がんばれギンくん
【がんばれぎんくん】
ジャンル
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パーティーゲーム
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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テクモ(現・コーエーテクモゲームス)
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稼働開始日
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1995年9月
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プレイ人数
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1~2人(同時)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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知る人ぞ知る「テクモのご乱心」
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概要
2人同時プレイ可能のミニゲーム集。当時放送されていたテレビ番組「ウゴウゴルーガ」で見られたふにょふにょ動く線画アニメの描写法で描かれたキャラが動き回る。
妙にリアルなキャラクターがステージ表示イラストで描かれていたり、ダルマの様にゲーム内に登場する者もいるので非常にシュール&カオスな世界観となっている。
システム
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全16種類のミニゲームを1レバー1ボタンでプレイする。ゲームによってレバーだけ、ボタンだけしか使わない物もある。
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スタートするとまずコース選択画面になる。
やさしいコース:ゲキトーTV Theつらい
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全4ラウンド
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ふつうコース:どんまい学園 涙もの
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全6ラウンド
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きついコース:緊急出動!ぶらり旅(スパイもの)
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全8ラウンド
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コースを選ぶと各タイトルに沿ったストーリーが始まり、各ラウンド開始前にストーリー上の二択を選んだ後、ミニゲームの選択になる。
ランダムで選ばれた4種類のミニゲームから一つを選び、必要数のゲームをクリアすればラウンドクリアになり、ストーリーの続きが見られる。二人同時プレイ時にはどちらかがクリアすればOK。
これを繰り返して各コース毎の規定ラウンドをクリアしていき、最終ラウンドをクリアすればエンディング。
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ライフ制でミスするとライフが減り、無くなるとゲームオーバー。たまにゲーム選択時にクリアするとライフが増える「チャンスゲーム」が現れる。
登場キャラ
デモ画面で紹介される。
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ハム:2Pキャラ。よいカエル。何故カエルなのかは謎。
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ガツガツ:ワルモノ。ギンとハムを痛い目にあわせるのが仕事。ミニゲームでの敵役・妨害役を担当。
ミニゲーム
全16種類。
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以下、wikipediaより解説引用
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以下、五十音順。
制限時間のカウンターが表示されるものは「時」、一定数のノルマ達成を求められるものは「ノ」、カウンターの表示がなく1回のみのプレイとなるものは「一」と、それぞれ括弧内に記す。
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赤ちゃん危機一髪(時)
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横一列で海へ向かって這っている8人の赤ちゃん達に対し、後ろからガラガラを鳴らして手前へ呼び戻す。海上からはガツガツもガラガラを鳴らし、一部の赤ちゃんの加速を図ってくる。制限時間内に赤ちゃんを一人でも海へ入れてしまうと、母親に殴り飛ばされる。
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牛と赤マント(一)
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闘牛士の格好で牛の突進をかわす。レバー左右で2ヶ所から位置取りを決め、頭上に「オーレ」の合図が出たらボタンを押してマントを振る。
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オレとジャンプとメタンガス(一)
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走り幅跳びで肥溜めを跳び越える。レバーの回転でパワーを溜め、ボタンで跳ぶ。
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カレーの王様(時、ノ)
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頭上にカレーの器を乗せた王様の周りを空中浮遊で周回する。上昇にはボタン連打が必要。クリアすると、王様からカレーを分けてもらえる。
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くまちゃんムチの味(時)
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玉乗りをしている6頭の熊の中から、ふらついているものをムチで叩いて姿勢を直す。ふらつき始めた熊は叩かれるまで黄色く変色する。
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制限時間内に熊を玉から転落させると、これに襲われて食べられる。
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ゲッターギン(一)
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自分の頭を上空まで打ち上げ、吹き出す息で落下点を制御し、地上で左右に動きながら待つ身体に受け止めさせる。
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失敗すると、ラモス瑠偉風のキャラクター・らもが地上に落ちた頭をドリブルで運び去る。
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しかってしかばね(時、ノ)
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墓場で踊る12体のゾンビ達の中から、振り付けを間違えているものを見つけて棍棒で殴る。
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目標となるゾンビは常に一度に1体のみであり、誤って正しく踊っているものを殴るとこれに食べられる。
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大砲でドン(一)
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ガツガツと向かい合わせに大砲を構えて待機し、郷ひろみ風のキャラクター・ひろみから「GO」の合図を受けたらボタンの早押しで大砲を撃つ。
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合図には「COOL」や「COW」などのフェイントも混じるほか、合図とともに流れる肉声も正解のもの以外は高めの音程となる。
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ミニゲーム内でガツガツと直接対決をして倒すことができる貴重な瞬間。だがそれだけに負けると非常に腹立たしい。
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だるまさんのふんどし(時)
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ふんどし姿の片目のだるまに向かって、「だるまさんのふんどし」の台詞が段階的に表示される間だけボタン連打で前進する、いわゆる「だるまさんが転んだ」風のゲーム。クリアすると、だるまに目を書き入れることができる。
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台詞の表示速度は不意に速くなる場合もあり、誤って表示が完了した状態でボタンを押すと、だるまから怪光線を撃たれて自分がだるまに変身する。
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つりばか必死(時)
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海上にて魚釣りに挑む。レバーの回転でリールを巻き上げ、抵抗されたらボタン連打で釣り竿を引く。操作の切り替えは画面の指示に従えばよい。
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泣いてないよフラメンコ(時、ノ)
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頭上から踏みつけてくる巨大なハイヒールの足をミサイルで迎え撃つ。ミサイルは設置から発射まで若干の間があり、発射の前に踏み潰されると無効。踏みつけはヒールとつま先の間に入っても回避できる。
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ふとうでしとう(一)
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ニワトリ型のバイクで直線道路を走り、指定のラインより先から海へ転落するまでの間に停車を図る、いわゆるチキンレース風のゲーム。
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ベルギー消防団(ノ)
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小便小僧に変身して、ガツガツに点火された爆弾の導火線の消火を狙う。変身は何度でも可能だが、ボタン入力から変身までには若干の間があり、変身中は放水(放尿と見ることも可)が一定時間に渡って自動的に行われる。
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失敗して爆弾を爆発させると、眼前の水面から飛び出したワニに食べられる。
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ユキヤマン(一)
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雪だるまを作る熊の集団を避けながら、スキーでゴールまで滑走する。
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熊はその場から動かないが、誤ってこれに激突するとゲレンデを転げ落ち、怒って追いかけてきた熊に襲われる。
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ラッコさん部隊(時)
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多数の鮫が泳ぐ海上にて、近くに浮かぶラッコの子供を数回に渡って息で吹き飛ばし、母ラッコのもとへこれを送って救援を求める。
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吹き飛ばす距離は変動するゲージをボタンで止めた瞬間の長さで決まり、特に最大値で止めるとその距離が通常以上に長くなる。
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ロケットずし(時、ノ)
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回転寿司の店内にて、次々と流れてくる寿司から指定のものを取って食べる。目標はその都度入れ替わるほか、それ以外の寿司は全て超ワサビ入りとなっており、誤ってこれを食べると画面中を飛び回ったのち爆発する。
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難易度が上がると寿司の速度の上昇に加えて、他の客も店内に増えてプレイヤーの視界を遮る。
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バカゲー要素
とにかく世界観が独特過ぎる。
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デモ画面の段階で既に客をふるいにかけている。取り敢えず遊んでみた人がいたとしても何度もお金を入れてもらうには、このノリと波長が合わないと難しい。
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また、コンティニュー待ち画面のメッセージは「1.ライフがたくさん 2.とても簡単になる 3.すてきなおもいでになる」と表示される。
3は何を狙ってるのかという謎っぷりもこれを象徴している。
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ストーリーなんてただの飾り。
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幕間のストーリーはヘタウマ4コマ漫画のノリ。しかもやさしいコースは全編ダジャレオチ、それ以外はクリア後は「やったぜ」という一枚絵が出るだけで、前半で話にオチがついている(しかも全部ガツガツにいじめられるだけ)。
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二択を選んでもオチがちょっと違うだけでゲームに何の影響も無い。エンディングも一枚絵にちょっとしたメッセージが出るだけ。
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看板に偽りありなキャラ紹介。
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ギンとハムはやさしいコースでこそただの被害者だが、ふつうコースではサボり癖のある学生、きついコースではサボり癖のあるダメスパイで「よいひと(カエル)」とは言い難い。
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ガツガツもやさしいコースではワルモノと言えるが、他のコースではダメな生徒や部下に手を焼く教師や上官であり、指導法がすぐ暴力に訴える点以外はワルモノと呼ぶには違和感がある。
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だが、ミニゲームの中では基本的に敵・悪役・妨害担当・攻撃対象などのポジションを務めており、これらの役回りを総称して「ワルモノ」と呼ぶのは言い得て妙。ミニゲーム開始時・失敗時の台詞もワルモノらしい味を出している。特に何の理由も説明せず肥溜めに叩き落とそうと追ってくるやつとか。
評価点
問題点
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タイミング重視のゲームが多い。
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いわゆる「目押し」。ミニゲームにはよくある方法だが、16種類中7つがこれに当たるので、このタイプが苦手だと手詰まりになる可能性が高くなる。中には「レバーを回転させてゲージを貯めながら」とか「牛が突進してくるのを左か右に避けながら」という具合に他の作業と同時に行う必要がある物や、フェイントを織り交ぜてくるゲームもある。
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アクション性重視のゲームばかりで、文字探しのような思考型、神経衰弱のような記憶型の頭を使うタイプのゲームはほとんど無い。
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間違い探しの『しかってしかばね』くらいしかないのでバリエーションが乏しく感じられてしまう。
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ミニゲームが4種類からしか選べない。
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全16種類のうちランダムに選ばれた4種類から一つを選択するシステムなので、苦手なタイプのゲームしか選べない状況になったら苦戦必至。ゲームの入れ替えは選んだゲームをクリアしないと行われないのでほぼ詰んでしまう。
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特に難易度が上昇していると大抵の人はそこで諦めてしまう。コンティニューするとランクが下がるが、お金を入れてまで苦手なゲームにまた挑戦しようと思う人は相当鍛えられたプレイヤーである。
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16種類中4種類から選択というシステムはアーケードのミニゲーム集の嚆矢である『タントアール』も同じであるが、そちらは思考型や記憶型などゲームのバリエーションが本作より豊富なので、同様の問題が起こる可能性は本作より低い。3つ集めるとライフが増えるアイテムをもらえるラッキーゲームが随時出たり、ラウンドクリア毎にライフが増える簡単なミニゲームがあるのも大きい。
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デモ画面で激しい明滅がある。そのため今では完全移植は不可能だと思われる。
総評
一目で判る『狙って作られたバカゲー』。デモ画面で落書きのようなキャラがわちゃわちゃ動く画面を見て、どれだけの人がお金を入れてみようと思っただろうか。当然ながら出回りも悪く、入荷しても消えるのも早かったため、知名度は非常に低い。
しかし、そこは腐ってもテクモ。ミニゲーム集としてはちゃんと作られているので、勇気を出してプレイしてみると意外と楽しい事に気づく人もいたようで、この独特過ぎる世界観にたまたま波長が合ってしまい、魅入られた人も少数ながら確かにいた模様。
好きか嫌いかは置いといて、ゲームセンターに一瞬だけ咲いた奇妙な徒花として一部の人の間で今なお語り継がれている(らしい)。
余談
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本作は不良在庫基板の償却のための企画で、内輪ウケが素晴らしく開発中の社内評価は物凄く好評だったため、その評価を真に受けた上層部が自信を持って営業にかけ、ロケテストのインカムを見て我に返った、と書籍『悪趣味ゲーム紀行』にて語られている。
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当時のテクモはゲーム開発だけではなくAC基板の総販やディストリビューション事業も手掛けていることから自社製品以外にも他社から仕入れた基板が1,000枚単位で残ることもザラであったという。そういった中で「基板償却のための転用」として作られた作品も数多くあり、テクモ作品では『クイズココロジー』、『でろ~んでろでろ』、『脳力向上委員会』などが該当する。さらには名作である『スターフォース』も元々は1983年に稼働した『SENJYO』の基板を転用するための企画として作られたものである。
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本作は『ファイナルスターフォース』の基板から転用されているのだが、実は『ファイナルスターフォース』もNMK発売・テクモ開発で1992年に海外でのみ稼働した『雷軋斗』(ライアット)の基板からの転用であり、「2回転用された基板」という珍しい代物である。
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ギンの名前は開発スタッフから取っているほか、ハムや他のキャラも開発スタッフがモデルとなっている。
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かなりのマイナー作品だが、サントラCDが発売されている。当時はポニーキャニオンのサイトロンレーベルに『G.S.M 1500シリーズ』というシリーズがあり、主にアーケードゲームの1~2タイトルを1,500円という安価で多数発売しており、その波に乗っかれたようである。
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サウンド担当は花岡拓也氏。PC-98のゲームから業界に関わっている古参である。ただしご本人のブログによれば「代表作は間違いなくスーパーロボット大戦α」。
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2014年6月に発売された『テクモ・アーケードゲーム・クロニクル』という10枚組(うちCDは7枚)のCD-BOXにも収録された。『「がんばれギンくん」のハムくん役を演じた“中の人”が、本企画の為に19年振りに録り下ろしたトラック』との事。
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「ふとうでしとう」のBGMは同社の『ファイナルスターフォース』の1面ボスBGMを流用している。本作での曲名も「FSF?!」である。
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「ギン」と「ガツガツ」は同社の『モンスターファーム』にラクガキ種のモンスターとしてゲスト出演している。体の線が縄のような立体感を得て3Dっぽくしてある他、ミニゲーム中の動作が必殺技として使用されている。
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ゲストキャラではあるがステータスの成長率は低めであり性格もふまじめ、良点はガッツ回復の早さくらいと性能は悪く、元ネタを知らない人には「カッコ悪くて弱いだけのいらないキャラ」扱いをされることに。誕生時に神官からも「一部のマニアには受けるだろうけど大成は難しい」とまで言われてしまう。自虐ネタ、ここに極まれり…か?
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尚、上記紹介した今作のサントラをモンスターファームで読み込むと当然ながらギンこと「ラクガキ」が登場する。ちなみにガツガツこと「ラクガキツー」は何故かPSの『パラッパラッパー』から登場する。
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一発ネタだったのか『モンスターファーム2』では代価モンスター無しでリストラされた。
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しかし『モンスターファームアドバンス2』ではまさかの復活参戦。更に『4』や『DS』には「ニセラクガキ」なるセルフパロディも登場している。
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同じミニゲームを失敗せずに2回以上クリアすると、クリアしたミニゲームに応じてプレイヤーのクレジット状態の小窓に称号が表示される。
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例:つりバカ必死→「人魚つり」、しかってしかばね→「しの教官」、ベルギー消防団→「とばしや」 等
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本作にはスコアの概念がないがランキング画面が存在する。何をランキングの基準にしているのかというとコンティニュー回数が多い順という代物である。「金を注ぎ込んだ者が上位」というのもある意味この作品ぐらいであろう。
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上述のコンティニュー画面の「3.すてきなおもいでになる」はこれのことを指しているのではないか?という説もあるが真相は不明である。
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長らく他ハードへの移植はなく、今後もされる可能性は低いと思われていたが、ハムスターの『アーケードアーカイブス』シリーズにて本作の配信が決定した(参照)。稼働25年目でまさかの初移植決定である。このシュールで独特すぎる世界観を手軽に味わえる日が来るのはそう遠くないかもしれない。
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しかし発表から4年経過した現在でも配信日は未定の状態が続いており、ファミ通の発売予定リストには長期間未定の状態で掲載されている。
2024年2月1日配信の「第462回アーケードアーカイバー シルクワームスペシャル!」にて続報があり、「表現の方法に問題があり、今これを出していいものか?」という理由でリリースへ中々漕ぎつけない状態が続いているとのこと。
最終更新:2024年08月15日 16:56