ロストディメンション

【ろすとでぃめんしょん】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売元 フリュー
開発元 ランカース
発売日 2014年8月7日
定価 6,782円
判定 なし
ポイント ボリュームは薄い
人狼ゲーム&SRPG
真エンドは超展開


概要

世界にテロ行為を行い、核ミサイルを突きつけた謎の男"ジ・エンド"と特殊能力者の組織S.E.A.L.E.D.との戦いを描いたRPG。
3Dキャラクターを操作し、敵を倒すターン制バトル。『戦場のヴァルキュリア』に似ていると言えば分かりやすいだろうか。
また、S.E.A.L.E.D.のメンバー11人の中には裏切り者がおり、ジ・エンドがいる謎の建造物「ピラー」へ登るにはその裏切り者を消さなくてはならない。
早い話が『人狼』である。クエストをクリアする事で経験値と資金を獲得し、武器とスキルが購入・強化できる。


システム

  • ジャッジ
    • メンバーには裏切り者が潜んでいため、次の階層に進むにはメンバーたちの中から一人をイレイズ(消去)しなければならない。
    • イレイズされるメンバーは全メンバーの投票で決まるため、投票によってイレイズされた者が実際には裏切り者ではなかったということもありえる。
      • ちなみに主人公のショウは予知能力者で、投票の未来が分かる。
    • 最後のイレイズでは、それまでに慣れたプレイヤーを叩き落とす罠が仕掛けられていたりする。
    • グッド・トゥルーエンド狙いでなければ、意図的に裏切り者を残すという選択肢もとれる。
      • 例えば、お気に入りのキャラクターが裏切り者だと確定してしまったので代わりに無実の(自分にとって)どうでもいいキャラを処刑する、など。
    • ただし、最後に残ったメンバーの全員が裏切り者だと、BADエンドになる。
    • 誰が裏切りものかはランダムで決まる。ただし、一周目最初の裏切り者に限っては固定である。
      • 裏切り者は、新たな周回をスタートした時点で全員確定する。
  • ヴィジョン
    • クエスト終了時に発生する、裏切り者を探す最初のヒント。
      • 戦闘参加メンバー5人の声が表示されるが、その中に不審な声を出しているものが混じっている場合がある。
    • この「不審者」は各階層開始時点で3人がランダムで選出され、裏切り者はその中の誰かになる。
      • 参加メンバーの中にその3人がいた場合にその人数分だけ不審な声が混じるということで、参戦メンバーを入れ替えることで誰が怪しいかを絞り込んでいく。
      • 不審な声の主は声と口調などから誰か判別できるが、実は不審者であるかは無関係。単なるミスリードである。
    • 一度見たヴィジョンは10回分だけログが記録される。
      • このログ上では、参戦メンバーそれぞれに対して3色のラベルを設定できる。基本的に、安全確定・不審者候補・不審者確定の3パターンで分類するのが妥当と思われる。
  • ディープヴィジョン
    • 任意のキャラに対して深くアクセスし、そのキャラが裏切り者か否かを確定する。
    • 実行すると真っ白な空間に飛ばされ、声が表示されるのでその方向に行くというミニゲームが発生する。
    • ディープヴィジョンは2人分しか実行できない。つまり、まず3人の不審者を確定させないといけないのである。
  • 投票操作
    • 裏切り者が判明しても、それを知っているのはショウだけである。よって、真の裏切り者に票が集まるよう働きかけなければならない。
    • クエストクリア時に、ランダムで2人のキャラクターが「○○が怪しくないか?」「誰が怪しいと思う?」という問いに対する回答である程度操作できる。
    • 質問してきたキャラクターに「お前が怪しい」と言えば、自分(ショウ)に入れるよう仕向けられる。
    • 投票権は戦闘貢献度上位3位が2票、それ以外は1票となる。投票は自分に対して行えないので、裏切り者の戦闘貢献度を上げないことも重要。
  • 投票
    • メインクエスト3つをクリアするとジャッジルームに入ることができるようになる。
    • ジャッジルームで投票が行われ、入った時点でオートセーブされるため、この時点でやり直しは不可能である。
    • 結果は開始時点の投票予測とショウの投票によって確定し、最多獲得者がイレイズされることになる。
  • 戦闘
    • 戦闘は、ショウと他5人を選んで行う。人数は6人で固定。
    • フィールド上を各キャラのMOV値で決められた範囲を移動し、射程範囲内に敵がいれば攻撃などを行える。未行動のキャラは誰からでも動かせる。殲滅や特定のボス敵を倒すなどクエストごとの条件を満たせばクリアとなる。
    • クリア時、経過ターン数によって評価が下される。
  • 攻撃
    • 攻撃は単体攻撃と範囲攻撃がある。また、攻撃属性には物理属性と超能力属性がある。
    • 通常攻撃にも種類があり、射程が長めで威力もそこそこなハンドガン、威力・射程とも頼りないが範囲攻撃可能なマシンガン、中程度の性能を持つショットガン、ハンドガンに近い性能を持つ投げナイフ、射程は短いが威力の高いナイフ・ナックル・刀がある。
      • マシンガンとハンドガンは複数人使えるキャラがおり、そのキャラの間で共有することができる。
    • また、背後を取るとバックアタックとなりダメージが増加する。
    • 単体攻撃は単体にしか行えず対象を倒せなかった場合は反撃をされる(敵の通常攻撃範囲外からなら安全)。ただし、他のキャラがその対象に対して通常攻撃を行える位置にいた場合、通常攻撃による追撃「アシスト」が発生する。
      • アシストは回数制限やデメリットはないが、信頼度が低いキャラに対しては行われない。一部のギフトは反撃が発生しない。
    • 範囲攻撃は反撃もアシストも発生しないので、安全であるがダメージは必然的に低めとなる。また範囲内の味方も巻き込んでしまうという欠点がある。
    • 効果範囲は任意のターゲットを中心した円形に効果を及ぼす「範囲」・任意の位置を中心とする「位置」・自分を中心とする「周囲」・向きによって移動する長方形型の範囲を対象とする「直線」・扇型の範囲を対象とする「扇」がある。
  • GIFT(ギフト)
    • いわゆるRPGのスキルに該当する。
    • 各キャラはスキルツリーを進めることで様々な超能力「ギフト」を習得していく。ギフトは攻撃・回復・サポート・常駐といった種類があり、いずれに属するかはアイコンで判別可能。
    • ギフトの習得には主にレベルアップで得られる、ギフトポイントが必要となる。全てのスキルを習得・強化するには圧倒的に足りないため、厳選する必要がある。
    • 常駐型を除き、使用にはGPとともにSAN値を消費する必要がある為、多用はできない。
    • 通常使用できるのは本人の能力のみだが、フェイタルマテリアを装備することでそのキャラがその時点で習得していたギフトを使用できる。装備できるのは1人2つまで。
      • この性質のため、主人公である(=イレイズされない)ショウのギフト以外は、全て全員分のモーションが存在している。
      • ギフトによっては他のキャラの方が扱いやすい場合もある。この辺の組み合わせの考察も楽しい所である。
    • だが退場したキャラのギフトを成長させたり、新しく覚えることはできない。
    • ギフトは3つの系統に分かれており、フェイタルマテリアはイレイズ時に1つでもギフトを習得している系統全ての分だけそれぞれ獲得できる。
      • 逆に言えば、イレイズされたキャラのギフトをすべて使えるようにはならないともいえる。
  • リファー
    • SAN値を10%消費し、範囲内の行動済みのキャラに行動権を移譲するコマンド。ただし、リファーを受けたキャラが他キャラにリファーを行うことはできない。移動後にも実行できる。
  • SAN値
    • SANITY(正気度)という意味で、ギフトやリファーの使用及び攻撃の被弾で低下する。
    • SAN値が0になると一定ターンの間暴走し、一番近くにいる敵、味方を無差別に攻撃する仕組みとなっている。
    • パーティーンメンバーは暴走すると赤く光るようになる。敵にも設定されており、この場合は1ターン行動不能+防御力激減の「放心」状態となる。
    • 防御力も弱くなり、味方を襲うリスクがあるが、普段の倍以上の攻撃力となるので、狙うと強力な敵も容易く倒すことも可能である。
  • 他キャラのギフト系統を必要とする強力なギフト
    • スキルツリーに項目が存在しているが、他キャラのギフト系統を必要とする強力なギフト。常駐型以外は一般的に通常のギフトより強力だが消費が多く、レベルアップもできない。
    • 使用するには、指定されている系統のフェイタルマテリアを装備するか、その系統まで取得しているキャラのリファーを受ける必要がある。リファーの場合、そのターンでしか使えない。
      • フェイタルマテリア内のこのタイプのギフトは使用できず、あくまで本人のものに加えて必要な系統を付与する形となっている。
    • 実質各キャラの固有技であり、モーションも特殊なものとなっている。
  • セーブ
    • 本作では度々オートセーブが行われる。というのも、階層に入った時点でその階層の裏切り者が確定するため、正体を暴いた後にロードして最適な行動を行うというプレイングを阻むためと思われる。
      • それこそ、クエストをクリアする度に行われ、ジャッジの直前にも行われる。つまり、基本的にやり直すことは不可能である。
      • また、このセーブの仕組みは、本作のストーリー上の仕組みも関連している可能性が考えられる。
  • キャラクタークエスト
    • 信頼度が最大付近まで上昇したキャラが特定階層まで到達すると、キャラクタークエストが発生する。クリアするとキャラクターの資料を入手でき、その後の会話イベントをこなすと関係性がCOMPLETEとなりステータス画面にマークが付く。
    • 一度クリアするとその周回では再プレイ不可能となるため、Sランク狙いの時は気を付ける必要がある。クリア前に対象キャラがジャッジで消えてしまうとプレイ不可。
  • TIPS
    • フィールドに置いてある。ストーリーの世界観設定などを知ることができる。
      • 各キャラの超能力発露に関する情報も知ることができる。
    • 作中ではあまり触れられない、フェイタルマテリアやピラーの設定についても知ることができる。
  • 会話
    • メインクエストが終わるとキャラクター達と会話できる。
    • 一度のメインクエストごとに評価が上がるのは2人まであり、他は上がらない。
  • フェイタルマテリア
    • キャラクターがイレイズされることで残される立方体を大量に重ねたような形状の物体。
    • 各キャラの持つ装置にはなぜかこれをセットするスロットが存在する。「どこにセットするんだ」という疑問は持ってはいけない。

評価点

  • 爽快感のあるSRPG
    • 仲間と協力して敵を倒す3DのSRPGは出来が良い。特にリファーを使用して、連携でどんどんダメージを削るのは爽快感がある。SRPGにありがちなバトルのテンポの悪さを感じ無いようになっている。
    • 同じように敵もアシストを使ってくるので、位置取りに気をつけなければ、味方も瞬殺されてしまうくらい重要な要素になっており、独特な戦略性のある内容である。
    • また味方もSAN値という能力の制限があるため、考えずに使用すると暴走して味方を攻撃など起こることしばしばあり、これも考える必要がある。
    • モーション、戦闘エフェクトも迫力があってスタイリッシュと高評価
  • キャラ育成
    • スキルの性能が良いのが多く、キャラを育てていくのが楽しい。ツリー上になっており必要な能力を手に入れるため育成方針も考える必要がある。
  • キャラクター
    • キャラクターの設定や背景はよくできており、感情移入しやすい。
    • またキャラクタークエストをCOMPLETEした状態で、裏切り者にすると会話が変わる。
      + キャラ紹介
    • ショウ・カスガイ
      • 主人公。予知能力者。自分周辺の予知から始まり、遠隔視交じりの予知、挙句の果てには運命改変までやらかす地味スキルに見せかけたチートスキル
      • 能動的な能力は少なめなのだが、常駐型が豊富で大体の状況下で活躍できる汎用キャラ。成長させることでどんどん凶悪化していく。
        • 射程延長や威力強化といった効果により、通常攻撃がひたすら便利。アシストというゲームシステムと相まって、通常攻撃の全体的な汎用性を引き上げている。
        • それ以上に性質が悪いのが防御能力。通常の反撃に加え、確率で相手の攻撃前に攻撃を行うギフト(反撃とは別)と確率で相手の攻撃を自分の通常攻撃で上書きする*1というギフトが使える。
          つまり、ショウを攻撃しようとした相手は、運が悪いと自分は何もできないまま最大3回の攻撃を叩き込まれるという悪夢に見舞われる。
        • さらには最上位のギフトには次エネミーフェイズのスキップという誰もが目を疑う凶悪ギフトまである。ここまでパワフルな縁の下の力持ちもなかなかいない。
      • ヨウコ・タチバナ
        • 多分ヒロイン。でも裏切る時は普通に裏切る。送受信兼用の伝心能力者。歌手志望で歌で心を伝えたいと願うが、能力を使ってしまえば簡単であるという考えが頭をよぎってしまう。
        • いわゆるサポート型の術師キャラ。そのため、単体ではダメージを与えるギフトが少ない。能力の内容が意外とえぐい。
        • 一方、通常攻撃は常駐型ギフトのおかげでアシストにおいては威力が上昇するため、意外と役に立つ。使いやすいハンドガンであるのもポイント。
      • ヒメノ・アカツキ
        • 発火能力者。しかし、正確には低温も操れる。クールで熱いツンデレ。おそらくヨウコの対比に当たるキャラ。
        • DQでいうところの魔法使い。通常攻撃は弱い上に射程も短いナイフなため、ギフトによる攻撃特化である。
        • 熱操作という分かりやすい能力なためか、他のキャラとの連携ギフトが非常に多い。
        • ちなみに聞いてもいないのに下着の色を教えてくれる。
      • トウヤ・オルベルト
        • 電磁操作能力者。とある御曹司の超電磁銃である。生まれついての支配者階級らしく、ナチュラル上から目線。一方で、生まれなど一切関係なく平等であるピラーの中の環境には内心喜んでいる。
        • 射程延長やスタン攻撃、機械系の敵への特攻特性といったバリエーション溢れる効果を持つ。ただし、如何せん器用貧乏で突出した要素に欠ける。
      • マナ・カワイ
        • 身体強化能力者。かわいいもの好きのグラップラー。可愛くない自分の能力を嫌っている。
        • ひたすら近距離の敵を殴るか自分を強化するかしかできない。スタンドアローンでの戦闘に向いているともいえる。効果は強力だが条件・デメリット付きが多い。
      • ナギ・シシオウカ
        • 重力操作能力者。軍人キャラで、融通が利かない。というか、自分の意思というものが薄く、指示待ち人間と化してしまっている。
        • 常に浮遊しており、移動力が高い上に高さの異なる場所への移動が自由自在。攻撃力は低めだが、反撃されない単体攻撃を早々に覚える切り込み役。
      • ソウジロウ・サガラ
        • 治癒能力者。何とも危険な雰囲気を持つ医師。19歳。キャラクエストを進めると、よりやばい奴だと分かる。
        • お約束通り回復系ギフトの使い手である上、バステ付与なども覚える。通常攻撃にあらゆるバステ付与効果を与えるという常識外の常駐型ギフトを習得できる。しかも通常攻撃の射程が割と長い。
      • ゼンジ・マエダ
        • 同調能力者。他人を信用しようとしないロンリーウルフ。そんな態度にはいろいろ理由がある。
        • 他社の使用ギフトを使えるようになるというFFのものまね師みたいなキャラ。パラメータのコピーも可能なほか、コピー元より強くなれるというチート野郎。ただし、コピーしないと誰よりもショボい。
      • マルコ・バルバート
        • 念動能力者。非常にネガティブで、他者の善意を素直に受け取れない。
        • 術師キャラに見えて、実は常駐型ギフトのおかげで物理面でも頼りになる。クリティカルに弱い上、強さを発揮するにはギフトの強化が必要な大器晩成型の万能キャラ。
      • アギト・ユウキ
        • 転移能力者。良くも悪くも、誰もが平等なフレンドリーな性格。ただし、敵視した相手には容赦なさげ。
        • 非攻撃系能力の方がチート気味な本作において、やはりチート。閉じた隔壁を突破できるスイッチ泣かせの人。さらに、移動先に他のキャラ全員を呼びだせたりもする。ナイフ使いで射程は短いが攻撃力が高い。
          • 自分の転移だけでなく相手の転移や呼び寄せなども使える他、対象の限られた範囲だけを抉り飛ばすといった応用も可能。また、 ナイフの切っ先だけを相手に内部に転移させてダメージを与える という超えぐい技などもある。
        • 有用な転移能力に加え、素のステータスもかなり優秀。攻撃力はジョージに次ぐ二番手で、耐久力は少ないが回避力が高いので死ににくい。
      • ジョージ・ジャックマン
        • リーディング能力者。テンションが無駄に高いアメリカ人。正義大好き。
        • リーディングによって刀の柄に宿った記憶を読み取り、その技能を再現しているという形であり、武器変更の際は刀身だけを変更する形になっている。
        • 初期ギフト「心眼斬り」を使用した回数によって効果が強化されるギフトを多数所持する。また、ショウ以外の全員との連携ギフトを使える。攻撃力が高いが、射程が短く命中率が低めなのが難点。
  • 世界観
    • TIPSであるようにかなり深く設定を練っている。
    • 敵であるピラーや裏切り者や舞台設定、他のRPGではスルーされるパワーアップシステムに理由があるなど実は作りこまれている。
  • グラフィック
    • 3Dモデリングとしては中々出来が良い。特にキャラクターグラフィックは2Dと3Dの差に違和感を覚えない良質な仕上がりになっている。ちなみに女性キャラは短いスカートなので、パンチラも期待出る。
  • BGM
    • 退廃的+幻想的+未来的な世界観によくマッチしている。
    • 特にラスボス戦で流れるBGMは評価が高い。

問題点

ゲーム面

  • ボリュームが薄い
    • 周回要素前提であるため仕方ないが、一周5~6時間と短い。
  • 引き継ぎ要素が少ない
    • GIF EXPと信頼度MAXでの「COMPLETE」表示のみで、装備・アイテムなどの引き継ぎはない。
    • 強くてニューゲームを期待していると肩透かしを食らう。
  • カメラワークが非常に悪い
    • キャラを操作するときに正面のみしか映らず、カメラが動かせない。方向転換したいときにをミスる事がしばしばある。
    • また壁や障害物があるとき見にくい場合がある。
  • テンポが悪い
    • 前述の通り味方のテンポは良いのだが、相手のターンが長くテンポが悪い。
    • 敵の中にいる巨大な敵は、動きが遅く、他のゲームより余計に遅く感じる。
      • ディープヴィジョンは数回程度で裏切り者を選択できるため余り意味が無く、いちいちムービーが挟まれるためテンポが悪くしている。
    • サブクエスト、キャラクタークエストにも挟まれるので少々不快。会話のスキップはあるものの一周目はムービーのスキップはできない。
  • 会話
    • オート再生、スキップなどには対応しているが、バックログがないため会話を見逃したときに困る。

シナリオ面

  • 裏切り者
    • 裏切り者はランダムで決まるため、唐突感が強い。
    • また裏切り者を特定・消去しても、主人公以外はテンプレ発言を繰り返すだけというだけで、会話として寂しいところ。
      • 階層を重ねるごとにランダムにメンバーが減っていくわけで、それら一つ一つのパターンに対応したテキストを用意すると膨大な量となってしまうためだろうが、だがボリュームの少なさを考えるとそこの増やしても良かったのでは…
    • さらにジ・エンドの個人的な意趣返しに付き合う理由と、そもそも何故ショウたちに紛れ込んで一緒に塔を登る必要があるのかという理由に対し、明確な説明がないまま終了する。
      • これはプレイヤー視点の憶測になるが、おそらくはショウの「罪」の再現を目的としていると思われる。
      • わざわざ裏切り者を紛れさせてイレイズに晒す理由については、イレイズに隠された機能が関連している可能性が考えられる。
  • キャラクター
    • メンバーの年齢は全員十代という設定だが、ソウジロウやナギはとてもそうは見えない。
    • 特にナギは会話中、「私は軍人として長く生き過ぎたのかもしれない」と言ってくるので違和感を覚える。
  • 真エンド
    • かなりの超展開である。
+ ネタバレ注意
  • 2周目では1周目のエンディングでショウが見た隕石が地球に衝突するヴィジョンの謎が解明する。
    • 10年前、地球に隕石が衝突し、世界が崩壊する事を知った研究者は能力者を新しい世界に移すことによって滅びから救おうとした(物理的な破壊による解決は国家機密級の戦術兵器でも不可能だった)。
      • ピラーとはその計画遂行のために旧世界側で建造された運命改変装置である。フェイタルマテリアの対ともいえる存在を利用している。
    • しかし、新しい世界もまた、隕石による滅びを免れない事が判明する。その原因は、超能力者を全て新世界に移してしまったせいだった*2
    • そこで、唯一新世界に移動できる人間を選ぶことができるショウは、滅びの世界に残る者と救われる(予定の)世界に行く者を選ぶという、究極の選択を強いられた。
    • 結果、ジ・エンドとジャッジされた裏切り者達がショウによって滅びる世界に残ることになる。作中におけるジ・エンドの、ショウへの憎悪はこの為。
      • ちなみに、ジ・エンドだけはいかなる可能性においても確実に残留組に含まれる運命にある。彼は時空干渉能力によってその真実を痛感した結果、とりわけ強い憎悪を抱いている。
  • だが真相を知ったショウは突如新たな力に目覚め、ジ・エンドや絆を結んだ仲間たちの力を取り込んで新しい能力に目覚める。そして、隕石を拳でぶん殴って破壊して、滅びを防ぐ。
  • という、なんともやっつけ感のあるラストとなっており、かなり強引なオチで終わる。
    • とはいえ、時空転移・テレポート・重力操作・熱操作・身体強化・同調・リーディングといった各キャラの使える能力を最大限生かせば、実際にそのようなことを実現させることができるという事なのかもしれない。
  • ちなみに、イレイズは存在を抹消しているわけではなく、旧世界側の10年前の選択直前に巻き戻しているだけである。
    • その世界は彼らが辿った世界とは異なっており、ショウが誰を選ぶかも異なる。言い換えれば、新世界で生きる資格を奪われた者が、改めて選ばれるための救済であるとも取れる。
    • つまり、度々オートセーブが行われるのは「時間遡行」がごく限られた状況でのみ許された行いであるからであり、周回ごとに裏切り者が異なるのもそれが別世界の出来事であるからである。
      • この辺りのゲーム的都合と実際の世界設定のすり合わせは見事であるといえる。

総評

SRPGと人狼というオリジナリティあるゲーム。バトルやキャラクター、世界観などはよくできており、そこだけなら十分に良作と言える。
しかし真エンドの超展開やボリュームの薄さなど不満に残る部分が評価を下げ、全体的に佳作という意見が多い作品となってしまった。


その後の展開

  • 2017年10月31日にWin版がSteamで配信開始されたが、残念ながら英語のみで日本語には対応していない。
最終更新:2022年09月06日 12:54

*1 習得に必要なポイントが多いが、本来反撃不可である範囲攻撃にすら反応する。

*2 破滅に向かう運命を歪める力と歪めた運命を正す力が6つずつあるのだが、今回の破滅はあまりに強大過ぎて正す力が新世界に1つでもあると破滅の運命の回避まで正してしまうため。