本稿ではPS Vita版『初音ミク -Project DIVA- f』とPS3版『初音ミク -Project DIVA- F』を紹介しています。判定はともに「良作」。
初音ミク -Project DIVA- f
【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁえふ】
ジャンル
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リズムアクション
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対応機種
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プレイステーション・ヴィータ
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発売・開発元
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セガ
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発売日
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2012年8月30日
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定価
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PS VITAカード版:7,329円(税込) ダウンロード版:6,600円(税込)
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廉価版
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お買い得版:2013年12月12日 PS Vitaカード版:3,780円(税込) ダウンロード版:3,400円(税込)
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判定
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良作
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SEGA feat. HATSUNE MIKU Projectシリーズリンク
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初音ミク -Project DIVA- F
【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁえふ】
対応機種
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プレイステーション3
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発売日
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2013年3月7日
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定価
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パッケージ版:7,329円(税込) ダウンロード版:6,600円(税込)
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廉価版
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ダウンロード版: 2016年11月22日 3,300円(税別)
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判定
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良作
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※共通項目は省略
概要
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プレイステーション・ヴィータ初のDIVAシリーズ。
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後にプレイステーション3版も発売された。PS3版は『F』が大文字である。
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『f』は『F』に先んじる形で半年ほど早くに発売されたが、『F』に収録されている楽曲が一部収録されていない。
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追加要素はDLCで補完。アイテムはほとんどが無料の「追加アイテムセット」収録だが、楽曲と一部のアイテムは有料DLC『おおもじパック』に収録。
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PSVitaの関係上仕方ないのだが、『extend』までとの連動は無く、収録曲や曲イメージモジュールも完全新規になっている。、
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システムの変更等もあるため、過去作からのエディットのコンバートは不可能。
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両作のデータ共有は後付けのため、Vita側では別にダウンロードする専用のツールが必要。
また、全要素を共有することはできない。
主な変更及び追加点
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楽曲及びモジュールの総入れ替え。チュートリアルを除き従来のものは全て無くなったが、「ワールズエンド・ダンスホール」や「千本桜」といった人気のボーカロイド曲がゲーム化された。収録数は『f』での32曲に『F』とDLCでの追加を合わせて、ミクにかけた39曲。
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収録曲一覧
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曲No.
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曲名
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VOCALOID
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備考
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0
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Ievan polkka
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初音ミク
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チュートリアル
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1
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キャットフード
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初音ミク
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2
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秘密警察
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初音ミク
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3
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メランコリック
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鏡音リン
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miraiにも収録
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4
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Weekender Girl
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初音ミク
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本作書下ろし
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5
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タイムマシン
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初音ミク
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6
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DYE
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巡音ルカ
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7
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Fire◎Flower
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鏡音レン
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8
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サマーアイドル
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初音ミク 鏡音リン
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本作書下ろし
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9
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ACUTE
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初音ミク 巡音ルカ KAITO
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10
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トリノコシティ
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初音ミク
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11
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どういうことなの!?
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初音ミク
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12
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Stay with me
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MEIKO
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本作書下ろし
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13
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え?あぁ、そう。
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初音ミク
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14
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リモコン
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鏡音リン 鏡音レン
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15
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ハイハハイニ
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KAITO
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16
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WORLD'S END UMBRELLA
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初音ミク
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17
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FREELY TOMORROW
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初音ミク
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18
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モノクロ∞ブルースカイ
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初音ミク
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19
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MEGANE
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巡音ルカ
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20
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鏡音八八花合戦
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鏡音リン 鏡音レン
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21
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ワールズエンド・ダンスホール
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初音ミク 巡音ルカ
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22
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ネトゲ廃人シュプレヒコール
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初音ミク
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23
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Nostalogic
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MEIKO
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24
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Nyanyanyanyanyanyanya!
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初音ミク
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25
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アンハッピーリフレイン
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初音ミク
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26
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ODDS&ENDS
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初音ミク
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本作書下ろし
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27
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天樂
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鏡音リン
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28
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神曲
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初音ミク
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29
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ブラック★ロックシューター
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初音ミク
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30
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ネガポジ*コンティニューズ
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初音ミク
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本作書下ろし
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31
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Sadistic.Music∞Factory
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初音ミク
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本作書下ろし
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32
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夢の続き
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初音ミク
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33
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Tell Your World
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初音ミク
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Fにて追加 |
34
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東京テディベア
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鏡音リン
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35
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夢喰い白黒バク
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鏡音レン
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36
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Sweet Devil
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初音ミク
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37
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リンちゃんなう!
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初音ミク 巡音ルカ
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38
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千本桜
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初音ミク
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39
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ぽっぴっぽー Special edition
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初音ミク
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有料DLC、『どこでもいっしょ』キャラコラボ
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新たに☆型ターゲットが追加された。『f』では画面を擦って(スクラッチ)楽器を奏でるように、『F』ではアナログスティックを弾いて(フリップ)弦をつまびくようにとっていくターゲット。擦る箇所は画面のどこでもよく(背面タッチパッドに設定することも可能)、弾くスティックは左右のスティック操作に対応しているので、交互に動かすことで、☆ターゲットが連続しても攻略可能。
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「テクニカルゾーン」の追加。楽曲中に一定のフレーズの間、終了までにコンボを切らないでいるとクリアゲージにボーナスが加算される。
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逆に、テクニカルゾーンで一度でもミスしてしまうと、クリア評価を高めるのは難しい。1作目のチャンスタイムを髣髴させる。
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これに伴い従来の「チャンスタイム」は仕様が変更された。チャンスタイム中に高評価を出すことで画面左下の☆型のゲージが貯まり、満タンになったあとで表示される大型の☆ターゲットを取ると成功。
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チャンスタイムを成功するとクリアゲージに大きくボーナスが加算され、なんと演出が通常のものから変更される。
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1作目に存在した押し間違え評価が復活。Arcadeに倣ってライフは減らないが、コンボも切れるしテクニカルゾーンでも失敗扱いである。
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クリア評価では、FINE以上の押し間違えはSAFE、SAFE以下の押し間違えはWORSTとしてカウントされる。
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PlayStationNetworkのオンラインストレージ機能を利用してエディットデータのアップロード、ダウンロードが行える。プレイヤーはプレイできるものが曲、譜面ともに(一応は)無限大に。エディター側もエディットデータを参考にしたりモチベーションにしたりもできる。
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ちなみにPSP版ではエディットデータの取り扱いはユーザーに一任されており、不特定多数とデータをやりとりするにはPCを介した操作がほぼ必須と、なかなかハードルが高かった。
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DIVAルームではコミュモードが追加され、キャラに触れたりあっち向いてホイをしたりして楽しむことができるようになった。
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『f』はヴィータのカメラ機能を生かしてAR機能がついており、ミクたちと写真を撮ったり、ソフト同梱のARマーカー(公式サイトでもダウンロード可能)を用いて、対応楽曲やエディットデータを用いたARライブを観賞したりできる。
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本体を動かすことで様々な角度からミクのライブを鑑賞することが可能。ただしパンツを見ようとすると非表示になるので注意。
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『F』はフルHD(1920ドット×1080ドット)出力に対応。こちらはAR機能の代わりに、事前にPS3本体に取り込んだ画像にキャラを合成するフォトスタジオ、3D映像出力に対応したミクのライブステージを様々な角度から鑑賞できるライブスタジオといった、スタジオモードがある。
評価点
通称「超・セガの本気」
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マシンスペックを生かし、豪華な演出を行うことができるようになった。特に、一つの楽曲に三人のキャラを同時に動かすことも可能に。
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『千本桜』ではなんと、六人が同時に登場する。次世代機だからできる演出である。
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当シリーズはPSPからACへ進出した際にも大幅な進化を遂げたが、今回新たな次世代機や、パッケージ版としては初の据え置きでの登場で、そのAC版でも比較にならない程の劇的な進化を遂げた。
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マシンクオリティもさることながら、セガ曰く「妥協なき調整をおこなった」作り込みの進化が素晴らしい。
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作り手の愛をひしひしと感じるPV。
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ボーカロイド達のモデリングコンセプト自体も変更された。従来の立体感のある、いわゆる2.5次元的な顔立ちが、ほぼ平面のアニメ調な顔立ちになった。
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AC版に思い入れの深い一部からは賛否両論だが、こちらも概ね好評にとられている。
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モジュールの頭、顔、胸元、背中にそれぞれカスタマイズアイテムを装着できるようになった。ネコミミや尻尾、帽子やメガネにランドセルと、そそるアイテムが多数揃っている。
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組み合わせによってはシリアスなPVも噴飯ものに。特に『F』で追加されたアイテムは、これ一つであらゆるPVの雰囲気が崩壊するともっぱら評判。
賛否両論点
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新たな☆型ターゲットは判定が通常のものより甘く(「COOL」、「FINE」、「WORST」の判定しか存在しない)、連続するような場面では適当に擦ったり弾いたりしているだけで攻略できてしまう。ただ、VITA版の場合最悪指を痛めかねない関係上、スコアにこだわらずクリア狙いでゴリ押しで安定性を増せるのは大きい。
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ヘルプアイテムは初心者に役立つものが揃っているが、使用すると一部を除いて、強制的に高評価が出なくなってしまう。
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アイテムを使用してクリアした場合は、それを示すアイコンがクリア評価アイコンの脇に表示されるのだから、そのような機能はいらないだろう。
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収録曲『Sadistic.Music∞Factory』はまんまブラック企業をイメージしてる曲、『夢喰い白黒バク』は後味の悪い曲であり、演出もあいまって不快になることがあるので耐性がない人は注意。
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鏡音リンfuturestyleの存在
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該当する曲「リンちゃんなう」の担当モジュールなのだが鏡音リンが実際歌ってるわけでもなくワンシーンに現れた妄想キャラで鏡音リンの成長した姿を受け入れられない人が多くいらないと意見が多い。
問題点
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チャンスタイム成功時の演出が、大きく変化するものとあまり変化しないものの差が大きい。
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また、追加演出では効果音が入るため「この効果音をオフにする機能が欲しい」との声も。
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『f』はフルHDの『F』と比較すると、画面がややぼやけているように見える。
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原因は本作の解像度が、ヴィータの解像度(960ドット×544ドット)に達していなかったためである。
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前作まで登場していたネルやハクなどの派生キャラが削除された。唯一収録された咲音メイコはMEIKOモジュール扱い(声は咲音専用)で、それ以外は有料DLCに。その有料もあくまでデフォルト衣装のみでそれ以外は無し。
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それに加えて仕方ないとはいえ過去作のモジュールが一切収録されていない。そのため次回作の『F 2nd』ではモジュールが一部復活している。
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DIVAルームでの自由度は前作から不評だったにもかかわらず、問題点はほぼそのまま。コンセプト自体は楽しいものだが、すぐに飽きてしまう。
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他にも模様替えなどではロードに時間がかかる、などの問題も。
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エディットモードは初めてのエディター向けに仕様、調整がなされた。操作性や画面の見やすさなどが大きく向上している一方で、カメラ操作の自由度などは従来から劣化していると言える箇所が存在する。
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初期の『f』では歌詞やタイトルなどで入力できない文字列が大量に存在した。
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アップデート前の問題点
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というよりはフィルタが理不尽レベルに大雑把であり、それによって巻き込まれて拒否されるワードが圧倒的多数だったのである。
フィルタの設定内容は1~2文字のものが多数であり、しかも文脈なども一切考慮せずにパターンに該当するものが含まれるだけで拒否するのである。
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主に報告されていたのは『まら』『SM』『しな』『殺』『犯』など。『殺』、『犯』を除けば、まずこれらの単語を単独で使うような曲は比較的少ないと言える。
だが「止まらない」、「smile」、「シナリオ」といった文字列を含んだだけでもフィルタにかかってしまうため非難が集中、特に「smile」の件は「『2nd』でアイドルマスター SPとのコラボDLCも作っておきながらこの仕打ちか」と非常に強く非難された(もっとも、このフィルタの影響を受ける筋合いがあるのはSP以前からある曲だが)。
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結果としてアップデートによりフィルタが緩和。『F』はこのアップデート後のフィルタを使用しているため問題とならない。
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エディットデータのダウンロードは、なんとオンラインIDまたはフレンドリストからしか探すことができない。つまり曲名検索は不可能。
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また、新着順・古い順でリストを見ることができるが、削除されたものについては「(削除されました)」という文字列が並んでいる。適当に欲しいものを漁るにしても邪魔である。
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何より「エディットP」というトロフィーの獲得条件に「エディットデータのアップロード」が含まれているため、「一度アップロードしてそれを削除」という行為が多発、結果大量の「(削除されました)」が並ぶ始末である。
総評
新ハードでのリリースとなった関係で引き継ぎが一切ないのが残念だが、ゲーム自体はPSP時代からの正当進化となっている。
余談
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メイコのモジュール『ブルークリスタル』は胸をベルトだけで隠しているというきわどいモジュールであり、企画案で出された際没になると思われたが、SEGAからOKを出されたことを奇跡とデザインしたあんこ氏は語っている。そのためか、本作のレーティングは前作までのBからCに引き上げられている。
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『F 2nd』『MEGA39's』もC判定で、これらにも本モジュールが収録されているという共通点がある。
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ただ上半身を何かで隠しているだけのモジュールなら前作『extend』にて鏡音リンのモジュール『陽炎』がいたのだが胸の大きさのせいだろうか問題視されなかった。今作でも『雨』という鏡音リンのモジュールがいるがこちらは上着を片方羽織っているため問題にはなってない。
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『f』において『F』の追加分に対応させるDLCのうち「おおもじパック」は、内部では「Tell Your World」関連とそれ以外で分かれている。
『F』の初回特典は「『Tell Your World』関連が無料ダウンロードとなり、それ以外について割引された価格(1,500円(税込))での販売」というものだった。
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現在は双方セットでも以前の特典による割引価格と同じ値段になっている。
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また、同特典で『f』ダウンロード版も5,000円(税込)に値下げとなっていた(その後「お買い得版」発売に伴い特典有無を問わず3,400円(税込)に値下げ)。
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『F』のダウンロード版では2013年4月14日までの購入に対し上記初回特典とPS3用テーマが付属する形であった。
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ちなみにこの『F』初回特典「君に届けたいコード」の名前は「Tell Your World」の歌詞の一節に由来すると思われる……のだが、「君に伝えたい」の方が先に来ていたりする。
最終更新:2023年12月09日 09:17