マリオパーティ10
【まりおぱーてぃてん】
ジャンル
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パーティゲーム
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対応機種
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Wii U
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発売元
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任天堂
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開発元
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エヌディーキューブ シーエイプロダクション(開発協力)
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発売日
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2015年3月12日
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定価
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5,200円
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プレイ人数
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1~5人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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対人で盛り上がる「クッパパーティ」 前作の問題点を改善 作り込み不足な部分が多い
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マリオシリーズ・関連作品リンク
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概要
マリオパーティシリーズ10作目。Wii Uで唯一発売されたマリオパーティとなる。
マリオパーティは前作『マリオパーティ9』において旧作から大幅なルール変更がされた。本作は『9』の流れを引き継いでおり、ゲームバランスや遊びやすさを改善したものとなっている。
クッパとマリオキャラがボードで対決する「クッパパーティ」が新要素として追加。またamiiboを利用した「amiiboパーティ」も新たに遊べるようになった。
特徴
前作同様みんなで一緒に進むマリオパーティ
メインの「マリオパーティ」モードでは『9』同様、プレイヤー全員が1台の乗り物に乗り、順番にサイコロを振って出た目の数だけ乗り物を進めゴールを目指す。ゴールするまでに、リトルスターを集めた数で勝敗を競い合う形となる。
その他基本的なルールはほとんど変更がないため『9』の項目を参照。以下は『9』より変更された点について述べる。
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サイコロマスにて入手できるサイコロがルーレットで決める形に変更された。これにより目押しである程度狙ったサイコロを入手できるようになった。
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また、順位によってルーレット内のサイコロの種類も変動し、基本的に下位のプレイヤーほど強力なサイコロを入手しやすくなり、逆転しやすい仕様となった。
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アイテムショップの概念が「キノピオハウス」として復活。ボードに設置されたキノピオハウスを通過するとイベントが発生し、参加プレイヤー全員がルーレットを回してサイコロを1つ入手できる。これにより、サイコロの出目が悪くても確実にサイコロを入手できる機会が与えられた。
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キャプテンのみルーレットの速度が遅くなり、ほぼ確実に狙ったサイコロを入手できるボーナスがある。このため、キノピオハウスはできるだけキャプテンの状態で通過したいという競争要素も備わっている。
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2vs2ミニゲームが復活。逆にvsクッパJr.ミニゲームは廃止された。参加プレイヤーを3人に設定した場合は2vs2ミニゲームは出現しなくなる。
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ミニゲームマスは全て同じマスに統一され、マスに止まった際にルーレットでミニゲームの種類を決める形式になった。このため、ミニゲームマスでバトルゲームが出現するようになった。ただし、赤ハンマーブロスは出現しなくなった。
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ミニゲームにおけるキャプテンボーナスが軒並み廃止された。ただし中ボス、およびボスバトルマスにはマス自体にリトルスターが設置されており、実質キャプテンボーナスとなっている。
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前作ではキャプテンになってもミニゲームでビリだとボーナスがほとんどなく意味がないといったことがあったが、本作ではキャプテンで到達すれば必ず一定のリトルスターを入手できるようになった。
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キャプテンイベントもなくなった。代わりにコース毎のギミックが増えており、一部ギミックはキャプテンの采配に関わってくるという形で残されている。
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クッパは前作では一部マップを除きクッパマスを仕掛けるだけであったが、本作はより積極的にイベントに関わってくるようになった。
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クッパは全てのボードにおいてWii U GamePadに常駐しており、最初は封印されている。各プレイヤーがサイコロで新しい出目を出す度に封印が1つずつ解かれていき、1~6全ての出目が出た瞬間クッパが開放され、ラストスパート突入の有無にかかわらずクッパマスがボード内にばらまかれる。
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これによりクッパマスの出現タイミングが不定期となり、終盤でしか逆転が起こらないということはなくなった。
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また、最後の出目でクッパを解放させたプレイヤーはリトルスターを半分没収されるため、場合によってはサイコロの目を調整する駆け引きが生じるようになった。
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なお、中ボス撃破までにクッパが解放されなかった場合、そのゲームではクッパマスは出現しなくなり、代わりにやや効果の弱いクッパJr.マスが仕掛けられる。
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終盤の逆転劇が必ずしも起こらなくなり、クッパマスゲーと揶揄された前作の事態はある程度回避されるようになった。
新モード『クッパパーティ』
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本作の目玉にして売り。クッパを操作してマリオ達を陥れるか、あるいはマリオ達を操作してクッパから逃げ切るゲームモード。
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クッパ側はWii U GamePadのみを用いて操作する。上記のノーマルモードでもクッパはゲームパッドに閉じ込められており、本作ではゲームパッド=クッパの認識が強い。
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マリオチームのプレイヤー全員がサイコロを振ってクッパから逃げ、あとからクッパが(プレイヤーの参加人数に応じた数の)サイコロを振ってマリオ達を追いかける。もしクッパがマリオ達に追いついた場合、クッパゲームが開始される。
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クッパゲームでは特定条件下でマリオ達にダメージが入る仕組みになっており、累積してゲーム開始時に配布されたライフ以上のダメージを受けるとそのキャラクターはゲームから脱落してしまう。
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したがって、全員脱落するまでにゴールまで到達できればマリオチームの勝ち、逆にゴールするまでに全員脱落させられればクッパの勝ちということになる。
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ボードマップはノーマルモードのものをそのまま使用しているが、ルート分岐やマスの種類および配置は異なる。なおマスの影響を受けるのはマリオチームのみである。
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クッパJr.マスが最初から仕掛けられており、マリオ達のライフが減らされたりクッパの振れるサイコロの数が1つ増えたりとクッパ側に有利なイベントが起きる。
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マリオチームのみサイコロマスでサイコロを入手可能。サイコロはチームで共有するため、マリオが入手したサイコロを次のターンにルイージが使用するといったこともできる。これで止まるマスを調節していく。
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仕様上リトルスターの概念はなく、設置されていない。代わりにラッキーマスに止まるとマリオ達のライフを回復できるイベントが起こる。もしすでに脱落していたプレイヤーがいた場合はその場で復活できる。
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このため、一度脱落してもそれなりの頻度で復活できる。ただし復活時のライフは低めになることが多く、次のクッパゲームでまた脱落する可能性はある。
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ステージ内のギミックもクッパパーティ専用のものとなっている。たいていはクッパ側がマリオ達を妨害するギミックを任意に仕掛け、マリオチームがそれを回避していく形になる。
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ワナを仕掛けたりする場合クッパ側がプレイヤーであれば任意に選べるため、マスやサイコロとあわせた駆け引きが生じる。
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中ボスマスには道を塞ぐクッパの手下が配置されており、サイコロを振ってダメージを与えていき倒さないと先に進めない。クッパ側は足止めをくらっているマリオ達を捕まえる絶好のチャンスとなる。
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中ボスに勝利すると必ずライフを入手でき、脱落しているプレイヤーは復活する。
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ボードの最後にあるボスマスにはクッパの手下とクッパJr.が待ち構えており、パワースターを守っている。マリオ達は3人の中から一人を選んで攻撃する。
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クッパをプレイヤーが操作している場合はスターを持たせるキャラを自分で選ぶことができる。
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正解すればその時点でマリオチームの勝利となるが、外れた場合は5マス戻される。5マス以内にクッパがいた場合はそのままクッパゲームに突入する。
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外れで攻撃した手下は復活しないため、仕様上3回ゴールにたどり着けばマリオチームの勝利となるが、それまでにクッパが追いついてしまうことがほとんど。
ミニゲームは最初から全てプレイ可能
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『9』と同じく、最初から全てのミニゲームが開放されている。そのためソフトを購入してすぐにミニゲームだけを遊べる。
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なお、通常モードでは遊べないスペシャルミニゲームもいくつか収録されており、ゲーム内ポイントを貯めることによって追加購入する形で遊べるようになる。
「amiibo」パーティ搭載
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『amiibo』を使用すると『8』以前の旧ルール風のボードゲームをプレイできる「amiiboパーティ」を搭載。
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プレイするにはソフトに対応したamiiboが最低1体は必要で、amiibo1体と参加する人数分のWiiリモコンがあれば2~4人でプレイが可能。しかし、amiiboを使うプレイヤーのみアイテムの機能でやや優遇されているため、平等な条件で遊びたいなら『スマブラfor』などの他のソフトデータが入っていないまっさらな状態のamiiboを人数分揃える、もしくは、amiiboに登録するアイテムを各自使用しない等の制限をする必要がある。
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マップは正方形のもの1種類のみ。使ったamiiboやゲーム中で集めた「マップアイテム」を使用することでマップのカスタマイズができるが、マップの外見や一部のイベント内容が入れ替わるだけで、マスの配置やルートの形は変化しない。
やり込み要素
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ゲームをプレイするとたまる「ぼうけんポイント」による隠しマップなどの様々なおまけ要素を入手できるシステムは続投。
評価点
テンポ良いパーティはそのまま
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前作同様、プレイヤーが全員で移動するためさくさく進む。1プレイも30分程度で終わる。
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クッパパーティにおいても実質2人が複数のサイコロで追いかけっこをするようなものであり、マップの進行はスピーディ。なおクッパが追いつけなかった場合はクッパゲームが生じない。
前作からゲームバランスが改善された
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サイコロの入手機会が増え、さらにサイコロを任意に選べる可能性をつくったことで前作よりは能動的にサイコロの出目を調節できるようになった。
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サイコロマス自体も前作より増えており、むしろサイコロを余らせることがあるほど。
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マップ上で入手する(没収される)リトルスターの数が前作より控えめになった。
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上記の通りクッパゲームの仕様も変更され、キャプテンイベントも一部を残して廃止されたため、マップ上で極端な逆転の起こる可能性は前作より控えめとなっている。
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ミニゲームでリトルスター差がほとんどつかないのはそのままだが、前作と比べればマップのギミックやクッパマスによる順位の変動が抑えられ、サイコロによる意図的な逆転を狙いやすい仕様になっている。
クッパパーティにおける駆け引きの面白さ
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クッパパーティでは明確に立場の違う2つの陣営が戦うことになるため、マリオパーティとは全く違う楽しさがある。
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クッパ側、マリオ側両方に人間のプレイヤーが入ることを想定している場面が多く、「複数の選択肢の中にクッパがアタリやハズレを仕込み、マリオ側に選ばせる」「クッパ側が視覚的に妨害を行い、マリオ側の邪魔をする」ギミックが多い。このため、多人数でより盛り上がる仕様となっている。
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クッパ側はWii U GamePadの「タッチ」「ボタン」「ジャイロ」をフル活用したプレイが可能になっている。ゲームパッドの特徴が最大限生かされているともいえる。
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バランス面で見ても、序盤はプラスマスの多さでマリオ達がリードしやすく、後半はラストスパートのイベントや大量のクッパJr.マスによる妨害で徐々にマリオ達が追い詰められるよう工夫がなされており、最後まで気を抜けない展開になりやすい。
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クッパ側はあまりにもマリオ達から引き離されていて追いつけない場合はクッパJr.から追加のサイコロがもらえることがあり、一方的な試合展開は起こりにくいようになっている。
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ライフ入手で復活こそできるがすぐクッパに倒される程度までしか回復できず、終盤にクッパ側の妨害機会が必然的に増えるようにできていることからバランスはとれている。
ミニゲームやボードゲームは手軽に遊べる
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前作同様最初からほぼ全てのミニゲームが遊べる。
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本作ではシングルモードが廃止されており、最初から全てのボードマップで遊べる。パーティゲームとしての側面は前作より色濃くなった。
最大5人でプレイ可能に、また4人までなら協力プレイも
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クッパパーティの仕様上、マリオチーム4人+クッパ1人で最大5人で遊べるようになった。
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また、4人以下の時は全員マリオチームにすることで「みんなで力を合わせてクッパから逃げ切る」協力プレイが可能になった。勝利判定も4人全員一緒のため、雰囲気では無く純粋な協力プレイである。
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サイコロの共有やルート選択、ライフによる復活などお互いを助け合える場面も多い。
キャラクター選出
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『4』から実に10年ぶりに、ドンキーコングがプレイアブルキャラとして復活を果たし、待ち望んでいたファンから歓迎された。
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前作でリストラされていたキノピコも隠しキャラとして参戦。また、ロゼッタは今作で初参戦し、以降の作品でもプレイアブルキャラとしての地位を確立している。
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他にはガボンといった意外なキャラがプレイアブルキャラになっている。
問題点
マリオパーティモードは良くも悪くも『9』の延長線上でしかない
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マリオパーティモードは基本的に前作の流れを踏襲している……どころか一部バランス調整を加えた以外は前作とほとんど変わらないともいえる。
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そのため前作から引き続きプレイした人はゲームバランスの改善を実感できるものの新しいマリオパーティをプレイしている感覚はほとんど出ない。一部で本作が「マリオパーティ9.5」と揶揄される原因である。
全てのモードでボリューム不足が目立つ
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最大の問題点である。本作の面白さはその大半が「クッパパーティ」によるものであり、それ以外のモードについては後からとって付け加えられたような印象が強い。そしてメインであるクッパパーティですら遊べるマップ数が少ないという問題点を抱えている。
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そもそもクッパパーティとマリオパーティでボードマップを共有していることは大きな問題である。マス目や分岐の差異こそあれど、使い回しととられても仕方がない。
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マリオパーティでないと遊べないボードマップもいくつか存在するが、それらも取り立てて目立っているわけではない。むしろメインであるクッパパーティで遊べるマップが少なく見えてしまっている。
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実際にはボードマップの仕様上クッパパーティと相性が悪い部分もあったのかもしれないが、それはクッパパーティのマップ数が少ないことの原因にはならない。
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マップの総数も5と、少ないといわれていた前作からさらに減少している。クッパパーティにいたっては3種類しか遊べず、物足りなさを感じる。
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amiiboパーティについても、内容としては「amiiboを使った、ちょっとしたおまけ」の域を脱し切れておらず、エクストラルームやスーパーデュエルモード、すごいおまけモードといった過去作で見られた同様のおまけ要素並のボリュームを期待していると確実に肩透かしを食らう。『8』までのルールを楽しみたいプレイヤーにとっても物足りないであろう事は否定できない。
シンプルにしすぎて薄くなった内容
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オープニングやタイトルコールがなく、いきなりメニューモードが表示される。
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ゲーム内でもキノピオが声をかけてくれるポイントが前作から大幅に削られている。ゲーム開始後、いきなり4人がマップに揃い、何の説明もなく順番が決まり、リトルスターが勝手に配られ、そのまま1人目のターンに……。
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複数回プレイするといちいちキノピオが説明を入れてくることが煩わしく感じられるための配慮と思えるが、これはパーティゲームのパーティ要素を減らし機械的にゲームをしている感覚を増長させる結果を招いてしまっている。
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結果発表時のボーナススターも事前のコールなしでいきなり授与されるため、どんなスターが誰に授与されるかのワクワク感がない。
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結果画面も順位とリトルスターのみがシンプルに表示されるだけ。詳しい画面を見ようとしてもリトルスターの推移と逆転が起きたタイミングのスナップショットが見られるだけである。
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「アイテムをいくつ使ったか」「クッパマスを何回踏んだか」などが確認できず、1ゲーム終わった後の余韻に浸れなくなった。
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スナップショットも逆転さえ起きればその後すぐ再逆転されていようがその時点で撮影されるため、ゲーム進行に全く噛み合っていないタイミングのものが多い。
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説明不足な部分は全くないのだが、味気なさと盛り上がりのなさがにじみ出てしまっている感は否めない。
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シングルモードが廃止されたことによりストーリー性も皆無に。何らかのストーリーにからんでマップの特徴やギミックを生かしていた前作までとは違い、ただ単にみんなで集まってゲームをしているだけという印象が強くなってしまった。
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ミニゲームのデモムービーにも問題あり。
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非常に短い説明文とともにデモムービーが流れるだけであり、ミニゲームの詳細なルールや仕様の説明が全く足りていない。ボスミニゲームでこの説明不足が目立つ。
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例を挙げると「巨大バクバクのかけひきコウラバトル」はプレイヤー1人が3回までコウラを放ち、命中するごとにターゲットが動くバクバクを自分以外に向けるようにかけひきをするというもの。非常に複雑なゲームであり、デモムービーで説明が足りているとは言い難い。
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「巨大チョロプーの空中めいろバトル」では後半戦になると迷路の途中に爆弾が設置されるのだが、先へ進むには「一度触れてから離れる」という動きをする必要がある。デモムービーに爆弾の存在は無いため、ハズレのルートだと思って道を引き返してしまうとゴールすることは出来ない。
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ゴールを目指すゲームでは一部ライフが存在するものがある。早くゴールすれば1位になるのか、遅くゴールしてもライフが多ければ1位になるのかという肝心の勝利条件が示されていない。
総評
『マリオパーティ9』の反省点を踏まえ、改善した上で新たなる要素であるクッパパーティを盛り込んだことで、ゲームパッドの機能をフルに生かしたWii Uならではのマリオパーティとなっている。クッパパーティを多人数で遊ぶ楽しさは特筆すべきものがあり、「みんなで集まってわいわい遊ぶ」ことに重点がおかれ、優れている部分は変わらない。
一方で、クッパパーティ以外の部分を簡略化しすぎて内容が薄くなってしまっている、シナリオモード廃止や説明の簡略化によりゲーム感が強い、『マリオパーティ9』を踏襲しすぎて真新しさが減ってしまっているなど無視できない問題点もある。クッパパーティを全面に押し出すにしてもマップ数の少なさ、マリオパーティモードとマップを使い回しているなど全力を出し切れていない感が強い。
結果として『マリオパーティ9』のブラッシュアップ版という印象が強く、新作マリオパーティとしては不満の残る点が目立つゲームとなってしまった。『マリオパーティ9』を楽しく遊んだ上でより深く楽しみたいという人には自信を持ってお勧めできるが、完全新作のマリオパーティとして勧めるには本作はやや力不足な面もあるだろう。
余談
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2018年10月5日にNintendo Switchで最新作『スーパー マリオパーティ』が発売された。
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据え置き機種では3年ぶりの作品で新ルールを含めてパーティルールは従来作シリーズに戻った。不満点を解消し、原点回帰した。
最終更新:2022年07月21日 00:47