作品名は『レンダリング・レンジャーR²』ですが、機種依存文字が含まれるためページ名は『レンダリング・レンジャーR2』で代用しています。
レンダリング・レンジャーR²
【れんだりんぐ・れんじゃーだぶるあーる】
ジャンル
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アクションシューティング
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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ヴァージン・インタラクティブエンターテインメント
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開発元
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Rainbow Arts, Soft Gold
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発売日
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1995年11月17日
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定価
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10,800円(税抜)
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判定
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良作
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概要
『ロマンシング サ・ガ3』や『スーパードンキーコング2』などの多くの大作の影でひっそりと発売された、アクションシューティング。
1990年代に海外で大ヒットした『Turrican(タリカン)』シリーズのゲームデザイナー、マンフレッド・トレンツ氏とドイツのデベロッパー、レインボーアーツとソフトゴールドが製作。
海外で製作されたタイトルでありながら、何故か日本でしか発売されなかった、不思議な背景を持つ洋ゲーである。
ストーリー
(説明書4・5ページより引用)
遥かなる未来……地球は正体不明の異星人による襲撃を受けた。あらゆる国の軍隊が抗戦したが、異星人の圧倒的な戦力の前にただ敗戦を繰り返し、都市は廃墟と化していった。
「敵の本拠地を叩かなければ、もはや勝利はあり得ない」
無限とも思われる敵の兵力に対して、地球の首脳陣たちはそう結論した。
RENDERING RANGERの存在を知る者は少ない。それは平和の調停者と公言する、ある組織、世界各国が加盟するその組織が、武力による完全鎮圧を目的として作った特殊部隊であった。
部隊に所属する者は、名前や国籍をいっさい持たず、ただコードネームと驚異的な戦闘能力だけが、その存在をあらわしてた。
RENDERING RANGERの中でも、きわだつソルジャーがいた。
R²
。その彼に2つの指令が極秘裏に下った。敵の高性能宇宙戦闘機の入手と、敵本拠地のせん滅である。首脳陣たちの出した結論は、彼の力にかかっていた。
R²は指令の遂行をめざし、敵が占拠する廃墟へと向かう……。
システム
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コナミの『魂斗羅』チックなアクションシューティングゲーム。全9面。
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ステージによってアクションになったり、横スクロールシューティングになったりするのが特徴。
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バルカン、レーザー、バウンド、ワイドの計4種類のショットを使いこなしながら、迫り来る敵を倒していく。
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各武器は敵が落とすアイテムを取る事で最大3段階までパワーアップする。
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ちなみにアクション、シューティング面共に武器は共通。
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シューティング面に限り、攻撃範囲を拡大するオプションアイテムが登場する。
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全体の割合は「アクション:4面、シューティング:5面」。シューティングの方が多い。
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シューティングステージには、独自のシステムとして自機の方向転換があり、Bボタンを押すことで、自機の方向を変更できる。
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このシステムを考慮し、シューティングステージでは左右両方向から敵が襲ってくる。
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タイトルが現す通り、グラフィックは任天堂の『スーパードンキーコング』シリーズと同様にレンダリングCGで描かれている。
評価点
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洋ゲーらしからぬ操作性の良さ。
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ヌルヌルとした動きが特徴の当時の洋ゲーにしては珍しく、日本仕様のキビキビとした感触になっている。
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レンダリングCGによるグラフィック。特にボスキャラのグラフィックの質が高い。
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画面に収まらないサイズのボス、画面奥から回転・拡大しながら攻撃してくるボスなど、1つ1つのインパクトも相当なもの。
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派手な演出。レンダリングCGのグラフィックをフルに活かしたド派手なエフェクトが画面いっぱいに繰り広げられる。
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処理落ちがない。
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最大30体もの敵が画面を多い尽くす場面が多々あるのだが、全く処理落ちしない。
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チラつきも皆無。
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日本の名作アクション・シューティングに対する露骨なオマージュ。
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作者が日本のゲームのファンであるらしく、何処かのゲームで見た事のあるような場面が沢山出て来る。
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アクションステージは『魂斗羅』そのもの。…『タリカン』(Turrican)そのものと言ってもいいのだが。
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シューティングステージに至っては、思いっきり『サンダーフォース』である。
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また『R-TYPE』『グラディウス』『ダライアス』と言った名作のパロディまで登場する。
問題点
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ゲームバランスが大味
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武器が最強状態であれば、大体ゴリ押しで行けてしまう。
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おまけに必殺攻撃のボム技(全体攻撃技)がほぼ無限に撃てる仕様(1発撃っても、しばらくすると使えるようになる。最大3発まで照射可能)。
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逆に武器が弱体化すると途端に難易度が急上昇。如何にも当時の洋ゲーらしい極端さ。
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画面が暗く、主にアクションステージでは穴が見え難いところがある。
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それとは別にステージ7は背景の自己主張が激しく、目が疲れやすい。
総評
高い技術力に迫力満点の演出と、見所の多い良作アクションシューティングである。
全体的にスーパーファミコンのハード性能をフル活用した作りで、完成度も相当なものなのだが、ごく僅かしか出荷されず、全く日の目を見る事無く埋もれて行ったのは残念としか言い様が無い。
余談
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入手困難。
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国内では4千~1万本しか生産されなかった為、異常なプレミア値が付いてしまっている。
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海外では300~500ドルのプレミア値で取引されている。日本でも箱説無しですら1万越えは普通である。
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現在ほとんどの店で品切れでありプレイするのは極めて困難。ダウンロード版の配信が待ち望まれるが、発売元はゲーム事業から撤退しており権利関係も行方不明のため絶望視されている。
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だが、2022年6月にZiggurat InteractiveがWindows/Switch/PS4/PS5への復刻移植版をリリースすることを発表。同時にLimited Run GamesもSNESカートリッジ版を発売することを発表している。現時点で発売日のアナウンスはされていないが、この発表があったことからおそらく権利保有者が見つかったものと考えられる。
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当時のゲーム業界はやはり次世代機ハードや格ゲー等の流行が災いしたのか、ファミ通クロスレビューでは計22点と何故か余りいい点数ではなかった。ハードの性能を考えればシルバー殿堂入りしてもおかしくないレベルではあるが…。
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開発の初期は「タルガ」というタイトルで、グラフィックもドット絵だった。
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しかし、開発のソフトゴールドが『スーパードンキーコング』の成功を見て急遽、レンダリングCGで描き直すべきだと主張。結果として、ドット絵からレンダリングCGへの描き直しが行われると同時にタイトルも『レンダリング・レンジャーR²』となった。
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処理落ち皆無、15体以上ものボスと、スーパーファミコンの限界を超えた描写や演出が多いにもかかわらず、グラフィックデザイナーとプログラマーは一人だけ。
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しかも、そのパートを担当したのはディレクター兼ゲームデザインのマンフレッド・トレンツ。もはや無謀に等しい所業である。
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ヴァージンインタラクティブエンターテインメントは、約1か月後に『将棋三昧』を発売しており、あちらもとんでもないプレミア価格で取引されている。
最終更新:2024年09月09日 00:19