本項では『クロノレガリア』『クロノレガリアEX』を併せて紹介します。
判定はいずれも「スルメゲー」です。


クロノレガリア

【くろのれがりあ】

ジャンル ノンジャンルバトル
対応機種 アーケード(ALLS UX)
発売・開発元 セガ・インタラクティブ
稼働開始日 【無印】2019年2月21日
【EX】 2019年7月24日
判定 スルメゲー
ポイント ジャンル名からして分かりづらい
通称スタイリッシュ計算ドリル
一瞬の判断が求められるリアルタイム制戦術バトル

プレイヤーにギフト券(≒現実のお金)バラ撒き
完全新作の苦労が伝わる顛末
備考 2020年3月31日サービス終了


ストーリー

かつて神々の間で戦いが起きたときに、時の力で全ての神々を封印し、戦いに勝利したという時の神。その後継者であるクロノスは他の神々の子孫たちや妖精の力も借りながら、別の時間軸世界のクロノスたちと競い合い、神としての力を高めるため日々研鑽している。
その日々の中で正体不明の存在シャドウも現れ、彼を退けつつも現れた目的を探ることになる。


概要

ジャンル名は「ノンジャンルバトル」を冠しているが、実際のところは半リアルタイム制の戦術(算術?)バトル。
なんでもありなパーティゲーム風の軽い感じを出したかったのだろうが、実際はかなりシビアな戦術が求められる。
その他、ランク別の全国対戦だけでなく、CPU戦やフレンド対戦なども用意されている。


ゲームシステム

基本ルール

  • プレイヤー2名(もしくはプレイヤー対COM)の対戦バトル。敵プレイヤーのHPを0にまで減らすか、リアルタイムで減っていく「カウント」が0になった時に残HPの多いほうが勝ちとなる。
  • プレイヤー自身は移動や攻撃の術を持たず、各4体の「ユニット」に戦わせる。
  • 双方の居城は4本の「レーン」で繋がれており、ユニットはいずれかのレーン上に配置されて敵城に向かって進撃する。敵ユニットと接触すると自動でバトルを行うが「カード」による介入も可能。敵城までたどり着いたユニットは敵プレイヤーにダメージを与えて帰還する。
  • カウントが進むたびにすべてのユニットが1ターン分の行動をする。
  • カードは基本的にはガチャでランダム獲得(例外も多い)。現物の紙カードではなくデータ上のデジタルカード。
  • クレジットで「CP」を購入して、これを消費して各ゲームモードをプレイする。
  • 各要素についてより詳しくは後述。

カード

  • ユニットのコマンドに当たるデジタルカード。武器・道具・魔法の3種類。
  • 基本的に8体の「ユニット」いずれかの専用カードであり、そのユニットしか装備できない(ミーシャとデスピナ、ロッタとセシリアはNカードを共有する。)
    • 「武器」は出撃時に1枚使うメインのカード。キャラの攻撃力は武器の性能で決まる。
    • 「道具」は速効効果の補助カード。効果はシンプルでわかりやすい物がほとんど。
    • 「魔法」は詠唱時間がかかる補助カード。詠唱開始から効果発動までタイムラグがあるので先読みが必要だが、その分強力。
  • 1ゲーム終了時に1枚貰えるが、+50CP(50円相当)でさらに1枚。通常の召喚(ガチャ)は1回1クレジット(CPを買った分とは別徴収)。
    • 初期はダブりカードは補助チケット(5枚で1召喚)にしかできなかった。
    • アップデート後は同レア3枚+10コイン(100円相当)で欲しいカードに変換可能になる。
  • レアリティはN/R/SR/UR/LEの5段階。特定のレアリティ以上確定チケットが配布されることもある。
    • LEカードは「神器」と呼ばれる特別な武器であり、使用条件としてレベル制限がかかっている。試合中に経験値を貯めないと使えないものの、効果は強力になっている(ユニットは普段は人間の姿だが、神器で出撃した時だけ獣化した姿になるという演出も)。
  • 補助効果として「エンチャント」がカードに付与されることがある。確率発動だがレガリアゲージ/MP/カードストックが増加する。

ユニットとデッキ

  • このゲームには8人のユニット(キャラ)がいて、プレイヤーの部下として戦ってくれる。ただしゲームで使えるのは4人なので、それぞれの特徴をふまえて4人を選抜する。
+ 個性的な8人のユニットたち
  • アレク(戦士)
    • 初期キャラの一人。筋骨隆々でいかにも戦闘キャラ、のような見た目に反して直接戦闘よりも攻撃力を上げるアイテムや魔法での支援がもっぱらの仕事。アレクから武器を抜くのが脱初心者の第一歩とまで言われた。カード追加で妨害手段も手に入れますます武器を持たなくなってしまうことに。
  • ルカ(狩人)
    • 初期キャラの一人。レーン移動が最速でアイテムでさらに加速することができ、ダイレクトアタック時にボーナスをかけることもできるアタッカー。後述のミーシャほどではないが直接ダメージを与える手段も持つ。初期はHPが100と並みにあったがバージョンアップで90に弱体化された。またさらなるバージョンアップでレーンが5から4に減り素早さを生かしたダイレクトアタックがやりづらくなったり、彼女の専売特許だったクリティカルが全員に標準装備され割を食うことになってしまう。
  • ロッタ(僧侶)
    • 初期キャラの一人。HPを回復させるカードを複数所持する見た目通りの補助ユニット。戦闘面はHPが80と心許ないので苦手。カード追加で戦闘不能からの復帰を速めるカードが追加され、僧侶ではなくネクロマンサーではと言われることも。
  • ミーシャ(魔女)
    • 初期キャラの一人。アレクとは反対に攻撃力を下げたり、魔法で直接ダメージを与えられる妨害ユニット。ロッタと同じくHP80のため戦闘は苦手。カード追加でスリップダメージを与える毒を獲得し魔女っぽさがさらにアップする。
  • ベルナリオ(騎士)
    • 通称ベルおじ。移動は最も遅いがHPが高めの見た目通りの防御ユニットでダメージ割合カットを自身や味方に付与できる。初期はHP110と言うほど高くなかったため出番がほとんどなかったが、バージョンアップでHP120に上方され一気にレギュラーに昇格した。のちにアイテムを使われると追加で回復する効果や、敵ユニットも強制的に移動速度を自身と同じに固定するカードを獲得する。
  • ソーケン(学者)
    • 敵味方のレーンの移動を弄ったり、出撃中のユニットを強制的に待機状態に戻せる特殊ユニット。学者の割にはHPが100と並みにあるため戦闘もこなせる。カード追加で与えるダメージを割合増加させるカードを手に入れ、計算を狂わせることに一役買うことに。
  • デスピナ(暗殺者)
    • Ver1.2での追加キャラ。上記にもあるようにノーマルカードをミーシャと共有する。ひたすら罠・罠・罠のトラップユニット。罠の内容もダメージや攻撃力デバフ、各種状態異常やマス戻しと様々。罠のあるレーンに敵ユニットを移動させたり、罠の数で効果が変化するカードを持つ。HPは90あるので戦闘もこなせる。
  • セシリア(司祭)
    • Ver1.3の追加キャラ。上記にもあるようにノーマルカードをロッタと共有する。デスピナの逆で味方が踏むことで様々なバフを得られるギフトを操る補助ユニット。見た目に反してHPは90あり、敵ユニットを倒すことでギフトを敷設するカードも持つため意外と戦闘もできる。
  • あまり戦闘向きでないユニットも「神器」だけは強力なものを持っており戦いでも見せ場を作れる。ただし神器のガチャ入手確率は低い。
  • 最初から4人のユニットを所有している。その他のユニットは、そのユニット専用のカードをどれでも1枚でも手に入れたらユニット自体も仲間になる(同時に、そのユニットの基本的なレアリティNカード一式も手に入るので即実戦投入できる)。
  • 各ユニットは自分の「デッキ」を持っている(4vs4のチーム制TCGを1人でコントロールすると考えるとわかりやすいか)
    デッキのほとんどは内容固定だが、それぞれ6枚ずつ、自由にカードをセットできる枠がある。
    これによりキャラの性質をある程度カスタマイズすることが可能(単純にレアリティの高いカードに入れ替えていくと強くなれるというわけではない)。

対戦

  • 相手の編成確認後に『レガリア』というゲージを貯めて使用する1試合1回のみ必殺技を決定する。時間経過でゲージは貯まる他カード使用時にも微量増加し、エンチャントのレガリアゲージ増加でも増やすことができる。レガリアの種類は4つ。
+ 4種類のレガリア。どれを選ぶ?
  • ラストオラクル。カードストックが5増加する。ゲージの貯まりが最も早く、効果も単純でわかりやすい。速攻型や初心者に向いているが、増えたカードを漫然と消化していると他のレガリアに劣る。Ver1.3でゲージ増加がやや遅くなった分ストック+7に上方修正された。
  • アレスオーダー。出撃中のユニットの攻撃力を+20する。これも効果が単純で分かりやすいが、ゲージの貯まりがやや遅いうえにミーシャの攻撃力を下げる魔法で相殺されるなど、やや力不足感が否めなかった。Ver1.1で+30に上方修正、Ver1.2でレーン数減少により直接戦闘する機会が増えたことにより定番レガリアになった。
  • ヒールネクタル。全ユニットに100回復+復活カウントを14減少させる。このゲームの戦闘不能時間は通常14カウントなので確定で戦闘復帰する。が、稼働当初は50しか回復しなかったり、ゲージの貯まりが遅めだったり、ロッタに復帰促進である『蘇活』が実装されたり、後述するが状態異常に阻害されるなど不遇中の不遇なレガリア。ゲージの貯まりがやや速めになったり回復が200に上方修正されるも使用率は伸びなかった。
  • クロノスタシス。相手を3カウント時間停止させる。ゲージの貯まりは最も遅い(エンチャント発動無しだとラスト10カウント前後まで貯まらない)が相手を3カウント無防備にさせることができる非常に強力なレガリア。いろいろ問題を起こす原因でもあるが、ロケテ時は6カウント止まっていたのでこれでも弱くなっている。Ver1.2(とロケテ時)でクロノスタシス中でもクロノスタシスの発動だけはできるように変更された。
  • 試合時間は120カウント。先攻後攻の概念はなく、ほぼ常に入力を受け付けている。時間経過とともに貯まるMP・カードを消費してユニットを出撃させ、相手の城へのダイレクトアタックを目指す。
  • 先攻後攻の概念は無いが、効果が発動する順番は同カウント中の使用順になる。例えばこちらが出撃中のユニットに50ダメージを与える・相手が出撃中のユニットを50回復するのカードを使用し、対象になる相手ユニットのHPが満タンの100だった場合
    こちら→相手の順に使用した場合。相手のユニットに50ダメージが入るが、その後回復が発動しHPは100のまま。
    相手→こちらの順に使用した場合。相手の回復は満タンなので無駄になり、こちらの50ダメージが入りHPは50に減る。
    といった具合である。
  • カードはカードストックとして貯まり、左のキャラから順にカードに変換(オート)or引きたいキャラのボタンを押す(マニュアル)。
  • ユニット同士が相対した場合は戦闘で3カウントごとにダメージを与えあい、HPが0になると復活待ちになる。
  • 残り50カウントになるとクライマックスになる。相手の城までの距離が短くなり、カードストック・MPの増加が加速する。
  • 相手のクロノスのHPを0にするか、時間切れ時にHPが多い方が勝ちとなる。

戦闘の詳細

  • 本作の最大の特徴、もっといえば本作の面白さと難しさのすべては、戦闘システムの中にある。
    • たとえば、自分のキャラが「攻撃力50・HP100」で、敵のキャラが「攻撃力50・HP150」だったとする。 戦闘では両者が同時にダメージを与え合うので、このままでは2回目の交戦が終わった時点で、自キャラは「攻撃力50・残HP0」、敵キャラは「攻撃力50・残HP50」となり、一方的に負けてしまう。
      ここで、自分の手札には「敵キャラの攻撃力を-30するカード」「自キャラの攻撃力を+20するカード」「自キャラのHPを50回復するカード」がある。……さあ、どれを使えばいい?
      • 「敵キャラの攻撃力を-30するカード」→正解。
        これを使うと「自キャラ攻撃力50・HP100」「敵キャラ攻撃力20・HP150」となり、3回目の交戦が終わった時点で「自キャラ攻撃力50・残HP40」「敵キャラ攻撃力20・残HP0」となる。つまりこの戦いを勝利に導くことができるのである
      • 「自キャラの攻撃力を+20するカード」→不正解。
        これを使うと「自キャラ攻撃力70・HP100」「敵キャラ攻撃力50・HP150」となり、2回目の交戦が終わった時点で「自キャラ攻撃力70・残HP0」「敵キャラ攻撃力50・残HP10」となり、結局自キャラが負けるという運命を覆すことができない
      • 「自キャラのHPを50回復するカード」→半分正解。
        このカードを1回目の交戦でダメージを受けた直後という適切なタイミングで使えば、この不利な戦いを相打ちに持っていくことはできる。流れを両者のHPで挙げれば100/150→50/100(ここで使用)→100/100→50/50→0/0(相打ち)となる。
        1回目の交戦でダメージを受ける前に使っても意味がないし、2回目の交戦が終わった後では自キャラは死んでしまっているので使えない。
      • もちろんこの例題は相手が何も反応しない前提のものであり、実際にはこれに対する相手側からの反応、そしてそれに対するこちらの対応……と状況がめまぐるしく変わっていく。
  • キャラ同士が戦闘を行う「レーン」は4本(稼働初期は5本)あるので、複数の戦闘が同時進行する中で「それぞれの戦闘を勝利に導くには?」という問題に延々と正解し続けなくてはならない。
    それがこのゲームの本質であり、他の要素は飾りのような物なのである。
    • その独特なプレイ感覚ゆえに、揶揄半分で「スタイリッシュ計算ドリル」などと呼ばれることもあった。
    • 敵味方の攻撃力とHPを上げたり下げたりしてバトルを勝利に導くという感覚は、同じセガの『CODE OF JOKER』に少しだけ似ているが、こちらの方がはるかに複雑であり、しかも半リアルタイム進行である。
    • 数値の上げ下げだけでなく、各種の状態異常や特殊能力をもたらす物もあり、戦いはいっそう複雑になってゆく。
  • 各カードは4体のキャラの持ち物という体裁なので、キャラごとに使い分けが重要になる。たとえば戦闘専門のキャラと、あまり出撃はせずにカードでの補佐を専門とするキャラを作り分けるのもいだろう。
  • さらに、対人戦では相手も自分と同等の知性を持っていると考えなくてはならない。裏をかく立ち回り、複数のカードでのコンボ、自キャラを倒した敵に次の自キャラをあてがう、あるレーンでの戦闘を囮として別のレーンで優勢を取るなど、考えうる限りのあらゆる手段を駆使して戦うことになる。
    必然的に脳に加わる負荷やストレスも大きな物となり、アーケードゲーム特有の「気軽さ」とは程遠い、壮絶なまでの思考深度に達する(それゆえに、ついていけなくてリタイアする者が続出する事態を招いたのだが)。

評価点

  • チュートリアルとストーリー
    • 最初のチュートリアルは最低限しか教えてくれないものの、ストーリーモードはそれを補完してステップアップしていける内容になっている。
    • さらにストーリーモードはデッキが完全固定なのでカードを集めていなくても楽しめる。
    • イベントと同時配信されたアナザーストーリーでは僧侶のロッタだけが出撃できるなどの特殊デッキで挑まなければならないもののある。
  • 期間限定のイベント戦でも特殊なCPU戦が用意された。その試合結果から算出されるスコアを競い合うランキング戦も開催された。
  • アップデートで探索モードも追加。難易度が選べるCPU戦に加え、カード素材がもらえる。
  • 1日1回プレイ無料を不定期に(2019年10月以降は常時)実施。セガ統一カードのAime(もしくは互換品)さえ持っていればいいので、とりあえずプレイデータを作っておけば毎日タダゲーが楽しめる。
  • すさまじいほどの社内コラボ
    • 3月からの3か月間『春のセガまつり』と称してプレイ回数に応じて様々なコラボカードが手に入るキャンペーンを開催。その内容は多岐にわたるセガゲーとのコラボであった。最近の主だったセガゲーはほぼコラボしており、ソニックはもちろん龍が如くサクラ大戦戦場のヴァルキュリアやファンタシースターオンライン2、コトダマン*1やチェンクロなどのスマホゲー、同じアーケードのボーダーブレイクやWonderland WarsやぷよぷよやMJ(なんとイーピンがカードになっている)までコラボした。その後もCODE OF JOKER甲虫王者ムシキングハウスオブザデッドとの単独コラボでカードを追加していった。
    • 三国志大戦、ソウルリバース、CODE OF JOKERのプレイ履歴があるAimeでプレイすると、対応する専用の称号が獲得できた。
    • その他プレイヤーであるクロノスの座る椅子に「マーヤの椅子」、装飾に「ブロックナイト」「デビルウィンナー」が追加され、とにかくCODE OF JOKERのユーザーの気を引こうと躍起になっていたようである。逆にソウルリバースのコラボアイテムは称号以外何もなかった。この差は一体……?

賛否両論点

  • 高い戦略性とそれに伴う情報量の多さ
    • 戦術ゲームの常として最善の一手を考えなければならないのだが、リアルタイムでゲームが進行するので多大な情報を瞬時に処理する必要がある。
    • 事実上のジャンル:リアルタイム戦術バトルは相当頭を使うので得意と苦手が人によってはっきり分かれる。
    • 回復が1カウント遅れて無駄になることもあるし、攻撃が倍加する氷結を瞬時に計算するのは相当きつい。
      • アップデートで次ターンのダメージがHPを上回る際の警告表示が追加された。
    • 初心者にはまず相手のMPやカード量を見る余裕などない。それができれば相手の行動の予測ができるのだが。
  • 偏りがちなゲームバランス
    • 初期は速攻ユニットのルカのHPが標準的であり、かつレーンが5本あったのでそれなりに安定してダイレクトアタックを稼いでいた。またダイレクトアタック時にボーナスを得る『倍撃』の最大倍率が200%であったため、かなり簡単に相手をワンパンで倒せてしまっており、稼働後2週間弱で下方修正されるに至ってしまった。(自キャラであるクロノスのHPは200で固定のため、ルカの攻撃を100以上に上げて200%ボーナスの倍撃3を付与し、クロノスタシスで防御不能にすると確定で試合終了していた)
      • だが修正後も依然強力なコンボであることは間違いなく、しばらくは攻撃力140前後まで育ったルカがクロノスタシスで殴りに来る状況に変わりはなかった。
    • 逆に防御ユニットのベルナリオは遅く、アップデートでHPの上方修正と追加カードが来るまではほぼ役立たずだった。
    • その後もアイテム使用で追加回復する『発奮』と戦闘毎に攻撃力がアップしていく『高揚』を付与するアイテムを組み合わせ長期戦闘を発生させ高い攻撃力を獲得するコンボ、移動速度を最遅にするカードとマスを戻すカードを組み合わせることでレーン上を延々往復させるコンボ、罠を敷設しその数によって攻撃力が上昇する神器発動させ防ぎようがない攻撃力を持たせ一撃で勝負を決める、等の極端な状況が発生した。
      • 最終バージョンではトークンを生成する召喚系カードが追加され主流となったが、最後の追加キャラとなったセシリアだけこの召喚カードがなかったため環境に置いて行かれてしまって使用率が低迷してしまっている。
  • 格差マッチング
    • 全国対戦のマッチングはいくつか段階があるものの、ランクIX(9)以上は無差別マッチとなる。
    • 先述したように人を選ぶジャンルなのでまず同等のプレーヤーの絶対数が少ない。そのうえでベテランプレーヤーの的確なプレーをしのいで勝利を目指す、これを楽しめるかどうかにかかっている。
    • これを緩和するためか、それまではランク6までだった負けても上昇するラインが、Ver1.3ではランク19までに大幅上昇。さらにCOM戦でもランク上昇するように変更された。負け続けても無差別マッチに放り込まれてしまうのは疑問が残る。
  • 極度の勧誘キャンペーン
    • 稼働時の1か月間は合計390万円(1000円×100名×39日)のAmazonギフト券プレゼントを実施。なかなか例を見ない規模のキャンペーンである。
      • 「タダでもいらない、金をくれるなら遊んでやってもいい」とまで言われるゲームがごくたまにあるが、そういうゲームであるとメーカー自身が認めてしまったのだ。こんなことがあってよいのだろうか。まさに前代未聞である。
      • 抽選ではあるが参加者(プレイヤー数)がかなり少ないため当選率はそれなりに高く、ギフト券1000円が自分に当選した、もしくは友人や家族の誰かが当選したというプレイヤーまで合わせると、かなりの数にのぼった。
        「プレイ料金として投じた100円玉を十分回収できたので『クロレガ』は実質無料ゲー」「欲しいゲームソフトがあったので『クロレガ』からもらったギフト券で購入した」など、常識では考えられない事態が実際に起った。
    • その後も終了した2つのセガゲーム(ソウルリバース・CODE OF JOKER)プレーヤーにカード召喚100回分のプレゼントがあった。明らかにこの2ゲームのユーザーを取り込もうとした施策であるが、その結果は……。

問題点

  • コレクション性の薄いカード
    • カードは一枚絵と効果、フレーバーテキストが設定されているデジタルカードだが通常召喚は1枚100円。
    • 武器カードのみ実際に3Dキャラクターが持つ武器が変わる。LE神器は変身までするものの道具・魔法は一切変化なし。
    • 多数のセガゲームコラボカードが作られたがそれらは道具・魔法なので使用時にアイコンの一枚絵が表示されるのみ。
      • ただし、ソーケンが持つCODE OF JOKERのコラボカード『メデューサの竜杖』だけは武器のためダイレクトアタック時の絵がソーケン自身ではなくコラボ元の1枚絵がデカデカと表示される。
  • 稼働初期のとにかくガチャというシステム
    • カードを手に入れるには対戦終了時の獲得か、クレジットを使っての有料ガチャしかなかった。その内容も1日1回限定やステップアップなどソシャゲのガチャシステムそのものであり、ターミナルを見ればこちらもターミナル限定ガチャ、ととにかくガチャゲー感がすさまじく、なおかつカードの項目にもあるように各カードには追加効果のエンチャントがランダムで付与されるため、目当てのエンチャントがある場合は同じカードを何度も引かなければならない*2、など1プレイ100円なのにさらに実カードも出ないガチャで搾り取ろうとするのかという反感を買ってしまった。
    • このガチャゲー感は最終ロケテで指摘されており、さすがに運営もまずいと思ったのか稼働時にはWEBゲームや連動サイト登録で高レアリティ確定チケットや通常ガチャチケットなどを配布。さらに同レアリティのカード3枚とクロレガコイン10枚(100円)でエンチャントを指定して好きなカードに変換ができる機能を実装。さらにさらに初期神器は全キャラ初期装備化。最終的にプレイ毎に得られる素材を使って好きなカードを錬成可能(100円はかかるが)など緩和に緩和を重ねたが、初期についたイメージは払拭できなかった。
      • そもそもCODE OF JOKERの無料化経緯を考えると、同じ失敗を繰り返してしまっているのだがノウハウの蓄積はないのだろうか。
  • 強すぎる状態異常アビリティ
    • 賛否両論のバランスとも被るが、Ver1.2から追加された状態異常系のアビリティがどれもこれも強すぎた。
    • 戦闘毎に攻撃力が下がる『炎上』、1カウント毎にスリップダメージを受ける『毒』、直接戦闘で受けるダメージに固定倍率がかかる『氷結』、移動速度を最遅で固定し戦闘毎に固定ダメージを受ける『裂傷』。中でも問題児だったのが炎上と裂傷である。
      • 炎上。戦闘毎に攻撃力が下がるだけなら『高揚』のデバフ化でそれほどでもないのだが、隠し効果として『受ける回復効果を半減させる』というものが設定されていた。これが強烈で回復アイテムや魔法が半減するだけでなく、ロッタの神器効果である完全回復や、レガリアであるヒールネクタルの効果すら半減させてしまうという物であった。神器は使用レベル制限がかかる上に戦闘が苦手なロッタを出撃させるリスクを抱え、ヒールネクタルは1試合1回のみの大技である*3。多大なリスクを支払って行われる効果を最小2MPの消費で半減させてしまうのはいささか強すぎた。Ver1.3でロッタの神器効果は炎上無効、ヒールネクタルは200回復に上方修正された。
      • 裂傷。移動速度が最遅で固定化され、戦闘毎に固定ダメージを追加で受けるようになるため殴り合いで大幅に不利になってしまう。追加ダメージはまだしも速度の固定化が厄介。本当に固定されてしまうので再加速不可で、これとマス戻しの魔法とアイテムを組み合わせることにより、ローコストで遅延戦法を繰り返すことが可能になってしまう。最速であるはずのルカがこの裂傷マス戻し戦法にかかり、100カウントにわたりレーンをウロウロさせられる頂上対決が流れ、誰もが涙した*4。この戦法は速やかに下方修正がされたが修正対象がマス戻しに重点を置かれたため、裂傷の効果はそのまま放置されてしまった。
    • 何よりの問題はこれらの状態異常系アビリティ、効果が1回のみの氷結以外は 出撃している限り永続 である。
      • 解除方法は戦闘不能になるか、何らかの効果で待機状態に戻るかの二つのみ。解除アイテムや魔法? ありませんよそんなの……。
      • Ver1.2のキービジュアルでチラ見せされていたセシリアにその効果が期待されたが、上記の通りバフトラップのギフトを持って参戦、プレイヤーを失望させた。
    • 一応の措置として、Ver1.2からは付与されるアビリティが4つまで*5という上限が付いた。つまり状態異常になりたく無ければバフアビリティを4つ即付けろということか。
    • Ver1.3にて、この2つの状態異常は召喚されたトークンユニットに付与されるデメリット効果としても使われるようになった。最初からこちらでの効果のみ実装されればバランスは保たれたはずである。
  • キャラクターイラスト
    • ゲーム中の3Dキャラクターはそれなりに表情豊かなものの、2D立ち絵は表情差分すら無い棒立ちの絵でストーリーが進む。
    • 100円払ってまで無料スマホゲーム未満のイラストを見たい人がどれほどいるというのだろうか。
  • 良くも悪くもスマホゲー的な雰囲気
    • 狙ったのかも知れないが、リアル頭身は2Dの1枚絵のみで動くのは3DモデリングされたSD頭身のキャラ、操作はすべて画面タップ&スライド、といかにもスマホゲーのような雰囲気を醸し出しており「つまらないわけではないが、アーケードゲームとしての魅力が薄く、わざわざゲーセンでやる必要性が感じられない」「この内容なら、アケゲーではなくスマートフォンゲームでよかったのではないか」という意見が非常に多く見受けられた。
    • 同じSEGA発のワンダーランドウォーズや、スクウェア・エニックスの『星と翼のパラドクス』、あるいは多くのアーケードリズムゲーム(音ゲー)のような、アーケードならではの特殊筐体・操作デバイスといった外見的特徴、独自の操作性・システムなどを持たなかった点も「スマホゲーでよかった」という意見を後押ししてしまっていた。
      • 実際にやるとわかるがタッチする箇所や情報が密集しており、かつリアルタイムで進行していくためスマホの小さな画面では操作はなかなか難しく、アーケードの大画面でやる意義は多少なりともある。だが事前情報などのスクリーンショットではそのことに気が付くのはいささか難しい。

総評

RTSとカードゲームを組み合わせた、プレイヤーの思考力が問われる独特のゲーム性は間違いなく唯一無二のものであった。
そのゲーム性に魅せられた一握りのプレイヤーからの評価は高く、クソゲーとして切り捨てられるような作品でない事は確かである。

しかし真にこのゲームを楽しむまでのハードルは、リアルラックが絡むカード収集、地味なビジュアルと相まって果てしなく高い。
リアルマネーのプレゼントという強硬手段をもってしても 「ごくごく一部の好事家に愛されるゲーム」 の域は脱出できず、結局最後まで十分な新規プレイヤー層の獲得には至らなかった。

僅か1年1か月での稼働終了が告知された際も「知ってた」「残念だが当然」「約束された爆死」などという感想が非常に多く、
セガの新規IPの先達『ソウルリバース』共々、原作を持たないオリジナル作品の展開の難しさ、そして 「アーケード作品でスルメゲーは許されない」 という事実を改めて証明する形になってしまったのである。


余談

稼動前から末期にかけての顛末

  • まず根本的な知名度に欠けていた点が指摘されるだろう。公式の稼働直前生放送の視聴者が200人程度しかいなかったり、稼働初日のインカムが0クレジットの店舗多数と様々な記録を残している。そもそも稼働後数日でようやく存在を知ったユーザーも数知れず。
    • 結果、かなり丁寧に作り込まれ、メーカーとしても積極的に営業を行っていた作品なのにもかかわらず、そのあまりの不人気ぶり・インカムの低さでも話題となってしまう事態に。
    • 不人気作品のまま終わった『ソウルリバース』を入荷してくれていたゲームセンターには、贖罪の意味も込めてこの『クロノレガリア』を優先的に入荷する権利が与えられたのだが、これが更なる不人気ゲームとなってしまい、各ゲームセンターに巨額の赤字を与えたのである。
      スリキン』『ソルリバ』から『クロレガ』へ繋げる即死コンボでセガに潰されたゲーセンは数知れず、と語り草となった。
    • もちろん、本作の大爆死によって最大の被害を受けたのが、他ならぬセガ自身(のゲーセン部門)であることは言うまでもない。*6
  • 結局知名度の上昇は叶わず、2020年3月31日を以て稼働終了が決定。『ソルリバ』と同じく稼働期間約13ヶ月という短命のアケゲーとなってしまった。*7
    • 約13ヶ月という中途半端な稼働期間に関しては年度末というほかにも、稼働時にファミ通に付属していた特典コードの利用期限が2020年3月31日までという理由もある。

その他

  • 2018年1月のロケテスト、同年のJAEPOに出展したときのタイトルは『千閃戦記』だった。ユニットは固有名がついておらず、試合進行も稼働時とは大幅に違っており、チュートリアルすらなくいきなり対人戦になっていた。同年7月のロケテスト時に『クロノレガリア』に改題され、稼働時とほぼ同じゲーム進行・ルールに変更された。この時点まではCODE OF JOKERの筐体を使用していた。
  • 2019年1月のロケテでALLS UXを使用した汎用筐体へ変更され、この時点でユニットに固有名が付き、一部のキャラクターが若干のリファインをされている。そして同年2月21日、稼働終了した『ソウルリバース』からコンバート稼働になった。
    • この筐体には『ALL.Net P-ras MULTI バージョン3(APM3)』*8の改造キットも提供されたが、そちらの稼働開始日は約2か月後の4月18日。『APM3』への改造を希望する店はそれまでの間、対象筐体の電源を落として改造キット到着を待つ必要があった。
    • クロノレガリア稼働終了後はAPM3へと改造される(もしくは撤去)運びになり、結局どちらを選んでも最終的にAPM3へ改造されることに。そのためALLS UX採用の汎用筐体で稼働する単一のゲームは存在しなくなってしまった。*9
      • ちなみにAPM3にはターミナルが不要のため、ほとんどの場合1ターミナル+4~6サテライトで稼働していたソウルリバースは、ターミナルが必要なクロノレガリアとターミナル不要のAPM3にサテライト折半でコンバートされている。しかしクロノレガリア終了後はターミナルが不要になるため破棄となる模様。
      • APM3自体が、いわゆるセガ税が高率であることもあり極めて不評なため、ラウンドワンなど向けに『ぷよぷよeスポーツアーケードすぽっと!』へのコンバージョンキットが提供されることとなった。これはAPM3で配信されている『ぷよぷよeスポーツアーケード』のオフラインバージョンで、Aimeが使用できない(データ保存できない)(ランキング入賞時は昔のアーケードゲームのようにネーム入れを行う)、CPU戦か店内対戦しかできない、 セガ税の課金がない 、筐体に標準機能として装備されていた電子マネー決済機能が使えないといった違いがある。また『すぽっと!』は 公式サイトに製品情報がない
  • 稼働当初は頂上対決リプレイの配信はなかったが2019年4月12日よりターミナルに配信を開始。しかし三国志大戦で行っているYouTubeでの配信はなかったため、当時の全一ランカーに「スマホゲーですら1タップでの離脱率を考えているのに、わざわざゲーセンに行ってターミナル操作しないと見られない*10頂上対決に意味はないし載りたくもない」「このゲーム面白いんだけど、致命的に運営にやる気が無い」と苦言を呈されてしまう。
    • この件を知ってか知らずか、その翌日にTwitterにてYouTube配信を開始する予定がありますとの告知、その3日後に配信が開始された。
      • このYouTube頂上対決配信、ターミナルのリプレイ動画作成機能などを使っているのではなく*11、リプレイを再生できるPCを使いデスクトップキャプチャをして行われている。その証左としてPCのポップアップがそのまま映り込んでいたり、リプレイが再生されずデスクトップ(とリプレイ再生のコマンドプロンプト)が延々映っている頂上対決がアップロードされてしまったことがある。
  • 昨今のアーケードゲームには珍しく目立ったバグや不具合は存在しなかった*12。もっともユーザー数の少なさから表面化しなかっただけかもしれないが。
最終更新:2024年08月19日 08:29

*1 現在はミクシィに譲渡されているが、当時はセガが運営していた。

*2 三国志大戦の将器ガチャとほぼ同じ問題である。

*3 正確にはロッタの神器効果は『対象の最大HP-現在HPを回復させる』効果、ヒールネクタルは100回復の効果であるため、それらの計算の最終出力を半減させてしまう

*4 この頂上対決は断トツの低評価を受けている

*5 Ver1.1まではアビリティが高揚・鉄壁・会心・倍撃・先制・偵察・発奮の7つ。一応全部一度に付けられるが大道芸以外の何物でもない)

*6 一説によれば、本作の大爆死によってセガの開発部門と営業・ゲーセン部門の意識の乖離が深刻視され、それがセガゲームスとセガ・インタラクティブの合併・「セガ」という名前の会社が復活する原因の一つとなった、などという噂まである。

*7 『ソルリバ』の稼働期間は2018年2月22日から2019年2月21日 AM4:00までの365日

*8 2013年に稼働開始した『ALL.Net P-ras MULTI バージョン2』の後継。『ぷよぷよeスポーツ』『GUILTY GEAR Xrd REV2』などが配信されている。

*9 同じALLS UXで稼働しているゲームは複数存在するが、プリンターが必要・大型専用筐体などの理由で改造不可能である。

*10 実装当時は自動で頂上対決を再生する機能すらなかった

*11 そもそもこのゲームに三国志大戦のようなリプレイ動画作成機能は無い。

*12 ターミナルがコマ落ちやフリーズする場合があるがゲームへの影響はなし。前述の『ソウルリバース』は戦闘エリア外脱出バグ(さらにそこからエリア外を通って相手陣地に侵入できてしまう)やオブジェクトすり抜けバグなどの対戦ゲーとして致命的なバグ、ターミナルのライブ中継がまともに機能しない不具合などのオンパレードであった。