妖魔忍法帖

【ようまにんぽうちょう】

ジャンル アクションシューティング+シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 日本物産
稼動開始日 1986年10月
配信 アーケードアーカイブス
【Switch】2024年7月4日/838円(税10%込)
【PS4】2024年7月4日/837円(税10%込)
判定 なし
ポイント 里見八犬伝のオマージュ
かなり短く一周クリアが可能


概要

深作欣二監督の映画「里見八犬伝」*1をオマージュしたような世界観が特徴のシューティング色の強いアクションゲーム。 妖怪や忍者などの猛攻を掻い潜り、悪霊軍団によってさらわれてしまった姫を助ける為に、忍者である主人公が活躍するというストーリー設定。
ゲーム性やプレイコンセプトは、同年6月にニチブツからリリースされた『聖戦士アマテラス』に似ている。

主なルール

  • 1~2人交互プレイ用。場面転換は多いが、ステージの区切り方がややこしい。周回ループ制。
  • 場面の転換は、
    • 雲に乗って空中を進む
    • 地上に降りて徒歩で進む
    • お堂の中の暗闇の空間(巨大なカエルのボスがいる)
    • 再び地上を進み海へ辿り着く(ここでステージクリアのBGMがある)
    • 船で海上を進む
    • 陸地に到着して石造りの階段を登る(ステージクリアのBGMあり)
    • 壁で区切られた複雑な地形を進む(ステージクリアのBGMあり)
    • 溶岩地帯(巨大な骸骨のボスがいる。ステージクリアのBGMあり)
    • 敵の本拠地前での戦い(浮遊する巨大な女性から蝙蝠に変身するボスがいる。ステージクリアのBGMあり)
    • 砂漠地帯
    • 何層もの階段を越えて敵の本拠へ(巨大な蛇のボスがいる。倒すと姫を連れてさらに奥へ進む。ステージクリアのBGMあり)
    • ラスボス(玉梓)戦。倒すと10万点のボーナスが入る。エンディングは無く、そのまま最初に戻ってループ)
      • 場面の長さはまちまちで、ステージボスやステージクリア演出は全ての場面には存在せず、どこからどこまでがステージの区切りとして数えられるのかはわかりづらい。
  • 使用コントローラーは8方向レバー+2ボタン。レバーにて主人公の八方向移動、各ボタンはショットと忍法発動/種類切り替え(以下忍法ボタン、詳細は下記にて)に使用する。
    • レバーにて移動と共に主人公の向きを調整し、ショットボタンにてその方向に直進型の矢(通常攻撃)を放てる。なお、本作はデフォルトで連射機能がついており、ショットボタン押しっぱなしにて常時攻撃が可能となっている。
  • ときおり登場する観音像に主人公が触れると巻物が出現、それを取る事により忍法技が使用可能となる。忍法使用状態になったら忍法ボタンを押して効力を発動し、約20秒の制限時間の間において忍法が撃ち放題となる。
    • 忍法とは他シューティングでいうところのサブショットにあたる存在で、ショットボタンを押すと通常攻撃と同時に忍法が放てる。忍法は全部で8種類存在し、忍法発動中にて忍法ボタンを押す毎に使いたい忍法を選ぶ事が可能。
    • 忍法の制限時間が0になるか、巻物取得(忍法発動)中に敵ダメージを食らうと、忍法の効力がなくなり通常攻撃のみのショットに戻ってしまう。
    • なお、巻物(忍法)取得時では観音像は絶対に出現しない。よって、巻物の複数ストックは仕様上不可能となっている。その逆に、巻物(忍法)を所持していない場合は即座に観音像が出現するようになっているので、極端に戦況が不利になる事も少ない。
      + 忍法の説明
    • 手裏剣
      • 巨大な貫通手裏剣を全方向に飛ばす*2。貫通力と当たり判定が大きいので雑魚敵を殲滅するのに向いている。横移動時にも前方に手裏剣を飛ばせるので敵の攻撃が激しいときでも十分有効。
    • 煙幕弾
      • 前方に煙幕爆弾を発射後、8方向に破裂する。爆発の範囲は広いものの自機手前がガラ空きなので扱いが難しい。
    • 火竜
      • 3個の火の玉を自機の周囲に回転させる。攻撃範囲が狭いのが難点。
    • 光の矢
      • 自機の標準ショットである矢が貫通する矢に強化される。当たり判定や連射能力にも秀でており、道中/ボス戦問わずオールマイティに使える。
    • 大砲
      • 前方に向けて4つの砲弾を撃つ。攻撃範囲はやや広いものの貫通しない単発攻撃なので扱いにくいところが難点。
    • 津波
      • 前方に広い範囲で津波を起こす。一部の敵及びボス以外に対しては貫通能力を持っているため使いやすさに秀でている。よく見ると波自体は4つに分かれているが「波1つにつき1ダメージを与えられる」という性能を持ち、ボス戦では波1発を全部当てると4発分のダメージになるので特に重宝される。
    • 竜巻
      • 自機の周囲に竜巻を6個召喚する。左回りに公転しながら動き、敵にぶつけるとダメージが入るが一部の敵やボスに当たると消えてしまう。攻撃範囲が広いので道中ではかなり使える。
    • 光の剣士
      • 光の剣士を2人召喚して、光の矢で援護射撃をしてくれる(要はオプション)。自機の向いている方向に少し遅れて追従する動きをするのでコントロールには少々難あり。
+ 隠しボーナス
  • 血の池に入る前のシーンに墓石が置いてあり、墓の池に映る月が白く点滅している間に中央の墓石を撃つと不死鳥が出現して画面内の雑魚が全滅する。更に出てきた不死鳥を撃つと10000点のボーナスが入る。
    • しかも時間をおいて条件を満たせば何度でも出すことが可能。尚、墓石を撃つ方向はどこからでも良い。
  • ゲーム冒頭で静姫をさらった二頭怪蛇ベギド(前述の巨大な蛇のボス)を撃破後は救出した静姫を連れて進んでいくが、実は静姫を連れている間は倒した雑魚の得点が2倍になる。
  • 原則として任意移動のアクションパートが主だが、場所によっては強制スクロールによるシューティングパートもある。基本的な操作はアクションパートと同じだが、主人公の方向に制限がかかる場面もある。また、画面先頭に自機を移動させると少しだけスクロールスピードが早くなる。
  • ボスがいる場面はそいつを倒せば、いない場合は指定された出口に進めば次のシーンに進める。但し、概要の項でも述べた通り、ステージクリアの概念が存在しないゲームなので、常時シームレスにステージが進行する事となる。
  • 残機制の戻り復活ですべてなくなるとゲームオーバー。ミス条件は「主人公が巻物(忍法)を所持していない状態で敵ダメージをもらう」「アクションパートにて溶岩などの落とし穴に落ちる」の2つ。

評価点

  • 和風ホラー+時代劇テイストなグラフィック
    • 味わい深く、敵デザインがキモい&かっこいいものが主流となっている。溶岩地帯に出現する巨大ガイコツや、ラスボスである玉梓の巨大生首などのデザインは今見ても気持ち悪さがよく出ている。
  • いわゆるニチブツサウンドと呼ばれる、キンキンのBGMもかっこいい。
    • コンポーサーはニチブツではお馴染みの吉田健志氏。
    • 但し、開発中の時点ではリズムパートが存在していたのだが製品版ではその部分がカットされている。
    • これについて吉田氏の回想では「曲が完成しても社長には「前のと似ている」とよく言われ、(これまで手掛けた作品でも)大抵は知らぬ顔で通していたが、『妖魔忍法帖』に関してはあまりにも言ってくるものだから違いを見せるためにリズムパートをカットした」と述べている。*3*4
  • 慣れてくると遊びやすい難易度
    • 下記のように慣れるまではきつめの難易度だが、巻物による忍法が強力(使い方によってはボスを瞬殺できる場合がある)な上に、ダメージ時のシールド効果も果たし、効力が尽きればすぐに巻物が出現する親切さなので、それを利用すれば割と強引に先に進む事が可能。慣れてしまうと難易度は低めである。

問題点

  • 慣れるまでは少々厳しい難易度
    • 全体的に敵の出現率が半端じゃない上に無限に沸いてくる為、それを対処するのに精一杯な状況に陥りやすい。よって少しずつ先に進むようなプレイはほぼ自殺行為であり、嫌でも急ぎ足で進む事が要求されるゲームになっている。
    • また主人公のやられ判定が大きめで、敵が遠慮なく弾をばら撒いてくる場面も少なくない為に、プレイ状況によっては強制ミスに陥りやすい。
  • ボリューム不足
    • ステージ構造全体がさほど長くなく、上記にも述べた急ぎ足プレイ必至な件もあり、熟練を要すると一周までの攻略時間は10分位でクリアできてしまう
  • 一部の箇所で永久パターンが存在する。
    • その為、アーケードゲームとしては回転率の悪さに繋がってしまっている。

総評

ゲーム自体はさほど凄い出来でもないが、テンポ良くさくさく進め、クリアへの道のりもさほど遠くないと思われる一作。魑魅魍魎なる妖怪どもに囲まれつつも、8つの忍法で豪快に奴らを粉砕していくのもまた一興。


その後の展開

  • 家庭用移植は一切行われていなかったが、2024年7月4日よりアーケードアーカイブスの1作品としてプレイステーション4とNintendo Switchにて配信が開始。稼働から約38年越しでの初移植となった。
    • 当初は日本版のみ収録だったが、2024年9月のアップデートで海外版『NINJA EMAKI』が追加された。
最終更新:2024年09月25日 15:51

*1 原作は鎌田敏夫の『新・里見八犬伝』

*2 実際は自機の向きに対して真横に飛ばしているので、向きを細かく変えながら撃てば実質全方向に飛ばせる

*3 CD-BOXサントラ「ニチブツシューティングサウンドボックス」(クラリスディスク)付属のブックレットに掲載されている吉田健志氏のインタビューより

*4 ちなみにリズムトラック入りのバージョンは前述のCD-BOXサントラ及びサイトロン・レーベルから発売された「GAME SOUND NICHIBUTSU -G.S.M. Nichibutsu 1-」にどちらもメドレー形式で収録されている。