ロード オブ モンスターズ
【ろーど おぶ もんすたーず】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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リンドヴルム
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発売日
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1999年6月10日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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多種多様なモンスターを召喚 リアルタイムなカードゲームのように戦う対戦ゲーム
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概要
かつてソシャゲの走りとも言われた同名のPCネットゲーム『LORD OF MONSTERS』の3作目を題材にしたPS用ソフト。
開発元も同じだが、ネットゲーム版の『LORD OF MONSTERS』シリーズとはゲームシステム的にはまるで別物。
プレイヤーは召喚師(サモナー)となり、無力な人間の力となるモンスターを召喚し、敵の召喚師を倒していくという対戦型のゲーム。
リアルタイムで戦闘が進行するため、その瞬間瞬間での判断力を問われる高い戦略性が最大の特徴。
一般への宣伝がほとんど成されなかったというのもあるが、初期のとっつきにくさとストーリーの難解さのためごく一部以外には受けなかった。
ストーリー
最初、人は数え切れないほどいた。
ある日、「柱」が現れ、魔を吐き出し始めた。
そこへ賢者「ウグト」が召喚魔法を発明し、それによって魔を滅ぼすことができるようになった。
しかし数々の召喚魔法は災いをも呼び込み、いくつかの戦争を起こし、人は数え切れるほどにまで減った。
そんな中、辺境の都でウグトが死亡し、呼応するかのようにそのすぐ後、今までにないほどの巨大な柱が生まれた。
人々は、いずれおとらぬそれぞれの力にすがって生き延びようとする。
しかし、残された人々は結局相容れず、方法論で争った結果ここに3度目の戦争が起こった。
基本システム
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全体マップからステージ選択→編成→戦闘→全体マップへ戻る(連戦の場合は編成へと移る)、という一連の流れを繰り返していく。
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次に行く必要のあるステージが赤くなり、そのステージを選択することでストーリーを進めていく。それ以外の場所ではステージごとに決められたエンカウントが発生する。
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時折、ストーリーが進むステージが赤くならないことがあり、その場合はあちこちのステージを回ってストーリーが進むステージを探す必要がある。
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なお、すべての補助魔法(後述)を習得した場合、各ステージにあらたなエンカウント敵が出現する(最大6種類)。
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戦闘に入ると、味方召喚師(PLキャラ)と敵召喚師がマップの特定位置に出現する。プレイヤーは味方召喚師を操り、モンスターを召喚したり味方モンスターを魔法で援護したりして
敵召喚師を倒すことでクリア
となる(敵のモンスターを全滅させることではない)。
編成
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本作では、戦闘に入る前に「オーダー(編成)」する必要がある。カードゲームで言うところのデッキを作成する。
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オーダーにはモンスターや補助魔法、アイテムなどを
最大12個
選択することができる(モンスターは最大8体)。
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当然ながら、オーダーに入れなかったモンスター・補助魔法・アイテムはその戦闘では使用できない。
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なお、モンスターは種類ごとではなく個体ごとに選択する。つまり、「アンゲコック」というモンスターを4体召喚したい場合は、そのアンゲコックを4つオーダーに組み込む必要がある。
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モンスター
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本作で召喚できるモンスターはおおまかに4種類の「
信仰系
」に大別される。
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神族系
ミノタウロスやケンタウロスなど、ギリシャ神話や北欧神話などに登場する神の眷属によって構成されている。
全体的にhp、mpが高く、また移動能力なども決定的に劣っているモンスターがほとんど居ないため扱いやすい。
反面、特に低spのモンスターは決定力に欠ける部分がある。
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人造系
主にロボットやゴーレム、人造生物(コカトリス、キメラ、スライム等)から構成される。
生物でないモンスターが多いため状態異常に強く、また全体的に近接戦闘や障害物の無い地形に強いモンスターが多い。
ただし攻撃が直線的であったりロボットのモンスターはほとんどが「水に触れるとダメージ」であったりと、地形に妨げられやすい傾向がある。
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自然系
エルフや狼、妖精などの自然界に存在する生物や精霊によって構成されている。
移動能力に優れたものや射撃攻撃ができるモンスターが多く、こと複雑な地形において大いに力を発揮する。
hpかmpのどちらかが異常に低いモンスター、および攻撃力に欠けるモンスターばかりであるため、接近戦では少々難がある。
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外来系
クトゥルフ神話に登場するクリーチャーによって構成されている。
能力に癖のあるモンスターや、精神攻撃・状態異常を多用するモンスター達が多く、生物モンスター相手に大いに力を発揮する。
ただし生物以外を相手にする場合には活かされず、能力も極端なため扱いが非常に難しい。
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補助魔法
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戦闘に1回勝つごとに、新たな補助魔法を1つ習得する。さまざまな補助魔法を行使することで、召喚したモンスターをサポートすることが可能となる。
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傷ついたモンスターのhpや状態異常を回復させたり、攻撃に属性を付加したり、特定属性の攻撃を防いだり、また移動能力を追加したりなどさまざまなバリエーションがあり、補助魔法を使いこなすことで対応できる状況が大きく広がる。
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補助魔法には消費mpが設定されており、mpを消費さえすれば何度でも使える。ものによってはmpを消費しなかったりもする。
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補助魔法は全32種存在するが、召喚師が1人で習得できるのは16種のみ。習得できる補助魔法構成は召喚師ごとに異なる。
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アイテム
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戦闘中に使用するものではなく、言うなれば召喚師の装備品。
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召喚師そのものの能力(hp、mp、耐性、移動能力など)を変化させたり特殊能力を付加したりするもの。原則としてモンスターを強化するようなものではない。
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各ステージの4人目、5人目のエンカウント敵が所持していることが多い。
戦闘システム
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モンスターを召喚するために必要なmpは、戦闘開始直後では1ゲージ分貯まっており、時間経過と共にmpが回復していく(最大8ゲージ)。
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戦闘開始直後にはモンスターは全く配置されておらず、召喚師しか居ない。が、敵CPUには最初から何体かモンスターが配置されていることがある。
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モンスターごとに召喚に必要なmp量が決められており(
sp
と呼ばれる)、最小sp1、最大でsp6のモンスターが居る。
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当然spの高いモンスターほど強いのだが、モンスター同士の相性もあるため、必ずしも高spのモンスターが低spのモンスターに勝てるわけではない。
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モンスターの信仰系が召喚師の信仰系と異なる場合、必要なspが25%増になる。
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召喚したモンスターをそのまま攻撃させたり、補助魔法をかけて強化したり、場合によっては撤退させたりして、最終的に敵召喚師の撃破を狙う。
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モンスターごとに相性があり、いかに敵の出したモンスター達に対応させることができるかが重要。
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召喚師はステージ上で動くキャラの1人であり、敵モンスターの攻撃にも晒されるので注意。戦闘開始直後からspの低いモンスターを次々と送り込んだり、堅いモンスターを囮にして時間を稼ぎ、その間に溜まったmpで逆転するなどさまざまな戦略を取れる。
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前述の通り、対CPU戦では戦闘開始直後からモンスターが数体配置されていることが珍しくないため、戦力差をいかにカバーするかがキモとなる。
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ステージには高台や水地などの地形が配置されており、その地形をいかに利用して戦うかで更に戦略性が広がる。
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召喚する場所も重要。高台に射撃モンスターを配置して一方的に攻撃するなどを基本に、水に入れないモンスターを水地から一方的に攻撃したり、動けないがやたら強いモンスターで一本道を塞ぐなど、戦術の幅は広い。
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一方で、モンスターを斜め前方に跳ばすという補助魔法も存在するため、補助魔法による影響も考慮しておかなければならない。
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飛行モンスターは高低差を無視して移動できるため地形戦で便利だが、耐久力が低いので敵の射撃モンスターに注意を要する。
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倒した敵のモンスターは、「
シールドケイジ
」と呼ばれる補助魔法(初期習得)を使用することで捕獲できる。
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捕獲したモンスターは次の戦闘からオーダーに組み込むことが可能となる。この方法でしか新たなモンスターを獲得できないため極めて重要。
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また、倒された味方モンスターに使用することで、再び召喚することが可能となる。ただし再召喚にもまた召喚mpを消費する必要がある。
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当然ながら、この魔法もmpを消費する。迂闊に使っていると、敵のモンスター軍勢に立ち向かうmpが足りなくなるので、使い時を見定めなければならない。
評価点
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リアルタイムで進行する高い戦略性
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上述の通り、モンスターを召喚するタイミングや位置、召喚するモンスターの相性、モンスターに使用する補助魔法の種類、召喚師自身のmp管理など考えるべき要素が多く、戦略性が高い。
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基本的に後出しするのが強いのだが、要は召喚師さえ倒してしまえばいいので、敵の囮モンスターを無視させて召喚師のみ攻撃するように誘導したりするなどの駆け引きがある。
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たった12枠のオーダーにいかにモンスターや魔法などを詰めるかも重要。組み合わせ次第では、1種類のオーダーでありとあらゆる状況に対応できるようになる。
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対人戦の駆け引き
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CPU相手だけでなく、メモリーカードを持ち寄っての対戦が可能。自分の考えた最強のオーダーで、友人のオーダーと戦うことができる。
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リアルタイムで進行するゲームゆえに考える時間が短く、突発事態などであたふたして冷静に判断できなくなるというのもまたこのゲーム独特の要素。
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モンスター収集の楽しみ
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敵の使ってくるモンスターを倒して、自分の手駒を増やしていくというスタイルに独特の高揚感がある。
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初期に6種類しか手駒が無い状況から、ゲームを進めていくにつれてどんどん手駒が増えていくのはプレイしていて嬉しい。そのモンスターを次の戦闘で使ってみて、その特徴を体で覚えるのも乙なもの。
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リトライの容易さ
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1回の戦闘はせいぜい数分で終わり、たとえ戦闘で負けてしまっても、すぐにリトライすることが可能で、負けた戦闘からすぐにやり直せる。
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この場合はロード時間も無く、負けてもデスペナルティは無いのでストレスなく気軽に再チャレンジが可能。
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初回で偵察し、負けた場合は敵の行動パターンを分析して対応できるオーダーを考えるのが基本の流れとなる。
問題点
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ストーリーが難解
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CD-ROM1枚に全てを詰め込んだ弊害か、ストーリーも極限まで圧縮されてしまっており、何が起こっているのかよくわからない。
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時代背景も冒頭で少し語られる程度で、なぜ争っているのか、プレイヤーキャラクターがこの世界で何をしたいのかも説明不足で不明瞭。
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ポリゴンの粗さ
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召喚師、モンスター共に、ポリゴンが3Dゲーム初期としか思えぬほど粗く、その割にサクサクと動くわけではない。
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むしろキャラクターの移動速度はかなり遅い方で、マップ自体が広くないことも相まって箱庭的なイメージが付きまとう。
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モンスター達の大きさも小ぢんまりとしてしまっている感が否めず、モンスターを召喚して戦うゲームという割に迫力と臨場感に欠ける。
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もっともこれだけの容量を詰め込むこと自体に無理があり、ポリゴンを粗くせざるを得なかったという説がある。
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ロード時間の長さ
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1回の戦闘ごとに入るロード時間が20秒ほどあり、戦闘のテンポを悪くしている。
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一応、負けてリトライした時にはこのロード時間は入らないが、オーダーを変更して再チャレンジしようとするとまたロードを挟まなければならない。
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アイテム入手法の説明不足
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補助魔法の習得方法もそうだが、アイテムの入手法がゲーム内でも説明書でも説明されておらず、アイテムを入手できずにゲームが終わってしまう事がある。
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特にストーリーだけを追っているプレイヤーの場合は、アイテムを入手する機会を一度も見ずに終わってしまうことも。
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ストーリーだけを追っている場合は他にも、自分の信仰系のモンスターを収集しにくいという問題がついてまわる。
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不要となるモンスターが多い
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特に初期に所持しているモンスターは、能力的にも中途半端で弱いことが多いため、強力なモンスターを捕獲できた中盤以降は使われなくなることが多い。
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モンスターの強さはsp1、sp2、sp4、sp6の4段階しかないが、同じsp内でも割と格差があるため、弱くて使われないモンスターは多数存在する。
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極端に強いごく一部のモンスターの存在が、完全に他のモンスターを食っていることが多い。
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スライム、ソーラーフラワー、グラム、スターヴァンパイアなど
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対人戦における召喚師の相性バランス
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一部の召喚師は他に比べて信仰系と補助魔法構成であまりにも優遇されすぎており、対人戦でそれ以外の召喚師での勝ち目が限りなく低くなってしまう。
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チート枠のウグトは別としても、ビッシュやケイスなどは対人戦においてあまりにも優位に立ちすぎている。
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特に自然系召喚師は、自然系という信仰系そのものの弱さに加えて、補助魔法構成や召喚師自身の移動性能にもあまり恵まれておらず、泣きを見ている。
賛否両論点
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死に覚えゲー化
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序盤のストーリーを除き、基本的に初見で勝つことはあまり考慮されておらず、最低でも一度死んでから敵の傾向をつかんで対応するという形が基本となる。
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いわゆる「初見殺し」が満載の中盤以降はさすがにうんざりとしてくる事が多い。
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1回の戦闘時間は短くリトライもしやすいので、負けながら覚えること自体はなんら問題ではないという声も多い。
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CPUのモンスター初期配置
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中盤以降、敵CPUの召喚師と戦うと、戦闘開始直後から既に敵側に何体かモンスターが配置されている(プレイヤーはできない)。
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場合によっては、戦闘開始直後「敵側に
8体のモンスターが初期配置
されている」「プレイヤーの目と鼻の先に最強クラスのモンスターが配置されている
ところから始まる
」などの理不尽がある。
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プレイヤーはどんどんモンスターや補助魔法・アイテムなどを獲得しながら進行していくため、どんどん強くなっていくプレイヤーに対抗するためには致し方ない処置であるとも言える。
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ただし場合によっては、プレイヤーがモンスターをほとんど捕獲せずに進行している事もあるため、下手をすると「詰み」になりかねない。
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一部のアイテムの一方的な優位性
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召喚師のhp・mpを増やすアイテム、召喚師のhpを自動回復するアイテム、召喚師への特定属性攻撃を完全防御するアイテムなどは、使い方次第で特定ステージをヌルゲーにしてしまっている。
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しかもこれらのアイテムは、「オーダー枠を1つ潰す」以外のデメリットが一切存在しない。
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特に初期mpを増やすアイテムは、あるとなしとでは大いに差が付くため、難易度の上がってくる後半ではほぼ必須となってくる。
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プレイヤー側が圧倒的不利に立たされるCPU相手ならまだわかるが、対人戦では条件は対等なので装備が必須となる(=12枠のオーダーの1つを潰される)のは喜ばしいことではない。
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もっともこれらのアイテムは、難易度の上がっていく敵CPUに対するシミュレーションの苦手なプレイヤーへの救済措置でもある。
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モンスターの種類の少なさ
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同時期の『ポケモン』や『デジモン』などに比べても、モンスターは全64種(+隠し4種)と少なく、また激レアと呼べるモンスターもほとんど居ない。
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また、その激レアモンスターの入手方法もわかってしまえばただ疲れるだけの作業となりかねない。
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とはいえ、召喚師の数そのものが18人と非常に多く、各サモナーごとに64種集める手間を考えると適量と言えなくもない。
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モンスターのAI
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モンスター達は基本的に独自のAIで行動するのだが、いくつか奇妙な行動を取っている(ように見える)部分がある。
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モンスターは、自身の攻撃が敵にあまり効いていない、と自ら判断した場合、その敵への攻撃を諦め、別の敵を攻撃しに行く。 そのため、本来「壁役」を務めるはずの防御の堅いモンスターが諦められてしまい、「壁が壁にならない」という矛盾が発生。ただし、熟練者からは「戦略の幅が広がる」と受け入れられている。
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モンスターが敵に対して背を向けている際、敵へ攻撃しにいく時には振り向くわけだが、振り向く時に少し移動するため、その移動先に障害物などがあると、障害物が途切れるまで振り向いてくれず、結果「攻撃を命じたはずが、後ろへ向かって全力前進」しているように見える。これを回避するには、自軍モンスターが常に敵の方向へ向いているように制御する必要がある。
総評
シミュレーションとしての出来は良いのだが、時代背景が十分に語られずストーリーも理解不能レベルに近いために、その面白さがわかる前に投げてしまっている人が多い。
また、難易度が上がるにつれて理不尽さを感じる人も多く、楽しめるプレイヤーを選ぶという側面がある。
しかし、楽しめるプレイヤーは間違いなくハマるゲームでもあり、プレイすればするほど味が出てくるスルメゲーにも通ずる部分がある。
余談
このゲームを開発したリンドヴルムは、一躍有名になったPS2用ホラーゲーム『SIREN』シリーズの開発元でもある。
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確かに、死に覚えゲーとなっている『ロード オブ モンスターズ』と通ずるものがある。
最終更新:2021年05月07日 14:00