THOR 精霊王紀伝

【とあ せいれいおうきでん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 セガサターン
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 エインシャント
発売日 1996年4月26日
定価 5,800円(税別)
判定 良作
ポイント ゼルダライクなアクションRPG
精霊召喚システムが肝


概要

  • メガドライブで発売されたアクションRPG『ストーリーオブトア 光を継ぐ者』の続編。時系列としてはストーリーオブトアの遥か以前になる。
  • キャラクターデザインは前作に続き、「漫画家一のロックマンファン」こと有賀ヒトシ。音楽も引き続き古代祐三が手掛けている(川島基宏と共同)。
  • アメリカでのタイトルは『The Legend of Oasis』。ヨーロッパでは『The Story of Thor 2』。

ストーリー

かつて精霊界「トア」に戦いがあった。
金の腕輪を持つ精霊王レハールと、銀の腕輪を持つ魔人アギトーの戦いはトア全土を震撼させたが、最後には両者の相打ちで幕を閉じる。
そして時は流れ、レハールの血を引く青年レオンは再び見出された金の腕輪を手にし、次代の精霊王となるべく修行を積んでいた。
だが一方、再びトアに災いの気配が漂っていた…。


特徴

  • 2D時代の『ゼルダの伝説』タイプのトップビュー型探索アクションRPGである。
    • 旧ゼルダと違ってキャラの等身は高く、またジャンプやしゃがみといったアクションがある。
  • 本作最大の特徴は「精霊召喚」。主人公は精霊使いであり、6種類の精霊を呼び出して使役するアクションを行える。
    • 召喚すると緩やかにMPを消費しつつ追従し、自動で通常攻撃を行うほか、任意に固有スキルの発動が可能。このスキルは進行上のギミック解除にも必要となる。
    • 召喚には特定のオブジェクト(例えば、水の精霊なら水溜りなど)にスピリットボールを当てることで行う。好きな精霊をどこでも自在に召喚できるわけではない。
    • 精霊の紹介
      • 水の精霊ディト
        小妖精の姿をした精霊。召喚オブジェクトは水溜り、水柱、クラゲ系の敵など。~道を塞ぐ炎柱の消火や敵の凍結などを行える。固有スキルは敵を凍結させる水弾「バブルショットガン」、回復魔法「ヒールフィールド」、竜巻となって敵を一掃する「マジックストーム」。
  • 火の精霊イフリート
    燃える魔人の姿をした精霊。召喚オブジェクトは炎。爆弾の爆風など。
    道を塞ぐ氷柱を溶かしたり、枯れ木を焼き払うことが出来る。固有スキルは炎を吹く「フレイムブレス」、高速突撃「ダッシュアタック」、周囲を焼き払う「メルトボンバー」。
  • 大地の精霊バウ
    (スーパーマリオの)パックンフラワー+ワンワンのような姿をした植物精霊。召喚オブジェクトは植物。
    その場から生えてくるため移動が出来ないが、固有スキル「ジオダイブ」で主人公の足元から生やし直すことが出来る。地面に埋まっているものを掘り返すことが出来るほか、固有スキル「ガルプアタック」で道を塞ぐ鉄球をひと呑みにして取り除く。
    戦闘でも通常攻撃では倒せない敵をも呑みこんで即死させることが可能。他に小型の分身を大量に放つ「マッドファング」がある。
  • 金属と音の精霊ブラス
    ゆらめく六枚の羽根を持つ竜のような姿をした精霊。召喚オブジェクトは金属製の物体全般や敵の着ている金属鎧など。
    固有スキル「パルスウェーブ」で破壊音波を放ち、クリスタルを破壊したり電撃の罠を一時的に無効化したり出来る。他の固有スキルは周囲の敵を一気に攻撃する拡散型破壊音波「パルスフィールド」、砲撃形態(巨大なラッパ)に変形して強力な音波砲を放つ「ソニックカノン」。
  • 影の精霊シェイド
    黒い人影のような姿をした精霊。召喚オブジェクトは磨かれた石碑、クリスタルや氷柱など鏡像を映すもの、及び死霊系の敵。
    主人公に追従する影分身となって受けるダメージを肩代わりしたり、穴に落ちた時に拾い上げてくれたりする。
    固有スキル「ダーククロー」では主人公の足元から影を伸ばして爪攻撃を行い、暗黒の蔦植物を破壊したり離れた位置にあるレバーを引っ張ったりも出来る。また「メディテーション」を使用すると不可視のものを発見できる。
  • 風と雷の精霊エアル
    羽根を生やした女性の姿の雲の精霊。召喚オブジェクトは噴出する蒸気や雷球など。
    雷撃技「ライトニング」、「プラズマスパーク」を使用するほか、「クラウドライド」で主人公を背に乗せて空中を移動出来る。
  • 武器
    • 武器はメインウェポンが短剣、大剣、杖、弓の四種。
      メインウェポンはそれぞれコマンド入力で必殺技が使用可能。短剣による回転切り「スピニングエッジ」、複数の矢を一気に放つ弓の「スプレッドアロー」など。
    • また、大剣・杖・弓は一時的に特殊な能力をエンチャントすることが可能。このエンチャント武器もギミックの解除に使用されることがある。
      • 祝福の力(水属性)をエンチャントした杖はアンデッドを浄化し、特定の植物を急成長させる光弾を発射する、破壊の力(大地属性)をエンチャントした大剣は岩や柱を破壊するといった具合。
      • エンチャントはフィールド上に存在するエナジーボールに触れることで可能。または召喚中の精霊に命じてエナジーを射出させ、エンチャントすることも出来る。
    • 他に、弾数消費有りのサブウェポンとして爆弾がある。

評価点

  • グラフィック
    • あたたかみのあるタッチのデザイン、丁寧な描き込みと凝ったアニメーションはなかなか高水準。特にゆらめく六枚羽をもつ金属の精霊ブラスのアニメーションは見栄えする。
  • 古代裕三氏が率いるエインシャント作品だけあってBGMも良好。
    • この頃のセガサターンのゲームソフトはCD-DA再生でのBGM動作が一般化していたが、本作はサターン内蔵音源でのプレイ。 なので安全な場所でぼーっと突っ立っていても切れ目なく音楽が流れつづける。 パズルアクションの本編に踏み入らない控えめな曲調がずっと続くが、音質も曲も一級品で聞き惚れる事請け合い。
  • 精霊召喚システムの独自性
    • 本作のウリでありメインテーマであるギミック。
      特徴で述べた通り、精霊の能力はその属性のイメージに沿う形で差別化されており、それを利用したギミック解除がこのゲームの独自性になっている。
      特定オブジェクトから召喚するというルールも精霊使いらしい雰囲気作りに一役買うとともにそれ自体がダンジョンギミックとなっている箇所もある。
      例えば、火柱が道を塞いでいて近くに水場が見当たらないが、氷柱はあるという場面。火柱からまずイフリートを召喚して氷柱を溶かし、水柱に変えてそこからディトを召喚し、バブルショットガンで火柱を消して進む。
      また戦闘面でも精霊たちはそれぞれ強力なスキルを持ち、殲滅力に欠ける主人公をおおいにサポートしてくれる。硬い敵をひと呑みで即死させるバウ、複数の敵を一気に凍結させるディトなど見た目にも頼もしい。
  • 主人公のアクションもトップビュー型アクションRPGとしては多彩な方。
    • ジャンプ、しゃがみ、伏せ、ローリング移動などがあり攻撃も前述の必殺技があるほか、蹴り技も多い。
  • 複雑なマップ、多彩なギミック
    • ダンジョンのマップはかなり入り組んでおり、また多彩なギミックが行く手を阻むので攻略は一筋縄ではいかない。探索と思考が十分に楽しめる作りになっている。

問題点

  • 地形の高低差が把握しづらい。
    • トップビュー型のゲームの宿命とも言える問題だが、同形式の2D型『ゼルダ』と比較してもやはり分かり辛い。高低差を示すグラフィック上の工夫がほとんど皆無な上、ゼルダよりも高低差の段分けが細かいのも見分けが付きにくい原因になっている。
  • 薄いストーリー
    • そもそもストーリーの内容自体「精霊を集め、復活した悪人を倒す」だけである上、主人公がしゃべらないし他のNPCとの会話も少ないので登場人物の印象も薄い。
      昔のアクションRPGなら概ねこんなものではあるが(『ゼルダ』の過去作も大差ない)、本作では一応ヒロインと設定されているミュラとの交流の描写が乏しいにもかかわらず、いつの間にか恋愛関係になる雑な展開がストーリーの薄さを強調している感がある。
  • 技設定
    • 具体的には垂直ジャンプキックが強すぎる。なぜかすさまじく多段ヒットしやすいため、武器を使った必殺技よりずっと大きなダメージが出ることも珍しくない上、隙も少なく連発もしやすい。
    • また短剣の必殺技スピニングエッジは、モーションのほとんど全部と言ってよいほど長い無敵時間があり、窮地に陥っても取り合えずこれを連発していれば大丈夫だったりする。

総評

ゼルダタイプのアクションRPGとして魅力的な独自システムと美しいグラフィックを備えた隠れた良作。精霊召喚システムの作り込みには目を見張るものがある。
セガサターンの良作ゲームを探している人は是非プレイしてみよう。


余談

  • 発売当時のコミックボンボン増刊号にて、キャラクターデザインを務めた有賀氏によって漫画版(4コマ漫画)が描かれている。
最終更新:2020年05月21日 17:03
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