ラッシング・ビート乱 複製都市

【らっしんぐびーとらん ふくせいとし】

ジャンル ベルトスクロールアクション この商品はAmazon商品紹介機能をご利用いただけません。
対応機種 スーパーファミコン
メディア 12MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ジャレコ
発売日 1992年12月22日
定価 9,600円(税別)
プレイ人数 1~2人
レーティング 【VC】CERO:B(12才以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2011年5月10日/800ポイント
【WiiU】2013年11月27日/823円
プロジェクトEGG:2011年3月29日/500円(税別)
判定 良作
ポイント 多彩なアクションと敵をなぎ倒す爽快感
アイテム持ち運びなどの意欲的なシステム
ラッシング・ビートシリーズリンク
ラッシング・ビート / ラッシング・ビート乱 複製都市 / ラッシング・ビート修羅


概要

  • なかなかの完成度を持ちつつも『ファイナルファイト』のパクリと揶揄された、『ラッシング・ビート』の続編。前作と同年に発売*1という極めて早いペースでの発売となっている。
  • いかにも二番煎じ的な前作と異なり、爽快なアクションや独自の要素を引っ提げ、良ベルトスクロールアクションとして帰ってきた。

ストーリー

リック・ノートンとダグラス・ビルドが覚せい剤密造組織ジョウカルを壊滅してから3年の歳月が流れていた。
事件後ノートンは、刑事を依願退職。亡き父の遺志を受け継ぎ、世界の頂点に立つ総合格闘技の確立を目指して自らの格闘技ジムを開いた。
一方ビルドは、事件後もネオ・シスコ州警察で警部を務める傍ら、ノートンのジムで後進の指導にあたっていた。やがて彼らのジムには、
志を同じくする女子プロレスラー志願のウェンディ、柔道と骨法の達人ロード・J、戸隠流忍法の使い手・華斬が参加し、
街の子供たちに格闘技を教えながら、日々自らの技の精進に明け暮れていた。

しかし或る日、ジムの仲間3人が行方不明となってしまった。残されたジムの人間たちの必死の捜索にも拘らず、焦燥の日々が続く。
そんな時、今や著名なルポライターとなったリックの妹マリアがジムを訪れた。そして彼女は彼らの前で、恐るべき情報を明らかにした―。
ネオ・シスコ湾内に浮かぶ人工島―そこでは秘密裏にクローン人間製造プロジェクトが進められており、
そのサンプルとして何人もの人間がそこに拉致されているという……。
マリアはこのスクープをものにしたものの、得体の知れない巨大な圧力によって公表を阻まれていた。
そして、マリアがもうひとつ彼らに見せた、著名格闘家が次々に消息を断っているという新聞記事…。この2つの事件の関連は!?
ノートン・ジムに残された仲間2人は、消息を断った3人の手掛かりを求めて、立ち入り禁止区域となっている人工島へと向かった。
(※説明書のストーリーより抜粋)

特徴・システム

  • 本作ではまず5人のキャラクターの中から2人を選び、選ばれなかった残り3人のキャラクターのクローンがボスとして登場するようになっている。そしてキャラクターのクローンを倒せば、次のステージからそのキャラクターを使うことが出来るようになる(キャラクターはステージ毎に選択しなおす事ができる)。
+ 5人のキャラクター
  • リック・ノートン
    • 前作から続投。武道の達人で主人公格のキャラクター。技の性能やスピードなど、バランスが取れていて扱いやすく、ダッシュ攻撃の威力も高い。ただし、必殺技の連続パンチを放つラッシング・ナックルは1対1に特化しており、複数の敵相手に使うとほぼ確実に反撃を受ける。
  • ダグラス・ビルド
    • 前作から続投。元レスラー。パワー型のキャラクター。といってもジャンプ攻撃は他のキャラクターと同じ威力、ダッシュ攻撃はノートンと同じ威力、投げ技も正面から掴んでのパワーボム以外は他のキャラクターと同じである。スピードが遅くジャンプ力も低いが攻撃判定に優れ、コマンド入力で出る隠し技も優秀。前作のノートンに近い感覚の性能。
  • ロード・J
    • 柔道と骨法の達人。ノートンとビルドの中間のようなキャラクター。投げの回転が早いため延々と投げ続けることができ強力。ジャンプ攻撃の竜巻飛び蹴りも判定が広い。必殺技は左右に電撃を放つ雷電撃で、攻撃判定に優れ緊急回避に向く。
  • 華斬
    • 戸隠流忍法の使い手。スピード型のキャラクターで、走るスピードは全キャラクター中トップ。また3段ジャンプも可能。敵を前方から掴んでの投げ技の威力は低く、他のキャラクターの半分程度だが、必殺技の羅身裂火斬は威力が高く、攻撃判定にも優れ、しかも最大3ヒットするという非常に強力な性能を誇る。更に壁際かつ至近距離で当てればヒットし続けるため、体力の続く限りハメが成立すると言った強みも。
    • ちなみに、同社『伊賀忍術伝「五神の書」』の主人公と同名である(そちらではカザンと表記)。
  • ウェンディ・ミラン
    • 女子プロレスラー志望の紅一点で、ジャンプ型のキャラクター。ジャンプ力が高いが、それが災いして慣れるまでジャンプ攻撃のタイミングがつかみ辛く、また前方掴み投げ技のタイガードライバーのクセも強く、初心者には扱いづらい玄人向けキャラクター。
  • つかみ返し、返し技
    • タイミングよくボタンを押すことによって、正面からの掴まれた場合は相手を逆に掴み返し、後方から掴まれた場合はキャラクター固有の返し技で反撃する。これにより、敵に掴まるというピンチを、コマンド入力で切り抜けられるようになった。
    • 返し技は、5人のキャラクター毎にモーション、威力が異なる。地味だが細かく作られている。
  • 追い打ち攻撃
    • ダウンした敵に対し、近づいて攻撃ボタンを押すと、キャラクター固有の追い打ち攻撃で追撃する。
    • ただしこれに頼らずとも、ダウンした敵には通常攻撃とダッシュ攻撃が普通に当てられる。
  • 必殺技
    • 必殺技ボタンを押すと、体力を消費してキャラクター固有の必殺技(他のベルトスクロールアクションでいう所のメガクラッシュ)が発動する。特徴的なのは必殺技を使用して消費した体力は、一定時間ダメージを受けなければ回復するという事である(ただし、連続で使用すると最後の1回分しか体力は回復しない)。
  • アイテム持ち運び、アイテム投げ
    • 回復アイテムは入手したその場では使わず、持ち運んで任意の場所で使うことができる。また、アイテムは種類によらず、LもしくはRボタンで投げることが可能。
  • アピール
    • キャラクターがポーズをとる。特に意味は無いが、一部の隠し技を使用するためにアピールボタンを押すことがある。
  • コマンド技
    • 隠し要素であるが、コマンドを入力することで怒りモード時に出せる強力な投げ技を通常時でも出せるようになった。また、ノートンとビルドは別に隠し技が存在する。
  • その他、前作ではダッシュがLもしくはRボタンを押しながら移動だったが、本作では同じ方向に十字キーを2回入力という一般的なものへ変わった。
  • 怒りモード、敵をつかんだ方向や投げ技を掛ける際に入力した十字キーにより投げ技が変化するという点は前作から継承されている。
  • 対戦モードも前作から継承。本作ではコンピュータとの対戦や、制限時間内に雑魚敵を何体倒せたかを競うタイムアタックモードが追加されている。

評価点

  • 多彩なアクションと、そこから生まれる多様な立ち回り方。
    • 通常攻撃、ダッシュ攻撃、ジャンプ攻撃、必殺技に加え、投げ技は正面から掴んで相手の方向にキーを入れながらの投げ、正面から掴んで相手とは逆方向にキーを入れながら投げ、背面から掴んでの投げと3種類もある(一部キャラクターは除く)。これを5人分用意してあるのだから、それだけでも戦い方に幅が広がる。
      • ややベタながら本作のストーリーの都合上「ラスボス以外のボスキャラが全てプレイヤーキャラとして使える」とも言い換えられる設計であるため、この贅沢な容量の使い方に無理が生じていない点も評価点と言えるだろう。
    • 前述した通りダウン中の敵には追い打ち攻撃のほか、通常攻撃やダッシュ攻撃が当たるので、いちいち敵が起き上がってくるのを待つ必要はなく、ゲームテンポはとてもスピーディ。また、敵が起き上がろうとしている状態(半起き上がり状態)では、ジャンプ攻撃も当たり、掴むこともできる。1対1の状態なら、一度ダウンを奪うだけでほぼ何もさせずに敵をハメ倒すことが可能。
      • ハメが簡単に成立するからヌルゲー、という訳では決してなく、敵はほとんどの場合複数で現れるため、そう簡単にハメが成立するわけではない。むしろ、複数の敵相手にハメを含めた様々なアクションでいかに対応していくかをシチュエーションによって見極めるのが本作の醍醐味と言える。
    • ジャンプ攻撃とダッシュ攻撃の攻撃判定が広く、群がった敵をまとめてなぎ倒す爽快感がある。先にも述べた通りダウン状態の敵にはダッシュ攻撃、半起き上がり状態の敵にはジャンプ、ダッシュ攻撃両方当たるため、追撃としても効果は高い。
      • また、敵はこちらが背後を向いていると一直線にこちらへ向かってくるという習性があるため、敵を一点にまとめやすい。
    • 必殺技(メガクラッシュ)を使用すると他のベルトアクションと同じように体力を消耗するが、一定時間経つと回復する。つまり、他のベルトアクションに比べ、とても攻撃的に運用する事ができ、戦略に組み込むことが出来る。必殺技も、ノートンや華斬の必殺技を筆頭に、攻撃的なものが揃っている。
    • 一部のキャラクターの攻撃は敵を上空に打ち上げるが、この打ち上げた敵にも攻撃判定があり、ジャンプ攻撃などで追撃することができる。すなわち空中コンボが可能。また、敵が落ちてくる際、地面に着く前に敵と重なることで直掴みすることもできる。これらを知っていると、非常にスタイリッシュかつ素早く立ち回れる。
  • 回復アイテムの持ち運びなど意欲的なシステム。
    • このタイプのゲームでは珍しく、回復アイテムを持ち歩くことができる(シーンが切り替わる場面までは持ち運べない)。そのため、ピンチの時は回復アイテムをその場で使用し、余裕のある時は回復アイテムを運んで体力が減らされたら使う、といった戦法が可能。余すことなく回復アイテムを利用できる。
    • 回復アイテムを使うとゆっくりと体力が回復するが、この時は敵の攻撃を受けない無敵状態となる。このおかげで、ピンチから一転、反撃へと移りやすくなっている。
    • 投げ武器以外にも、殴り武器、銃器、果ては回復アイテムをもL、Rボタンで投げつけ、敵にダメージを与えることが可能。威力はバカにはできなく、また敵のダウンを奪えるので、中々に有用。チョコ・バーフライドチキンを投げつけて敵を倒せるゲームはこれくらいだろう。
  • プレイヤーキャラクターの1人、華斬の高性能ぶり。
    • プレイヤーキャラクターの1人である忍者、華斬は最大3ヒットし威力も高く攻撃判定も広い強力無比な必殺技・羅身裂火斬に加え、スライディングで空中に打ち上げた敵にジャンプ攻撃で追い打ち、打ち上げて落ちてきた敵を直に掴んで投げ、3段ジャンプで敵の背後に回り込む、掴みハメ*2とアクションの幅が広く、そして強い。本作を象徴するキャラクターといえる*3
    • 前方から掴んでの投げ技の威力が低いのが難点だが、それもコマンド入力の怒り投げでどうにかなってしまう。慣れればどのキャラクターよりも自在に戦えるだろう。
      • 華斬がテクニカルすぎて使いづらい場合、ロード・Jが次いで強力。スタンダードな高火力と強判定で扱いやすく、必殺技も緊急回避に優秀なため攻守に隙がない。ただし、こちらはその強さを後述するクローンボスも最大限に発揮してくる。
  • 最初にキャラクターを選び、選ばなかったキャラクターのクローンがボスとして登場する。これにより、最初に選ぶキャラクターを変えることでボスの出現パターンが変わり、有利な組み合わせを探したり、別の出現パターンでゲームを攻略するといった楽しみが生まれる。また、ステージ毎にキャラクターを選びなおせるので、キャラクターとステージの相性を考えてプレイすることができる(穴の多いステージ3では敵を遠くに投げられるノートンを選ぶことで、敵を穴に放り込むことができる、など)。もちろん、1人のキャラクターのみを使って全ステージを攻略することも可能。
  • ステージの仕掛けや展開の豊富さ。前作では背景が違うだけで仕掛けらしい仕掛けはなかったが様々な仕掛けが用意された。
    • 例を挙げると、いきなりヘリコプターが現れ、敵味方問わず銃撃を浴びせてくるステージ1前半、下水道が舞台で水流でアイテムやダウンした敵が流されるステージ1後半、地雷地帯のステージ2前半、リフトの上という限られた空間での戦いを強いられるステージ2中盤、穴だらけであり敵を放り込むことで即死させられるステージ3前半*4、電流床の敷き詰められたステージ3後半、など。
    • むろん、難しくなっただけでなく敵にも平等に仕掛けが作動するので様々な手段で敵をトラップにハメる攻略も可能。
  • 適切な難易度。
    • 難しすぎず、かといってヌルゲーではない塩梅の難易度。敵の出現パターンや種類も考えられている。
    • 前作では雑魚敵の攻撃力が高すぎて非常に尖った難易度だったが、今作では適切といえるダメージに調整された。その代わり次々と敵が出てくる上に攻撃頻度も高いという調整が行われている。
      • 回復アイテムも増加しており、要所要所を潜り抜ければ必ず用意されている。これにより怒りモードが発動する回数も増加し、より逆転しやすくなったといえる。
    • 難易度HARDでは、敵の出現数の増加、嫌らしい種類の敵が要所要所で配置される、回復アイテムの減少などで中々の難易度に。それでも、キチンとパターンを組みゲーム慣れしていれば十分ノーコンティニュークリアできる難易度。
  • 良質なBGM。
    • BGMは伊勢村篤義氏*5が担当。ノリのいいステージ1前半BGMやステージ3BGM、落ち着いた雰囲気のステージ1後半BGMやステージ2BGMなど、良曲が揃っている。
      • 中でも特筆すべきはステージ4後半BGM(兼、スタッフロールBGM)。軽めなノリであった前作ステージ1BGMを格好良くアレンジしたものであり、前作をプレイしたプレイヤーには特に印象に残る。
      • 前作と異なりボス戦BGMが1曲しかない点が少々もったいないが、本作のボス戦BGMは前作のラスボス戦BGMのアレンジ版。原曲の悲壮感溢れる曲調を大胆にアレンジし、ハイテンションな曲調へと転身を遂げているため本作の雰囲気に抜群に合っている。原曲がラスボス戦BGMなだけに、どのボス戦で流れても盛り上がれるという点も良い。
  • 進化したグラフィック。
    • 前作は努力こそ感じられたが絵柄自体は拙く、色数の少なさや挙動のぎこちなさなど、難も多かった。しかし今作は、同年内に同社が出した作品と思えないほど洗練されており、高い品質を確保している。
    • ダッシュモーションが追加されたので高速変態歩きが失われ違和感のないものとなっている。
    • キャラが武器をふるう時も中割りが追加されて自然になっている。
  • 改善された問題点
    • 武器を持った際の挙動が改善。前作では「投げ捨てれない」「ダッシュ攻撃が出来ない」「当たり判定が弱い」の三拍子でほぼ産廃だったが、本作では通常攻撃の動作が置き換わる以外はほぼ通常時と同様のアクションとなり、任意に投げることも可能。 当たり判定も改善されたのでリーチの長い攻撃として使う選択肢が出来た。
      • 銃も追加され、殴られて落とすか自分で投げる以外は弾数が無いといった優秀なものになっている。

問題点

  • ダッシュ攻撃やジャンプ攻撃、投げ技が強力である反面、通常攻撃は威力がそんなに高くない、判定が広くない、敵に反撃を受ける可能性があるとほとんど使う必要がない(ダウン中の相手を起こしてコンボを入れる繋ぎに使う程度)。そのため、『ファイナルファイト』など通常攻撃を主体に戦っていくベルトスクロールアクションなどと同じ感覚でプレイすると痛い目にあう。
    • 持ち運んだ回復アイテムを使うには攻撃ボタンを押さないといけないので、通常攻撃が役立たずというのはある意味ありがたい仕様ではある。
  • ダウンしている敵にこちらの攻撃が当てられるのが本作の特徴だが、敵もダウンしているこちらに普通にダメージを与えてくる。場合によっては大ダメージを受ける事もあるため、さっさと起き上がらないと危険。しかし、ボタンを連打しても中々起き上がってくれない時もあるので、こうなったらダメージは確定である。
  • 新しく追加されたシステムであまりうまく機能していないものがある。
    • つかみ返し、返し技
      • 敵に掴まれても挽回できるというものだが、タイミングがかなりシビアで入力も一度しか受け付けず、そうそう狙って出せるものではない。出せたらラッキー程度のものと捉えるべきである。
      • 次回作の『修羅』では、つかみ返し、返し技はY+Bボタン同時押しで出すようになり、Yの誤入力で失敗とみなされる問題は解消した。ただしタイミングはシビアなままである。
    • 追い打ち攻撃
      • 前述の通り、ダウンした相手には通常攻撃、ダッシュ攻撃が当たり、更に少し待てば敵が半起き上がり状態になり、ジャンプ攻撃や掴みが通用する。追い打ち攻撃が特別攻撃力が高いという訳でもなく、また通常攻撃が暴発する恐れもあるため、別段使う必要のない趣味の技となってしまっている。
      • これも次回作の『修羅』では、追い打ち攻撃は↓+Yで出すようになり、またダウンした相手には追い打ち攻撃しか当たらなくなったので、この点は解消された。
  • キャラクター間の性能の格差。
    • 前述の通り、華斬は非常に強力で、ノートンとロード・Jもオールマイティに使えるキャラクターなのだが、ビルドとウェンディは使用するにあたってかなり苦労する。以下に列挙。
    • ビルド
      • 前述の通り基本技の威力は特に高くない*6うえ、全体的に動きが遅く、立ち回りに苦労する。ジャンプ力も低いので、ステージ3の電流床を飛び越える場面で引っかかる事も多い。敵を遠くに投げ飛ばす技もないので、敵を穴などに放り込むこともできない。
      • だが、攻撃判定の広さはキャラクターの中でも随一。ジャンプ攻撃のダイビングラリアットで敵をまとめて蹴散らすことができる。また、ダッシュ攻撃のケンカ・キックも当てやすく、ダウンした敵に何回もダッシュ攻撃をお見舞いするのは中々爽快。(出し辛いが)隠し技の火炎放射はパワーボムと同威力かつ広判定という破格の性能で、殲滅力に長ける。
    • ウェンディ
      • 恐らくは最も扱いづらいであろうキャラクター。ジャンプ力が高いのが仇となり、慣れるまでジャンプ攻撃が当てづらい上、「ジャンプ攻撃を早く出し過ぎる→空中で攻撃判定が消える→地上で敵の反撃を受ける」といった事も起こりうる。その他、前方投げのタイガードライバーは自分の後方に向かって技を仕掛けるというもので、慣れるまで直感的に扱いづらい。敵を遠くに投げ飛ばす技が無いのもビルドと同様。反撃を受けやすい通常攻撃が全キャラ中最高威力というのも宝の持ち腐れである。
      • ただし、決して使えないキャラクターという訳ではない。慣れればタイガードライバーで複数の敵をハメる事ができたり、ダッシュ攻撃の低空ドロップキックで打ち上げた敵を地上で直掴みしたり、背面掴み投げのオーロラ・スペシャルでバウンドした空中の敵にジャンプ攻撃で追撃したりと、使い込むほど良さの分かる玄人向けキャラクターである。
  • 回復アイテムを持ち運べるのが本作のウリのひとつだが、いくつか難点がある。
    • 来た道を戻ることができない都合上、画面端で攻撃を受けて回復アイテムを落としてしまうと、取れなくなってしまう。防止策として、回復アイテムは敵に投げて地面に落とすか、画面中央で戦うことが挙げられる。
      • 次回作の『修羅』では、来た道を戻ることが出来るようになったため、この点は解決されている。
    • 体力回復中に必殺技を使うと、回復が止まってしまう。ちなみにこれは、説明書にも書かれているれっきとした仕様である。
  • ステージは4つと少なく、代わりに道中が長いというゲーム構成。中ボスなども出現しないため、ダレやすい。
    • 先にも述べた通り、ステージ中でのギミックは多く、敵の出現パターンも考えられているため、ダレないよう工夫はされている。
  • 殴り武器は攻撃判定が大きくなく、それでいて威力も高くない。完全に投げ用の武器と化している。
  • 雑魚敵の種類は8種類とそれほど多くない。グラフィックと行動の大半が共通するコンパチキャラ(「K-M308」と「N-J」、「R.E-GUN」と「HIG-E103」等)を考慮すると、更に種類が減ってしまう。ステージの長さもあいまって、ビジュアル面での単調さは否定しがたい。
    • ただし、本作には名前は同じだが行動パターンが全く異なるという敵が結構いる。例を挙げると、「R.E-GUN」というミリタリークローンは、通常の個体、スライドしながら十六文キックを仕掛けてくる個体、打撃技は一切使わないが銃を撃ってくる個体と、3種類が存在する。ほかに、「BEGARO」というプロレス技クローンは、通常の個体、いきなり強力な頭突きをかましてくる個体、ドロップキックを仕掛けてくる個体、ヒップドロップを仕掛けてくる個体と、4種類が存在する。性能面で見れば、決して種類が少ないとは言えない。
  • 一部ボスキャラクターの凶悪な強さ。
    • ロード・Jのクローンは、近づけば強力な投げ技を喰らい、かといってダッシュ攻撃やジャンプ攻撃で攻め込むと必殺技の雷電撃で撃ち落とされるという凶悪さ。最初のキャラクター選択で、使う使わないは関わらずロード・Jを選ぶのがクリアの近道といえる。
      • 一応、逃げ回りながら必殺技の無敵部分のみ当て続けることで完封は可能であるが、爽快感には欠ける。
    • ラスボス、アイスマンは第3形態まであり、全形態で無敵技を連発してくる。打撃に行けば高確率で無敵技を食らい、掴みに行けばほぼ投げ返されるなど、何も知らないと体力と残機がガリガリ削られていく。
      • 一応、第1~2形態にて三節棍をクルクルと回している時にほんの少し隙ができる。
      • なお、第1~2形態では画面一番上の軸が安全地帯となっているが、攻撃するためには軸を合わせなければならないので、根本的な解決にはならない。

総評

粗削りな部分や若干の難点はあるものの、豊富なアクションと意欲的なシステムが光る本作。『ファイナルファイト』の亜流を脱していなかった前作と同じ年に販売された事を考えると、驚異的な進化である。『ファイナルファイト』とはまた違った面白さを示した、ジャレコ発ベルトスクロールアクションの傑作といえるだろう。

余談

  • ステージ1の最序盤の背景に、『SUPER E.D.F.』の文字がある。
  • FC/SFC互換機『レトロデュオ』で遊べる「16ビットコレクション ジャレコ Vol.1」に収録されている。
  • 海外では『Brawl Brothers』の名義で発売されている。
    • 敵、味方ともにキャラクターの名前が変更されている、エンディング後のスタッフロールが無いなどの差異があるが、もっとも大きな違いはステージ1後半とステージ3後半が迷路になっている点。いくつかの分岐点があり、しかもルートを間違えると戻されるという、かなり厄介かつ面倒なステージ構成へと変更されている。
+ タグ編集
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  • ラッシング・ビート

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最終更新:2024年01月06日 06:14

*1 『ラッシング・ビート』の発売が1992年3月27日、本作の発売が1992年12月22日。

*2 敵を掴んで、敵の方向にキーを入れながらBボタンで掴みを解くと、ボスや一部の雑魚敵を除き再度敵を掴めるというもの。ノートンや華斬のようにニュートラルの掴み攻撃で敵を離さないキャラクターならそのまま相手をハメ倒すことができる(ビルド、ロード・J、ウェンディはニュートラルの掴み攻撃で敵を離してしまう。)。

*3 タイトルコール代わりにフィニッシュ攻撃の忍者刀の音が鳴ったり、開始時に最初から崋斬にカーソルがあっている事から意図して調整された強キャラともいえる

*4 プレイヤーキャラクターは穴に落ちてもダメージを受けるだけで済む。

*5 他作品では『ソルダム』や『星のカービィ 鏡の大迷宮』などに関わっている。

*6 通常攻撃に至っては、大振りなモーションに反して全キャラ中最低威力。