ戦闘機とゴスキル側戦闘機の間で空戦が発生、かくしてエスカーラ紛争は全面武力対決への道を辿ることになったのである。

そんなある日、エリス島のカーネルパーカー飛行場に、一機の輸送機が到着した。
ファイティングバーズに、新人パイロットが着任したのだ……。

※取扱説明書より

特徴

プレイヤー設定

  • ゲーム開始前にプロフィール設定を行う。主人公設定の項目は名前、年齢、渾名、TACネームの4つで、初期設定は以下のとおり。
    • 名前:キリュウ カズヤ(桐生和也)
    • 年齢:25歳
    • 渾名:カズヤ
    • TACネーム:スペード
  • 難易度は3段階から選択する。イージーではブラックアウトやレッドアウトが発生せず、チャフ/フレアの数が多くなる救済措置がある。

部隊・ストーリー構成

  • プレイヤーが所属する「ファイティングバーズ」は、全12機を1小隊4機に分けた全3小隊からなる航空隊。
    • 1番機は小隊長、2番機は副小隊長、3番機以下は小隊員。
    • 3人の小隊長の内の1人が航空隊全体を束ねる飛行隊長となり、航空機の運用、ブリーフィング説明を担当する。
    • 戦死者が出ると訓練センターから待機要員が補充される。
  • ストーリーは全3章の計32ミッションで構成されている。
    • 第1章
      • プレイヤーは第1小隊員として任務に当たる。
      • 作戦案設定、武装設定などは不可能。
    • 第2章
      • プレイヤーは第1小隊長として任務に当たる。
      • 人事管理、作戦案設定、武装設定が可能になる。
    • 第3章
      • プレイヤーは第1小隊長兼飛行隊長として任務に当たる。
      • 航空機運用が可能になるが、訓練センター閉鎖により待機要員を補充できなくなる。

ゲームの流れ

1つのミッションは以下の流れで進行する。

  • 1.コーヒータイム
    • ブリーフィング前の準備時間。訓練申込み、部隊表確認、世界観設定確認、兵器情報確認、人事管理(第2章から)、航空機運用(第3章から)を行える。
    • 訓練申込み
      • 第1章における訓練内容はそれぞれのミッションで固定。小隊長との対戦訓練か、各種兵器の射撃訓練を行う。
      • 第2章以降では、全航空隊員の中から一人を選択して、そのパイロットと対戦訓練ができる。
      • ミッションによっては訓練の申し込みができない。
    • 部隊表確認
      • 各隊員のプロフィール及び撃墜スコアを確認できる。
    • 世界観設定確認
      • 本作の世界における時代背景、各種専門用語集。ゲームが進むと項目が増える。
    • 兵器情報確認
      • 本作に登場する航空・地上兵器の情報確認。航空機の場合、各種パラメータも表示される。
    • 人事管理
      • 隊員の交換、欠員補充などが行える。
    • 航空機運用
      • 航空機の不足分の補充、航空機の更新、航空機交換ができる。
      • 補充・更新で選択できる機体はF-15Eかトーネードのどちらか。
  • 2.ブリーフィング
    • 戦況及び作戦目的の説明に加えて、プレイヤーによる作戦設定も行う。
    • 第2章のみ臨時機種交換、第2章以降では空中給油要請ができる。ただし、毎ミッション司令官からこれらの許可が下りるとは限らない。
    • 第2章以降ではプレイヤーによる作戦立案が可能となり、初期案とオリジナル案の2択から選択できる。
      • オリジナル案では、部隊のフォーメーション、使用機種、マップ侵入位置・経路・高度・タイミングを設定。
  • 3.ハンガー
    • 第2章以降では、小隊内の各機体の搭載兵器を自由に設定できるようになる。
    • ハードポイントには3種類存在し、装備できる兵器がそれぞれで異なる。
      • 翼端・小:AIM-9L
      • 中:AIM-7F,AGM-65,中型増槽
      • 大:AGM-65×2,AGM-62,ECMポッド,ACMIポッド,大型増槽
    • 搭載兵器の種類は以下のとおり。
      • AIM-9L:短射程対空ミサイル。後方からしかロックオンできない。フレアで回避される。
      • AIM-7F:中射程対空ミサイル。実際のものと違って撃ちっ放し式。チャフで回避される。ECMポッドで誘導性能を下げられる。
      • AGM-65:対戦車ミサイル。
      • AGM-62:対施設ミサイル。
      • ECMポッド:電子妨害ポッド。敵のレーダー誘導ミサイルの誘導性能を下げる。
      • ACMIポッド:偵察ポッド。使用するのはミッション9のみ。
    • 自機のみ、安全燃料計算装置の設定ができる。帰還に必要な燃料が少なくなった時の効果の違いは以下のとおり。
      • オン:自動的にスロットルに出力制限が設けられる。
      • オフ:制限時間に関わらず、強制的に帰還命令が出る。
  • 4.訓練
    • 訓練を申し込むと、ミッション前に実施される。
    • 射撃訓練
      • 指定された兵器で標的機を破壊する。
    • 対戦訓練
      • 他の隊員との1対1のドッグファイト。
      • 使用兵器は訓練用の機銃のみ。制限時間内に相手のHPを0にするか、タイムアップ時にHPが多いと勝ち。
  • 5.ミッション
    • 全ミッション共通で制限時間は5分。基本的にターゲット全滅が目的で、護衛ミッションでは護衛対象機が目的地に到達することで成功となる。
    • 本作では被撃墜や墜落にならない限りミッション失敗とはならず、目的を達成できなくても次のミッションに進むことができる。
    • デブリーフィングでは戦果、小隊の状況(機体損失・隊員の生死)が表示される。第2章以降では他小隊の戦死者が表示されることもある。
    • 以下のいずれかに当てはまるとゲームオーバーとなる。
      • プレイヤー戦死:被撃墜または墜落後のコンティニュー画面でノーを選ぶ(時間切れでは自動的にコンティニュー)。
      • 臆病者:帰還命令が出ていない状態で武器を1回も発射せずに作戦空域を離脱する行為を3回行う。
      • 足手まとい:第1章中に脱出を3回行う。
      • 部下殺し:第2章中のプレイヤー部隊内の戦死者が一定数を超える。
      • 航空隊解散:航空隊の全隊員数が6人以下になる。
  • 6.パブタイム
    • PXで他の登場人物との会話を行う。話しかけられる相手は3人まで。
    • 対戦訓練やミッションの結果次第で会話内容が変化することがある。
    • 特定のキャラが戦死した日にPXに入ると強制イベントが発生する。会話相手の選択はできない。
    • パブタイムでの会話はミッションには一切影響しない。
  • 7.データ管理
    • セーブ、ロード、オプション画面での設定変更はここで可能。終了させると次のミッションへ進む。

システム

  • 自機の仕様(旧作との主な違い)
    • アフターバーナーはR1押し込みに変更。
    • 機体温度
      • アフターバーナーを使用し続けると上がっていき、一定値を超えるとエンジン出力が下がる。
      • エンジン出力を下げるほど機体温度が下がりやすくなる。
    • 武器の仕様
      • 機銃と他の武器の発射ボタンは共用で、適宜切り替える必要がある。どの武器も有効射程に入るまで発射できない。
      • ミサイルはロックオン後に初めて発射できる。ロックオンまでの時間は武器の種類や機体の火器管制システムで決まる。
    • チャフ/フレアは手動で発射する。
    • 攻撃を受けると機体各部位にダメージが蓄積する。蓄積量が一定を超えると被撃墜。ダメージを受けた時の影響は以下のとおり。
      • 主翼:機動性と安定性の低下。最悪の場合、操縦不能になってそのまま墜落する。
      • 燃料タンク:燃料消費量の増加。
      • 脱出装置:脱出装置作動までの時間の延長。蓄積量が大きいと使用不可能になる。
      • 火器管制システム:ロックオン時間の延長。
      • エンジン:エンジン出力の低下。双発機の場合、片方がやられるとバランスを取りにくくなる。
    • ダメージを受けた状態でL1,L2,R1,R2を1秒以上同時押しすると脱出し、ミッションが強制終了となる。
      • 敵の攻撃が熾烈で逃げ切れない時や操縦不能に陥った時に有効。
      • 脱出機能があるのはシリーズで本作のみ。
  • 僚機の仕様
    • 搭載された武器に対応した敵を優先的に攻撃する。機銃による攻撃は空中目標に対してのみ。
    • ダメージを受けると撤退、受け過ぎれば被撃墜となる。被撃墜の場合、脱出に失敗することもあり、その場合は戦死。一部キャラは撃墜されても脱出には必ず成功し、戦死しない。

評価点

システム

  • フライトシューティングにしてはかなり現実感にこだわったシステム。
    • 機体挙動や武器搭載量などが実在する戦闘機のものに近い。
    • 機体を簡単に動かせる一般的なフライトシューティングと異なり、一つ一つの機動を行ってそれらを戦闘に活かせた時の達成感が大きい。
    • ミサイルで敵機を撃墜した時には、ミサイル1発の重要性を再認識させてくれる。
  • 程良い難しさのドッグファイト。
    • 敵機は一機一機が強く、これらを近接戦闘で制した時は非常に爽快。
    • 空中目標に対する機銃の使い勝手が向上した。
      • 当たり判定が大きく、素早い機動を行う戦闘機が相手でも、未来位置を予測すれば当てやすい。
      • 敵機は機動性が高いため、機銃が当たり過ぎてあまりに簡単ということがない。この辺りの調整が良くできている。
    • 部隊表で表示される撃墜スコアを稼ぐため、積極的に敵機を撃墜するのも本作の楽しみの一つ。上手く行けばゲームクリアまでにカンストする。
  • 僚機との共闘。『エースコンバット5』よりも早く、4機編成部隊によるミッション攻略が実現している。
    • それぞれの僚機に役割を分担させ、効果的に戦わせることで、前二作にはなかった仲間との共闘感が生まれている。
    • 僚機は攻撃頻度が高く、プレイヤーの援護が適切ならば次々と目標を破壊してくれる。
  • シューティングとシミュレーションの中間に位置するようなシステムを採用したことで独自性が強くなり、他のフライトゲームとの差別化を図れた。以降のシリーズ作品では本作のシステムが標準となった。
  • 前作までの意味のない残機制が廃止された。
  • ミサイル弾数無限化やミッション強制成功などの便利な裏技が存在する。

世界観

  • 架空国家を使用しつつも、実際にありそうな舞台設定。
    • 本作の舞台となるエスカーラには設定が豊富に存在する。国家情勢を考えながらプレイすることで、よりストーリーを楽しめる。
    • 現実的な兵器のみで構成された世界観。
      • エイセックは西側、グランドパワーズは東側の兵器を主体にしている。このため、それぞれの勢力の特徴が把握しやすい。
      • 明らかに時代に合っていない新兵器や奇想天外な超兵器もなく、悪目立ちする展開がない。
      • 敵側のみだが、ミラージュF1、J35ドラケン、MiG-23フロッガーなどの、比較的マニアックな機体が登場する。
  • 多数の個性的なキャラクター。
    • パイロットには補充要員も含めて、数多くのキャラクターが登場する。
      • 多くの同僚達に囲まれながらストーリーが進むので、自分もその内の一人だと実感しやすい。
      • 主人公の設定を自分のプロフィールにして、エース気分に浸ることもできる。
      • 容姿、年齢、国籍、性格はどのキャラクターもバラバラで多種多様。一人一人に渾名も設定されている。
      • 隊員毎に仲の良い人や悪い人が決まっている。パブタイムなどで確認できる。
      • パブタイムで友好を深めた仲間が戦死すると、中々に心苦しいものがある。
    • パイロットだけではなく、司令官、オペレーター、整備員、PX店員なども会話に絡んでくる。どのキャラクターも印象的。
    • パブタイムにおける雑談は本作特有の魅力でもあり、プレイヤーを作品世界に深く引き込んでくれる。

BGM

  • 少数精鋭。数は多くないが、どれも戦闘を大いに盛り上げてくれる、疾走感と緊迫感のあるロック調BGMで構成されている。
  • メロディがはっきりしており、耳に残りやすい。汎用戦闘BGM「Burning MAX」と重要ミッションBGM「RUN!RUN!RUN!」は印象的。
  • 特定の隊員と対戦訓練した時にしか聞けない曲もある。その内の、女性メインキャラクターであるシャロンとの対戦訓練用BGM「Undulation」はとても疾走感溢れた曲で、前述の2曲並に戦闘映えする。『V』の転換点となる大規模空戦ミッションの初期BGMにも採用された。

賛否両論点

システム

  • 現実寄りのために操作に制限が多く、慣れが必要。
    • ミサイル搭載量は実際の戦闘機以下。計画的に使う必要がある。
    • フライトゲーム未経験者ではまともに機体を動かすだけでも苦労する。
  • ミッションをまともに遂行しなくてもストーリーを進められる。ほぼ全てのミッションで、「適当にミサイルを撃ったら作戦空域を離脱して終了」という戦法が通じてしまう。
    • 難関ミッションはこうやって誤魔化すことができるので、初心者救済措置にはなっている。
    • 一方、このような身も蓋もない攻略法があるために、ミッション遂行の意義が薄い。

世界観

  • 良くも悪くも現実的。
    • 前作のような派手なミッションは皆無に等しい。
    • 実験機や当時の次世代機の類は登場しない。第4.5世代機は精々F-15Eぐらいで、それ以外は全て第4世代以前の機体。
    • コンセプトが90年代の紛争なので、著名機でもF-22などが登場しないのは当然と言える。
  • キャラクターに興味がない人にとっては、パブタイムにおける会話はただ邪魔でしかない。パブタイムには一切関与せずにプレイすることは可能。

問題点

ブリーフィング

  • 不親切な上に所要時間が無駄に長く、本作の快適さを大きく損ねる要因になっている。
    • どうでもいい情報を事細かに教えられる一方で、肝心なことが断片的であり、何が破壊目標なのか分かりにくい場合がある。
    • ブリーフィングそのものはスキップ不可。「ブリーフィングは無視して、一度ミッションを見て全容を確認してから本格的に挑む」というやり方をしても結局時間がかかる。
  • 第2章の臨時機種交換は、プレイヤーからの要請頻度に関係なく、必ずできるとは限らない。「今まで一度も使わなかったのに、肝心な時に許可が下りてくれない」ことがある。
  • 戦闘情報確認の問題
    • 大体の破壊目標はミッション概要表示で分かるのだが、具体性には欠けており断片的。見逃すと何が目的のミッションなのか分からなくなる可能性もある。
    • マップ概要、道路・河川、集落、天候など、ゲームには関係ない情報が多く含まれる。戦闘マップまでの距離は燃料絡みで関係あるが、給油要請をしないことに決定した後で教えられても意味がない。
    • 敵勢力説明が分かりにくい。
      • 表による敵勢力一括表示、敵機の初期位置表示、ターゲットの明示など、他のフライトゲームでは当たり前にあるようなものが(この時点では)なし。
      • 本作ではミッションを問わず数多くの地上部隊が出現するのだが、種類が多過ぎるために、文章で羅列されても把握しきれない。
  • 作戦案確認・設定の問題
    • 初期案では機種が固定されている。別の機体を使いたい場合はオリジナル案を設定しなければならない。
    • オリジナル案の設定が面倒で、機種変更のためだけにその他の設定をする必要がある。基本的に機種以外を変えても作戦遂行に大きな影響は出ないので、ゲームに活かしきれたシステムとは言いにくい。
  • ミッション開始寸前になって、本来ブリーフィングでやるべきだったマップ上の敵配置の詳細、敵勢力の内訳表(ターゲットも明記)が表示される。
    • 10秒もあればプレイヤー部隊のやるべきことが全て分かる説明を、今までのブリーフィングで長々と遠回しに行っていたことになる。
    • ここまで来るともう後戻りは不可能で、そのままミッションに進んでしまう。
  • ミッション18「ゼロアワー」のミッション概要が誤解を招きやすい文章となっている。そのミッション概要とは「作戦開始から1分以内に目標施設を破壊せよ」というもの。
    • こう書かれていると、「機体を操作可能になったら1分で目標を破壊しろ」と解釈されるのが自然である。しかし、この概要の本当の意味は「23時59分開始のプレイヤー部隊の作戦ではなく、0時0分の『地上部隊の作戦』が開始されたら1分で目標を破壊しろ」であり、非常にややこしい。
      • 作戦説明で上記の解説はされてはいるが、文章で軽く触れられるだけなので、初回では見逃しやすい。
      • 基本的に本作のミッションは分表示の一の桁が0の時刻で開始されるが、このミッションのみ例外で59分から始まるので、尚更勘違いしやすい。
      • 当然、0時0分より前に目標を破壊してしまったらミッションは「成功」しなくなる。

システム

  • 非常にふらつきやすい機体挙動。
    • 低速状態だと常にフラフラしており、まともに水平飛行できない。
    • 車両に機銃で攻撃する時が特に不便。
      • まともに照準を合わせるのは至難の業。加えて、車両の当たり判定はグラフィックと同じなので、尚更狙いにくい。
      • 一度のアプローチで1両破壊できるかどうかというくらい、機銃での地上攻撃は難しい。
  • 機銃とミサイルの併用ができない。
    • 機銃を好きな時に撃つこともできない。
    • 武器切り替えを行うとロックがリセットされてしまう。ドッグファイト時には特に不便で、「ミサイルロックしている間に機銃を当てる」という戦法が不可能。
  • 施設攻撃がAGM-62でしか行えない。機銃の選択中は施設に目標コンテナが表示されず、仮に当てることができてもダメージが通らない。
  • チャフ/フレアの発射が手動のみになった。
  • 主翼にダメージを受け過ぎると操縦不能になり、実質被撃墜状態になる。
  • タイトル画面に戻れるのは、ミッション中のポーズ画面からのみ。ミッションの準備からやり直したいとなると、ミッションまで進めなくてはならず、やり直しがとても面倒。

機体

  • 使用可能機体数は9機のみ。F-15とF-16には派生機がそれぞれ3機(F-15A/C/E)と2機(F-16A/C)いるため、実質的な使用可能機は6機だけである。
  • 機体選択はミッションごとにほぼ固定で、好きな機体で飛ぶことができず、自由度が低い。
    • F-14が使えるのは最初の3ミッションのみ。ミサイルが航空隊に支給されるようになるのと同時に退場する。
    • F-4はF-14より活躍機会は多いが、使えるのは第1章中のみ。
    • F/A-18は第2章中盤でF-15,F-16に置き換えられてしまい退場。
    • トーネードは第2章から使えるが、第2章後半では使用できない。唯一大型ハードポイントを5つ装備し、他の機体にはできない運用が可能なので、使えなくなるのは不便。
    • F-16は第3章になると一切支給されず、損失があったり更新したりしてしまうと二度と使えなくなる。

ミッション

  • 敵機撃墜、地上部隊攻撃、施設爆撃、味方機護衛、偵察と、基本的に現実的なミッションしかない。また、各作戦の内容が似ていることが多く、作業感を覚えやすい。
    • 敵機はほぼ全て戦闘機。極一部のミッションで輸送機が登場するくらい。
    • 地上部隊は軍事車両、施設は格納庫と倉庫のみと、種類が少ない。
    • 峡谷突破、火災消火のようなゲーム要素の強いものは勿論、基地防衛、艦隊攻撃と言った、実際にもあり得そうなミッションさえない。
  • 第2章では同じミッションばかりが繰り返される。それは、「補給部隊爆撃」と「飛行場爆撃」の2つ。
    • この2種類のミッションは第2章中だけでそれぞれ4回も繰り返される。
    • 第2章後半ではトーネードが使えなくなり、ゲーム面で悪影響を及ぼす。
      • 飛行場の格納庫を全て破壊するのに必要なAGM-62の合計数すなわち大型ハードポイントの数が足りなくなる。つまり、「飛行場爆撃」の「成功」は理論上不可能であり、AGM-62を撃ち尽くしたら撤退して強引にミッションを終了させるという投げやりなゲーム構成になっている。
      • 第2章後半でトーネードを使うには、許可が下りる保証のない臨時機種変更に頼るしかない。

ゲームテンポ

  • 全編にわたってメッセージウィンドウの表示・非表示演出が無駄に凝っており、時間がかかりやすい。
  • 場面切替で画面が暗転した時のロード時間が長い。ものによっては10秒以上かかる。
  • ブリーフィングに不親切な要素があまりにも多いせいで、次の画面になかなか進めない。
  • ハンガーでの兵器設定では、一つ一つの搭載兵器を変更する度にいちいち2秒ほどの演出が入り、とても時間がかかる。
  • コーヒータイムからミッション開始までの所要時間は約3~5分。戦闘機を操作できるまでの時間が長過ぎる。

総評

シリーズでは異色な、限りなくフライトシミュレーションに近いフライトシューティング。
現実感のある独特の操作性とシステム、凝った世界観及びキャラクターを気に入ることができれば、エース気分に浸れるゲームを楽しめるのが特徴。
しかし、自由度が低くてゲームテンポが劣悪という、ジャンルの好み以前の問題を抱えているのが大きな難点。特に、自由に機体を選択したい人やストレス耐性の低い人にはおすすめできない。
快適性に大きな問題があったことが考慮されたのか、次作以降では大きな改善が施された。

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最終更新:2021年11月08日 15:25