Mortal Kombat X
【もーたるこんばっと てん】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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プレイステーション4 Xbox One Windows
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発売元
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Warner Bros. Interactive Entertainment
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開発元
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NetherRealm Studios
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発売日 |
【Win】2015年4月13日 【PS4/One】2015年4月14日
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レーティング
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ESRB:M(17才以上対象)
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備考
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日本未発売
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判定
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良作
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ポイント
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前作をベースとしたナンバリング作品 過激さ&スピード感をブラッシュアップ ゲストキャラは相変わらず豪華
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Mortal Kombatシリーズ
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概要
海外で絶大な人気を誇り、日本でもコアな愛好者が存在する『モータルコンバット』シリーズの10作目の本編。
前作からおよそ25年後の世界を舞台にしており、その影響か新キャラに歴代キャラの間で生まれた子供がいるなど時代が進んでいる要素が含まれている。
タイトルの「X」は「エックス」とも呼ぶが、本作のそれはローマ数字の「10」を意味しているものであるため、事実上のナンバリング復活となっている。
新システム
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3つのバトルスタイル
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バトルスタイルの切り替え自体は『Deadly Alliance』の頃から存在していたのだが、本作では「キャラクターセレクトの際にバトルスタイルを選ぶ」と言うシステムになっている。
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スタイルによって一部の通常技やスペシャルムーブがスタイルに応じた異なるものになる。例えばスコーピオンなら刀を使って戦う「NINJUTSU」と、火球や地獄の炎を使って戦う「HELLFIRE」に加え、地獄からデーモンを呼び出して戦う「INFERNO」がある。
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スタイルに応じてキャラクターの衣装や装備品の一部が変わるため、自分や相手がどのバトルスタイルで戦っているか一目瞭然となる。
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FACTIONシステム
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いわゆる「組織システム」の事である。本作に登場するキャラクターたちが所属している組織に加入し、世界中のプレイヤーから勢力を集めて不定期に開催される「FACTION WARS」の結果に反映させると言うシステムとなっている。
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FATALITYの際に各FACTIONに応じたトドメ技「FACTION KILL」を使うことができる。発動コマンドはFATALITYより簡単だがボーナス点はFATALITYより低くなってしまう。
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FACTION WARSで自分の組織が一番になれば新たなFACTION KILLやゲーム内で使えるアイコンなどがもらえる。一番にならなかった場合でもコインを貰うことができる。
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BRUTALITY
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BRUTALITY自体は『UMK3』や『トリロジー』にもあったが、本作では「特定の条件でスペシャルムーブを出すとその技で相手にトドメを刺す」と言うシステムになっている。
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成功すると不気味なSEと共に技のモーションが変わり、相手も首がすっ飛んだりミンチになったりする。いわば「スペシャルムーブを使った即席FATALITY」である。
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発動方法はやや難しいものの、ボーナスはFATALITYより高くなる。
評価点
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前作からさらにブラッシュアップされたシステム
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スーパーメーターやX-RAY MOVEなど基本的なシステムは前作を踏襲しているが、本作ではキャラクターの動きが更にきびきびとしたものになり、より思い通りに技を繰り出すことが出来るようになった。
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X-RAYについては全体的にダイナミックかつ過激になりながらもよりキャラクターの個性が出ている技になっており、キャラクター面の掘り下げにも一役買っている。
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より良心的になった難易度
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本作ではラスボス含めて全キャラに投げ技を決めることができ、前作であったような防御力補正も無いため、初心者でもTOWERモード(前作におけるLADDERモード)やストーリーモードをサクサクと進めることができる。
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全体的に「MEDIUM」までの難易度なら格闘ゲームが苦手なプレイヤーやシリーズ初心者でも頑張ればクリアできる程度に抑えられている。
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ただしヌルくなったと言うわけではなく、「HARD」以降の難易度ではどの敵も容赦なくコンボやガードを駆使して戦ってくるため、上級者でも歯応えのある戦いを楽しむことが出来る。
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戦略性の高いバトルスタイルシステム
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同じキャラクターでもスタイルの変更によって使い勝手がガラッと変わるものがあり、「このスタイルではどう戦うか」「どの技が強力か」といった戦略性の向上に一役買っている。
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これによりキャラクター毎により多彩な戦い方が出来るようになっており、一辺倒な戦いになりにくくなっている。とりわけ対人戦ではキャラ毎の弱点を見透かされにくくなる効果もある。
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次世代機進出にふさわしい進化を遂げたグラフィックと、それを活かした凄まじい残虐描写の数々
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ゲームエンジンは前作と同じくUnreal Engine 3を使用しているが、PS4/One世代に合わせたカスタマイズを施したことでグラフィックは前作から飛躍的な進化を遂げている。キャラクターが着ている服の質感はもちろんのこと、ステージの背景のオブジェクトも細かく作り込まれている。
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もちろん「中身」の描写も凄まじい程リアルに作り込まれている。FATALITYやX-RAY等の際に「それら」が容赦なく飛び散る様は歴代シリーズで耐性をつけたモータリアンも思わず身をすくめること間違いなし。
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前述の「BRUTALITY」もFATALITYに負けず劣らずのエグさを誇る技が揃っている。
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グラフィックのみならずキャラクターのモーションの一つ一つも非常に格好良く作られており、見ていて飽きない。
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豪華なゲストキャラクター
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『13日の金曜日』からジェイソン・ボーヒーズ、『悪魔のいけにえ』からレザーフェイス、『プレデター』からプレデター、『エイリアン』からゼノモーフと誰もが一度はその名を聞いたことがあろうホラー・SF映画のビッグスターたちがこれでもかと言うほど参戦している。ゲストキャラクターについては本編発売の約1ヶ月後にリリースされたDLC『Kombat Pack 1』と本編から約1年後にリリースされたDLC『Kombat Pack 2』導入後に使用可能となる。
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とりわけエイリアンとプレデターが本作にて共演した事については『エイリアンVSプレデター』の再来と歓迎するファンも多い。ジェイソンに関しても自身がチェーンソーを使うと言う誤解を植え付けた因縁の(?)レザーフェイスとの参戦が実現したというニクいものになっている。
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本作のゼノモーフは本シリーズの登場キャラクターの「バラカ」に寄生したと言う設定になっており、彼の特徴である鋭い牙や腕に仕込まれたブレードが再現されている。
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原作再現も豊富で、原作を知っているファンなら思わずニヤリとする要素も。
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そしてもちろんと言うべきか、このビッグスター達に対しても容赦なくFATALITY等で血祭りフィニッシュしたりキャラクターの原形をとどめない程ミンチにしたりといったことも可能。ゲストキャラクターとて手加減は一切無い。
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探索要素の増したKryptモード
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シリーズお馴染みの隠し要素を収集するモードだが、本作では大きく分けて「Dead Wood」「Spider Tunnel」「Shao Khan's Tomb」「Nether Realm」と4つのステージに分かれた墓地を探索すると言うモードになっている。
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これまではただコインを使って墓や棺桶を荒らして要素を収集すると言う単調なものだったが、本作では迷路のように入り組んだステージを道中で入手できるアイテムを駆使しながら攻略すると言うシステムとなっており、1つのダンジョン攻略型ゲームのような楽しみ方が出来るようになった。
賛否両論点
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Kryptモードのモンスターについて
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「Nether Realm」を除く3ステージでは道中モンスターに襲われるシーンがあり、画面に表示されるボタンを押して倒すことでコインを貰うことができると言う要素があるのだが、このモンスターは突然襲いかかってくるので心臓に悪い。
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「Dead Wood」の熊は襲いかかってくる前に接近を知らせる足音が鳴り、「Shao Khan's Tomb」の血濡れの人間(?)は必ず血の池に囲まれた狭い通路で出現するためある程度予測ができるのだが、「Spider Tunnel」の巨大グモは予告無しにいきなり鳴き声を上げながら襲いかかってくるため余計に心臓に悪い。
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アイテムの収集も揃い、要素の大部分も解放してただ歩く時間が増えた際にはいいスパイスになるのだが…
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いわゆる「蟲注意」のシーンがある。
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バトル中はシリーズの表現に慣れている人ならそこまで気にならないのだが、ストーリーモードでのワンシーンにモーコンとして見てもかなりアレな表現がある。
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ネタバレ&グロ注意
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ストーリーモードにてミレーナが捕縛されてデ・ボラに処刑されるシーンがあるのだがその際の処刑方法が大量の虫を口移しで送り込み、その虫に顔全体及び目玉や脳みそを喰らい尽くさせて処刑するというもので、モーコンの持つグロさとは別ベクトルの凄まじいビジュアルになっている。
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ストーリーモードにて登場するシンデル・バラカ・レインが非参戦。
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いずれもAC時代から登場している古参キャラで人気もそこそこ有ったため惜しむファンも多い。
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ストーリーモード中の彼らの扱いを見ると仕方無い部分もあるのだが…。
問題点
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前作よりフレームレートが落ちるシーンが増えた
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前作はほぼすべてのシーンで60fpsを維持していたのだが、本作ではX-RAY、FATALITY、ストーリーモードは30fpsで動作する。
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恐らく「中身」の描写でマシンパワーを食っているのだと思われる。ただしフレームレート自体は安定している。
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FACTIONシステムの問題点
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本作では6つのFACTIONがあるのだが、FACTIONを切り替えた時にはFACTIONレベルが1に戻ってしまう。
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このためレベルを上げることで解放されるFACTION KILLもFACTIONを切り替えた際には使えなくなってしまう。
総評
元々格闘ゲームとしての評判も高かった前作の反省点を改善し、伸ばせるところは徹底的に伸ばした本作は歴代シリーズはもちろん、他の格闘ゲームと比較しても屈指の完成度を誇る作品になったと言えるだろう。
過激な見た目に反して本作はシリーズの中でも比較的取っつきやすい難易度なので、シリーズ初心者でも十分おすすめできる作品である。
ただしシリーズの伝統故仕方がないことなのだが、本作の残虐表現は歴代作とは比べ物にならないレベルで凄まじいので、「興味が有るけど残虐すぎるのは…」という人は歴代作でしっかり耐性を付けてから臨む事をお勧めする。
余談
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発売前のアナウンスでは旧世代機となるPS3/360版も発売する予定だったのだが、延期を繰り返した結果発売中止となってしまった。
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本作はPS4/Oneでも比較的負荷が強いソフトで、上記したように30fpsになるシーンもあるためどうしてもマシンスペックが足りなかったのだと思われる。
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本作は据え置き版の他にiOS/Android端末向けにもリリースされている。
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据え置き版と同じく格闘ゲームなのだが、カードバトルの要素も含まれており、ルールも3vs3になっている。
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やはり据え置き版と同じく残虐描写もきっちり再現されており、高い年齢制限がかけられている。「中身」も据置機よりは見劣りするもののしっかり描かれている。
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ちなみにモバイル版は日本でも配信されている。日本でモーコンが正式にリリースされるのは実に『トリロジー』以来となる。
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前作にて「Woolay!」の掛け声がファンの間で話題になったクァン・チーだが、本作では一切その台詞を言わない。
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あくまで彼の本分はシリーズきっての悪役であり、ギャグキャラではないためある意味当然と言えるのだが、ファンの間で割りと語り草になっている。
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ただ「Woolay」の掛け声が話題になったことは公式も熟知しているようで、実際公式もTwitter等でクァン・チー関連の話題について「Woolay」と発言したこともある。
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ちなみに「Woolay」程ではないが本作の登場キャラクターCassie Cageのフェイタリティ「Selfie」で登場する「FRIENDSHIPS」というSNSにて「Quan Cheesy」なるアカウントが登場して海外で割りとネタにされている。
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2016年3月1日には『Kombat Pack 2』の配信に合わせ、過去のDLCも同梱された『Mortal Kombat XL』がPS4/Oneで発売された。一方、Win版は一騒動があったものの、7ヶ月後の10月4日に発売された。
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Win版『XL』が出るまでの一悶着
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『Kombat Pack 2』と『~XL』の正式発表後、ユーザーが発売されるプラットフォームについて問い合わせたところ公式Twitterからの回答は「PS4/Oneのみ」という回答だった。また、公式フォーラムでも同様の質問が出たが、こちらの回答も公式Twitterと同じ内容の回答であった。
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さらに追討ちをかけるようにオンライン対戦を改善するためのベータテストの登録受付がスタートしたのだが、このテストは「Win版のプレイヤーは対象外である」ことが判明。
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このことから、PCユーザーの間では「WarnerとNetherRealmはWin版のサポートを見捨てた」との認識が広まり、何の事前説明もなかったことからフォーラムは炎上。不買を呼びかける者まで現れた。
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実はWin版は無印の発売当初からバグが頻発しており、過去に配信されたパッチによってはセーブデータが損傷するといった事態も発生していた。
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前述の事態を重く見たシリーズの中心人物であるエド・ブーン氏がTwitter上でアンケートを募ってみたところ1万以上の回答があり、そのうちの約5割は「『XL』のWin版発売を望む」というものであった。
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その後、Win版のオンライン対戦向けのベータテストが2016年の8月下旬から1週間ほど行なわれ、ベータテスト完了の後、『Kombat Pack 2』単体、Win版向けに全DLCをひとまとめにした『XL Pack』と、待望の『XL』のPC版の発売が2016年の10月4日に決定したことを告知。また、PC版の発売と同日にバグフィックスを含めた、「無印を『XL』相当にアップデートするパッチ」も配信された。
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ちなみにPC版は無印とDLC『Kombat Pack 1』の開発をアメリカのHigh Voltage Softwareが担当していたが、『Kombat Pack 1』のリリース後からポーランドのQLocがPC版の開発を引き継いでいる。恐らくは前述のバグ問題が元でデベロッパーが変更になったものと思われる。
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『VS.DCユニバース』より主要キャラクターのスコーピオンの声を一貫して担当してきたPatrick Seitz氏が次回作では担当しないことが本人のツイートにて明らかになった。
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元々スコーピオン自身が『モータルコンバット』シリーズおいてトップクラスの人気を誇るキャラクターだというのもあるが、とりわけPatrick氏が演じるスコーピオンは多くのファンから高い評価を受けていたが故に、降板を惜しむリプライが多く寄せられた。
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後任はRon Yuan氏が担当する。
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例により日本未発売
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前作の時点で「既にCERO:Z(18歳以上のみ対象)でも足りない残酷表現」なので日本未発売。本作はそれを上回るので仕方ない。
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リージョンロックはかかっていないので北米アカウントの制作や海外版の自己輸入でプレイは可能。
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一時期Xbox Game Passに登録されていた時期があり、この時は日本アカウントでGame Passに登録していても、一時的に言語設定を北米に切り替えればダウンロード&プレイが可能だった。
その後の展開
最終更新:2023年06月30日 16:00