ナムコミュージアム アーケードHITS!
【なむこみゅーじあむ あーけーどひっつ】
ジャンル
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バラエティゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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ナムコ
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開発元
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Digital Eclipse
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発売日
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2006年1月26日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1人~2人
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レーティング
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CERO:12才以上対象
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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移植度が低い 追加要素なし 偏ったチョイス デュアルショック専用 あんまりな50周年記念作
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概要
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)の創業50周年記念として発売されたナムコミュージアム。
海外で発売された『Namco Museum 50th Anniversary Arcade Collection』のローカライズ版であり、バンダイナムコゲームス発足前に発売された最後の据え置き機のナムコミュージアムであったが、その出来はお粗末なものだった。
収録ラインナップ
※判定は原作のもの。
問題点
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全体的に再現度が低い。
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『ゼビウス』はスローテンポになってしまっている。
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『ギャラクシアン』『ゼビウス』『ドラゴンスピリット』『ポールポジションシリーズ』のSEが耳障りな雑音レベルに劣化。
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『スカイキッド』は基地を破壊した時の爆発音が鳴らない。
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『ギャラガ'88』のBGMの音量が小さい。
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『ドラゴンスピリット』のシーデビル出現時のスプライト演出が変わっており、地割れが発生した後に一瞬で現れるようになってしまっている。
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収録ソフトは大半が海外版。『ディグダグ』や『ゼビウス』などはライセンスの関係で日本版の移植となっている。ローカライズに際した日本語追加などもなし。
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パッケージ裏には小さい文字で「本製品は海外仕様のゲームを元に開発されており、(中略)一部仕様が異なる箇所がございます」とあるが、単に海外版をそのまま持ってきただけの手抜きと思われても仕方ない内容である。
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クレジット投入を再現しておらず「1プレイヤースタート」「2プレイヤースタート」という家庭用ゲームのような選択式になっている。
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メインメニューからゲームを選択し、起動した直後に□ボタンとL1ボタンを連打するとコインを投入した直後の画面が表示される、という不可解なバグがある。
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デュアルショック2以外のジョイスティックは非対応。アーケードを再現して各種コントローラーでプレイ出来ることを期待したファンの失望を招いた。
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ロード時間が長い。特に各ゲームからメニュー画面に戻るときはシリーズ最長のロード時間である。PS1よりも高性能ハードなPS2なのに何故…。
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更に本作はソフトリセットも存在せず、各ゲームを気軽にやり直すことも出来ない。
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オプションが少ない。画面の調整はサイズのみ、スコアとエクステンド、スコア消去、クレジットだけとかなり簡素。キーコンフィグやPS1版でお馴染みだった設定資料は無い。
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マニュアルに書かれている操作方法では、ボタンの左右を逆にした方が良いと思われるタイトルも多いが、キーコンフィグが無いためできない。
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例えば、『ドラゴンスピリット』は対地ファイヤーが×ボタンで対空ファイヤーが○ボタン。『ゼビウス』はブラスターが×ボタンでザッパーが○ボタン、など。
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しかし、実は○ボタンは□ボタンで、×ボタンは△ボタンで代用できるのだが、その点についての説明も一切なく、非常に不親切。
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ラインナップにも疑問が多い。
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収録作品の殆どがPS1版『ナムコミュージアム』シリーズ(以下PS1版)に収録済みで新鮮味が無く、新規タイトルは『ギャラガ'88』のみ。そのため、PS1版を持っているユーザーにはお買い得とは言い難い。
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にもかかわらず、『ラリーX』とPS1版・PSP版に同時収録されていた『ニューラリーX』や移植回数が多い『グロブダー』『ドルアーガの塔』等は未収録。
賛否両論点
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ある程度仕方ないことだが、『ポールポジション』(『I&II』共通)では一部のコース名・看板が変更されている。
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PS版と同様「FUJI」が「NAMCO」、「SUZUKA」が「WONDER」に名称が変更されている。また、AC版では実在する企業名が使用されていた看板が別物に変更されている(参照1)・(参照2)。
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「FUJI」は「富士スピードウェイ」、「SUZUKA」は「鈴鹿サーキット」がモチーフである。「富士スピードウェイ」は時代によりコースのレイアウトが異なり、『ポールポジション』では80年代当時のレイアウトが使用されている。
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余談だが、2023年7月6日にPS4/Switchで配信された『アーケードアーカイブス』版『ポールポジション』及び同年12月7日に配信された『ポールポジションII』も同様に看板が変更されているが、コース名/コース図がAC版と同様である。なので、『ポールポジション』及び『ポールポジションII』はアケアカ版が最もAC版に近い出来である。
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メニュー画面の雰囲気がアメリカのゲームセンターを意識した物になっていて、デザイン自体は美しいがナムコらしいかと言えば今一つ。
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アーケード筐体の再現度は高いが、種類がアップライトのみの為テーブル筐体が存在しない。
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本作のメニューBGMもメニュー画面同様にアメリカらしい雰囲気のBGMで、クオリティは高いのだがこれまたナムコらしいとは言えないかもしれない。
評価点
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収録ラインナップに『ギャラガ'88』が存在している点。
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同作はPSに移植されておらず、ゲームギア版から15年越しの移植は当時のファンを歓喜させた。
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PS1版では互換性の問題でPS2でプレイすると不具合が生じる『ゼビウス』『ローリングサンダー』がまともに遊べる点。
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『ローリングサンダー』は移植では原則「制限時間が180秒」の中期バージョンが選ばれる中で数少ない「制限時間150秒/120秒」の後期バージョンの移植のため、貴重といえる。
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解像度が640x480の為、縦方向が画面内に収まるようになった。
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PS1版とPSP版は解像度が低く、(横画面でプレイした場合)縦が収まらない為、スコアや残機が右部分に表示されている。
総評
創業50周年記念として作られたナムコミュージアムであったが、その移植度の低さからゲーム以前の問題として批判されてしまい、全世界のナムコファンからそっぽを向かれてしまった。
作品すべてが海外版であることや、画面レイアウトのデザインが海外に合わせてあるなどの外観や演出面に関しては、海外製品のローカライズなので仕方なくはある。
しかしそれを抜きにしても、移植度が低い上に日本語へのローカライズに際しての追加要素もないなど、50周年記念作品としてはあまりにも雑だと言わざるを得ない作品である。
上述の通り、発売当時においては唯一の家庭用移植だった作品や、ハード上の問題で正常に遊べなかった作品が改めてまともに遊べるようになったなど評価点もあるにはあったのだが、本作発売からわずか1ヵ月後にPSP版が発売されたことにより、早々とその利点が失われてしまった。
余談
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海外のみゲームキューブ、Xbox、Windows版が発売されたほか、下記のようなゲームボーイアドバンス版も存在する。
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カートリッジである関係上、収録作品は『パックマン』『Ms.Pac-Man』『ラリーX』『ギャラガ』『ディグダグ』の5本しかない。
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解像度の関係上、『ファミコンミニシリーズ』の様にドットが圧縮されてしまっている。
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『ラリーX』を除く作品は縦画面モードも設定できる。
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パックマンシリーズのみ、日本のナムコミュージアム同様スクロールモードも引き続き搭載。
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本作発売の前年と約1ヶ月後にPSPにて『ナムコミュージアム』シリーズが2本発売されたが、どちらも本作よりも再現度が高い為か、そもそも発売当時から本作を選ぶ理由などほぼ無いも同然であった。
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2009年にWiiバーチャルコンソールアーケード、ナムコミュージアム.comが展開。
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本作の一部のアーケードゲームも配信されたが、これまでの本シリーズで見られるような問題点の無い良好な移植で、かつこれまで現行ハード未移植だったアーケード作品群も多く移植されたラインナップの為か評価が高い。
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2009年11月5日にはXbox 360で『ナムコミュージアム バーチャルアーケード』が発売された。
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しかし、本作を超えた大ボリュームなのに『スカイキッド』が2人プレイできなかったり、『ドルアーガの塔』のファイヤーエレメントが通過できないなど、本作とは異なる問題点が出てしまい、ナムコミュージアムファンを更に失望させてしまう事に。
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360版以降『ナムコミュージアム』シリーズとしての新作ソフトは長らく発売されていなかったが、8年後の2017年にようやくNintendo Switch向けに『ナムコミュージアム』が発売。
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開発にアーケードアーカイブス等の移植で高評価を得たゴッチテクノロジーを迎え、汚名返上とばかりに完全移植とこだわりのコンフィグ搭載での発売となり高評価を得た。ただし、据え置き機向けとしては少なめの収録タイトル数であることは残念がられている。
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変更前の海外版は仕様が異なる。
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『ギャラガ'88』は『ギャラガ』を40000点以上、『パックマニア』は『パックマン』は15000点以上と『Ms.Pac-Man』は20000点以上で達成しないと遊べない。
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メニューBGMはラヴァーボーイの『Working For The Weekend』、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの『Come On Eileen』、ファイン・ヤング・カニバルズの『She Drives Me Crazy』、ロマンティックスの『Talking In Your Sleep』、ザ・ダズバンドの『JOYSTICK』
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以上5曲の洋楽は元々ナムコとは関係ないが、アメリカらしさを伝える為に大ヒット曲が選ばれた。
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日本版の発売は著作権切れなのか、オリジナルBGMに差し替えた。
最終更新:2024年08月03日 22:21