大玉

【おおだま】

ジャンル 人海戦術落城アクション
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
メディア 専用8cm光ディスク 1枚
発売元 任天堂
開発元 ビバリウム
スタジオフェイク
発売日 2006年4月13日
定価 6,476円(税別)
プレイ人数 1人
周辺機器 ゲームキューブマイク対応
セーブデータ 6ブロック使用
レーティング CERO:全年齢対象
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 「親方様。不満点のままで出陣してござりますか?」
ゲームキューブマイクならぬおおだマイク
重すぎる大玉


概要

シーマン』を手掛けた斎藤由多加氏による作品。
戦国時代を舞台としたピンボールゲー。「大玉」と呼ばれる巨大物質を駆使し、釣り鐘を敵兵から守りながらゴールを目指すというもの。
IGNから高評価を得られたこともあった。

プレイヤーは吉美の国を治める山之内家の当主だった「山之内信唯」の嫡男「玉千代(後に景虎という名で呼ばれる事になる)」となり、謀反を起こし信唯を自害に追い込んだ家臣「鴉丸源信」を討ち倒すための戦に挑む。
ナレーション兼家老の声を担当するのは俳優の大滝秀治氏*1。映画『影武者』での演技を齋藤氏が気に入った結果抜擢されたとのこと。

実は、任天堂製のゲームキューブ用一般ソフトとしては最後の作品でもある。

特徴

基本ルール

  • プレイヤーは親方様になって、本作のカギを握る「釣鐘衆」を制限時間内にゴール門まで進ませる事になる。釣鐘衆は基本、敵陣まで自動で進む。
    • ピンボールの玉「大玉」を使って、敵を押し潰したり建物を破壊したりしつつ釣鐘衆に進軍させて行く。
  • 「大玉」を失うか時間切れ、或いは釣鐘衆が敵に押し込まれるといった条件を満たしてしまうとゲームオーバー。

大玉

  • タイトルにもなっている「大玉」。ただの玉転がしの玉にも見えるが、設定上は伝説の超兵器…らしい。
  • 「大玉」は敵を押し潰す事が可能だが、操作次第では間違って味方を押し潰してしまう事もある。味方の信頼度を損ねてしまうので注意。
  • アイテム取得、或いは光に包まれた釣鐘衆をぶつけると「天の玉」に変化する。
    • 「天の玉」は味方を潰してもペナルティが無く、更に敵を潰すと寝返らせ味方にする事も可能。
  • 合戦場の途中に存在する敵の振り場(フリッパー)に大玉が打ち返されると「悪玉」になる。「天の玉」とは逆の効果を持っており、潰された味方を寝返らせてしまう。
    • 味方の振り場で打ち返してやれば、元の大玉に戻す事ができる。

おおだマイク

  • 「おおだマイク」とは、要はゲームキューブマイクの事である。
    • 本作には何とこの「おおだマイク」専用ホルダーが付属しており、コントローラー上部にこのホルダーを付ける事でコントローラーを持ったままのマイク操作が可能になっている。
  • プレイヤーは合戦中、自軍の兵士に対して命令を出す事が出来る。例えば進む時はマイクに向かって「すすめすすめ」と言うと兵士達は進み、「さがれさがれ」と言うと兵士達は下る。
    • 他にもアイテム回収の為に「集まれ」と指示するため大玉と並んで本作の特徴となっている。
  • これらの命令は最初は使えないが序盤のステージで巻物のようなアイテム「秘儀」を入手すると使える様になる。

兵数

  • 釣鐘衆を警備する兵士。戦国合戦版ピクミンと言えば分かり易いと思われる。
  • 川に入る事はできない為、川の先へ進みたいなら川を封鎖する必要がある。この場合は川の入り口にある水門に大玉をぶつけると水門が閉じ川の流れが堰き止められ進軍できる様になる。ただし再び大玉がぶつかると水門が開いてしまう。
  • 「大玉」で間違って潰してしまったり、秘技を発揮すると信頼度が減る。減った状態で秘技を出すと兵数から 赤い文字の苦情 が出て命令を聞かなくなってしまう。
    • 兵数を増やすか「にぎりめし」に集まる命令を下せば信頼度の回復が可能。

ボス

  • ステージの節目ごとに敵軍の将、すなわちボスが登場する。しかしこのボス一般の兵士より大きい・・・というより大玉より大きい。当然、ボスはこちらの進軍を妨害してくる。
    • 大玉をぶつけてボスを怯ませ怯んだすきにゴールを目指す、又はボスを倒した後にゴールするかその判断は自由。

問題点

  • 難易度が高い。
    • 最初のステージから水門を閉じて川をせき止める仕掛けが登場。
    • ステージも障害物が多く配置されている、複数の川がまたがる、高低差があり大玉が通れるルートが限られる、といったステージが目白押しである。
      • 特に曲輪川のボス戦は高台に陣取るボスが自軍の進軍を妨害してくる。妨害を止めるにはボスに大玉をぶつけ、体勢を立て直す前にもう一度ぶつけ、高台から落とさないといけない。しかもボスに玉をぶつけるには自軍の兵士に岩で足場を作らせないといけない。
  • 「大玉」が重い
    • 普通のピンボールとは違い重量感のある玉である為、坂を上りにくい。
  • グラフィックが粗い。
    • 複数のキャラを表示する為に1キャラ当たりのグラフィックを抑えているためなので、仕方の無いことではあるが。
  • 「おおだマイク」の使い勝手が悪い。
    • 信頼度が高いのにもかかわらず反応が鈍い。
    • 同じ言葉の繰り返しで喉が痛くなる他、近所迷惑になりやすい。
    • 兵士に出せる命令「正面突破」は信頼度を大きく下げる為、肝心の「押せ押せ」のテンポが悪くなる。
  • クリア済みの合戦場に再挑戦すると、未クリアの合戦場のデータが消えてしまう。
  • にぎりめしを活用する場面が少ない。
    • 信頼度の下がる主な要因は大玉で味方を巻き込んだ時、つまり兵を補充した方が手っ取り早い。また信頼度が高くても兵数が勝ってないと突破も出来ないのも一因。
  • ED以外のBGMが無い。

評価点

  • 和風世界とピンボールの融合という(当時の観点では)斬新な世界観
    • 「大玉」で釣鐘衆を守りながら敵を倒すというシナリオやシステムは、ピンボールゲーとしてはかなり斬新。
  • 大滝秀治氏のナレーション
    • 大河ドラマを意識した喋り方のナレーションは、テンポが良く好評。
    • 出陣の選択を繰り返すと、プレイヤーが任天堂ファンだと認めるかのような、衝撃的なセリフを喋ってくれることもある。
  • 最終ステージで行けるボーナスステージがなぜか現代の街並み
    • このステージで補充される兵士はサラリーマン。またステージをよく見ると任天堂本社らしき建物がある。

総評

大玉の重さに加え、ステージ構成の理不尽さが足を引っ張ってしまい、投げ出してしまう親方様(=プレイヤー)は多かった模様。
任天堂製GCソフトの大トリを務める作品、そして大滝秀治氏唯一のゲーム出演作品としては、何とも残念な結果に終わってしまった。

余談

  • 本作のタイトルは『大玉』であり『大王』ではない。物凄く似ているので間違えないように。
最終更新:2024年02月28日 20:10

*1 ドラマ『特捜最前線』で船村一平警部補役を演じた名優。キンチョーのCMで「つまらん!お前の話はつまらん!」と言っていたあの人と説明すれば、ドラマや映画に疎い人でもすぐにピンと来るのではなかろうか。2012年10月2日没。生前の氏がゲーム作品に出演したのは本作が最初で最後。