※本作の正式タイトルは初代と重複するため、一般的に区別する際に用いられる括弧付きの「シムシティ (2013)」でページ名を表記しています。
シムシティ
【しむしてぃ】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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Windows XP~8 Mac OS X
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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マクシス
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発売日
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【Win】2013年3月7日 【Mac】2013年8月30日
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価格
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オープン価格
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判定(アプデ前)
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クソゲー
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判定(アプデ後)
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改善
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ポイント
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完全3Dに対応した新作 マルチプレイ対応に非難囂々
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シムシティシリーズ
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概要
『シムシティ』シリーズの第6弾であり、マクシス開発の『シムシティ』シリーズとしては4以来10年ぶりの新作。
一応、『シムシティ ソサエティーズ』が第5弾として存在するが、開発元が異なっている。
前作でも一部3D描写がなされていたが、本作では完全に3D描写となった。
本作ではマルチプレイヤーモードが実装され、他のプレイヤーと連携しながら都市を開発することが可能となった。
一方、一人で遊ぶシングルモードもある。
しかし発売当時はシングルモードであろうと常時オンライン接続が必須となっており、この初動における失敗が本作の評価を大きく下げることとなった。
新要素
マルチプレイヤーモードの実装
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公式的には本作で一番のウリともいうべきシステム。他のプレイヤーが作った都市と自分の都市が影響を及ぼす関係となる。
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都市を作る際に地形を選択するが、このとき、近隣の地形に作られた都市とは相互に影響を及ぼし合う。
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例えば、自分の都市に他者の都市の人が働きに来たり、他者の都市から電力などを購入したりといった協力も可能。
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特定の施設が存在しないと設置が不可能な施設も、同じ地域内に施設があれば設置可能。
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直接的に他者の都市の開発をすることは不可能なので、自身がプレイしていない時に勝手に都市を作り替えられたり破壊されたりすることはない。
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ただし、他者の都市の治安が悪いことにより犯罪者が流入するなど、間接的に悪影響を受ける事はある。
グラフィックの完全3D化
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あらゆる角度から街を見渡すことが出来るようになった。
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グラフィックのレベルも向上しており、美麗な街を楽しむことが出来る。
その他の新要素
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道路は曲線を引くことも可能となった。高さなども設定可能。
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言い換えれば、マス目の概念がなくなったということである。これにより、より自由な街作りが可能となっている。
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ただし、住宅地などを設置するには必ず、道路などに隣接させる必要がある。
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電線や水道は道路がその役割を担うようになった。そのため、道路に隣接した建物にはこれらのインフラが自動で通る。
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石炭などの資源は有限のものとなったため、使い切ったら採掘や購入をする必要がある。
評価点
グラフィック面の大幅な進化
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グラフィックがかなり向上し、また完全3D化したことで街を自由に見回すことが出来、綺麗なグラフィックを堪能出来る。
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発売当時としては高めのPC性能が要求されたが、それに見合うだけのグラフィックとなっている。
自由な街作りが可能となった
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これまでのマス目概念に問われない自由な街作りが可能となっている。
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ただし、道路は既存の道路と隣接しなければ作れず、尚且つ道路に隣接した場所にしか建物などは作れないという制約が出来てはいるが。
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また、住宅地などを除いた建物は基本的に四角形のスペースを要求されるため、曲線の道路を使うとスペース上の無駄は多くなる。
問題点
サーバーの貧弱さ(後に改善)
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当初はマルチプレイヤーモード・シングルモードの双方とも、ネットワーク接続が必須だった。そのため発売直後には多数の接続により、そもそもサーバーに接続出来ずプレイ出来ないといった事態が続発した。
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また、セーブデータもサーバー側に保存されるため、サーバー障害による街データのロールバックも続発。
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特にシングルモードであってもサーバー障害のせいで遊べないというのが非常に大きい問題である。
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これに関しては2014年3月18日よりオフラインモードが実装され、シングルモード等はオフラインの環境においてもプレイ出来るようになった。
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また、サーバー自体もプレイ人数の減少などに伴い、マルチプレイヤーモード自体も安定してプレイ可能となった。
地形がかなり狭くなった
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傑作と評価される『4』と比べると地形が狭くなっている。
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これにより、作れる街の規模が必然的に小さくなってしまう。
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電力・下水道・警察・学校などといった街作りを進める上で、ほぼ必須といえるインフラ設備の建設スペースも考えると、この制約は非常に大きいものとなってしまっている。
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このスペースの小ささから、一つの都市を複数の方面に特化させるというのは難しい。せいぜい一つに特化させた都市が限度であろう。
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一応、シングルモードであろうとマルチプレイヤーモードであろうと、周囲の都市から購入などを行うことで、インフラを補うことが出来る。マルチプレイヤーモードに力を入れたバランスであるため、メーカーの想定としてはこのようなプレイスタイルを目指しているのかもしれないが。
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シングルモードであれば、いずれかの都市をインフラ特化型の都市にし、他の都市でその恩恵を受けながら巨大都市の開発を目指すのが最適解と言われるほど。
AIが賢いとはいえない
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市民の動きなどを制御するAIが賢いとは言い切れない。
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本作では低所得、中所得、高所得といった具合に住宅地や商業地に対応する市民が変化するのだが、「高所得層が溢れているのに高所得層の買い物客が少なくて商業地が廃れる」といったような状況が発生する。
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救急車や警察は緊急時であっても信号を無視できない。そのため、市民が病気によって死亡したり、犯罪を野放しにしたりすることもある。
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一方通行などが存在しないこともあって交通渋滞は非常に発生しやすい。バス停などを作ったとしてもさしたる改善は見られない。
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そのバスはバス停の設置場所をみてAIがルートを決めるという方式なのでうまく置かないと2か所をUターンで往復するようなバスが発生してしまいさらなる渋滞を引き起こすことも。
総評
グラフィックのレベルは非常に高く、自身で作成した都市をじっくりと堪能することが出来る点は評価出来る。
その一方で、マルチプレイヤーモードについては、サーバーの脆弱さから不満が続出した。
そもそも、オンラインにする必要もないであろうゲームシステムをわざわざオンライン対応、あまつさえオンライン必須にしてしまったことが最大の問題点となった。
このオンラインにおけるサーバー接続の不具合については改善までに長い月日を要し、既にプレイしていた人達も、いつ、接続エラーに見舞われるかに恐々としていたのが事実である。
オフラインモードの実装をはじめとするサーバー接続の不具合が改善されたことから、安心してプレイ出来るようになった。
だが、これらの対応に1年近い時間を要したことから、結果としてプレイヤー離れを招いてしまったといえるだろう。
また、『4』をプレイ済みの人にとっては地形の狭さによって作れる都市の限界が近いことに不満を覚える者が多い。
『4』が名作であり、なおかつ開発元が違った前作の出来が今ひとつであったことから、大いに期待された本作である。
だが、結果としてはファンの期待に応えられた作品とは言いがたいだろう。
余談
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本作以降はCS機でのシリーズが途絶えている『シムシティ』だが、元開発者のOcean Quigley氏は原因が本作のローンチ時の失敗であることを認めている(参照)。
最終更新:2024年06月27日 13:00