イースIV MASK OF THE SUN
【いーすふぉー ますく おぶ ざ さん】
| ジャンル | アクションRPG |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 12MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | トンキンハウス | 
| 開発元 | アドバンスコミュニケーション | 
| 発売日 | 1993年11月19日 | 
| 価格 | 9,800円(税抜) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 原案に最も近い くるくる
 新要素、状態異常
 スクリーンセーバー
 トンキンイース最終作
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| イースシリーズ | 
 
概要
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ファルコムが原案を提示して実際の制作は外注となった2つの『イースIV』のうちのSFC版。
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もう一方はPCエンジン版である『イースIV -The Dawn of Ys-』。当初はあちらが正史扱いだったが、後にシリーズ設定を再構築した際にはこちらが正史扱いとなりPCエンジン版の要素は部分的に取り入れられる形となった。
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従来は機種が違ってもストーリーは殆ど同じだった。本作のように機種によって著しく異なるというのも珍しい。
 
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なお、前作について触れられないのは時系列がI→II→IV→IIIだからである。すなわちFC版『イース(IおよびII)』」の直接の続編とも言える。
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後のシリーズで重要になる「有翼人」や「ロムン帝国」といった設定が初登場した。
 
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メーカーはトンキンハウス、CMでも堂々と表示されており、パッケージにも記載。SFC版『イースIII』の要素が色々と再来するのではないかと思われていたが意外とそんな事なかった。
ストーリー
エステリアでの冒険を終えたアドルは、砂浜で長かった戦いの日々を思い返していた。
様々な出来事を思い返しながら砂浜に目を移すと、そこには手紙の入った小瓶が流れついていた。
「勇者よ、セルセタを救ってください…」
アドルの新たな冒険の幕が開く。
特徴
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基本的なシステムは『イースII』を踏襲している。お馴染みの半キャラずらし、自動でHP回復(ダンジョンの外でのみ有効で、光合成という呼び方もされている。)も健在。
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魔法の種類は増えた。
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従来はファイヤーのみだったが、本作では装備した剣に応じて炎、氷、雷などオーソドックスな攻撃魔法を使えるようになっており、回復魔法も存在する。
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MP回復は宿屋で行える。
 
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新要素として、状態異常「毒」が実装。毒状態で歩き回ると徐々にHPが減っていく。
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特定の場面では同行者が加入するようになった。
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セーブファイルは5つ。
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セーブした際は現在の地名が書き込まれて分かり易い。
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プレイ時間も実装。ゲーム中にメニューに表示されている。
 
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ボス戦闘
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本作でも戦闘場所は丁度1画面という仕様。
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『II』(FC版も含めて)ではファイヤーの魔法で戦ったが本作では接近戦が主体。
 
評価点
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キャラの個性
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登場人物によってセリフの色が違う。ウィンドウも表示位置が異なり、複数のキャラが同時に発言する表現も可。
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OPとEDにはビジュアルシーンも用意されている。アドルの風に吹かれる髪のアニメなども良好で、前作で批判された邪神アドルの面影はない。
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従来はアドル単独で攻略していたが本作では人々と共闘する場面もある。
 
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ゲーム性
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雑魚敵のバリエーション
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従来は似たり寄ったりだったが、本作では高速移動に、曲軌道の弾、擬態など多彩なものが登場。
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FCでは動き回るのが主体で待機は無かったが、本作ではじっと待機する敵もいる。
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擬態は、アドルの方から真正面に行きたがるものに化けており、これがプレーヤーの心理を上手く突いており意外と何度も引っかかる。PCE版でも登場。
 
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HP自動回復
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その場で止まっているとHPが回復する仕様は、本作ではスピーディーになってプレーヤーを無駄に待たせることはない。RTAで多用されるくらい有効である。
 
 
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ボス
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多彩な攻撃を繰り出すのは勿論、追い詰めると形態変化をするボスもいる。
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ボス戦中でもメニューが開けるようになった。イベントアイテムを使う場合もある。
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ボスとの会話が用意。PCE版にも当てはまる事だが、従来は一方的に話してくるのみだったが本作ではやり取りが行われる。特にラスボス戦ではただの戦闘ではなく色々な苦悩と葛藤を表現。
 
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シナリオ
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原案に忠実でPCEに比べて矛盾点が少ない。
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過去作IとIIの舞台であるIのミネアの街や村、そしてIIのランスの村へ続くようになっている。当時に解決したイベントの話も聞ける。一枚絵がないのは残念だがBGMやマップの方はSFCの品質でリメイクされており感慨深いだろう。
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なお、ファミコン版イースIの朽ちたる扉は無かった事にされている。
 
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エルディールとリーザの役割
    
    
        | + | PCE版及び本作のネタバレ | 両キャラの扱いが双方で大きく違い、本作では大きく取り上げられている。 
本作ではパッケージを飾るなど扱いに力が入っており、なんとラスボスをエルディールが務めている。力に溺れた者の末路を辿るがリーザによる命まで懸けた一途な想いは遂にエルディールとプレーヤーの心を打った。アドル達が旅に出た後はリーザのテーマ曲が流れ、温かみあふれる一枚絵と共にかつての幸せな思い出を胸に強く生きる事を決意したシーンは評判が良い。
一方、PCE版でのエルディールは自信に満ちた言動、アドルを一撃で気絶させる、など当初こそ色々と威圧感を与えてきたが、アドルとはゲーム中で直接戦う事もなく、後に儀式で満身創痍のところを見計らったグルーダにより、背中から刺されて命を落とすという結末。そして死に際になって今更のように改心する。この際はリーザを生贄に捧げようとしており彼女がグルーダに救われた事は皮肉な話である。後にリーザはアドルに送られ自宅待機して終盤には一切絡んでこない。
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演出
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アニメーションもさることながらゲーム中でも、塔の外周では遠景を併用していて立体感と奥行きを表現、落下はSFCらしく拡縮機能が使われている。
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ファミコン版イースIの暗闇も再び実装されたり、雨が降ってくるエフェクトで臨場感は向上。
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氷の洞窟では床への映り込みまで用意されており実に細かい。
 
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音楽
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力強さとスピードを兼ね備えた曲は冒険心を高めてくれるだろう。青銅の地区、白銀の神殿は特に評価が良い。
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ただし「イースIV J.D.K.スペシャル The Dawn of Ys」に収録されたFM音源の原曲とは異なる、いかにもSFCな音色で。トンキンならではのアレンジも入ってる為。原曲から先に入った場合にはギャップを感じるかもしれない。
 
 
賛否両論点
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ゲーム開始までが長い
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オープニングイベントは飛ばせず、その後も準備してフィールドに出るまでに5分以上はかかる。
 
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アドルが喋る
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アドルは喋らない方が良いという考えもある。
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ただし、強くて優しい前向きなセリフはアドルらしい。重要なボス戦の前に会話をするという意味もある。
 
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民家に入っても一枚絵ではなく内部は普通にマップである。
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バミーのイベント
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バミー戦の前に変な選択肢が出る。面白半分で服従を選んでしまうとモンスターに変えられてしまう。PCE版とは治し方が異なるので注意。キースの事を忘れていると各地を奔走する羽目になる。
 
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イベントシーンではドット絵キャラがくるくる回って動きを表現する。
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前年に発売された『FFV』を意識したものと思われるが、キャラクターの表情は変わらないため同作ほど喜怒哀楽がはっきりしているわけではない。
 
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アクション性の低さ
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同ジャンルの他作品では武器を振って敵を攻撃するというアクションが既に標準となっていた時期であり
前作の横スクロールが不評だったためかイース1、2に回帰したゲーム性とはいえ、半キャラずらしの体当たりという攻撃方法は当時としても時代遅れとなっていた。
 
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セーブ
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ボス戦を除き、いつでもどこでもセーブが出来るので緊張感には欠ける。
 
問題点
ゲーム性
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あまり活かされていない要素
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特に新要素の状態異常だが、そもそも使ってくる雑魚敵がゲーム中ではわずか一種類しかおらず、回復手段も一個しか持てない「ドク消し」だけ。比較的序盤であり100Gの出費は痛い。当然防御する手段もなく、中途半端な存在となっている。あまり意味がなかったためか、PS2のリメイク版では削除されてしまった。
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珍しく画面の焼き付きを防ぐためのスクリーンセーバーが用意されている。しかし、そこまで長時間放置するという事はまずない。やはり微妙な要素だったため、次回作の『イースV』では削除された。
 
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レベル上げ作業
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効率よく稼げるポイントを見つけては数分かけてレベル上げをすることになる。また、レベルが上がると敵から入るEXPも半減してしまうのも余計に時間を費やすのも不評である。
 
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魔法
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まず弱くて使い物にならない
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特定の剣を装備していると魔法が使えるのだが、威力は弱く、歩きながら撃つ事も出来ない、魔法の切り替えも武器の装備を行わなければならないので手間感もひどい。
 
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強化については
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5000Gで強化出来るのだが高値の割に撃てる方向が増えるなど微妙なところ。そしてどの剣を強化するかも選べないので3本とも強化するしかなく15,000Gかかってしまう。終盤ならまだしも中盤でやってしまうと痛いところ。
 
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ボスに対しては以前のままといわれており有用性は皆無。イースIIではボス戦でも主力であったが、本作では黒真珠の話を引いてもギャップは否めないが、仮に有用だったとしてもMPの方は宿に泊まるかアイテムを使うなどで回復しなくてはならない。
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ただし、本作では回復手段が限られているのでHP回復だけは有用でありボス戦でも多用されてはいる。
 
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ボスバトル
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魔法で遠距離攻撃できないので接近戦でしかないが…
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最初のレムノス戦ではボスの近くの壁から高威力の炎が噴き出されるのだが避けるのは困難、これは運に左右されてしまい安定しない。
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そうかと思えば次の氷のゴーレムは簡単に倒せて印象に残らない。
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エステリアの草原
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騎士のボスがいるのだが、超威力の攻撃を繰り出してくるため倒すのが難しい。これは終盤のレベルからみても高威力で現時点なら即死である。
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装備を整えようにも、ミネアは武器防具屋を畳んでおり、前の町へ引き返すことも出来ないのでサンダーシリーズの装備で頑張るしかない。
 
 
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フラグに分かりづらいところがある
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終盤の扉は別なイベントをこなしたら通れるようになっていた、など分かりづらいところも多数。
 
バグ
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イベントのスキップ
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本来は特定のマスに入ると草原で雷に打たれたり、草原のボスに移行したりするはずなのだが、道中の雑魚敵をうまく誘導して利用するとスルーできてしまう。
 
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ラストバトルが簡単に済んでしまう方法がある。
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直前で、ランスの村で購入できるあるアイテムを使うと楽に倒せてしまうようになる。そのかわり経験値1200は得られない。
 
総評
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トンキンハウスと聞いて、イースIIIの要素が色々と再来するのではと危惧する声もあったがそれは杞憂であった。
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ストーリーはI、II~IIIの間となっているため、SFC版IIIはちょっと…若しくは手に入らなかった人も取り残される事はないので安心して欲しい。
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特にファミコン版YsのI・IIに思い入れがあるなら、本作は直接の続編とも言える物であり手に取る価値があると言えよう。
余談
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翌月には別なメーカーハドソンからPCE版のYsIVが発売される。共通点も多いがストーリー展開は大きく異なる。メーカーが違うと力を入れる個所も異なり単純に優劣は付かない、プレーヤーが何を求めるかで大きく変わるだろう。
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豪華声優とアニメなど派手に盛り上げた作品を求めるならPCEを。FC版を支持する人、原案に近いシナリオを望む人、エルディール、リーザのファンならSFCを選ぶと良いだろう。
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YsIII(SFC)
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こちらもトンキンから発売されているが時系列は本作の続編にあたる。好みに応じて手を出すのも良いだろう。
 
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その後の展開
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トンキンイースは本作を最後に有終の美を飾った。続編の『イースV』は引き続きSFCで登場。しかもメーカーは本家本元からの発売であるが、SFC黄金期となると苦戦を強いられる事になる。
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2012年9月27日に、ファルコム純正の『イースIV』に相当する『イース セルセタの樹海』が発売。2019年5月16日にはHDリマスターのPS4版『イース セルセタの樹海:改』がリリースされている。
 
最終更新:2024年05月11日 11:29