伊藤果六段の将棋道場
【いとうはたすろくだんのしょうぎどうじょう】
| ジャンル | 将棋 |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | アスク講談社 | 
| 開発元 | 魔法 | 
| 発売日 | 1994年2月4日 | 
| 定価 | 9,600円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 高難度詰将棋 対局は最弱?
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概要
プロ棋士監修のSFC将棋の第4弾。
伊藤果六段は詰将棋作家としても高名である。作中ではアニメーションで出迎えてくれる。
特徴
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詰将棋と対局の2つのモードが用意されているが、何と言っても詰将棋がメインと言えるだろう。
伊藤果の365日上達詰将棋
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伊藤果六段自身が作成された詰将棋が収録されている。
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「初心者向10級~6級」120問
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「中級者向5級~1級」120問
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「上級者向初段~」125問
 
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最初から365問選ぶ事が出来る。コンセプトは毎日1問解いて1年後には龍1個分は強くなるというもの。
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遠景も春から始まり90問解く毎に季節が変わっていくようになっている。
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制限時間は30分。玉方が思考中の際は進まないようになっていたり、29分30秒から点滅するなど細かい。
    
    
        | + | 365題を全部解くと…… | 
全問解いた貴方に
珍問奇問を
追加しました。
 
更に特別問題が5問解禁される。いずれも高難度で20手以上のも登場する。なお、解いても何も起こらない。
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実戦将棋対局
評価点
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詰将棋
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各問ごとにヒントが用意されており、方針を示してくれる。
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数も質も非常に高い水準を誇り、初心者の第一問から凄い初手が出て来る。それ以降も常識離れした鬼手も多数登場しプレーヤーを驚かせた。
 
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対局
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音声読み上げ、二枚落ちのハンデなど揃っている。感想戦では使った時間まで表示される。
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AIは入門者~上級者まで4つから選べる。強いほど時間をかけて来る。
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長考の際は伊藤六段が将棋の格言を色々喋ってくれて、気遣いが感じられる。
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縁台将棋の場面が表示され、男性の指し手は動く。AI戦は女性の顔グラがアニメーションで用意されている。
 
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セーブファイルは1つのみだが、オートセーブに対応。
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グラフィック
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フォントは勿論漢字が使われている。
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伊藤六段のアニメーションがあらゆる場面で登場。口パクも実装しており色々な表情を見せて、ゲームを終わる際は礼をして下さる。
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背景も凝っており、春夏秋冬に応じて夕焼けや雪合戦などあらゆる風景が用意されている。しかも登場人物達が動く。
 
賛否両論点
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詰将棋
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問題の前にヒントが出るが、それをOFFにすることは出来ない。
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正解手を指すと伊藤果六段がリアクションをすることがあるがOFFには出来ない。
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第1問から5手詰めである。後に3手詰めもあるがトリッキーな手順で容易ではない。
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クリアマーク「合格」と「あと一歩」があり、合格は初手から詰み上がりまで1手も間違えずに指す必要があるので面倒。
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二度手間感はあるが実際の対局でも攻め方が緩手を指して逆転負けを喫する状況もあるので、初手から詰み上がりまでの流れを要求するのも道理と言える。
 
 
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対局
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相手の持ち時間を1手10秒に設定すると、長考できなくなり棋力が著しく低下する。SFC将棋で最弱、ファミコンにすら負けるというレベルになる。
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初心者お断りが多い中でSFC将棋に勝ちたいプレーヤーにとっては良いのかも知れない。まあ、これでも勝てないのならSFC将棋に挑むのはまだ早いと言えよう。
 
 
問題点
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詰将棋
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問題を選ぶアクセスが悪い。ただ移動するだけでも120問なら10秒以上かかるし、一度解いた問題を確認するには1つ1つ確認していくしかない。
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詰め上りが2通りある問題では片方不正解にされる。
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本作では1手目~詰み上がりまでミスなく指していかなければならないので尚更である。
 
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30分以内に解けないとタイムアップだが、その際のクリアマークが「あと一歩」。これは試行錯誤で解いたのと同じ扱いで流れがおかしいと言える。
 
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対局
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後手番を持つと画面上の操作になる。対人戦ではどちらかが逆さを担当する事になり分かり辛く不公平である。
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盤面反転も出来るのだが自動ではやってくれず、1手毎に切り替えるというのも面倒。
 
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AIの強さは4種類設定できるが当てにならず、実質持ち時間で強さが変わる。入門でも時間をかければ強く、上級も時間を短くすれば弱い手を指してくる。
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持ち時間を長くすると1局あたり30分はかかる見通しで、しかも弱い。
 
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対局相手は女性だが、対局中は伊藤六段が格言を語り掛けて来るばかり。女性の顔が出るのは対局前と終局のみ。
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画面位置の調整機能があるが微調整は出来ない。
 
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その他
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セーブファイルを消すことが出来ない。
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最初からやり直したくてもデータの削除は出来ない。期間限定の要素もあり、詰将棋を90問解くごとに春夏秋冬と変わっていく背景も、以前のものは見れなくなる。
 
 
総評
SFCの処理能力ではアマ中~上級の実力に及ばないと割り切ったか、詰め将棋に重点を置いた作品。
トップ棋士ではなかったが、詰め将棋愛好家として知られた伊藤六段(当時)に監修を依頼する渋い起用が憎い。
各所に不備は散見されるが、素材は丁寧に作られており、詰将棋の世界観に没頭させてくれる。
現在はコンピューターの棋力はプロをも驚かすまでになっているが、問題創作は人間に勝るものはなく、本作が現代まで価値を維持しているポイントになっている。特に詰将棋に本格的に取り組みたい人は本作は良い選択肢と言える。
余談
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1995年10月6日に伊藤果六段は七段に昇段。現在は引退棋士規定により八段となっている。
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アスク講談社は後にSFC囲碁も手掛けており、『林海峯九段の囲碁大道』も発売している。
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これにより、SFC囲碁将棋に最も貢献したメーカーと言っても過言ではないだろう。
 
最終更新:2021年03月28日 15:22