初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone
【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ あーけーど ふゅーちゃー とーん】
概要
『初音ミク Project DIVA Arcade』の続編作品。
実質的にはアップデートVer.であり、すべての前作筐体が本作に改修された。
特徴・変更点
新機能・タッチスライダー
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『DIVA f』のスクラッチを元に、新しい操作デバイス『タッチスライダー』が導入された。
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横一直線の細長いタッチセンサー。コンパネ上で、従来の4ボタンの奥の列に配置されている。
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メニュー操作に使用していたLRボタンは廃止され、タッチスライダーの両端部分がその機能を持つことになった。
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矢印状のスライドアイコンが出現したら、タイミングに合わせて指先をセンサーに触れさせて左右にスライドする。高難度曲ではボタン操作に混ざって出現したり、HOLD中にも要求されるため、手強くも面白い要素となっている。
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スライドアイコンが連なった『チェーンスライド』が登場したら、長さに応じた距離をスライドさせることでボーナス点が加算される。
その他の追加要素・変更点
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難易度の表記は前作の☆1~☆9の9段階から、☆1、☆1.5、☆2…と、0.5刻みで☆10までの19段階に変更され、既存の楽曲の難易度もそれに基づいて変更された。
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PV鑑賞モードにVPが不要となり、撮影した画像も2枚まで送信できるようになった。PV分岐対応楽曲なら分岐の有無の設定も可能。
前作の内容はすべて継続
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一応は「新作」という位置づけだが、前作に収録されていた楽曲やモジュールといった仕様はすべて継続収録されている。
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新要素「タッチスライダー」が導入されたが、既存の譜面をこれに合わせて改変することは行っていない(Ver A以降、これを用いた「EXTRA EXTREME」譜面(後述)が新たに追加されたが、前作どおりの譜面も全て残されている)。
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つまり、前作にあった要素はすべて継続収録されている。何一つ失われた物はない。
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厳密には、前作では衣装チェンジ対応曲であった「ルシッドドリーミング」が『Future Tone』では衣装チェンジなしに変更された。これは本来想定された表現に沿う形にするための措置とのこと。
評価点
進化したグラフィックと演出
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基板は前作までの『RINGEDGE』から、RINGシリーズ最新後継機の『Nu』へ変更され、より高度な処理が行えるようになった。
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PV上に登場させられるモジュールは3人に増加。加えてモブキャラクター(観衆やバックダンサーなど)を多数表示させることが可能となった。
これにより、『DIVA f/F』の楽曲とPVが移植可能となり順次実行されている。またアーケード新規曲も、それと同等の高クオリティとなっている。
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キャラクターのグラフィックは、『Module AC Type2.0』に進化。前作までのモデルと『DIVA f/F』のモデルのいいとこ取りである。
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微細な動作にも調整がなされ、特に表情は極めて豊かになった。
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モジュールに「カスタマイズアイテム」をつけることが可能となった。
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アイテムの種類は「頭(帽子やネコミミなど)」「顔(眼鏡や眼帯など)」「胸元(リボンやネクタイなど)」「背中(尻尾やリュックなど)」の4系統。モジュールと同様にVPを消費して購入して、4箇所にそれぞれ1つまで付けられる。
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これに伴い、旧来のモジュールの一部は「最初から標準アイテムをつけていた」という扱いとなった。例えば「鏡音リン(デフォルト)」の頭のリボンもアイテム扱いなので、これを取り外したり他の頭アイテムと付け替えられる。
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ミクだけでなく派生キャラも含め全員の全衣装で、好みのリボンや眼鏡を付けたりとファンには嬉しい要素。果てはケモミミや尻尾、ランドセル等マニア向けも多い。ただアイドルが踊るだけでなく、ここまでマニアックなカスタムが出来る高品質な3DゲームはACでは大変貴重。
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新機能・演出分岐
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『f/F』から受け継いだ要素。曲の終盤に1箇所だけ虹色に光るターゲットが設定されている。このターゲットでCOOL~FINEを取るとPV演出が一部変化する。多くの場合、上手く操作すると紙吹雪や爆発などの華やかな演出が追加される。
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ただし『F2nd』でリメイクされた曲については新たに分岐が追加される等は行われていない。
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ボーカルチェンジの本格採用
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前作ではモジュールと連動する隠し要素扱いだった「ボーカルチェンジ」が、バージョン「REVISION1」より正式システムに昇格。モジュールとは無関係にボーカルバージョンを選択できる(一部の対応曲のみ)。
賛否両論点
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HOLDの「攻略ルートの模索」要素は前作から変わっていない。
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キャラクターグラフィックの変更は、前作までのグラフィックを気に入っていた人には賛否がある。
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特に批判が多いのはよりによって主役の初音ミク。顔がまるでカマキリのようで可愛くない、MMDの方がマシ、などと批判意見が多い。
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今作のデザインと前作までのデザインでは、やや方向性が異なる部分があるため、やはり好みの問題である。
問題点
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他ゲームではチュートリアルモードがあったり、デモ中にチュートリアル映像が流れたりするが、本作にはどちらもない。
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同時押しにHOLD、そして今作でスライドが追加され、初見プレイヤーや初心者にはルールが分かりにくくなった。
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もっとも「同時押しは難易度NORMAL以下ではほとんど出現しない」「HOLDも同様。そして無視してもクリアに支障はない」点は相変わらず。さらに「スライドはクリア評価に影響するが、基本的には単独で出現」となっており、
「スライド採用曲は曲選択画面にマークが明記されている」という形になってるため、実質的にはほとんど問題視されていない。
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現在では修正されているが、特定のモジュールと楽曲でバグが発生していた。
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巡音ルカモジュール「シフォンワンピース」で『ブラック★ロックシューター』をプレイすると落ちるシーンでワンピースが落ちる動作よりも体が早めに落ちてパンツが丸見えになる。
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初音ミクモジュール「ハニーウィップ」で『ロミオとシンデレラ』をプレイするとパンツが丸見えになるところがあった、などがある。※パンチラ自体は他の曲でも存在するし正常な仕様ではあるが、本曲では明らかに不自然なバグとして発生していた。
総評
ベースとなるゲーム部分には新たな要素が加えられ、グラフィックやインターフェースなど、あらゆる点において進化した仕上がりとなっている。
新要素により分かりにくくなった部分もあるが、低難易度からプレイしていけば慣れていけるだろう。
根本のゲームの完成度が高い事からも安定した稼働を見せており、全盛期よりは大幅に減ったが600台以上が今もオンラインで現役稼働している。
バージョンアップ等
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2014年7月14日に「Future Tone Version A」にアップデート。特定条件を満たすとコレクションカードがもらえる「クエスト機能」、一部の旧曲にタッチスライダーを用いる「EXTRA EXTREME」譜面を追加、「HI SPEED」「HIDDEN」「SUDDEN」3種の「リズムゲームオプション」(要DIVA.NET登録)をはじめ、各種機能の追加や改良が施されている。
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EXTRA EXTR譜面はEXTREME譜面より高難易度の場合が多いが、一部EXTREMEと難易度がほとんど変わらない曲や、EXTREMEより簡単な曲もある。
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後にFuture Toneで登場した曲のEXTRA EXTREME譜面も登場しており、こちらはいずれもEXTREMEより高難易度になっている。
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2014年11月5日に「Future Tone Version A REVISION 1」にアップデート。必ず表示された曲数をプレイできる「次曲プレイ保証」が導入された。
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難易度EASYとNORMALは無条件で適用。HARDとEXTREMEは要ICカード&適用回数制限あり。
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2015年6月29日に『初音ミク Project DIVA Arcade Future Tone with フォトスタジオ』が稼動。
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『Future Tone』にプリンタを外付け設置して、撮影モードで撮影した画像をシールとしてプリントできるようにしたもの。プリントには追加で2クレジット必要。それ以外の点は『Future Tone』と全く同一であり、1クレジットで普通にゲームをプレイすることもできる。
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2016年2月18日に「Future Tone Version B」にアップデート。曲ごとの「おすすめモジュール」が実装され、当該モジュールを購入していなくても曲のイメージに添ったモジュールでプレイできるようになった。また「SPECIALクエスト」を追加、HARDとEXTREMEの次曲プレイ保証が無制限になった。
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2016年12月を最後に新規曲や新規モジュールの追加が途絶。その後はイベントモードの開催と既存曲に難易度EXTRA EXTREME譜面が追加されるのみという状態が2020年11月頃まで続き、それ以降はそれらも行われなくなっている。
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例外は以下の2例。
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2017年12月にPS4専用パッケージソフト『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』に収録された新規曲2曲と対応モジュールがAC版にも追加された。
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2019年4月に雪ミク3種のモジュール(雪ミク2018・2018AS・2019)が追加された。
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『DIVA X』のモジュールも追加されていない。
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2018年、2020年〜2023年は新曲・新モジュールの配信が
一切なく
、2019年はモジュール3種(雪ミク2018・2018AS・2019)が追加されたのみであった。
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新曲こそ無いが追加譜面や各種大会・誕生日イベント・フォトコンテスト等が毎月のように開催され、2022年6月頃までは更新が続いていたのだが、以降はそれらも行われなくなっている(2024年7月現在)このことからファンからは見捨てられた、最後まで面倒を見ろ、打ち切るのなら打ち切れと意見されている。
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ちなみにプロデューサーや3DMVの制作チームは同路線の新作「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」の開発に移った事が明言されており、この事からも今後の新コンテンツが制作される望みは薄いと思われる。
余談
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本作等、セガの初音ミク関連作品のモジュールとしてもおなじみである北海道のPRキャラクター仕様のミク、通称「雪ミク」のデザインのラッピングを施した路面電車が毎年冬の期間中に札幌市内で運行されているが、その車内の中吊り広告に本作仕様の雪ミクモジュールを使ったものが2017年版まで毎年存在していた。
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営業運転開始前日に行われる内覧会では公式サイトでの発表よりも一足早くその姿を見ることができた。
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が2020年以降の雪ミクモジュールが制作されなくなり落胆されている。
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楽曲「ゴーストルール」が削除された2020年12月までの10年間で「
削除曲が一つもないAC音楽ゲーム
」であった。
正確には一作で稼働終了したもの等もあるため唯一では無いかもしれないが、事実上5年以上オンライン稼働が続いているAC音ゲーの中ではほぼ唯一の例である。
「ゴーストルール」はその後2021年3月に公開再開されており、現在は削除曲がなくなっている。
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昨今はコラボや多種多様なアーティストの採用により、数年稼働すれば都合の悪い曲が出てくるのは当然の風潮である(他音楽ゲームの版権楽曲は契約期間が予め決められていることがほとんど)。ボカロというジャンルに拘りあくまでオリジナル曲を中心に構え、外部関係との権利もクリアにしている本作は非常に珍しい、音ゲーとしては一つの理想形なのかもしれない。
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前作同様、
隠し曲(解禁必須曲)も0曲
である。始めたばかりの初心者でも全楽曲全譜面遊べる音ゲーも、現在では非常に希少な存在である。
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ただし、韓国で稼働している本作では(実装当時より)『千本桜』と『千本桜 -F edition-』を選択することはできない(香港、台湾、その他諸外国では普通にプレイ可能)。
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これについては、『千本桜』を収録している他の音楽ゲーム(他社製品含む)でも同様に韓国版の筐体では収録されていないため、本作特有の問題点ではなく楽曲自体に問題がある模様。
最終更新:2024年07月02日 21:39