ドンキーコング たるジェットレース
【どんきーこんぐ たるじぇっとれーす】
| ジャンル | レースゲーム |  
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| 対応機種 | Wii | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | パオン | 
| 発売日 | 2007年6月28日 | 
| 定価 | 5,800円(税5%込) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 良くも悪くも独特な操作性 「レースゲーム」と考えなければ十分に遊べる
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| ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
『ドンキーコング』シリーズのキャラクターによるレースゲーム。ただし開発元が異なる点をはじめ、『ディディーコングレーシング』との直接の関係はない。
Wiiリモコンとヌンチャクを振って自機を動かす独特の操作性が特徴だが、これは本作が元々ゲームキューブでタルコンガ(『ドンキーコング ジャングルビート』『ドンキーコンガ』シリーズで使用されたタル型の専用コントローラー)専用ソフトとして開発されていたという経緯によるものである(Wiiで発売された本作はタルコンガには非対応)。
システム
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基本的には『マリオカート』シリーズなどと同様のアクションレースゲームである。しかし前述の通り、アクセルや移動といった基本操作をボタンやスティックではなく、Wiiリモコンとヌンチャクを振って行うという操作性が大きな特徴になっている。
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Wiiリモコンとヌンチャクを交互に振ることで加速する。マックススピードまで加速すれば、その後は自動で進むので常に振り続ける必要はない。
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右手のWiiリモコンだけを振ると右に、左手のヌンチャクを振ると左に移動。
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自機はコースのカーブに沿ってある程度自動で曲がってくれるので、それほど激しく移動させる必要はない。操作というよりも、自機のラインを左右にズラして調整するという感じ。
 
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リモコンとヌンチャクを同時に上に振り上げるとジャンプ。
 
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Aボタンを押すと「アタック」としてキャラが前方に攻撃、ライバルを妨害できる。
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コース上に落ちているバナナを50本集めるとゲージが溜まり、ヌンチャクのスティックを倒して離すことで「ワイルドムーブ」(ターボ)が可能。
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一定時間速度が上がるだけでなく、タルなどの障害物を破壊して進むことができる。
 
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コース上のバルーンに触れるとランダムでアイテムが入手でき、BかZで使用できる。
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赤いバルーンからは自分を強化する、緑のバルーンからは敵を妨害する効果のアイテムが手に入る。
 
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使用可能キャラは「コングファミリー」と「クレムリン軍団」に分かれる。
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「コングファミリー」にはお馴染みドンキーコング、ディディーコング、ディクシーコング、ファンキーコングといった『スーパードンキーコング』シリーズの面々をはじめ、ランキーコング、タイニーコングといった『ドンキーコング64』のキャラクターも揃っている。
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珍しいことに、クランキーコングとリンクリーコングも使用可能。
 
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一方ボスのキングクルールをはじめとした「クレムリン軍団」には本作初登場のオリジナルキャラクターも多い。
 
評価点
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特殊な操作性を除けば、レースゲームとして大きな問題点はなく普通に遊べる。
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キャラクターの数、コース数、コースギミックなども概ね水準並。
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ドリフト等の複雑なシステムも無く、コースアウトの心配もないためレースゲームに不慣れなプレイヤーでも取っ付きやすい。
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特に「ワイルドムーブ」はスピード感があり、障害物を破壊することで加速時間が伸びるため上手く使えればかなりの爽快感がある。
 
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懐かしい顔ぶれの登場
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前述したランキーコング、タイニーコング以外にも、クレムリン軍団には『スーパードンキーコング3』に登場していたコプターが再登場。
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コースの障害物にはジンガー、チョンプス、ロックジョー、アイテムにはスコークス、ネッキー、バナナフェアリー、クリスタルココナッツ、パイナップル・ランチャーなどが登場。あれ、チャンキーは?
 
賛否両論点
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邪魔の多いコース
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コースには障害物となるタルやギミックが多く、レースというよりも障害物を避けることに重きを置いたアクションゲーム(内のミニゲーム)という趣きが強い。
 
問題点
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独特でクセのある操作性
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「リモコンを振る」というのは曖昧な操作であることもあり、慣れるまでは「入力したつもりが反応しない」「タイミングがズレる」「別の操作に化けてしまう」といったもどかしい操作感に悩まされることになる。
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特に加速しようとしてジャンプが暴発することが多い。
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当初の予定通りタルコンガ専用ソフトとして発売されていれば、タルを叩いた際に入力がはっきり確認できるため、このあたりの操作性はマシになっていただろうと思われるだけに残念な点である。
 
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わざわざ「リモコンを振る」という操作にしたことによるメリットもあまり無い。
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特にゲーム性を高めているわけでもなく、直感的なわけでもないため、「普通にボタンとスティックで操作したほうがプレイしやすいのでは」という身も蓋もない感想が拭えない。
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また、加速する際は腕の負担が無駄に大きい。一応、支障が出る程とは言えないうえ、最高速になったら「もう降っても加速しません」と表示される。
 
 
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コースの水増し
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コースは全16コースだが、『スーパーマリオカート』のように同名コースの1~3が多数存在するため、環境としては7種類しかない。
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ただし、BGMは全コースで固有のものが使用されている。
 
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キャラクター性能の格差
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全能力が高水準のクランキーコングやキングクルール、全能力が最高のドンキーコング・ネオジェットなどが他のキャラの上位互換かそれに等しい存在になっており、キャラを使い分ける意義がない。
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上記のようなキャラは隠しキャラクターの中でも出現条件が特に難しく設定されている。
 
総評
とにかく独特の操作性が良くも悪くも印象的な一作である。
Wiiリモコンとヌンチャクを振って走るレースゲームというのは間違いなく斬新だが、それがゲーム性にあまり貢献しておらず、操作がし辛いという悪印象のほうが強くなりがちなのが残念な点。
元々GCのタルコンガ専用ソフトとして開発されていたものを(おそらく)無理にWiiの操作性に当てはめることになったという事情を考慮したとしても、Wiiの初期に多かった「Wiiリモコンによる新たな直感的操作」を目指した作品の中では、成功している部類とは言い難い。
そのため『ディディーコングレーシング』などの従来のパーティーレーシングゲームを期待する場合は違和感を覚える可能性があるので注意が必要である。
しかし「独特の操作性による一風変わった(広義の)アクションゲーム」として捉えるなら、全体の質自体は決して悪くはなく十分に遊べる出来である。
最終更新:2023年09月07日 15:40