将棋三昧
【しょうぎざんまい】
ジャンル
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TBLとSTG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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ヴァージンインタラクティブエンターテインメント
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開発元
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メトロ
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発売日
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1995年12月22日
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定価
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9,800円(税抜)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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奇をてらった射撃将棋 ある意味パッケージ詐欺 これでも全日本詰将棋連盟公認 詰将棋の収録数は多い プレミアにつき入手困難
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概要
あの『美食戦隊 薔薇野郎』を生み出したヴァージンインタラクティブエンターテインメントから発売された将棋ゲーム。
同社から昨年度末には『本格将棋 風雲児龍王』が発売されている。
パッケージは将棋盤と和風の鳥の絵が描かれ、「全日本詰将棋連盟公認」の文字が光る、いかにも格式高そうなものである。
その中身の実に半分がバカゲーだとは、いったい誰が想像つくだろうか。
将棋ファンではない人は「なんだ、よくある普通の将棋ゲームか」と思って買わず、本作を買ってみた純粋な将棋ファンはバカゲーと知って呆れ返った事であろう。
本当にこんなゲームを公認してよかったのか、全日本詰将棋連盟さん?
システム
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普通の詰将棋と対局、そして「新たなる挑戦」という謎のモードがある。
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「二百局指南」クリアで免許皆伝、「段位認定(300問)」クリアで三段の認定状画面になる。
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ただし全日本詰将棋連盟に送っても本物の認定状がもらえたりはしない。
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対局はまあどこにでもある普通の本将棋。二人で対局することも可能。
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CPUはSFC用将棋ソフトの中では強い方であり、『本格将棋 風雲児龍王』と同様にパックマン戦術も一切通用しないようになっている。
バカゲー要素
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「新たなる挑戦」と謳うだけあって、内容はかなりぶっとんでいる。遊べるゲームは二種類あり、一つは普通の将棋盤でもできる「回り将棋」、そしてもう一つがこのゲームオリジナルの「射撃将棋」。
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回り将棋は4人まで対戦可能で、COMと対戦することもできる。
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射撃将棋はなんと将棋の駒を使ったシューティング。
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本将棋と同様の布陣をした『ギャラクシアン』風の駒を自機で撃ち落としていくという、『超兄貴』もビックリのシュールかつカオスなものである。
評価点
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射撃将棋は見た目に反してかなり出来が良い。
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ただのシューティングではなくちゃんと将棋要素があり、敵の駒は本将棋で動けない方向には絶対に動かない。
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飛車は斜めに動いたりしないし、角行は斜め方向にしか動かない。
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歩や香車はまっすぐ突っ込んでくるだけだが、数が多い上に弾を撃ってくるので結構侮れない。
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王将は8方向に激しく動きまわるので非常に強い。ただし倒せればアイテムが降ってくる。アイテムにはマイナス効果のものもある。
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また、敵の初期配置も穴熊などの将棋の囲い・戦法を再現している。
すぐ動くので意味はないが。
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敵の駒全滅やアイテムによって自機が昇格していく。強くなると敵の弾を撃ち消したりできるようになる。
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被弾すると自機が降格する。歩のときに被弾すると投了(ゲームオーバー)。
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自機が王将の時に昇格するか、特定のアイテムを取るとボスとの対決になる。
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ボスは機械仕掛けのレーザー砲を取りつけた巨大な王将の駒というシュールすぎる姿をしている。思わず顔面蒼白になって「薔薇野郎…」と口走りたくなるほど。
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ボスに勝利すると段位が上がる(スタート時は初段)。八段以降はループする。
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合わせて500問もの問題を収録した詰将棋。
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詰将棋は500問も収録されており、さすがに全日本詰将棋連盟公認だけあっていずれも良問が揃う。
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「将棋三昧」というよりは「詰将棋三昧」というタイトルで発売しても良かったのでは?
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グラフィックも高品質。
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全体的にデザインが良く、一枚絵も多数用意されており本作を引き立ててくれる。
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500問の詰将棋、良質なグラフィック、そしてあまりにも画期的過ぎるモードが本作をプレミアまで引き上げた要素と思われる。
賛否両論点
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詰将棋で手順を間違えると一手前ではなく初手まで戻されてしまう。
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初手から詰み上がりまで1手も間違えずに指す必要があるので短手数ならともかく長手数ではきつい。
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とはいえ、実際の対局でも攻め方が緩手を指して逆転負けを喫する状況もあるので、初手から詰み上がりまでの流れを要求するのも道理と言える。
問題点
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対局
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本将棋のCOMは初級・中級・上級の3種類あるように見えるが、実は指し筋が一種類しかない。
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難易度の違いは「待った」やペナルティーの有無だけ。他のモードに入れ込みすぎて差し筋を増やすプログラム技術が追いつかなかったのか?
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システム的には凝っており、盤面反転や読み上げのオンオフ、駒や盤の選択、さらには感想戦まで実装されているだけに、実にもったいない。
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棋力はそこそこあるため、簡単には勝てないが特筆する要素はない。まあこのゲームの本質は
射撃将棋と詰将棋なので、本将棋はオマケでしかないが。
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前作の問題点が解消されていない。
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駒台についても、一度乗せるとそこから出るのに難儀するのは相変わらず。
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適当につまんで盤上の駒の上に置こうとするなど、NGとなる手を指せば元の場所に戻るようにはなっているが、二歩の場合は即負けになるので注意。その際は「無念」と出るのだがそりゃ無念だろう。
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回り将棋はローカルルールが非常に多いのだが、このゲームにはルール設定がない。
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バカゲーとしては楽しめるものの、本格的なゲームとして見るとプレイヤーはボタンを押す以外何もすることがないという、『マインドシーカー』に匹敵する運ゲーでしかない。
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対戦も可能だが、当然ボタンを押すだけなので駆け引きも何もない。順番決めならジャンケンでもしたほうが手っ取り早い。
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どうせなら駒の上に駒が乗ってしまう「クソ」や、盤の外に駒が出てしまう「ションベン」でもあればよりバカゲーっぽくなったのに。
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射撃将棋
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シューティング単品として見ると、敵も将棋の駒との撃ち合いのみで、初見のインパクトは強いがそれだけである。
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背景は1つの静止画のみであったり、エンディングも用意されていないなど、内容は『スペースインベーダー』や『ギャラクシアン』などの黎明期に出たシューティングに近い。
当時の作品として見ても中途半端で、本格的なシューティングゲームにはとても及ばない。
総評
将棋ゲームの中でも特に異彩を放つ一作。射撃将棋なんて、数ある将棋ゲームの中でもこのゲームにしかないだろう。
しかし発売されたのはSFC全盛期である上に、他の将棋ゲームも多数出ており、このゲームも「よくある将棋ゲーム」としてワゴンに埋もれてしまった。
せめて明らかにインパクトがあるパッケージであれば、バカゲーマニアの間で話題になってもっと売れていただろう。
出荷本数が少なく、バーチャルコンソール等でも配信されていないためかプレミアがついており、現在でも数万円の価格で取引されている事もあるという、なんとも奇妙なバカゲーである。
箱説無しでも2万円以上であり、それを500で割っても1問あたり50円前後。これを高いと取るか安いと取るかは諸兄次第だろう。
たかが将棋シューティングの何が人をそんなに惹きつけるのか…。
余談
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本作は中古価格が高騰しておりプレミアが付いている。
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SFC将棋ソフトの中で最高値になっているどころか、他作を全部購入してお釣りが来るかも知れないという試算まである。
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CPU対局を目当てに本作に手を出すのは得策ではない。
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本作よりも一年前に同社から発売された『本格将棋 風雲児龍王』はプレミアどころか投げ売りされている。そちらにもCPU対局が用意されているのでCPU対局という用途ではなら事足りるだろう。
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現在のところ、他の将棋ソフトは良質なのに投げ売りされているものが多い。他にも、PS2本体と『柿木将棋IV』という選択肢まであるようになっているので、本作に手が出ない人もそちらを試すのもある意味『将棋三昧』と言えるだろう。
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ヴァージンインタラクティブエンターテインメントと言うと『レンダリング・レンジャーR²』でも知られており、あちらもとんでもないプレミア価格で取引されている。
最終更新:2025年05月07日 01:29