ビクトリーラン

【びくとりーらん】

ジャンル レース この商品はAmazon商品紹介機能をご利用いただけません。
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売元 ハドソン
発売日 1987年12月28日
定価 4,500円
レーティング CERO:A(全年齢対象) ※PCエンジンアーカイブスより付加
配信 【PS3/PSP】PCエンジンアーカイブス:2010年4月21日/600円(税5%込)
【WiiU】バーチャルコンソール:2014年9月17日/617円(税8%込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント PCエンジンのデモ的存在


概要

PCエンジン発売年にリリースされた、3D視点のレースゲーム。サブタイトルは「栄光の13,000キロ」。
製作当時のパリ-ダカール・ラリーをモチーフにしており、各種パーツによるメンテナンスをしつつ、全8ステージを走破するのが目的となる。

特徴

  • オンロード・オフロードが混在する全8ステージ制。各ステージには制限時間が設けられており、時間内にチェックポイントへたどり着けばステージクリアーとなる。
    • 制限時間には2種類あり、ステージに応じて設定された規定タイムと、1分間を基準とした許容タイムがある。規定タイム内にステージクリアーすると歓声が上がり、クリアータイムと規定タイムの差分が、次のステージで許容タイムに追加される。逆に規定タイムを超えると許容タイムは減っていき、許容タイムが0になると強制リタイヤ(ゲームオーバー)となる。
  • レース中はスポーツカーやトラック、バイクといった各車両のほか、路面上の砂地や小石、コース外の石・木・看板などの各種障害物を避けつつ、高低差のある坂道(起伏)や急カーブを攻略していく。
    • 車両は4速のマニュアル仕様となっており、最高速度は約230km/hである。
    • ステージによって路面が異なり、舗装された道路、砂漠、ブッシュ(芝生)の3種類がある。
    • 砂漠やブッシュは、道路に比べて最高速度が落ちる上に、グリップが効き辛くなるため難易度が上がる。また、ステージ5の砂漠では、1速で時速20km/hを超えると車両がスタックする。
    • 一定速度以上で他の車両や障害物に接触したり、カーブで車両を大きく横に振ると、スピンもしくはクラッシュして大幅なタイムロスとなる。
    • また路面上にある砂地や小石に触れると、車があらぬ方向へスリップしたりバンプするほか、坂道(起伏)を一定速度以上で登り切ると車両がジャンプしてしまいタイムロスになる。
    • 時間の経過によって昼→夕方→夜→朝とグラフィックが変化する。
  • ゲーム開始時に、タイヤ、ギア、エンジン、サスペンション、ブレーキの5種類のパーツを、計20ポイント以内に配分する。
    • 各パーツはレース中の負荷により消耗する。消耗度合いは、各パーツのアイコンの色によって表記され、青→緑→黄→赤の順で悪化していく。悪化の度合いにより操作や速度に支障が生じる。
    • ステージ間では、ポイントを消費する事によりパーツ交換が可能。ダメージの度合いに関わらず、1ポイント消費でダメージはリセットされる。ポイントが無くなったパーツは交換が出来ず、操作や走行に支障が生じた状態でレースを続けなければならない。

評価点

発売直後のハードとあって、その性能の高さを存分に表現している点。

  • 当時のメイン機種であるファミコンとの比較対象として、格好の作品となっている。
    • 速度アップや起伏・カーブによるスクロール、大型トラックの拡大縮小、時間の変化による発色表現などに顕著。
  • 国本剛章氏によるBGMは非凡な出来で、レースの爽快感に貢献している。

問題点

全体的に非常に難易度が高く、ゲームクリアーは至難の業。以下にその要因を示す。

  • 時間設定がシビア過ぎる
    • 規定タイム以内でステージクリアーするには、ほぼ完璧に近い走行が求められ、クラッシュやスピンといった大幅なタイムロスが2回以上あると厳しい。
    • 規定タイム以内で走行出来ていないと、許容タイムがどんどん減っていく。難易度が上がる後半ステージにおいては、一度のミスがゲームオーバーに直結してしまう事になる。
    • いかに前半ステージで許容タイムの貯金を作るかが勝負所になるが、前述の通り規定タイムの設定時間が非常に厳しいため、全ステージクリアーには相当な腕前が必要となる。ゲームに慣れないうちは、ステージ1でもゲームオーバーになる事がある。
  • パーツの消耗基準が不明瞭
    • 各パーツは走行状況により消耗するが、一見トラブル無く走行していてもパーツは消耗されていくため、プレイヤーからすれば基準が読み取れず、やや理不尽に思えてしまう。
    • パーツの消耗は即座に走行に支障をきたすので、ただでさえ厳しい難易度がさらに上がる事になるため、プレイヤーとしては理不尽さがさらに増すことになる。
    • このためゲーム開始時の各パーツの配分とステージ間のメンテナンスは非常に重要になるのだが、上記の理由により、各パーツをどの程度配分すべきかが推測し辛く、場合によっては後半ステージでパーツが無くなり「詰み」の状態になる事がある。
    • プレイヤーの走法によりパーツを消耗するというアイデアは良いのだが、その基準が不明瞭なために、どのような配分が的確なのかが読みきれないことが、ストレスに直結してしまう事になる。
  • 道路上の穴
    • 道路上にある穴に乗るとコーナリング中はスリップしてコース外に飛び出すのだが、平均速度が速い舗装路のコースではこの穴が突然出現するように見える為、コースを知らないうちはこれに乗ってクラッシュまたはスピンしてしまうことがよくある。
  • 夜の砂漠地帯のグラフィック
    • 時間経過によりグラフィックが変わるのがゲームの特徴だが、砂漠ステージでの夜間の走行では、路面とコース外の発色がほぼ同系統のため非常に分かりにくく、ただでさえ難しい砂漠の走行をさらに困難なものにしている。
    • この状況にあって、さらに路面上の砂地や小石の障害物の見分け辛さが際立っており、並大抵の動体視力では避けることも難しい。なお、障害物の場所は一定のため、覚えて攻略する事が望ましい。

総評

PCエンジンにおいては、ほぼローンチに近いタイトルとして、当時のメイン機種であったファミコンとの優位性を示すために、3Dタイプのレースゲームは格好の存在であった。
しかしながら、余りにもシビアな難易度設定により、ゲームクリアーは至難の業となっており、序盤では爽快感を味わえたプレイヤーも、次第に理不尽なゲーム性に苦痛を味わうようになるという、残念な仕様になってしまった。
同時期に発売された『THE 功夫』のように、PCエンジンのデモンストレーション的存在であるといえる。


余談

  • パッケージにはパジェロのような車両が描かれているが(車体にMITSUBISHIのロゴがある) 、ゲームではポルシェ・959のような車両を操作する。
  • 本作と雰囲気のよく似た作品として、同じくパリ-ダカール・ラリーをモチーフとし、車の各パーツの消耗と交換を繰り返すゲーム内容のジャレコのスーパーファミコンソフト、『ビッグラン』(1991年、アーケード作品のアレンジ移植)がある。

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最終更新:2022年03月06日 17:11