ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング
【どんきーこんぐじーびー でぃんきーこんぐあんどでぃくしーこんぐ】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイカラー(専用) | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | レア | 
| 発売日 | 2000年1月28日 | 
| 定価 | 3,800円(税別) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【3DS】2014年5月7日/617円
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| 判定 | 良作 | 
| ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
『スーパードンキーコング』シリーズ3作目『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』のGBC向けアレンジ作品。
GB版『スーパードンキーコングGB』(1)、『ドンキーコングランド』(2)に続く3作目となる。
ちなみに海外では一連の作品群が『DONKEY KONG LAND』シリーズとなっているため本作も『III』として発売。
敵キャラクターやステージなどはSFC版『3』をもとにしているものがいくつかあるものの、ストーリーは「伝説の国・ロストワールドを探しに行ったドンキーとディディーを追ってディクシーとディンキーが冒険に出る」というよく似てはいるが全くの別物になり、マップ・ステージの構成も新規のものになっている。
GBシリーズ3作品の共通事項は『スーパードンキーコングGB』のページを参照。
SFC版『SDK3』との違い
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最大の違いはSFC版に登場した仕掛けの大半が登場しないことである。SFC版の仕掛けは高度なアニメーションを用いたものや処理が複雑になるものが多く、再現できないものも多かったのだろう。
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SFC版にあった以下の要素が変更されている。
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チームアップができなくなっている。また、ディンキーの水切りジャンプもできなくなっている。
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アニマルフレンドはパリーとコークス以外すべて登場する。前作『ドンキーコングランド』同様に変身することしかできず、スクイッターの操作も前作と同じものになっていたりと、前作と共通点は多い。
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エンガードは操作方法自体は前作に近いが、前作及びSFC版とは異なり雑魚敵に接近しても自動で追尾攻撃を行わなくなったり、スーパーダッシュもカットされたりと、容量の都合とはいえ何気に今作独自の性能になっている。
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エリーは今作のハード面での特徴を大きく受けている。スニークと遭遇しても逃走しない、タルを持ち上げられない、水を吸い上げられない代わりにいつでも水鉄砲を撃てたり・・・と、ハード性能の影響とはいえ、原作からほぼ別物というべき変わりよう。
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「とめられないとまらない」「ダクトコースター」に登場するソリは前作同様にアニマル禁止サインに触れると消滅する事からアニマルフレンド扱い。加えて、後者では天井のレールが削除されているのだが、原作とは異なりバズを踏む事が出来ず、踏んだ時点で1ミスとなる。これにより、「ダクトコースター」自体が真の最終ワールドの一番最初のコースに位置付けられている点も相まって原作以上の難コースになったと言える。
 
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コングファミリーはリンクリーが登場するだけで、スワンキーやファンキーはイベントごと削除されている。
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クマのイベントもことごとく削除され、「クマさんのお店」が各ワールドに1つずつあるだけになった。ここでは神経衰弱・テレポーテーション・情報収集を行うことができる。
 神経衰弱を遊ぶにはステージ中のボーナスステージを発見しクリアして一定数のボーナスコインを集める必要がある。
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神経衰弱を制限時間以内にクリアすると「時計」及びDKコインをもらうことができる。これは収集要素になっており、各ワールドの時計とDKコインをすべて集めないとロストワールドに行くことができない。
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また、神経衰弱プレイのために集める必要があるボーナスコインの数は『ドンキーコングランド』の反省か、その時点で手に入る分をすべて集めなくとも足りる数になっている。ただし、ラスボスと戦うためにはすべて集める必要がある。
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情報収集では前作と異なりボーナスステージの入り口のヒントをくれる。前作のようなコインだけ取られてロクな情報がもらえないということはない。ただし、プレイヤーがすでに見つけたボーナスのヒントがまた出ることはある。連続で入った場合前回と同じ内容になることはない。
 
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ワールドマップを自由に移動できなくなっており、移動するにはコインを払ってテレポートするかボスを倒すかしなければならず『2』までの仕様に戻されている。ただし、セーブ再開時にワールドマップに出るため、セーブ&ロードすることで残機・バナナ・ベアーコインがリセットされる代わりに脱出することが可能。
 
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ロストワールドを含む全ステージをクリアすると、おまけとしてタイムアタックが追加される。「はとば」「たき」「こうじょう」など各地形から1ステージずつ全12ステージが選ばれており、クルールのタイムを上回ると更新される。本作はタル大砲で大幅にショートカットできるステージがいくつかあるのだが、それはクリア後のタイムアタックを想定しているためである。
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ザコ・ボスキャラクターに細かいところで変更が加えられており、「ノッカ」が「クルーシャ」、「アーリック」が「アリック」という名前に変更されている。このほか、SFC版では無敵だった敵が踏んだりタルをぶつけたりすることで倒せるようになっていたり、行動パターンが変更されていたりするボスもいる。
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ボス戦も大幅シャッフルされ、SFC版だとロストワールド以外のボスは「ベルチャ→アーリック→スクワーター・カオス→ブリーク→バーボス→カオス&バロンクルール」だったものが「バーボス→ブリーク→アリック(=アーリック)→カオス→(バロン)クルール」になっている。
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終盤ボスの方が先行して出てくる事に不安を感じるかもしれないが、行動パターンが変更されている(特にブリークは対戦形式そのものが変更されている)ので一概にSFC版と比べられない。
 
 
評価点
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色がついたことで見やすさが格段に向上した。色分けはそれほど細かくないが、そのぶん画面にメリハリがついており、描きこまれた背景も邪魔にならない。
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ボーナスステージの配置場所の謎解きが非常に凝っており、シリーズ中屈指の難易度。一部かなり難しいものもあるが、そういったポイントはクマからのヒントがあり絶妙なバランスとなっている。
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SFC版が携帯機で遊べるということに主眼を置いているこの作品の中では唯一といってもいい独自要素のタイムアタック。
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シリーズでもタイムアタックはSFC版の「リバーサイドレース」と今作のみであり、本作の個性となっている。
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ルートを覚えたりするといった基本的なものから、ポニーテールが使えるディクシーと足が若干速いディンキーの使い分け、タルやロープを無視して飛び降りる、ローリングアタックで敵を倒して加速など、スーパードンキーコングシリーズの特徴を活かしたタイムアタックが楽しめる。また、後述の通り活躍の場を奪われたディンキーのフォローに少しだけなっている。
 
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BGMの再現も相変わらず良好。因みにアレンジはオリジナル版のメイン作曲者のイブリン・フィッシャーがそのまま担当している。
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加えて、SFCからGBCへ移植されるに当たって削除されたBGMは通常ボス戦等の一部のみに留まっている事から、原作通りのほぼ全てのシチュエーションで固有のBGMが使われている『スーパードンキーコングGB』と同様の仕様に戻っており、前作の問題点であったBGMの使い回しも解消されている。
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なお、後にGBAで発売されたドンキー3の移植版は収録楽曲の全てが新曲に差し替えられている事から、BGMの移植度に関しては今作の方がはるかに勝っていると言えるだろう。
 
賛否両論点
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ボーナスステージのミッション名
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本作に収録されているボーナスステージのミッション内容自体は原作に存在していた「バナナを15つかめ!」が削除された事により前作及びSFC版2と同様の数に減少しているのだが、「コインをさがせ!」以外のミッション名がそれぞれ「ほしを○○つかもう!」「わるいやつらをやっつけろ!」に変更されていて原作からのプレイヤーは若干ながら違和感を感じる。
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ちなみに、本作で行われたボーナスステージのミッション名の変更は携帯機における次回作以降では行われず、基本的に原作そのままのミッション名が使用されている。
 
問題点
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イベント・ギミックの大半がなくなってしまったために、SFC版と比べるとどうしても物足りなく感じるし、ステージの構成も似通ってしまうことが多い。川辺のステージが特に顕著で、中には水中部分には何もないすっからかんなステージもある。
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DKコインを手に入れるには盾にDKコインをはめている「コイン」に後ろから鋼鉄タンクを当てて倒す必要がある。SFC版ではタンクを上に投げることを中心に、見つけてから倒すまでの戦略もあったのだが、上投げが廃止された今作では見つけて後ろにタンクを投げ込み、反射で倒すという最も基本的な方法で倒すパターンがほぼすべて。
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一応、わざと逆方向の壁にあて、タンクよりも先にコインの上に乗ってコインに上を向かせ、遅れてやってきたタンクで横からコインを倒すといった仕掛けがある。
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また、水中ではタンクを投げられないので、SFC版では水中面の最後、ゴールとばればれなコインが置いてある画面に移動し、戦略も何もなくなるという問題点があったが、本作では場面移動ができないためかステージのどこかにDKコインだけが裸で置いてあるという仕組み、つまり水中面だけ『2』仕様に変更され、これが結果として問題点を解決している。
 
 
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チームアップが使えなくなったことで(通常プレイでは)完全にディクシーだけが有利なゲームと化しており、SFC版以上にディンキーの使いどころがなくなっている。
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ディンキーでしか倒せない敵が若干多めに配置されたことでほんのわずかだがフォローされている。
 
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ボスの死に方が変
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スーパードンキーコングシリーズのボスキャラは「ボスの攻撃→終了後こちらにチャンス→ボスの攻撃…」を繰り返し、こちらのチャンス時に規定回数ダメージを与えてボスが倒せる(一部例外もある)のだが、本作では最後のダメージを与えた後、再びボスの攻撃が始まってこれ終了で唐突に倒れる仕様。なにがあったのか?
 
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SFC版以上にストーリーがあってないようなものであり、追加要素の時計は取ってつけたような存在になっている。12個必要なのだが、ラスボスを倒すといきなり残りの6個をもらえてしまう。それなら「ラスボスクリアで○%」とすればよかったのでは…?
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時計を入手するための神経衰弱では同時にDKコインも手に入るため、仮に「DKコインをすべて集める」ということだけがロストワールド行きの条件だったとしても今と何か変わるわけではない。
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本作ではベアーコインのやりくりがカツカツになることもあって、「時計の数を保存するぐらいならベアーコインの数を保存してほしかった」との声もある。もっとも、そうするとテレポート装置の意味がなくなるが。
 
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タイムアタックのステージも12個であることを考えると、時計1つで1ステージのタイムを計っているという設定と思われる。
 
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前述の通り今作はボーナスステージの謎解きが難しいのだが、一部理不尽なものがある。
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入るまで姿が見えていないバレルがいくつかあり、SFC版ではバナナでサインが書いてあったのだが、書いていない箇所が多い。
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一部はクマさんのお店で解説されているのだが、各ワールドの2ステージずつ計12ステージ分しか解説されておらず、一部理不尽とまでいかない箇所の解説もされていることを考えるとフォローしきれていない部分がある。
 
 
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原作では全体マップとワールドマップをいつでも自由に出入りする事が出来た関係でセーブ関連は『2』以前から改善されていたのだが、今作のセーブは『2』以前と同様のいくつかステージをクリアしなければならない仕様に戻されてしまった。
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とはいうものの、ベアーコインが導入されている関係で今作のセーブは原作と同様にタダなのが幸いか。
 
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世界観について。
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エリアとステージやステージタイトル等が全く嚙み合ってない部分が散見される。
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例として「ブリキの渓谷」なる特徴的な名称が登場するが、ブリキ要素はないどころか見慣れたドンキー3のステージである。
 
総評
ゲームボーイというハードスペックの関係でオリジナル版にあったギミックの大半が削除されているため物足りなさが残る点は否めないが、その分オリジナル要素を強化して見事にカバーしている。
なおかつGB末期のお蔵入りソフトを掘り起こし、かつカラー対応で発売した点も見逃せないだろう。
余談
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本作はもともと『ドンキーコングランド2』というタイトルで、GBで発売される予定であった。そのためかGBC専用となったのは日本版のみで、海外版は日本版の3年前にGB・SGB対応作品として発売されている。GBC発売の1年前のことであった。
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日本での発売が大幅に遅れた理由は不明。
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海外版とは、ゲームデモが途中でミスしてしまう点、キャラクターのアニメーションが削除されている点が異なる。これらは間違いなく短所だが、カラー化という大きな長所を得ている。
 
 
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本作のパッケージには同じく当時放送していたアニメ版とのタイアップ商品の一つとして展開していた「ドンキーコングカードゲーム」のプロモーションカード「ディンキーコング」が同梱されていた。
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もっとも、カードゲーム展開はとっくの昔に終了していることから、現在における本作のカード同梱版は発売当時の記念品として扱われている。
 
最終更新:2025年10月20日 01:48