マリオパーティ9
【まりおぱーてぃないん】
ジャンル
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パーティゲーム
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対応機種
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Wii
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発売元
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任天堂
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開発元
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エヌディーキューブ シーエイプロダクション(開発協力)
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発売日
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2012年4月26日
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価格
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5,800円(税5%込)
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プレイ人数
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1~4人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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ルールを大幅変更したマリオパーティ 前作の不評部分は劇的改善 強い運要素と戦略性の減少が旧作ファンから不評
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マリオシリーズ
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概要
マリオパーティシリーズ9作目。
Wiiでは『マリオパーティ8』に続く二作目初のマリオパーティシリーズで、従来の『マリオパーティ』から大幅に変更されたルールとゲームシステムが特徴。
後に発売される『10』にもこのゲームシステムは引き継がれていくことになる。
『8』同様Wiiリモコンを積極的に使うゲームデザインとなっているが、『8』の問題点であったテンポや操作性は改善されている。
本作から、旧ハドソンでマリオパーティシリーズを開発していたスタッフが在籍しているエヌディーキューブがゲーム開発を担当。また、同じくシリーズに携わってきたシーエイプロダクションも開発協力している。
特徴
ボードゲームのルールが大幅に変更
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前作『8』および『DS』までは、各プレイヤーが出た目の数だけそれぞれがマップを進んで「コイン」を集め、集めたコインを使用して「スター」を入手しゲーム終了時に持っていたスターの数を競うといった流れであったが、今作からまるで違ったルールとなった。
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プレイヤー全員が1台の乗り物に乗り、順番にサイコロを振って出た目の数だけ乗り物を進めゴールを目指す。
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旧作のルールにあった「コイン」「スター」の概念は廃止され、「リトルスター」を集めた数で順位が決まる。ゴールするまでに、リトルスターを集めた数で勝敗を競い合う形となる。
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サイコロを振る人は「キャプテン」となり、ボード上に置かれたマスやイベントの対象は基本的にキャプテンのプレイヤーのみとなる。
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発生するイベントは、リトルスターを入手できたり半減したり、乗り物が別の場所にワープする等、さまざま。「有利なイベントが起こるマスを自分の番で止まり、不利なイベントが配置された場所を他のプレイヤーの番で通過してもらう」……といった駆け引きが重要となる。
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マップ上でアイテムを購入するショップが廃止。アイテムは、出る目が制限される等の特殊な性質を持つ「アイテムサイコロ」のみで、「サイコロマス」に止まると入手可能。2つまでストックでき、任意のタイミングで使用可能。これによりある程度サイコロの出目を操作できる。上手く使うことで、勝負の行方を調節することが可能。
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本作から「ターン」の概念が無くなり、旧作のように全プレイヤーのターン終了時にミニゲームが発生するルールも廃止された。ミニゲームは「ミニゲームマス」等特定のマスに止まると発生するため、ミニゲームをプレイするタイミングは不定期となる。
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ミニゲームマスには「vsミニゲームマス」「1vs3ミニゲームマス」「クッパJr.ミニゲーム」等いくつか種類が存在し、止まったマスに応じてプレイするミニゲームのジャンルが決まる。ミニゲームで勝利したり上位になると、リトルスターを多く獲得できる。
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ボードゲームのルールが変更されたことにより、全てのマップがほぼ一本道化。各マップの中間とゴールに2つの「ボスバトルマス」が存在し、そこに乗り物が到着すると、クッパの手下と「ボスバトルゲーム」で対決する。
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ボスバトルゲームではプレイヤー全員でボスに攻撃し、得点数を競う。ボスを倒した時点の得点で順位が決まり、上位になるほどより多くのリトルスターを入手できる。
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ゴール地点でボスバトルゲームを終えるとゲーム終了。「ボーナススター」の設定をありにしていた場合はここで3種類のボーナススターが発表され、それぞれの受賞者にリトルスターが与えられる。最後にリトルスターをもっとも多く持っていたプレイヤーが優勝となる。
ミニゲームが最初から全てプレイ可能
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従来のシリーズではミニゲームをフリープレイで楽しむには、パーティモードでミニゲームを一度遊ぶ、集めたコインでミニゲームを買う等の条件を満たす必要があったが、本作からほとんどのミニゲームがフリープレイで最初から解禁されるようになり、ソフトを購入してすぐにミニゲームだけを遊べるようになった。
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今作では一度遊んだことのあるミニゲームは「フリープレイ」のミニゲーム選択画面でチェックマークが入る。なお、「ボスバトル」のみ一度ボードゲームでプレイしないと解禁されない。
「シングル」モード搭載
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いわゆるストーリーモード。夜空に浮かぶリトルスターを奪ったクッパ軍団と戦い、リトルスターをとりもどすことが目的。
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各マップでCOMが操作するプレイヤーと対戦し、リトルスターを集めていく。自分が1位にならなくても次のマップに進めるが、各マップでは必ずクッパ軍団の一味である「ヘイホー」「カメック」が対戦相手(COM)として参加し、それらのキャラクターが1位となった場合、そのマップをもう一度やり直さなければならない。
やり込み要素
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ゲームをプレイするとたまる「ぼうけんポイント」を使用して、隠しマップなどの様々なおまけ要素を入手できる。
評価点
大幅なテンポの改善
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今作最大の特徴にしてメリット。従来のマリオパーティシリーズでは味わえないテンポのよい勝負が楽しめる。
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全員で一緒に進むため、各プレイヤーの動きがゲームの展開に大きく影響しあい、旧ルールに比べてサイコロ運が悪くても後れを取ることがない。また、自分の番以外でも自身が共に移動するため、他人のプレイに注目する意義も上昇。まるでみんなで一緒に冒険しているかのような感覚で楽しめる。
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アイテムがサイコロのみになり、ショップも廃止されたため、ショップでアイテムを悩んだりマスに仕掛けたりする等の手間が省けた。基本的にサイコロを選んで振る以外の選択肢がないため、よりスムーズに1人のターンが終わるようになった。
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ミニゲームが定期的に発生しなくなったため、いちいちミニゲームに時間を取られることもなくなった。
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マップのルートは時々分岐点があるが基本的に一本道であり、ルートを選択するのにわざわざマップを確認して考える必要がなくなった。また、一度に移動できるのは最大10マスまでで、また移動先のマスをわざわざ画面に映してくれるため、ゲームの進行をよりスムーズに行えるようになった。
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各マップのマス数自体はそれなりに多いが、ゲームの仕様上テンポよくすすむため、結果としてほどよいボリュームとなっている。
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1ゲームにかかる時間は約30分~60分前後。ゲームの回転性も向上したため、大きく差がついたまま長時間プレイさせられることもなく、たとえ負けてもすぐ次のパーティに、と勝敗をあまり意識せずに済むようになった。
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なによりストーリーやシステムの都合上、「4人で協力してクッパを倒しに行き、そのついでにリトルスターで勝負」な雰囲気になったため、対戦ゲームにありがちなプレイヤー同士でつぶし合うギスギスした空気が起こりづらくなっている。
操作性が改善
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メニュー画面やマップ画面では、一部を除き操作はリモコンの十字ボタンやその他各ボタンで行えるようになり、いちいち画面をポイントする必要がなくなった。
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『8』における「逐一リモコン使用を強要されてストレスが溜まる」という問題点は改善されており、本作ではむしろピンポイントにしかリモコンの独自機能を使う必要がなくなっている。
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サイコロをAボタンで振るようになったことが地味ながら大きな改善点といえる。
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逆にリモコンのポインターだけでプレイすることも可能。そのため、総じて操作の自由度が増加し、プレイヤーのストレス軽減に繋がっている。
逆転要素が満載、最後まで勝敗がわからない
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ゲーム性が単純になったことにくわえ、ビリから逆転するための要素が多いため、旧ルールにくらべて順位の変動が起こりやすい。
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特にゲーム終盤のイベントでマップ上に多数追加される「クッパマス」のイベントは、大差がついていたとしてもあっさり順位が入れ替わってしまうほどの凶悪さを誇る。
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とは言いつつも、サイコロ操作によるイベント調整、ミニゲームによるリトルスター稼ぎなど、実力でカバーできる部分はそれなりにあるため、完全に運ゲーというわけではない。
ミニゲームやボードゲームがより手軽に遊べるように
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最初からほぼ全てのミニゲームが遊べるため、パーティそっちのけで友達とミニゲームを遊ぶことも可能。
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ミニゲームはマリオパーティシリーズの根幹とも言えるべき部分であり、それを最初から好きなだけプレイできるようになったことは評価できる。
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ミニゲーム自体の質も概ね良好。
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ボードゲームに関しても「シングル」モードをプレイせずとも、ほとんどのマップが最初からプレイ可能。純粋なパーティゲームとしての側面が強くなった。
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本作以降のシリーズでもこれらの点は継承されており、より気軽にプレイ可能となっている。
4人以外でプレイ可能に
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本作から、パーティモードとミニゲームはいずれも4人ではなく2人や3人でのプレイも可能になった。そのため、2人にして『3』のデュエルゲームのように楽しむことも可能になった。
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実際、今作の「シングル」モードでは3人で遊ぶマップもある。
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今作では、プレイヤー全員で競うミニゲームは「全員対戦」という名称になり、3人や2人で遊ぶこともできるようになった。一部のミニゲームは参加人数に応じてステージの大きさのゲームバランスなどが変化し、4人の時とはまた違ったゲームバランスで楽しめる。
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したがって、数あわせのCPUを無理に入れる必要もなくなった。
問題点
運やサイコロに左右される要素が強い
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ボードゲームのテンポや複雑さを改善するため、ゲーム構成をとことんシンプルにしたことにより、戦略性は旧作から減少。代償的に単純にサイコロの出目が勝負を大きく左右するようになったため、運要素が増加している。
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アイテムサイコロがない場合、1~6が出る通常の「ノーマルサイコロ」を振ることしかできないため、単調な作業と化してしまった部分もある。
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能動的に他のプレイヤーを陥れる要素に欠けるため、従来のように1位を集中攻撃できない。一度差がついてしまうと、終盤まで差が開きっぱなしになることもしばしば。そして、そこからの「クッパマス」で大逆転が起きうるため、「序盤はただの作業で、最後のクッパマスで全てが決まる運ゲー」と揶揄されることもある。
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ただし、1位がある程度「クッパマス」を回避することは可能だし、クッパマスに止まったとしても順位が変動するイベントが起こるとは限らないため、一概にクッパマスが全てであると言うのは極論である。
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1回のミニゲームやバトルミニゲームにおいて獲得できるリトルスターの数が全体的に控えめなため、ミニゲームに一度勝ったくらいではあまり差がつかない。
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マップに配置されている10リトルスターが最も大きく順位を変動させてしまうため、サイコロに頼る一面がますます強くなってしまった。
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バトルミニゲーム(4人)で全員から集めるリトルスターの数は(クッパイベント以外では)一律で3個であり、従来のシリーズのようにランダムで数が変わらない。終盤となれば3個では雀の涙程度である。
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まれにハンマーブロスではなくファイアブロスが登場し、ビリからリトルスターを10個没収し他のプレイヤーに配るという形式のミニゲームが行われる。こちらは変動が大きくまだマシ。
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本作ではマップ上にショップがないため、「サイコロマス」や「ラッキーマス」に止まらない限りアイテムサイコロを取得できない。また、どのサイコロを入手できるかは多くの場面で運任せである。運が悪いと「ノーマルサイコロ」を振り続けるだけになってしまうことも。
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ミニゲームにもいわゆる「運ゲー」が多い。
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全員対戦ミニゲームの中にはプレイヤーの実力ではどうしようもないゲームが少なくとも3つ存在している。更に…
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ボスバトルミニゲームの1つ「クッパJr.のサイコロバトル」はまさかの完全な運ゲー。ボードマップでは多くのリトルスターが絡むだけに、このカテゴリで運ゲーを強制されるのは辛いものがある。
一部イベントのバランスが悪い
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特によく話題に上がるのが「キャプテンイベント」。各ボードマップに必ず1つ以上存在するが、極端にキャプテンに有利なイベントからほとんど勝敗に影響しないイベントまで様々。マップによってはキャプテンが1人勝ちすることも多い。
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「トレジャーオーシャン」における終盤の「ラッキーマス」は別マップに移動させられいちいちサイコロを振るイベント。イベント1回でもなかなか時間がかかるのに、止まると後ろに進む「バックマス」が配置されているため、サイコロの運しだいでは何度もこの「ラッキーマス」に止まる場合もある。結果として良いはずのテンポが悪化してしまっている。
2vs2ミニゲームが事実上廃止、人数次第で難易度の変わるゲームも
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本作は、ふたりで協力してクッパJr.と戦う「クッパJr.ミニゲーム」があるが、旧作にあった「2vs2ミニゲーム」が存在しない。
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おそらく「3人でプレイすると成り立たなくなるから」だとは思われるが、それなら3人以下の時は出現しないように設定できたのでは……。
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次回作の『10』では「2vs2ミニゲーム」が復活している。参加人数が4人のときだけプレイ可能。
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4人でも3人でも2人でも遊べると言えば聞こえが良いが、プレイ人数が変わると当然ゲームバランスも変わる。
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基本的に、4人で遊ぶことを想定した作りのものが多く、3人以下でプレイすると各々の人数に応じて多少の調整こそ入るものの、それを考えても明らかにゲームバランスの悪いミニゲームが目立つ。
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特に1vs3ミニゲームは、1vs2でプレイすると一方が圧倒的に優位になることが多い。
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参加人数を変更できるようになったことは面白いことだが、このあたりにやや練り込み不足を感じる。
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クッパJr.ミニゲームは、1人プレイの場合プレイヤーが強制的に参加させられるという理不尽な内容。この場合、相方の状況によってはわざと負けてリトルスターを奪わせる作戦もできる。
相対的なボード数の減少
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ボードマップの数は隠しマップを含めれば『1』と並んでトップの数を誇るが、前述の通りマップが縮小しテンポが改善されたことで、マップ1つにかかるプレイ時間が減少。
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結果的に同じマップを短い時間で何度もプレイすることになる。そのためか、飽きが来るのが早く感じやすい(人もいる)。
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これは1人で遊ぶときにより顕著であり、運要素の増加も相まって、他シリーズと比較すると、1人で遊ぶ面白みには欠ける部分が多い。
操作可能なキャラクター数が減少
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本作で使用できるプレイヤーは隠しキャラも含めて12人。昨今のマリオパーティシリーズから考えると、この数はいささか少ない。
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特に一定の人気を獲得していたキノピコのリストラに関しては、明確な失敗だとする声が多い。
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のちの『10』ではキノピコが隠しキャラとしてプレイヤーに復帰。ゲームを遊ぶとたまるポイントと交換で解禁できる。
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一方でカメックは後の『10』や『スターラッシュ』ではボスキャラ、『スーパー』では司会進行役兼従来のクッパマスを担当しているため、彼を使用可能なのは本作のみとなっている。
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また、今作ではアクション系のミニゲームでの、キャラの動かしやすさに当たり外れが大きい。しかも、操作性能の悪いキャラが大半を占めてしまっている。
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動かしやすいキャラは、マリオ・ルイージ・キノピオ・ノコノコの僅か4人。
その他
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本作から、ボードゲームをプレイ中にセーブして中断する機能が削除されてしまった。
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1ゲームあたりにかかる時間は短くなったため、目立った問題点ではないが、やや自由度は低下している。
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「キングテレサのパズルバトル」では、他のボスバトルにあるファイナルアタックボーナスの3点が、このゲームだけは10点になっている。この説明はゲーム説明画面にはない。
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4人用ミニゲームの「進め!スカイロード」ではライフが3つ存在し、2回までは落下しても復活できるのだが、ライフが1だろうと3だろうと最初にゴールしたプレイヤーが1位になる。これに関しても説明は無い。
総評
前作からボードゲームのルールそのものを大幅に変更してきたことにより、従来のマリオパーティシリーズにおいて発生していたマンネリ化という問題点は見事に克服。新たな『マリオパーティ』としてスタートを切ることができた。
だが、単純になりすぎたゲームシステム故か、じっくり考えライバルを妨害し自身の手で勝利をつかむ旧シリーズのゲーム性とは程遠くなったため、実力による勝負や旧ルールを好むプレイヤーからは批判の声があがった。
1人でやりこむにしても、運次第であっさり負けるバランス等、遊びづらい部分が強く目立ってしまっている。
しかし「家族や友達で集まって気軽にわいわい楽しむ」ことに関しては、従来から大きくパワーアップしている。
長く続いているシリーズ故に、ユーザーそれぞれが『マリオパーティ』シリーズに求める要素は多種多様になってしまっているが、
あくまで「初心者から上級者まで多人数で楽しめるパーティゲーム」を求めるのであれば、本作はそれに最大限応えてくれる作品であると言えよう。
余談
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パッケージ画像公開当時、
「ルイージが描かれていない」
ことが物議を醸した。先に発売された海外版でパッケージ画像が更新され、国内版でも彼の存在を確認できるようになったが、それでもマリオ達に比べると明らかに目立たない。左上の塔をよく見てみると…。
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実は公式ホームページなどで使用されているキービジュアルには最初からルイージがキャサリンの隣に描かれており、描かれてなかったのではなくパッケージ画像のサイズにするにあたって見切れてしまったのが正しいという説もある。
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エクストラモードの「6ボールパズル」が、Nintendo Switchの『世界のアソビ大全51』に収録されている。
最終更新:2024年10月09日 16:02