ドンキーコングランド
【どんきーこんぐらんど】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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任天堂
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開発元
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レア
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発売日
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1996年11月23日
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定価
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3,000円(税別)
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2014年4月16日/411円
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/1,000円/F×4・B×1
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判定
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良作
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ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク
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概要
『スーパードンキーコング』シリーズ2作目『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』のGB向けアレンジ作品。
「さらわれたドンキーコングを助けに行く」というストーリーをはじめ基本的なシステムは『2』のものに準じており、やはりコース設計はまったくの別物ではあるが、3作の中では最もSFC版に忠実な内容になっている。
海外版では前作『スーパードンキーコングGB』が『ドンキーコングランド』名義で発売されており、本作は『ドンキーコングランド2』となっている。
そのため、日本版とはナンバリングが一つずれている。
何故素直に前作に合わせて『スーパードンキーコングGB2』としなかったのかは不明。
GBシリーズ3作品の共通事項は『スーパードンキーコングGB』のページを参照。
SFC版『SDK2』との違い
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ステージ名は基本的にSFC版と同じでステージ数もSFC版と同じく39あるが、ステージの構造は簡略化されており、「クラッシュエレベーター」などステージ自体が差し替えられているものもある。
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レベルの構成も変更されており、レベル3「クレムクエイ」のうち、「かいてんタルさんばし」から「しずむナンパせん」までがレベル2「クロコドーム」に、「とげとげタルめいろ」がレベル4「クレムランド」に編入され、「クレムクエイ」のマップとボス・グラッバが削除されている。
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ステージの仕掛けが変更されているところもある。
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例えば「しずむナンパせん」「こおりのみずうみ」はSFC版では下に落ちてもスナップジョーに襲われなければ助かったが、本作ではスナップジョーがおらず、熱湯(マグマ?)に落ちるとダメージを受けるようになっている。
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また本作ではグリマーが登場しないので「くらやみダイビング」ではスイッチバレルに触れる事でライトが付く仕様に変更された。
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各ワールドのクラッバの見張り小屋は削除されているが、本作での見張り小屋は全体マップ上に存在する為、クラッバに逢えないという訳では無い。
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BGMがアレンジされているのは他のGBシリーズ同様だが、本作はさらに一部のステージのBGMが別のステージのものに差し替えられている。
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画面に表示する事が可能なプレイヤーの数が2人から1人に減少した事によって、チームアップができなくなっている。
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アニマルフレンドはグリマー以外すべて登場するが、アニマルバレルで変身するだけで乗ることはできない。
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アニマルフレンドの操作は基本的にはSFC版と変わらないが、ボタンの数の問題でスクイッターのクモの巣に移動用と攻撃用の区別がなくなり、攻撃用のクモの巣を発射したあとセレクトボタンを押すと移動用のクモの巣になる。
また、ランビは後ろからのダメージ判定が無くなり、完全に無敵になった。
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コングファミリーはリンクリーとファンキーのみで、クランキーとスワンキーは登場しない。
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リンクリーの役割もSFC版ではテクニックやボスといった攻略のヒントを得る役割も存在していたが、本作ではセーブのみに変更されている。
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ゴールターゲットでアイテムを入手できなくなっている。
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これに伴いディクシーのギター演奏といったターゲット命中時のアクションがカットされている他、ゴールポスト自体が存在しない事から全ステージのDKコインが道中に配置、及びボーナスステージの報酬として入手出来る様になった。
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ロープを移動する敵のクリンガーをロープを横に移動するだけで倒せるようになった。
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登場キャラクターのうち、「ゾッキー」が「ネッキー」に、「ボス・ゾッキー」が「ゾッキー」にそれぞれ変更されている。恐らく後者の「ボス」という文字がエンディングクレジットの際に使用不可になった事に伴っていると思われる。
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ちなみに、「ゾッキー」は海外版SDK2の時点で「ネッキー」が使用されていた。
評価点
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グラフィックは前作同様、丁寧に描きこまれている。前作で強敵として立ちはだかった背景の表現も控えめで白背景が多くなっており、見やすさが向上している。
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画面下では残機表示と一緒に控えのプレイヤーキャラが表示される様になった為、後何回攻撃を喰らうとミスになるかどうかが分かるようになった。
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BGMも好評。シリーズ屈指の名曲「とげとげタルめいろ」もGB独特の音源で再現されている。静かな曲調だった「こごえるちかすいろ」も、今作では弾むようなアルペジオが追加されてかなり違う印象になっているが、不思議と違和感が無い良アレンジ。
賛否両論点
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ボーナスステージ関連
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前作のボーナスステージの入口は原作の2種類(壁を壊す、タル大砲)とGBオリジナルのロープの3種類になっていたが、今作は原作及び前作から壊せる壁が削除されてしまった事から、ボーナスステージの入口はボーナスバレルと大砲の2種類に減少してしまった。
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また、原作のワープポイントはワールド1とワールド2の2エリアに渡って登場していたのだが、今作ではワールド1のみに減少。
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これにより、ワールド2は各コースで大幅なショートカットする事が行えず、再プレイやタイムアタックの際に煩わしく思う事がある。
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バナナコインの使い道について
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本作では容量の関係でコングファミリーの半分が削除され、バナナコインが必要な必要なメニューがセーブとワールド移動の2つのみになった。
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バナナコインの用途が減った事によってセーブやワールド移動の難点が若干改善されたとも言えるのだが、使用機会の減少により所持しているバナナコインが余りまくる様になったという意見も存在している。
問題点
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「クレムクエイ」の大半のステージを「クロコドーム」に編入したことで、序盤の2面で10ステージもクリアしなければならなくなってしまった。もともと沼地のステージを溶岩地帯のステージに編入するのも不自然さが残る。
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これはおそらく上述の通りグラッバが削除されたためだと推測される。ただそれにしても、もともとステージ数の少ない4面「ダークレム」にもステージを移すなど、もっとやりようはあったはず。
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47枚全てのクレムコインを集めなければロストワールドに入ることすらできない。SFC版のように各レベルから移動できるようにしても良かったのでは?
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全てのクレムコインを払わないとロストワールドに入れなくなった反面、ワールド内のステージの仕様も「現在のステージをクリアすると次のステージが出現する」という通常ワールドと同様の仕様に変更されていて、ステージクリア後に改めてロストワールド入り直す必要が無くなったのは救い。
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また、全てのクレムコインを払うという事は、「ロストワールド以外の全ステージ及びボス戦を制覇した」状態でロストワールドに入る事でもあり、この事からロストワールド自体も「ゲームクリア後の隠しワールド」という事が更に強調されていると言えるだろう。
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ちなみに、クラッバの見張り小屋では「モンキーパンチをぶちこむ」というお遊び項目が削除されているが、コインの数が足りない状態でグラッパと会話した際に表示されるセリフにお遊び要素が移ったと言える。
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DKコインの配置について
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あるステージではDKコインが必ず通らなければならない場所に置かれている。別に困ることではないが、あまりにも適当すぎる。
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また、あるステージではスクイッターに変身してから逆走しないと取れないDKコインやボーナスバレルも存在する。
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この他にもあるステージでは、ボーナスステージの出口にDKコインが配置されている。今作は上述の通りボーナスの制覇がロストワールドに入る条件になっているのだが、ロストワールドに入りたいのなら必ず1枚DKコインを取らされるハメになってしまう。
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クモのスクイッターを操作するシーンの難易度が上昇。
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今作はSFCの十字ボタン+4ボタンを十字ボタン+2ボタンに落とし込んだ操作方法になっているのだが、特にボタン数の減少の弊害を受けているのがスクイッターとなっている。
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SFC版での移動用のクモの巣の速度は比較的ゆっくりで巣を張るボタン自体も比較的押しやすい位置に存在していたのだが、本作ではクモの巣の性能が統一された上に巣を張るボタンもABからかなり離れたセレクトで押しづらい。操作が煩雑になってしまった事によりスクイッターのシーンの難易度も上昇してしまった。
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スプライトの関係か、クモの巣も2つ目を貼ると1つ目のがすぐ消えるようになるので、急いで次のクモの巣に移る必要がある。
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携帯機故に仕方が無い事だが、次回作でもこの点は引き継がれていて、携帯機でSFCと同様の操作が可能になるのはボタン数が増えた次世代ハードのGBAになってからである。
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一部の曲がカットされたり差し替えられたりしている。中には「鉱山」や「森」などのゲーム屈指の名曲などもあり、容量や再現性の関係上であるからとしても残念である。
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また、1-1で使われた甲板ステージの曲が以降の甲板ステージで使われておらず、ずっと「ダイビング」ステージの曲が使われているという選曲ミスがある。
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「ダイビング」の曲は序盤での使用頻度が高く、特にワールド1では最初の「パイレーツ パニック」以外の全てのステージで使われている。一方で3面以降では一切登場せず、流石に選曲が偏りすぎな感は否めない。
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他の曲も同様にかなり登場時期が偏っており、楽曲削除は仕方ないにせよもう少し配分をバラした方がよかったのではと悔やまれるところ。
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ボス戦の曲も「けっせん! キャプテンクルール」の1曲のみになってしまっている。もっともアレンジのクオリティは高く、原曲の人気も高いのが救い。
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スペック上仕方ないのかもしれないが、「きりのもり」「タイヤジャングル」はそのステージ名に反して霧・タイヤが一切ない。
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他に同じような問題があったのかギミックの大幅変更されたステージは「ゴーストコースター→クレイジーコースター(幽霊が居ない)」や「クラッシュエレベーター→ダンジョン・デンジャー(エレベーターが無い)」と別名になっている。なぜ変えなかったのか…。
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上記の2ステージは海外版でも名前が変更されていたが、一方で日本版の「きりのもり」「タイヤジャングル」にあたるステージは英名に削除されたギミック要素がなかったため、タイトルがそのままだった。そのため日本語へのローカライズ時に見落としが発生したものと推測される。
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しかしクレイジーコースターに関してはクレムランドの使いまわしなためお化けの出る館に遊園地があるというこれまた不自然な光景が出ている。
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一方で、「どろどろクロコジャンプ→クロコヘッドクライマー」、「クロコジャングル→クロバーおおあばれ」というようにギミックがほとんど変更されていないが名前が変更されているステージもある。
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他にも「スクリーチレース→スクリーンレース」「アニマルランド→アニマルライド」といった誤植も存在する。
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「アニマルライド」は原作SFC版の公式攻略本の時点で誤植されていたため、それをそのまま引き継いでしまった可能性もある。
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詰みの可能性がある。
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敵キャラの「クランチャ」はSFC版から仕様が変更されており、触れた後も動き出すまではミスにならず、再び同じモーションで弾かれる。
この変更により、すぐ後ろに壁がある状況だと延々と弾かれ続ける無限ループに陥ってしまう。
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この状況に陥ると操作不能となるため、ステージをクリアしていない場合はリセットするしかなくなってしまう。
総評
オリジナル色が非常に強かった前作から一転、ステージ名や音楽はおろかステージ内のギミックやボスキャラの挙動まで出来るだけスーファミの名作をスペックの劣るゲームボーイで再現した力作。
余談
最終更新:2024年12月04日 12:47